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2026.09.03投資・事業用不動産

訪問看護ステーションを開くとき、物件にはどんな条件が要りますか──専用の事務室・感染予防・用途地域

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

訪問看護ステーションの物件で法令がまず求めるのは、専用の事務室と、訪問看護の提供に必要な設備・備品の2つです(指定居宅サービス等基準〈平成11年厚生省令第37号〉第62条)。利用者宅へ出向くため居室は要らず、用途地域も訪問介護・看護の事務所は技術的助言(国住街第107号・平成27年11月13日)で「老人福祉センターその他これに類するもの」として扱われ住居専用地域でも設置できる余地があります。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と国の資料から整理します。

結論(先に要点):訪問看護ステーションの物件で法令がまず求めるのは、①専用の事務室②訪問看護の提供に必要な設備・備品の2つです(指定居宅サービス等基準〈平成11年厚生省令第37号〉第62条)。利用者の自宅へ出向くサービスなので、介護施設やサ高住のような居室は要りません。用途地域も、訪問介護・訪問看護の事務所は技術的助言(国住街第107号・平成27年11月13日)で「老人福祉センターその他これに類するもの」として扱われ、住居専用地域でも設置できる余地があります。指定の可否は指定権者(都道府県・地方厚生局)が判断し、当社は物件情報の提供にとどまります。

訪問看護ステーションを新しく開こうとするとき、「どんな物件を借りればよいか」で最初に迷います。介護施設やサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の記事を読むと、居室の広さ・バリアフリー・面積の基準が細かく並びますが、訪問看護は利用者の自宅へ出向くサービスなので、物件の考え方が根本的に違います。本記事は、訪問看護ステーションの新規開設を検討する看護師・医療法人のご担当者や、事業用物件を探す不動産実務者に向けて、契約前に確認できることを条文と国の資料から順に整理したものです。物件の調査・媒介・賃貸借の仲介は当社(四葉不動産株式会社)が情報提供として担い、指定の可否は指定権者が判断します。

訪問看護ステーションの物件に、まず何が求められますか?

訪問看護ステーションは、看護師等が利用者の自宅を訪問して療養上の世話や診療の補助を行う事業所です。施設内で利用者を「泊める・預かる」わけではないため、物件に居室や浴室・食堂は要りません。法令が物件に求める骨格は、次の3点に絞られます。

論点何が求められるか根拠
事務室事業の運営に必要な広さの専用の事務室指定居宅サービス等基準 第62条
設備・備品訪問看護の提供に必要な設備・備品等同 第62条
用途地域訪問看護等の事務所は「老人福祉センターその他これに類するもの」扱い建築基準法別表第2・国住街第107号

物件で先に効くのは「専用の事務室を確保できるか」です。 面積の数値そのものより、記録の保管・利用者情報の管理・スタッフの待機と申し送りができる広さを、他の事業と区分して取れるかが問われます。事業用物件の考え方は投資用・事業用不動産、開業の拠点としての探し方は事業用の拠点・オフィスにまとめています。介護の「施設系」事業所と物件の見方がどう違うかは「介護事業所の物件は用途地域で決まる」もあわせてご覧ください。

事務室の広さや、感染予防のための区画は、どこまで必要ですか?

指定居宅サービス等基準第62条は、指定訪問看護ステーションについて「事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室を設けるほか、指定訪問看護の提供に必要な設備及び備品等を備えなければならない」と定めます。面積の全国一律の数値は条文に書かれていません。 実務では、都道府県・指定都市の指定申請の手引きが「必要な広さ」の目安(相談スペース・感染防止の観点など)を示すため、開設予定地の手引きを着手時に確認します。

「感染予防のための独立した区画が要る」と誤解されがちですが、法令が物件の構造として一律に義務づけているのは、独立した感染区画そのものではありません。感染症のまん延防止は、運営基準側の求め(感染症の予防及びまん延の防止のための対策の検討委員会・指針・研修・訓練)と、設備・備品等を衛生的に管理する衛生管理の求めとして整理されています。したがって物件段階で見るのは、次のような「区画が取れる素地」です。

物件で見る点なぜ効くか
手指衛生の設備手洗い場・流し台を事務室付近に確保できるか
器材の洗浄・消毒スペース訪問で使う器材を清潔・不潔に分けて扱える作業面があるか
清潔な保管区画衛生材料・記録を清潔に保管できる棚・区画を取れるか
プライバシーへの配慮利用者情報を扱う事務室が、来客・共用部と区分できるか

数値基準や必要な区画の運用は自治体で幅があります。着手時点で開設予定地の都道府県・指定都市が公表する指定申請の手引きを直接ご確認ください(各自治体の手引きは随時改定されます)。

用途地域は問題になりますか(建築基準法別表第2)?

事業用物件では用途地域が最初の関門になることが多いのですが、訪問看護ステーションはここが比較的ゆるやかです。かつて訪問看護等の事務所は建築基準法(昭和25年法律第201号)第48条・別表第2の「事務所」と解され、住居専用地域では建てられないと扱われた時期がありました。

しかし、平成27年(2015年)の規制改革実施計画を受けた国土交通省住宅局市街地建築課の技術的助言(国住街第107号・平成27年11月13日)により、住民に訪問介護・訪問看護等のサービスを提供するための事務所(病院・診療所・店舗等を除く)は「老人福祉センターその他これに類するもの」として取り扱うこととされ、第一種低層住居専用地域を含む住居専用地域でも設置できる余地が広がりました。

用途地域訪問看護等の事務所の扱いの目安
第一種・第二種低層住居専用地域「老人福祉センターその他これに類するもの」として建てられる余地がある(規模の制限に留意)
中高層・住居・準住居地域建てやすい
近隣商業・商業・準工業地域建てやすい
工業専用地域用途上の制限に留意(区域の指定で確認)

ただし、規模(延べ面積)による制限や、既存建物を用途変更するときの確認申請(同法第87条第1項)の要否は、物件と区域で変わります。用途地域上の可否と用途変更の要否は、契約前に特定行政庁の窓口で確認できます。

戸建てや賃貸マンションの一室でも開設できますか?

できる場合があります。訪問看護ステーションは居室が要らないため、戸建ての一部や賃貸マンション・オフィスビルの一室でも、専用の事務室と必要な設備・備品を確保できれば物件の候補になります。物件を選ぶ段階で確認したいのは、次の点です。

確認点なぜ効くか
賃貸借契約の使用目的「事務所」「事業用」として使えるか。居住専用の契約では不可のことがある
区分所有マンションの管理規約専有部分の用途制限(住居専用)で事業利用が禁じられていないか
専用区画の確保他の事業と区分した専用の事務室を取れるか(併設の場合)
感染防止・衛生の素地手洗い・器材の洗浄消毒・清潔な保管の区画を取れるか
バリアフリー・出入りスタッフの動線、記録・器材の搬出入のしやすさ

「住居として借りている部屋をそのまま事務所に使う」のは、契約・管理規約でつまずきやすい点です。 賃貸借契約書の使用目的と管理規約の用途制限は、物件を決める前に確認します。賃貸借契約のどこを読むかは「賃貸借契約書はどこを読むのか」に整理しています。

指定申請・人員・登記は、誰に相談すればよいですか(分離受任)?

訪問看護ステーションの開設は、物件だけでは完結しません。事業体をまたぐため、担い手を分けて考えます。

やること担い手
物件の調査・媒介・賃貸借の仲介宅地建物取引業者(四葉不動産株式会社)
指定申請の書類(人員・設備・運営基準の疎明)行政書士(四葉行政書士事務所)
人員配置・常勤換算・オンコール等の労務設計社会保険労務士(四葉社会保険労務士事務所)
物件を購入する場合の所有権移転登記司法書士
税務(開業・法人の税務)税理士

指定の窓口は、介護保険の指定居宅サービス事業者(訪問看護)が都道府県知事(指定都市・中核市は市長)です(介護保険法第41条)。この指定を受けると、医療保険の指定訪問看護事業者(健康保険法第88条・第89条=地方厚生(支)局長の指定)としても扱われる仕組みがあります。指定の可否そのものは指定権者(都道府県・地方厚生局)が判断し、当社は物件情報の提供にとどまります。 人員基準(看護師等が常勤換算2.5以上、うち1人は常勤、管理者は常勤・専従の保健師または看護師)は第60条・第61条が定めますが、これを満たす配置や常勤換算・オンコール(待機)の賃金設計は社会保険労務士の領域です。

誰に相談すればよいですか?

物件の調査、媒介、売買・賃貸借の契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。指定申請など官公署に提出する書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。人員配置・常勤換算・待機手当などの労務設計は四葉社会保険労務士事務所が、購入する場合の所有権移転登記は司法書士が、税務は税理士が、それぞれの領域を扱います。

これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。指定の可否は指定権者(都道府県・地方厚生局)が判断します。相談は無料です。

よくある質問

Q. 訪問看護ステーションの物件に、決められた最低面積はありますか?
A. 指定居宅サービス等基準第62条は「事業の運営を行うために必要な広さを有する専用の事務室」を求めますが、全国一律の面積数値は条文に書かれていません。実務では都道府県・指定都市の指定申請の手引きが目安を示すため、開設予定地の手引きを着手時に確認してください。手引きは随時改定されます。

Q. 感染予防のための独立した部屋(区画)は必ず要りますか?
A. 法令が物件の構造として一律に「独立した感染区画」を義務づけているわけではありません。感染症のまん延防止は運営基準(委員会・指針・研修等)と衛生管理の求めで、物件段階では手指衛生・器材の洗浄消毒・清潔な保管ができる区画を事務室内に取れるかを見ます。詳細は開設予定地の手引きで確認してください。

Q. 住居専用地域でも訪問看護ステーションを開けますか?
A. 開ける余地があります。訪問介護・訪問看護等の事務所は、技術的助言(国住街第107号・平成27年11月13日)により「老人福祉センターその他これに類するもの」として扱われ、第一種低層住居専用地域を含む住居専用地域でも設置できるとされています。ただし規模の制限や用途変更の要否は物件と区域で変わるため、特定行政庁で確認してください。

Q. 賃貸マンションの一室でも開設できますか?
A. 専用の事務室と必要な設備・備品を確保でき、賃貸借契約の使用目的や管理規約が事業利用を認めていれば、候補になります。住居専用の契約や管理規約の用途制限でつまずくことがあるため、物件を決める前に契約書と規約を確認してください。可否の最終判断は指定権者が行います。

この記事の出典(一次情報)

※専用の事務室の「必要な広さ」の目安、感染防止・衛生管理の求め、用途地域上の規模制限は、開設予定地の都道府県・指定都市・特定行政庁によって幅があります。本記事は個別の物件について判断していません。着手時点で管轄の指定申請の手引き・特定行政庁の窓口で確認してください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の可否や訪問看護ステーションの指定の可否を判断・保証するものではありません。指定の可否は指定権者(都道府県・地方厚生局)が判断します。
※物件の調査・媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、指定申請等の官公署提出書類の作成は四葉行政書士事務所が、労務設計は四葉社会保険労務士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。所有権移転登記は司法書士、税務は税理士へ直接ご依頼いただきます。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と許可(行政手続)の論点を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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