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2026.09.20投資・事業用不動産

コインランドリーを開くのに使える物件の条件は?──用途地域・排水・電気容量とクリーニング業法

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

コインランドリーに使える物件は、まず用途地域で絞られます。無人のコインランドリー(客が自分で洗う・洗濯物の受取や引渡しをしない形態)は、近隣サービス目的なら建築基準法上「サービス業を営む店舗」として扱われるのが一般的ですが、業務用機器の原動機の規模によっては「工場」とみなされ、住居専用地域では建てられないことがあります。物件で詰まるのは用途地域のほか、給排水と電気・ガスの容量、そして乾燥機のリント(糸くず)火災への備えです。無人ランドリー自体はクリーニング業法の規制対象外ですが、取次所を併設すると同法の届出が要ります。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文から整理します。

結論(先に要点):コインランドリーに使える物件は、まず用途地域で絞られます。無人のコインランドリー(客が自分で洗う・洗濯物の受取や引渡しをしない形態)は、近隣サービス目的なら建築基準法上「サービス業を営む店舗」として扱われるのが一般的ですが、業務用機器の原動機の規模によっては「工場」とみなされ、住居専用地域では建てられないことがあります。物件で詰まるのは用途地域のほか、給排水と電気・ガスの容量、そして乾燥機のリント(糸くず)火災への備えです。無人ランドリー自体はクリーニング業法の規制対象外ですが、クリーニング取次所を併設すると同法の届出(第5条第1項)が要ります。可否の最終確認は特定行政庁・保健所・所轄消防署で行います。

遊休の1階テナントや店舗跡でコインランドリー投資・多角化を考えるオーナー・投資家に向けて、物件選びで確認できることを、建築基準法・都市計画法・クリーニング業法・水質汚濁防止法・消防法の条文と国・自治体の資料から整理しました。当社が担うのは物件探しと重要事項説明です。用途地域や排水・電気容量など、物件側の要件に絞って解説します。

コインランドリーは用途地域のどこに出せるのか?

用途地域は都市計画法第8条第1項第1号が定める地域区分で、全部で13種類あります。そのなかで何を建てられるかは、建築基準法第48条と別表第二が地域ごとに定めています。コインランドリーの可否は、この別表第二の「どの用途に当たると読むか」で変わります。

国(旧建設省)の整理では、コインランドリーは主として近隣住民へのサービスを目的とする場合、別表第二にいう「洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗」として扱うのが一般的です(用途地域の運用は「都市計画法及び建築基準法の一部を改正する法律等の施行について」平成5年6月25日住指発第225号などによる。2026年9月18日参照)。一方で、業務用洗濯機・乾燥機の原動機(モーター)の出力が大きい場合や機器を多数置く場合は「原動機を使用する工場」に当たると判断する自治体があり、この場合は制限が一段強まります。

建築基準法上の読み出せない用途地域(原則)補足
サービス業を営む店舗第一種低層住居専用地域(床面積等の制限あり)第二種低層住居専用地域以上では規模により可
原動機を使用する工場第一種・第二種低層住居専用地域/第一種・第二種中高層住居専用地域準工業・工業系が適地になりやすい

同じコインランドリーでも、店舗と読むか工場と読むかは特定行政庁(自治体の建築主事)の運用で分かれます。 原動機の出力・台数の合計で線引きする自治体もあるため、契約前に所在地の特定行政庁へ用途の扱いを確認するのが確実です。用途地域は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の地図から調べられます。飲食店をスケルトンから開くときの用途地域の考え方はスケルトン物件で飲食店を開くときにも整理しています。

無人ランドリーとクリーニング取次所で必要な手続きはどう違うのか?

同じ店内でも、「客が自分で洗う無人ランドリー」と「洗濯物を預かって取り次ぐ取次所」は、法律上の扱いがまったく違います。ここを取り違えると必要な届出を落とします。

クリーニング業法(昭和25年法律第207号)第2条第1項は、溶剤または洗剤を使用して衣類等を原型のまま洗たくすることを営業とするものを「クリーニング業」と定義し、同条第2項は洗たくをしないで洗たく物の受取・引渡しを営業とする者も「営業者」に含めます。同条第4項の「クリーニング所」を開設するには、第5条第1項により、あらかじめ都道府県知事に届け出なければなりません。クリーニング師は各クリーニング所ごとに1人以上を置くのが原則ですが、受取・引渡しのみを行う取次所は除かれます(第4条第1項)。

これに対し、客が自分で洗う無人のコインランドリーは「コインオペレーションクリーニング営業」と呼ばれ、クリーニング業法の規制対象ではありません。 ただし公衆が共同で機器を使うため、国の「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱」(昭和58年3月29日環指第39号)を受けて、多くの自治体が指導要綱で開設届の提出と現地確認を求めています。

店の形態根拠届出クリーニング師
無人ランドリー(自分で洗う)コインオペレーションクリーニング営業自治体の指導要綱による開設届(法定義務ではない)不要
クリーニング取次所を併設(預かる)クリーニング業法上のクリーニング所第5条第1項の開設届(都道府県知事)取次所は不要(第4条第1項)

取次所を併設するかどうかで、必要な手続きが増えます。 クリーニング業法上のクリーニング所開設届の作成・提出支援は行政書士の業務です。当社(不動産)は物件探しと重要事項説明を担い、届出は行政書士へ、それぞれ直接ご契約いただく形をご案内します。

ガス乾燥機やボイラーの排水・水質規制で物件はどこを見るのか?

コインランドリーは大量の水を使うため、物件の給排水能力が合わないと開業できません。見るのは、給水量・排水量に耐える配管か、下水道に接続できるか、排水の水質規制に触れないか、の3点です。

水を使うだけの通常のコインランドリーは、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の「特定施設」には通常当たりません。特定施設として届出(第5条)が要るのは、テトラクロロエチレン等の溶剤を使うドライクリーニングの洗浄施設などです。ドライ機を併設するなら、施行令別表第一の特定施設に該当しないかを設計段階で確認します。下水道に流す場合は下水道法の排除基準(下水道法第12条の2等)に適合させる必要があり、油分や繊維くずを含む排水は除害設備が求められることがあります。

確認する点見どころ主な確認先
給排水能力洗濯機の同時稼働に耐える給水・排水管の口径建築士・設備業者
下水道接続公共下水道への接続・排除基準(下水道法)自治体の下水道担当
水質規制ドライ機(溶剤)併設なら水質汚濁防止法の特定施設か自治体の環境担当・設備業者

ガス乾燥機・ボイラーを使う場合の排水経路や水質・設備の設計は、設備業者・建築士の領域です。当社は物件の給排水の現況・下水道接続の可否を整理し、設備業者・建築士の判断につなぎます。

電気容量・ガス・消防(リント火災)で確認すべき設備は何か?

コインランドリーの機器は電力・ガスを多く使い、乾燥機は火災リスクを抱えます。物件で確認するのは、動力(三相200V)の引込と契約容量、ガスの供給種別と容量、そして消防・防火です。

業務用の洗濯乾燥機は三相200V(動力)で動くものが多く、既存の引込・契約容量では足りないことがあります。増設には電力会社・電気工事業者との調整が要ります。ガス乾燥機はガスの供給種別(都市ガス・プロパン)と容量を確認します。消防面では、無人のコインランドリーは消防法施行令別表第一の(15)項(前各項に該当しない事業場)に当たるのが一般的で、規模に応じて消火器具などが求められます。加えて、ガス乾燥機・ボイラーのような火を使用する設備の位置・構造・管理は、消防法第9条に基づく市町村の火災予防条例で定まります。

設備物件で確認すること
電気(動力)三相200Vの引込・契約容量、増設の可否
ガス供給種別(都市ガス/プロパン)と容量
消防(消火器具等)消防法施行令別表第一(15)項=その他の事業場
火を使用する設備ガス乾燥機・ボイラーの位置・構造(消防法第9条・市町村条例)

見落としやすいのが乾燥機のリント(糸くず)火災です。乾燥機のダクトやリントフィルターに堆積した糸くずへの着火が過去の火災原因になっています。無人営業では発見が遅れやすいため、ダクト・リントフィルターの定期清掃と、消防署への事前相談が要点です。設備の要否は所轄消防署の判断で、着工前の相談でやり直しを避けられます。

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居抜き・スケルトンのどちらで探すと総額は変わるのか?

コインランドリーは機器と工事の初期費用が大きく、物件の状態で総額が大きく変わります。表面利回りだけで判断せず、費用と立ち上がりの時間まで含めて考えます。

前にコインランドリーだった居抜きなら、給排水・動力・ガス・排気の下地が残っていることがあり、工事費を抑えられる場合があります。一方スケルトンは自由度が高い反面、給排水・動力の引込・排気ダクト・防火の工事が一から必要で、用途変更の確認申請が要る場合もあります。用途変更の確認申請の要否は当該用途部分の床面積で分かれ、判断は建築士・指定確認検査機関の領域です。検査済証のない中古物件を転用するときの物件の見方は検査済証のない中古物件を福祉施設に転用できるかの考え方が参考になります。

探し方効きやすい点注意点
コインランドリー居抜き給排水・動力・排気の下地が残る機器の状態・耐用年数、既存不適格
他業種の居抜き・スケルトン立地・区画の自由度動力・ガス・排気・防火の工事が一から

数字は物件と地域で大きく変わるため、当社は具体的な利回りを断定せず、費用の内訳と空室・低稼働のリスクの考え方を整理してお示しします。事業用物件の探し方や投資の全体像は投資・事業用不動産のご相談、開業のための物件相談は事業用物件のご相談にまとめています。相談は無料です。倉庫用途の物件要件はトランクルーム物件はどこに開ける?も参考になります。

役割の分担は次のとおりです。物件の調査・査定・媒介と賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。クリーニング取次所を併設する場合のクリーニング業法上の届出は行政書士、給排水・ガス・排気の設計は設備業者・建築士、用途変更の確認申請は建築士・指定確認検査機関、消防用設備の要否は所轄消防署、開業の税務は税理士へ、それぞれ直接ご依頼・ご相談いただく形をご案内します。これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。

よくある質問

Q. 無人のコインランドリーを開くのに、クリーニング業法の届出は要りますか?
A. 客が自分で洗う無人のコインランドリー(コインオペレーションクリーニング営業)は、クリーニング業法の規制対象ではないため、同法上のクリーニング所開設届は要りません。ただし多くの自治体が指導要綱で「コインオペレーションクリーニング営業施設開設届」の提出と現地確認を求めています。開業前に所在地の保健所へ確認してください。洗濯物を預かる取次所を併設する場合は、クリーニング業法第5条第1項の開設届が別に要ります。

Q. 住宅街の1階テナントでもコインランドリーはできますか?
A. 用途地域と、建築基準法上「店舗」と読むか「工場」と読むかで変わります。原動機(機器のモーター)の出力・台数の合計から「工場」とみなされると、第一種・第二種低層住居専用地域や中高層住居専用地域では原則建てられません。店舗と読める場合でも住居専用地域では床面積等の制限があります。線引きは特定行政庁の運用によるため、契約前に確認してください。

Q. コインランドリーの排水に特別な規制はありますか?
A. 水を使うだけの通常のコインランドリーは、水質汚濁防止法の特定施設には通常当たりません。特定施設に当たるのは、テトラクロロエチレン等の溶剤を使うドライクリーニングの洗浄施設などです。ドライ機を併設するかで扱いが変わります。下水道へ流す場合は下水道法の排除基準に適合させ、繊維くず・油分を含む排水には除害設備が要ることがあります。設計は設備業者・建築士にご確認ください。

Q. 乾燥機の火災はどう防げばよいですか?
A. 乾燥機のダクトやリントフィルターに堆積した糸くず(リント)への着火が主な火災原因です。無人営業では発見が遅れやすいため、ダクト・リントフィルターの定期清掃が要点です。ガス乾燥機・ボイラーのような火を使用する設備の位置・構造・管理は消防法第9条に基づく市町村の火災予防条例で定まります。消火器具等の要否は所轄消防署に確認し、着工前に相談してください。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「都市計画法」(昭和43年法律第100号。第8条第1項第1号=用途地域。2026年9月18日参照
  • e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第48条・別表第二=用途地域内の建築制限、第9条=火を使用する設備等の位置・構造・管理は市町村条例に委任。2026年9月18日参照
  • e-Gov法令検索「クリーニング業法」(昭和25年法律第207号。第2条第1項=クリーニング業の定義、第2条第2項=営業者(受取・引渡しのみの者を含む)、第2条第4項=クリーニング所、第4条第1項=クリーニング師の設置(取次所を除く)、第5条第1項=クリーニング所開設のあらかじめの届出。無人のコインオペレーションクリーニング営業は同法の規制対象に含まれない。2026年9月18日参照
  • 厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設の衛生措置等指導要綱について」(昭和58年3月29日環指第39号。無人のコインランドリーの衛生措置に関する国の指導要綱。多くの自治体が開設届を求める根拠。2026年9月18日参照
  • e-Gov法令検索「水質汚濁防止法」(昭和45年法律第138号。第2条第2項=特定施設、第5条=特定施設設置の届出。溶剤を使う洗浄施設等が特定施設に当たり、水洗いのみのコインランドリーは通常該当しない。2026年9月18日参照
  • e-Gov法令検索「消防法施行令」別表第一(昭和36年政令第37号。(15)項=前各項に該当しない事業場。無人のコインランドリーはこれに当たるのが一般的。消防用設備等の設置は延べ面積・構造による。2026年9月18日参照

※用途地域ごとの可否や、店舗と工場のどちらとして扱うかは、所在地の特定行政庁(自治体の建築主事)の運用によって変わります。契約前に特定行政庁へ確認してください。
※クリーニング取次所を併設する場合のクリーニング所開設届は行政書士、排水・ガス・排気の設計は設備業者・建築士、消防用設備の要否は所轄消防署が判断します。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の可否や投資助言を示すものではありません。個別の可否は、特定行政庁・保健所・消防署・建築士の判断と、当社の物件調査によります。
※物件の調査・媒介および賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が承ります。クリーニング業法上の届出は行政書士、設備設計は設備業者・建築士、税務は税理士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形になります。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。コインランドリー物件について、用途地域と建物の給排水・電気容量を同じテーブルに並べ、特定行政庁・保健所・消防・設備業者への確認事項を先に切り分けます。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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