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2026.09.09投資・事業用不動産

営業倉庫にできる物件の条件は?倉庫業登録の施設基準から逆算する

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

営業倉庫にできる物件は、まず「他人の物品を寄託されて保管する倉庫業か、単に倉庫スペースを貸す不動産賃貸か」で分かれます。倉庫業を営むには国土交通大臣の登録が要り(倉庫業法第3条)、倉庫の施設・設備が種類ごとの基準に適合していることが登録の要件です(第6条第1項第4号、施行規則)。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と国土交通省の資料から整理します。

結論(先に要点):営業倉庫にできる物件は、まず「他人の物品を寄託されて保管する倉庫業か、単に倉庫スペースを貸す不動産賃貸か」で分かれます。倉庫業を営むには国土交通大臣の登録が要り(倉庫業法第3条)、倉庫の施設・設備が倉庫の種類ごとの基準に適合していることが登録の要件です(第6条第1項第4号、倉庫業法施行規則)。物件で見られるのは、使用権原・関係法令適合に加え、防水・防湿・遮熱・耐火・防火区画・防犯・そ害防止など。求める種別(1類〜冷蔵など)で条件が変わります。

「使っていない建物を貸倉庫にしたい」「倉庫向けに物件を貸したい」というご相談は増えています。ただ、看板に「倉庫」と掲げれば営業倉庫になるわけではありません。営業倉庫は倉庫業法に基づく登録制度で、建物の造りが種類ごとの基準に届いてはじめて登録されます。本記事は、貸倉庫・保管ビジネスを始めたい事業者と、倉庫向けに貸したい物件オーナーに向けて、契約前に確認できることを倉庫業法・同施行規則の条文と国土交通省の資料から順に整理したものです。数値と可否の最終確認は、登録の窓口である地方運輸局で行います。

そもそも「営業倉庫」と普通の貸倉庫は何が違うのか?

「他人の物品を寄託されて保管する営業かどうか」が分かれ目です。

倉庫業法(昭和31年法律第121号)は、寄託を受けた物品を倉庫で保管する営業を「倉庫業」とし、これを営もうとする者は国土交通大臣の行う登録を受けなければならないと定めています(第3条)。ここで効くのは「寄託を受けて保管する」という点です。荷主から物品を預かり、その保管に責任を負って対価を得るなら倉庫業に当たり、登録が要ります。

一方、建物という不動産のスペースをそのまま賃貸し、借主が自分の物を自分の管理で置くだけなら、それは不動産の賃貸借であって倉庫業ではない、という整理が一般的です。自社の商品を自社で保管する自家倉庫も同じく倉庫業ではありません。

ケース倉庫業の登録主な担い手
荷主の物品を寄託されて保管し対価を得る必要(倉庫業法第3条)倉庫業者
倉庫という建物を賃貸し、借主が自分の物を置く不要(不動産の賃貸借)宅地建物取引業者(当社)
自社の商品を自社で保管する(自家倉庫)不要

「貸倉庫を借りて自分で使う」のと「営業倉庫として他人の荷物を預かる」のは、法律上まったく別です。 どちらを目指すかで、物件に求める条件も、必要な手続きも変わります。まず自分がどちらなのかを固めることが出発点です。判断に迷う場合は登録の窓口である地方運輸局にご確認ください。

倉庫業登録に通る物件は、建物のどこを見られるのか?

施設・設備が、倉庫の種類ごとに国土交通省令で定める基準に適合しているかを見られます。

倉庫業法第6条第1項第4号は、倉庫の施設又は設備が倉庫の種類に応じて国土交通省令で定める基準に適合しないときは登録を拒否する、と定めます。その基準は倉庫業法施行規則(昭和31年運輸省令第59号)にあり、すべての倉庫に共通する基準(第3条の3)として、その倉庫を使用する権原があること、建築基準法・都市計画法など関係法令に適合していることが求められます。

そのうえで、最も基本的な一類倉庫の施設設備基準(施行規則第3条の4)は、おおむね次の項目で構成されます。

見られる箇所基準の考え方
使用権原・関係法令適合所有か賃借かの権原、建築基準法・都市計画法等への適合(用途地域・用途変更・検査済証の論点)
軸組・外壁・床の強度保管物品と荷役に耐える構造
防水性能屋根・外壁・開口部からの雨水の浸入を防ぐ
防湿性能床面からの湿気を防ぐ
遮熱性能屋根・外壁の断熱
耐火・防火耐火・準耐火構造、防火区画
消火器等消火器その他の消火設備
防犯照明・施錠など盗難防止
そ害の防止ねずみ等の侵入を防ぐ措置

建築基準法・都市計画法への適合は、この基準の入口に置かれています。 用途地域で倉庫を建てられる区域か、既存建物なら用途変更の確認申請が要らないか、検査済証があるかは、物件を選ぶ段階で先に効きます。検査済証のない中古物件を別用途に転用するときの論点は検査済証のない中古物件を別の用途に使えるかにも整理しています。適合の可否そのものは建築士・特定行政庁が判断します。

1類から冷蔵倉庫まで、種別で物件条件はどう変わるのか?

倉庫の種類ごとに、求められる施設設備基準の条文が変わります。

倉庫業法施行規則第3条は、倉庫の種類を一類・二類・三類・野積・水面・貯蔵槽・危険品・冷蔵などに分けています。何を保管するかで種別が決まり、種別ごとに基準が置かれています。

種別主に保管する物品の例基準の条物件条件の特徴
一類倉庫一般貨物(幅広い物品)施行規則第3条の4防水・防湿・遮熱・耐火・防火・防犯など最も総合的
二類倉庫一類より限定(燃えにくい物品等)第3条の5一類の基準から耐火性能を除いた構成
三類倉庫湿気・温度変化に影響されにくい物品第3条の6一類の基準の一部(防湿・遮熱等を要しない)
野積倉庫屋外保管に適する物品(原木・鉱物等)第3条の7周囲の防護施設・防犯設備・落下防止
貯蔵槽倉庫ばら状・液状(穀物・液体等)第3条の9サイロ・タンクの密閉構造・強度
危険品倉庫消防法・高圧ガス等の危険物第3条の10工作物型・土地型で別基準(他法令も重畳)
冷蔵倉庫摂氏10度以下で保管する物品第3条の11定温維持・温度計・防熱など温度管理

「同じ建物でも、何を預かるかで通る種別が変わる」のがポイントです。 たとえば一般貨物なら一類、常温で燃えにくい物なら二類、生鮮・冷凍なら冷蔵倉庫、危険物なら危険品倉庫と、目指す種別によって物件に求める性能が違います。危険品倉庫は消防法や高圧ガス保安法など他法令の規制も重なるため、物件選びの段階からその適合を見る必要があります。どの種別を目指すかを先に決めてから物件を当てると、手戻りが減ります。

登録前に物件契約を進めてよいのか、順序はどうすべきか?

登録の見込みを確かめてから物件を確定するのが安全です。 施設設備基準に届かない物件を先に押さえてしまうと、改修費がかさむか、登録できず塩漬けになる恐れがあります。実務では次の順序が無難です。

順序やること主な担い手
1目指す倉庫の種類と保管物品を決める事業者
2候補物件の用途地域・用途変更・検査済証・構造を下調べ宅地建物取引業者(当社)・建築士
3施設設備基準に対する適合の見込みを確認建築士・地方運輸局への事前相談
4賃貸借・売買の条件交渉と契約(改修可否の特約等)宅地建物取引業者(当社)
5倉庫業登録の申請行政書士
6増改築があれば建物表題・変更登記土地家屋調査士・司法書士

賃貸で倉庫を借りるなら、改修や設備設置を貸主が認めるか、原状回復の範囲はどこまでか、といった条件を契約に落とすことが要点です。賃貸借契約のどこを読むかは賃貸借契約書、どこを読めばいいかに整理しています。当社(不動産会社)は、物件が倉庫業の基準を満たせそうかの下調べと、取得・賃貸借の条件交渉に伴走します。 施設設備基準への適合の可否そのものは建築士・地方運輸局が判断し、登録申請は行政書士が担います。事業用物件全般は投資用・事業用不動産、事務所と許認可の関係は会社設立とオフィス選びをご覧ください。運送業の営業所・車庫の物件条件は運送業を始めるなら、営業所と車庫の物件はどこを見て選ぶかに別途整理しています。

誰に何を頼むのか(物件=不動産/登録=行政書士/登記=司法書士)?

役割は分かれています。倉庫は関わる専門家が多いので、はじめに交通整理をしておくと迷いません。

やること担い手
物件の調査・取得・賃貸借の媒介と契約四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)
倉庫業登録の申請書類の作成・提出支援行政書士
施設設備基準への適合設計・用途変更の確認申請建築士
建物の表題登記・増改築後の変更登記土地家屋調査士・司法書士
賃料・保証金・減価償却などの税務税理士

物件の調査、取得・賃貸借の媒介、売買・賃貸借の契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。倉庫業登録など官公署に提出する書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。この2つ(不動産会社・行政書士事務所)はそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。施設設備基準の適合設計や用途変更は建築士、建物の表題・変更登記は土地家屋調査士・司法書士、税務は税理士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。相談は無料です。

よくある質問

Q. 倉庫を借りて自分の在庫を置くだけでも、倉庫業の登録は要りますか?
A. いいえ。自社の物品を自社で保管する自家倉庫や、倉庫という不動産を賃貸して借主が自分の物を置くだけの場合は、倉庫業(他人の物品を寄託されて保管する営業)に当たらないのが一般的で、倉庫業法第3条の登録は要りません。逆に、荷主から物品を預かって保管し対価を得るなら登録が必要です。判断に迷う場合は地方運輸局にご確認ください。

Q. 中古の倉庫を借りて営業倉庫にできますか?
A. できる場合があります。ただし、その倉庫が使用権原・関係法令適合に加え、目指す種類の施設設備基準(防水・防湿・遮熱・耐火・防火区画・防犯・そ害防止など)を満たせることが前提です。既存建物では、用途地域・用途変更の確認申請の要否・検査済証・構造がまず効きます。適合の可否は建築士と地方運輸局に確認してください。

Q. 常温の一般貨物と冷凍品では、物件の条件は変わりますか?
A. 変わります。一般貨物は一類倉庫(施行規則第3条の4)、摂氏10度以下で保管する物品は冷蔵倉庫(第3条の11)と種別が分かれ、冷蔵倉庫では定温維持・温度計・防熱などの温度管理が加わります。何を預かるかで目指す種別が決まり、物件に求める性能が変わるため、種別を先に決めてから物件を当てるのが実務的です。

Q. 倉庫業の登録申請は不動産会社に頼めますか?
A. いいえ。官公署に提出する登録申請書類の作成は行政書士の業務で、四葉行政書士事務所が承ります。物件の調査・媒介・契約は四葉不動産株式会社が承ります。施設設備基準への適合設計や用途変更の確認申請は建築士が担います。いずれも独立した事業体として、それぞれ直接ご契約いただきます。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「倉庫業法」(昭和31年法律第121号。第3条=倉庫業を営もうとする者は国土交通大臣の行う登録を受けなければならない、第4条=登録の申請(倉庫の種類・施設設備・保管物品の種類等の記載)、第6条第1項第4号=倉庫の施設又は設備が倉庫の種類に応じて国土交通省令で定める基準に適合しないときは登録を拒否。2026年9月9日参照
  • e-Gov法令検索「倉庫業法施行規則」(昭和31年運輸省令第59号。第3条=倉庫の種類(一類・二類・三類・野積・水面・貯蔵槽・危険品・冷蔵等)、第3条の3=全倉庫共通の基準(使用権原・関係法令適合)、第3条の4=一類倉庫の施設設備基準(防水・防湿・遮熱・耐火・防火区画・消火器・防犯・そ害防止等)、第3条の5〜第3条の11=二類・三類・野積・水面・貯蔵槽・危険品・冷蔵の各基準。2026年9月9日参照
  • 国土交通省「倉庫業について」(倉庫業登録の制度概要・登録申請の手引き・倉庫の種類。2026年9月9日参照

※倉庫業登録の具体的な数値基準(構造・強度・防火区画の面積等)、危険品倉庫に重畳する消防法・高圧ガス保安法等の規制、地方運輸局ごとの運用は、施行規則および各地方運輸局の案内によって定まります。本記事は個別の物件について適合を判断していません。着手時点で登録の窓口である地方運輸局と建築士に確認してください。
※用途変更の確認申請の要否・耐震・検査済証の扱いは、物件の床面積・構造・区域の指定によって変わります。最終判断は建築士・特定行政庁の窓口で行ってください。
※費用・期間の具体額は物件と改修規模で大きく変動し、本記事では確定していません(未検証)。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の可否や登録の受理を判断・保証するものではありません。
※物件の調査・媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、登録申請等の官公署提出書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。営業倉庫の物件について、用途地域・施設設備基準・登録の要件を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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