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2026.09.17投資・事業用不動産

トランクルーム物件はどこに開ける?用途地域と建築基準法の要件

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

トランクルーム(レンタル収納スペース)を開けるかは、まず用途地域で絞られます。建築基準法上は「倉庫」として扱われ、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域では原則建てられません。屋外のコンテナ型は、随時かつ任意に移動できないものは建築基準法第2条第1号の建築物に当たり確認申請が要り、既存の店舗・倉庫を転用して用途部分が200㎡を超えれば用途変更の確認申請(第87条)が要ります。収納スペースの賃貸自体は許認可制ではありませんが、可否は用途地域・構造・消防で分かれます。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と国の資料から整理します。

結論(先に要点):トランクルーム(レンタル収納スペース)を開けるかは、まず用途地域で絞られます。建築基準法上は「倉庫」として扱われ、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域では原則建てられません。屋外のコンテナ型は、随時かつ任意に移動できないものは建築基準法第2条第1号の建築物に当たり、確認申請が要ります。既存の店舗・倉庫を転用してその用途部分が200㎡を超えるときは用途変更の確認申請(建築基準法第87条)が要ります。収納スペースを貸すだけなら倉庫業の登録は要りませんが、可否の最終判断は用途地域・構造・消防で分かれます。用途変更の確認申請と構造判断は建築士・指定確認検査機関、消防用設備の要否は所轄消防署に確認します。

遊休の店舗・倉庫・土地でトランクルームやレンタル収納を始めたいオーナーと、物件を探す運営事業者に向けて、物件選びと用途の可否を、建築基準法・倉庫業法・消防法施行令の条文と国土交通省の資料から整理しました。トランクルームの賃貸(収納スペースの貸与)自体は許認可制ではありませんが、物件が使えるかどうかは建物と用途地域の問題です。可否の最終確認は、建築士・指定確認検査機関・所轄消防署・所轄の特定行政庁と、当社の物件調査で行います。

トランクルーム物件はどの用途地域なら開設できる?

建築基準法上、トランクルームは「倉庫」として扱われ、用途地域の制限を受けます。住宅を守るための用途地域ほど、倉庫は建てにくくなります。

用途地域内の建築制限は建築基準法第48条と別表第二が定めています。倉庫は、住居系の中でも制限のゆるやかな地域から建てられるようになり、商業系・工業系では広く建てられます。実務では、コンテナ型・屋内型を問わず、次の3地域では原則として開設できないと考えます。

開設の可否(一般的な整理)用途地域
原則できない第一種低層住居専用地域/第二種低層住居専用地域/第一種中高層住居専用地域
できることが多い(要確認)第二種中高層住居専用地域/第一種・第二種住居地域/準住居地域
適地になりやすい近隣商業地域/商業地域/準工業地域/工業地域/工業専用地域

ここで注意したいのは、建築基準法別表第二が明示的に制限する「倉庫業を営む倉庫」と、トランクルーム(収納スペースの賃貸)は別だという点です。トランクルームの賃貸は倉庫業ではないため、この明示的な制限がそのまま当てはまるわけではありません。もっとも、建物としては「倉庫」に当たるため、住居専用地域では実務上開設が難しいという結論は変わりません。どの用途地域でどこまで認められるかは特定行政庁(自治体の建築主事)の運用で分かれるため、契約前に所在地の特定行政庁へ確認するのが確実です。用途地域は国土交通省の「不動産情報ライブラリ」の地図から調べられます。

屋内型と屋外(コンテナ)型で建築基準法の扱いはどう違う?

建物の中の一室を仕切って貸す屋内型と、敷地にコンテナを置く屋外型では、確認申請の入り口が違います。

屋外のコンテナ型でまず押さえるのは、コンテナが「建築物」に当たるかです。国土交通省は、随時かつ任意に移動できないコンテナは、その形態と使用の実態から建築基準法第2条第1号の建築物に該当するとしています(平成16年12月6日付け国住指第2174号「コンテナを利用した建築物の取扱いについて」、平成26年12月26日付け国住安第5号「コンテナを利用した建築物に係る違反対策の徹底について」。2026年9月17日参照)。建築物に当たる以上、建築確認を受け、構造耐力・防火・用途地域の規定に適合させる必要があります。「置くだけだから建物ではない」という理解は誤りです。

屋内型(建物内を区画して貸す)屋外コンテナ型
建築物か既存建物が建築物継続使用のコンテナは建築物に当たる(国住指第2174号)
主に見る点既存建物の用途と用途変更の要否コンテナの確認申請・構造・基礎への緊結
用途地域倉庫として制限を受ける同左(住居専用地域では原則不可)
つまずきやすい点用途変更の確認申請(200㎡超)「建築物でない」という誤解/基礎・構造

コンテナ型は、基礎に緊結されているか、積み重ねの構造安全は確かめられているかも論点です。構造の適否は建築士・指定確認検査機関の判断領域です。倉庫業の登録を前提にした営業倉庫の物件要件は営業倉庫にできる物件の条件は?に整理しており、本記事はそれとは別に、登録の要らない収納スペース賃貸を扱っています。

既存の店舗・倉庫をトランクルームに変えるとき用途変更の確認申請は要る?

要ることがあります。分かれ目は、トランクルーム(倉庫)として使う部分の床面積が200㎡を超えるかどうかです。

建築基準法第87条は、建築物の用途を変更して同法別表第一に掲げる特殊建築物(その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるもの)とする場合に、確認の規定を準用すると定めています。倉庫は特殊建築物に当たるため、たとえば店舗(別表第一の物品販売業を営む店舗等)を200㎡超の倉庫に変えるときは、用途変更の確認申請が要ります。200㎡以下なら確認申請は不要ですが、その場合でも建築基準法の実体規定(避難・防火など)に適合させる義務は残ります。

転用のパターン用途変更の確認申請
既存の倉庫をトランクルームにする(用途は倉庫のまま)用途が変わらないため原則不要
店舗・事務所などを倉庫(200㎡超)に変える原則必要(建築基準法第87条)
変更後の当該用途部分が200㎡以下確認申請は不要(ただし実体規定への適合は必要)

用途変更の確認申請には、既存建物が建築時に適法だったこと(検査済証など)の裏づけが要ります。検査済証がない中古建物を福祉施設などに転用する際の物件の見方は検査済証のない中古物件を福祉施設に転用できるかに整理しており、トランクルームでも考え方は共通します。用途変更の確認申請の要否と設計・構造の判断は建築士・指定確認検査機関の領域です。当社は物件の登記・検査済証の有無・現況を整理し、建築士の判断につなぎます。

消防・防犯・安全管理で最低限そろえるものは?

倉庫は火災時の危険がある用途として、消防法の規制対象です。何が必要かは規模と自治体の条例で変わります。

消防法施行令別表第一で、倉庫は(十四)項に当たります。消火器具・自動火災報知設備・誘導灯などの消防用設備が、延べ面積や構造に応じて求められます。何がどの規模から必要になるかは所轄消防署の判断で、着工前の相談が要点です。防犯・安全管理の面では、施錠・照明・防犯カメラ、結露やカビを避ける換気、利用者が危険物・現金・生鮮品などを持ち込まないためのルール(利用規約)を整えます。

項目確認先・整えるもの
消防用設備(消火器・自火報・誘導灯等)所轄消防署(消防法施行令別表第一(十四)項=倉庫)
用途変更・構造・避難建築士・指定確認検査機関
防犯・換気・利用規約運営事業者(施錠・照明・カメラ・持込禁止品の明示)

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

なお、倉庫業者が物品の寄託を受けて保管する「認定トランクルーム」(倉庫業法に基づく登録が必要)と、収納スペースを貸すだけの「レンタル収納スペース」(倉庫業の登録は不要)は別物です。後者は不動産の賃貸借であり、収納スペースを貸す営業そのものに許認可は要りません。ただし物件を使えるかは、ここまで見た用途地域・用途変更・消防で決まります。

賃料・投資利回りを見積もるとき見落としやすい費用は?

トランクルームは利回りだけで判断すると、初期費用と稼働の立ち上がりで見込みを外しがちです。表面利回りではなく、費用と空室の期間まで含めて考えます。

見落としやすいのは、用途変更の確認申請や設計にかかる費用、コンテナや間仕切り・空調・防犯設備の設置費、消防用設備の費用、そして開業直後の低稼働(満室までの時間)です。集客の広告費、管理・清掃の手間、退去時の原状回復や撤去費も、賃貸経営と同じく積み上がります。

見落としやすい費用・要素中身
確認申請・設計費用途変更(200㎡超)や新設の設計・申請
設置費コンテナ・間仕切り・照明・換気・防犯カメラ
消防用設備消火器・自火報・誘導灯(規模による)
立ち上がり満室までの低稼働期間の想定
運営・退去広告・清掃・原状回復・撤去

数字は物件と地域で大きく変わるため、当社は具体的な利回りを断定せず、費用の内訳と空室リスクの考え方を整理してお示しします。事業用物件の探し方や投資の全体像は投資・事業用不動産のご相談、開業のための物件相談は事業用物件のご相談にまとめています。相談は無料です。

役割の分担は次のとおりです。物件の調査・査定・媒介と賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。用途変更の確認申請や構造の判断は建築士・指定確認検査機関、消防用設備の要否は所轄消防署、開業後の従業員の労務・社会保険は社会保険労務士へ、それぞれ直接ご依頼・ご相談いただく形をご案内します。これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。

よくある質問

Q. トランクルーム(収納スペースの賃貸)を始めるのに、倉庫業の登録は要りますか?
A. 収納スペースを貸すだけのレンタル収納スペースは不動産の賃貸借であり、倉庫業法の登録は要りません。登録が要るのは、倉庫業者が物品の寄託を受けて保管する「認定トランクルーム」の形態です。ただし登録が不要でも、物件を使えるかどうかは用途地域・用途変更・消防で決まります。物件ごとに所轄の特定行政庁・消防署へ確認してください。

Q. 住宅街の空き地にコンテナを置いてトランクルームにできますか?
A. 用途地域が第一種・第二種低層住居専用地域や第一種中高層住居専用地域だと、倉庫として原則建てられません。また、随時かつ任意に移動できないコンテナは建築基準法第2条第1号の建築物に当たり(国住指第2174号)、確認申請と構造・防火への適合が要ります。「置くだけ」では済まないため、契約前に用途地域と特定行政庁の運用を確認してください。

Q. 今ある倉庫をトランクルームに変えるのに確認申請は要りますか?
A. すでに用途が「倉庫」で、そのまま倉庫として使うなら用途は変わらず、用途変更の確認申請は原則不要です。店舗や事務所を200㎡を超える倉庫に変えるときは、建築基準法第87条により用途変更の確認申請が要ります。200㎡以下でも避難・防火などの実体規定への適合は必要です。要否と設計は建築士・指定確認検査機関にご確認ください。

Q. トランクルームに消防設備は要りますか?
A. 倉庫は消防法施行令別表第一の(十四)項に当たり、延べ面積や構造に応じて消火器具・自動火災報知設備・誘導灯などが求められます。何がどの規模から必要になるかは所轄消防署の判断です。着工前に消防署へ相談すると、やり直しを避けられます。

この記事の出典(一次情報)

※用途地域ごとの可否や用途変更の要否は、所在地の特定行政庁(自治体の建築主事)の運用によって変わります。契約前に特定行政庁へ確認してください。用途変更の確認申請と構造の判断は建築士・指定確認検査機関が行います。
※消防用設備等の要否は所轄消防署が判断します。着工前に相談してください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断や投資助言を示すものではありません。個別の物件の可否は、特定行政庁・消防署・建築士の判断と、当社の物件調査によります。
※物件の調査・媒介および賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が承ります。用途変更の確認申請は建築士・指定確認検査機関、消防は所轄消防署、労務・社会保険は社会保険労務士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形になります。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。トランクルーム物件について、用途地域と建物の登記・検査済証を同じテーブルに並べ、建築士・消防への確認事項を先に切り分けます。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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