就労継続支援B型・就労移行の物件、用途地域と面積・消防はどこを見る?
就労継続支援B型・就労移行支援の物件で先に効くのは、①用途地域(建築基準法施行令第19条第1項でこれらの事業所は「児童福祉施設等」に含まれ、工業専用地域では建てられず他12地域は原則可)②建築基準法上の用途と用途変更の確認申請(事務所→児童福祉施設等で200㎡超なら必要)③消防(消防法施行令別表第一(6)項ロ・ハで自動火災報知設備・スプリンクラーの要否が変わる)④内装改修とバリアフリー、の4点です。指定基準の充足判定と指定申請は行政書士に振ります。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と省令から整理します。
結論(先に要点):就労継続支援B型・就労移行支援に使える物件は、①用途地域(建築基準法施行令第19条第1項でこれらの事業所は「児童福祉施設等」に含まれ、工業専用地域では建てられず、それ以外の12地域は原則可。低層住居専用地域は規模に注意)、②建築基準法上の用途(事務所から児童福祉施設等への用途変更で、その用途部分が200㎡超なら確認申請)、③消防(消防法施行令別表第一(6)項ロか(6)項ハかで自動火災報知設備・スプリンクラーの要否が変わる)、④内装改修とバリアフリー(訓練・作業室や相談室などの区画と段差・手すり)——おおむねこの4点で決まります。指定基準そのものの充足判定と指定申請は行政書士の領域なので、そちらへ振り分けます。可否の最終確認は特定行政庁・自治体(指定権者)・所轄消防署の窓口で行います。
就労継続支援B型や就労移行支援を始めたい事業者から、物件探しの入口でいちばん多いのが「この物件で開けますか」という質問です。物件を選ぶ段階で確認できる不動産側の条件(用途地域・建築基準法上の用途・面積・消防・バリアフリー)と、指定基準を満たすかどうかの充足判定・指定申請は、別のレイヤーにあります。本記事は前者、不動産を探すときに現地で確認できることに絞って整理します。指定基準の当てはめと都道府県・市への指定申請そのものは行政書士の領域なので、行政書士側の解説(就労継続支援B型・放課後等デイサービスの物件要件)とあわせてご覧ください。
就労継続支援B型・就労移行の物件は用途地域のどこまで置ける?
就労継続支援B型・就労移行支援の事業所は、建築基準法上は**「児童福祉施設等」**として扱われます。これは建築基準法施行令第19条第1項が、児童福祉施設等の範囲に「障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設」を含めているためです。名前は「児童」ですが、成人向けのこれらの事業所も同じ区分に入ります。
用途地域による建築の可否は、建築基準法第48条と別表第二で決まります。大づかみに言うと、工業専用地域では児童福祉施設等を建てられません。それ以外の12の用途地域では原則として建築できます。ただし第一種・第二種低層住居専用地域や田園住居地域では、規模や周辺環境との関係で制限がかかる場合があり、特定行政庁の確認が要ります。
| 用途地域 | 児童福祉施設等(就労継続支援B型・就労移行)の建築 |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用、田園住居 | 原則可(規模等の確認が要る場合あり) |
| 中高層・住居系(第一種中高層〜準住居) | 可 |
| 近隣商業・商業 | 可 |
| 準工業・工業 | 可 |
| 工業専用 | 不可 |
「その地域なら必ず開ける」という保証ではありません。用途地域上は可でも、次の用途変更・消防・改修で詰まることがあります。用途地域上の可否の最終確認は特定行政庁で行います。同じ「物件×許認可」の観点で、放課後等デイは「放課後等デイサービスの物件は用途地域・1階・面積・採光で決まる」、介護事業所は「介護事業所の物件は用途地域で決まる」に整理しています。
建築基準法の用途(事務所か児童福祉施設等か)で何が変わる?
空いている事務所やテナントを就労継続支援B型・就労移行の事業所に転用すると、用途変更が問題になります。事務所は建築基準法上「事務所」ですが、これらの事業所は前述のとおり「児童福祉施設等」=特殊建築物に当たるため、用途が変わります。
建築基準法第87条第1項は、建築物の用途を変更して特殊建築物(法別表第一(い)欄の用途)とし、その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合に、確認申請の規定(第6条)を準用すると定めています。裏を返すと、200㎡以下なら用途変更の確認申請は不要です(この200㎡への引き上げは2019年〈令和元年〉6月25日施行の改正によるもので、それ以前は100㎡でした)。
ただし「確認申請が不要=そのまま使ってよい」ではありません。確認申請が要らない規模でも、建築基準法(避難・防火・採光など)や消防法令への適合は別途必要です。児童福祉施設等の居室には、施行令第19条が採光に必要な開口部を求めます。
| 転用の規模 | 用途変更の確認申請 |
|---|---|
| その用途部分が200㎡超 | 必要(法第87条第1項) |
| 200㎡以下 | 不要(ただし避難・防火・採光・消防の適合は必要) |
この床面積が200㎡を超えるかどうか、確認申請の設計・手続は建築士(設計者)の領域です。当社は物件の床面積や現況を確認して見立てをお伝えしますが、用途変更の可否の最終判断と申請は建築士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。
消防設備とスプリンクラーは物件選びでどう効く?
消防は、消防法施行令別表第一の用途区分で扱いが変わります。障害福祉サービスの事業所は、利用者の自力避難の困難性に応じて**(6)項ロ**(主として自力避難が困難な者を入所・通所させる施設等)か**(6)項ハに区分されます。実務では、障害支援区分4以上の利用者がおおむね8割以上を占めるかどうかが、(6)項ロと(6)項ハを分ける一つの目安とされています。就労継続支援B型・就労移行支援は、この割合に達しなければ(6)項ハ**に区分されるのが一般的ですが、利用者の状態によって変わり得ます。
区分が変わると、自動火災報知設備やスプリンクラー設備の要否・設置規模が変わります。(6)項ロに区分されると、延べ面積が比較的小さくてもこれらの設備が求められることがあり、消防用設備の負担が大きく変わります。どちらに当たるか、どの設備がどの面積から要るかは、物件ごとに所轄消防署へ照会するのが確実です。
| 項目 | 確認すること | 確認先 |
|---|---|---|
| 消防区分 | (6)項ロか(6)項ハか(自力避難の困難性・支援区分の構成) | 所轄消防署 |
| 自動火災報知設備 | 区分と延べ面積に応じた要否 | 所轄消防署・消防設備士 |
| スプリンクラー設備 | 区分と延べ面積に応じた要否 | 所轄消防署・消防設備士 |
具体的な設備の要否は所轄消防署の判断であり、当社(不動産会社)が判定するものではありません。消防法令への適合は指定申請でも確認される要素です。
内装改修とバリアフリーは賃貸物件でどこまで可能?
指定基準(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」=平成18年厚生労働省令第171号)は、就労継続支援B型・就労移行支援の事業所に、訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室その他運営に必要な設備を求めています。訓練・作業室は訓練・作業に支障がない広さと必要な機械器具を、相談室は内容が漏れないよう間仕切り等の配慮を求めます。「1人あたり何㎡」という全国一律の数値は省令に書かれておらず、物件を選ぶ段階では**床面積そのものより「必要な区画を取れるか」**を見ます。
ご自身のケースについて相談したい方へ
物件探しや売却について、状況をお聞かせください。
バリアフリーは、利用者の状況に応じて段差の解消・手すり・多目的トイレなどを検討します。ここで賃貸物件だと効いてくるのが、賃貸借契約でどこまで内装改修を認めてもらえるか、原状回復の範囲をどう定めるかです。間仕切りの新設、トイレの増設、床の段差解消などは、貸主の書面による承諾を先に得ておくのが安全です。契約前に、改修の可否・原状回復の範囲・造作の扱いを貸主と確認します。賃貸借契約書のどこを読むかは「賃貸借契約書はどこを読む」、検査済証のない中古物件を福祉施設に転用できるかは「検査済証のない中古物件を福祉施設に転用できるか」に整理しています。
| 見る項目 | 何で決まるか | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 訓練・作業室、相談室等の区画 | 厚生労働省令第171号 | 指定権者(自治体) |
| バリアフリー(段差・手すり・トイレ) | 利用者の状況・自治体の運用 | 指定権者・特定行政庁 |
| 内装改修の可否・原状回復 | 賃貸借契約 | 貸主 |
面積・人員・区画が指定基準に適合するかの充足判定と行政協議は行政書士の領域です。物件の間取りが基準に届くかの見立てと賃貸・売買の媒介は当社が、指定申請の書類作成と自治体協議は行政書士が承ります。
指定申請と物件契約はどう分けて進める?
物件が指定基準・建築基準に適合するかの見立てと、賃貸・売買の媒介は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。役割は次のように分かれます。
| 担い手 | 役割 |
|---|---|
| 宅地建物取引業者(当社) | 物件の用途地域・面積・現況の確認と、賃貸・売買の媒介 |
| 行政書士 | 指定基準の充足判定、指定申請の書類作成、面積・人員・区画の行政協議 |
| 建築士 | 用途変更の確認申請の要否判断・設計・手続 |
| 所轄消防署・消防設備士 | 消防用設備の要否判断・設置 |
| 司法書士 | 会社設立・不動産の登記 |
進め方は、①物件の候補を絞りながら②行政書士に指定基準の充足を見てもらい③並行して用途変更・消防を確認し④めどが立ってから賃貸借契約・売買契約に進む、という順序が安全です。指定申請と物件契約は同時ではなく、物件のめどが立ってから指定申請の準備を本格化させるのが実務です。
指定基準の充足判定と指定申請は行政書士、用途変更の確認申請は建築士、消防用設備は消防設備士、会社設立や登記は司法書士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。 これらはそれぞれ独立した事業体であり、当社とは別々にご契約いただきます。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。事業用物件全般の相談は事業用不動産の相談、開業に向けた物件探しは事業所・オフィスの相談にまとめています。
よくある質問
Q. 就労継続支援B型は住宅街(低層住居専用地域)の戸建てでも開けますか?
A. 建築基準法上、就労継続支援B型・就労移行支援は「児童福祉施設等」として第一種・第二種低層住居専用地域でも原則として建築できます。ただし規模や周辺環境との関係で制限がかかる場合があり、特定行政庁の確認が要ります。工業専用地域では建てられません。戸建て転用では、訓練・作業室の区画・用途変更・消防・改修の可否も併せて見る必要があります。
Q. 事務所を就労継続支援B型に変えると、必ず用途変更の確認申請が要りますか?
A. その用途に供する部分の床面積が200㎡を超える場合に、建築基準法第87条第1項により確認申請が必要です。200㎡以下なら確認申請は不要ですが、避難・防火・採光・消防への適合は別途必要です。床面積の判断と申請は建築士へ直接ご依頼ください。
Q. スプリンクラーは必ず必要ですか?
A. 必ずではありません。要否は消防法施行令別表第一の区分((6)項ロか(6)項ハか)と延べ面積で変わります。就労継続支援B型・就労移行は、障害支援区分4以上の利用者がおおむね8割以上でなければ(6)項ハに区分されるのが一般的ですが、利用者の状態で変わり得ます。物件ごとに所轄消防署で確認してください。
Q. 賃貸物件で間仕切りやトイレの増設はできますか?
A. 貸主の承諾があれば可能なことが多いですが、可否は賃貸借契約と貸主の意向によります。間仕切りの新設、トイレの増設、段差解消などは、契約前に改修の可否・原状回復の範囲・造作の扱いを貸主と書面で確認しておくのが安全です。当社が媒介の中で貸主と条件を調整します。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(昭和25年政令第338号。第19条第1項=児童福祉施設等の範囲に「障害福祉サービス事業(生活介護、自立訓練、就労移行支援又は就労継続支援を行う事業に限る。)の用に供する施設」を含む。居室の採光に必要な開口部。2026年9月15日参照)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第48条・別表第二=用途地域ごとに建築できる建築物(工業専用地域では児童福祉施設等を建築できない)、第87条第1項=用途を変更して特殊建築物とし床面積200㎡超となる場合の確認申請の準用。2026年9月15日参照)
- 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成18年厚生労働省令第171号。就労継続支援・就労移行支援の設備=訓練・作業室、相談室、洗面所、便所、多目的室その他運営に必要な設備。面積の具体は全国一律には定められていない。2026年9月15日参照)
- 消防法施行令 別表第一((6)項ロ・ハ=障害福祉サービス事業所の防火対象物区分。自力避難の困難性・障害支援区分の構成で区分が変わり、自動火災報知設備・スプリンクラー設備の要否が変わる。物件ごとの区分・設備の要否は所轄消防署で確認。2026年9月15日参照)
※用途地域上の建築の可否、用途変更の確認申請の要否、消防用設備の要否、指定基準への適合は、物件ごと・建築計画ごとに異なります。本記事は個別の物件について判断していません。用途地域と用途変更は特定行政庁、面積・人員・区画は自治体(指定権者)、消防用設備は所轄消防署の窓口で最終確認してください。
※訓練・作業室の面積や人員配置など指定基準に関する数値・区分は自治体の運用で定められる部分があり、本記事の内容は目安です。消防の(6)項ロ・ハの区分の目安(支援区分4以上がおおむね8割)は運用上の考え方であり、最終的な区分は所轄消防署が判断します。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の指定の可否を判断・保証するものではありません。
※物件の調査・見立て・媒介は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が承ります。指定基準の充足判定・指定申請は行政書士、用途変更の確認申請は建築士、消防用設備は消防設備士、会社設立・登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と手続(行政・許認可)の論点を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
「これ、どうしたらいい?」の一言からで大丈夫です。
代表が直接お返事し、ご希望を伺って条件に合う物件があればLINEでご紹介します。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|10:00〜18:00(定休:火・水)
