中古車販売店・古物商の展示場と保管場所──賃貸物件を探すときの用途地域と車庫の届出
中古車販売や古物商の展示場に使える物件は、まず用途地域で絞られます。物品を売る店舗は建築基準法別表第二の用途制限を受け、第一種低層住居専用地域と工業専用地域では原則建てられません。整備を伴えば自動車修理工場としての作業場床面積制限が別に効きます。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを建築基準法・古物営業法・車庫法の条文から順に整理します。
結論(先に要点):中古車販売や古物商の展示場に使える物件は、まず用途地域で絞られます。物品を売る店舗は建築基準法別表第二の用途制限を受け、第一種低層住居専用地域と工業専用地域では原則建てられません。整備を伴えば自動車修理工場として作業場の床面積制限が別に効きます。展示・保管に使う駐車スペースは、賃貸借契約でその用途が認められているかと、原状回復の範囲を先に確認します。
「使っていない店舗を中古車の展示場にしたい」「古物商向けに物件を貸したい」というご相談が増えています。ただ、更地や店舗をそのまま展示場にできるかは、用途地域・建物の用途・契約の3点で決まります。本記事は、中古車販売や古物商での開業を予定し、展示・保管に使える賃貸物件を探している事業者に向けて、契約前に確認できることを建築基準法・古物営業法・車庫法の条文から順に整理したものです。物件の可否の最終確認は特定行政庁・所轄警察署で行います。
中古車販売や古物商の店舗・展示場に使える物件は用途地域で決まるのか?
まず用途地域で絞られます。物品を売る店舗は、建築基準法別表第二の用途制限を受けるからです。
建築基準法(昭和25年法律第201号)第48条と別表第二は、用途地域ごとに建てられる建築物を定めています。中古車の展示・販売を行う店舗は「物品販売業を営む店舗」として扱われ、その規模と地域で可否が変わります。おおむね次のとおりです。
| 用途地域 | 物品販売店舗の可否(目安) |
|---|---|
| 第一種低層住居専用地域 | 原則不可(一定の兼用住宅の店舗部分を除く) |
| 第二種低層住居専用地域 | 床面積150㎡以内・2階以下 |
| 田園住居地域 | 原則不可(農産物直売所等の例外あり) |
| 第一種中高層住居専用地域 | 床面積500㎡以内・2階以下 |
| 第二種中高層住居専用地域 | 床面積1,500㎡以内・2階以下 |
| 第一種住居地域 | 床面積3,000㎡以内 |
| 第二種住居・準住居・近隣商業・商業・準工業 | 建てられる |
| 工業地域 | 建てられる(大規模店舗は別途制限) |
| 工業専用地域 | 物品販売店舗・飲食店は不可 |
「展示・販売だけ」か「整備・車検も行う」かで、効く制限が変わります。 販売のみなら店舗(物品販売業)として上表の制限、整備を伴うなら自動車修理工場としての制限が重なります。適合の最終判断は特定行政庁が行います。検査済証のない中古物件を別用途に転用するときの論点は検査済証のない中古物件を別の用途に使えるかにも整理しています。
整備・車検を行うなら、自動車修理工場としての制限はどう効くのか?
作業場の床面積で段階的に制限され、住居系では小規模に限られます。
建築基準法別表第二は、自動車修理工場を作業場の床面積の合計(おおむね50㎡・150㎡・300㎡の段階)で区分し、住居系の地域では小さな作業場しか置けず、準工業地域以降で規模が広がる構成をとっています。整備・板金・車検を伴う中古車店は、この制限が展示場の用途制限に上乗せされます。
| 業態 | 主に効く制限 | 物件で見る点 |
|---|---|---|
| 展示・販売のみ | 物品販売店舗の用途制限 | 用途地域・店舗の床面積・接道 |
| 整備・車検を伴う | 自動車修理工場の作業場床面積制限 | 用途地域・作業場面積・原動機出力・近隣 |
「展示場は問題ないのに、奥の整備スペースで用途制限に引っかかる」ことが起こります。 どこまでの業態を予定するかを先に決めてから物件を当てると、手戻りが減ります。作業場の床面積と地域の具体的な対応、原動機出力の扱いは特定行政庁で確認してください(本記事では地域ごとの数値の対応までは断定していません)。
展示車の保管場所(車庫)はどこまで届出・証明が要るのか?
売るために在庫として置く車と、登録して使う車で扱いが分かれます。
自動車の保管場所の確保等に関する法律(昭和37年法律第145号。以下「車庫法」)第3条は、自動車の保有者に道路上の場所以外での保管場所の確保を義務づけています。そして第4条は、道路運送車両法の登録等を受けようとする者に、警察署長が交付する保管場所を証する書面(いわゆる車庫証明)の提出を求めています。軽自動車は第5条により保管場所の位置の届出、保管場所を変更したときは第7条により15日以内の変更届出が要ります。
ここで効くのは「登録の場面で車庫証明が要る」という点です。展示場に並ぶ販売用の在庫車は、買主が決まって登録する段階で買主側の車庫証明が必要になるのが通常で、店舗の在庫として置いている状態そのものに対して事業者が一台ごとに車庫証明を取り直すわけではありません。一方、事業者が社用車として登録して使う車には、その保有者として保管場所の確保と車庫証明・届出が要ります。
| 車の状態 | 車庫証明・届出 | 根拠・担い手 |
|---|---|---|
| 展示場の販売用在庫(未登録) | 登録時に買主側で取得するのが通常 | 車庫法第4条(手続は買主) |
| 事業者が社用車として登録して使う | 保管場所の確保と車庫証明が必要 | 車庫法第3条・第4条 |
| 軽自動車を新規に使う | 保管場所の位置の届出 | 車庫法第5条 |
| 保管場所を変えた | 15日以内に変更届出 | 車庫法第7条 |
在庫の置き場そのものは、車庫法の車庫証明とは別に、物件の用途地域・接道・賃貸借契約で「その台数を安全に置けるか」を見る話です。 車庫証明の申請補助(買主・事業者の依頼に基づく書類作成)は行政書士が担い、証明・届出の窓口は保管場所を管轄する警察署です。当社は物件側の駐車可能性を確認します。運送業の営業所・車庫の物件条件は運送業を始めるなら、営業所と車庫の物件はどこを見て選ぶかに別途整理しています。
古物商許可の営業所要件と、賃貸物件の契約で気をつけることは?
営業所を定めて公安委員会の許可を受けること、そして買取は営業所等で行うことが物件に効きます。
古物営業法(昭和24年法律第108号)第3条は、古物商を営もうとする者は都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定めます。第5条は、主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会に許可申請書を提出するとし(実務では所轄警察署を経由します)、第13条は営業所ごとに管理者一人を選任することを求めています。さらに第14条は、古物商は営業所または取引の相手方の住所・居所以外の場所で古物を受け取ってはならないとしています。
物件に落ちる論点は次のとおりです。
| 確認点 | なぜ物件選びに効くか |
|---|---|
| 営業所として使用できる権原 | 賃貸なら「古物営業の営業所として使用可」を貸主が認めるか |
| 独立した営業所の実体 | 管理者を置き、業務を適正に行える区画があるか |
| 買取(受取)を行う場所 | 買取は営業所等で行う(第14条)ため、展示場と営業所の位置関係を整理 |
| 使用承諾・転貸の可否 | 賃貸借契約で用途・使用形態が認められているか |
賃貸物件を古物商の営業所にするときは、契約書の「使用目的」の欄が古物営業を許すかを先に読んでください。 住居用・事務所用に限る契約では、後から用途を足す交渉が要ります。賃貸借契約のどこを読むかは賃貸借契約書、どこを読めばいいかに整理しています。古物商許可の営業所要件そのものの詳細は古物商許可の営業所の要件(行政書士側)をご覧ください。
青空駐車場・資材置場を展示に使うときの、原状回復と契約形態はどう組むか?
用途が認められる契約かを先に確かめ、原状回復の範囲を書面で固めるのが要点です。
ご自身のケースについて相談したい方へ
物件探しや売却について、状況をお聞かせください。
更地の青空駐車場や資材置場を展示スペースに使う場合、舗装・看板・照明・フェンスなどの設置を貸主が認めるか、退去時にどこまで戻すか(原状回復の範囲)を契約で決めておく必要があります。土地の賃貸借では、建物所有目的だと借地借家法の保護が及ぶ一方、駐車場・資材置場としての一時使用や建物を建てない利用では扱いが変わるため、契約形態を目的に合わせて選ぶことが要点です。
| 論点 | 契約で決めておくこと |
|---|---|
| 用途 | 「中古車の展示・保管」を使用目的に明記できるか |
| 造作・設置物 | 舗装・看板・照明・フェンスの設置可否と費用負担 |
| 原状回復 | 退去時に撤去する範囲・更地返しか現況返しか |
| 契約形態・期間 | 建物を建てない利用か、期間・更新・中途解約の条件 |
「置くだけ」のつもりでも、舗装や看板を入れると原状回復の負担が生まれます。 どこまで手を入れるかを先に決め、費用負担と撤去範囲を契約に落としてください。事業用物件全般は投資用・事業用不動産、事務所と許認可の関係は会社設立とオフィス選び、倉庫・保管の物件条件は営業倉庫にできる物件の条件をご覧ください。
許可・届出は誰に頼めばよいのか?
役割は分かれています。中古車販売・古物商は関わる窓口が多いので、はじめに交通整理をしておくと迷いません。
| やること | 担い手 |
|---|---|
| 物件の調査・取得・賃貸借の媒介と契約 | 四葉不動産株式会社(宅地建物取引業) |
| 古物商許可の申請書類の作成・提出支援 | 行政書士(公安委員会・所轄警察署経由) |
| 車庫証明・保管場所届出の申請補助 | 行政書士(窓口は所轄警察署) |
| 用途変更の確認申請・自動車修理工場の適合設計 | 建築士・特定行政庁 |
| 資金計画・減価償却・消費税などの税務 | 税理士 |
物件の調査、取得・賃貸借の媒介、売買・賃貸借の契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。古物商許可や車庫証明など官公署に提出する書類の作成・申請補助は、四葉行政書士事務所が承ります。この2つ(不動産会社・行政書士事務所)はそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。用途変更の確認申請や適合設計は建築士・特定行政庁、資金計画や税務は税理士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。相談は無料です。
よくある質問
Q. 中古車の展示場は、どの用途地域でも作れますか?
A. いいえ。展示・販売を行う店舗は建築基準法別表第二の用途制限を受け、第一種低層住居専用地域では原則作れず、工業専用地域では物品販売店舗自体が建てられません。第二種低層住居専用地域は床面積150㎡以内・2階以下など、地域と規模で可否が変わります。整備を伴えば自動車修理工場としての作業場床面積制限が別に効きます。適合の最終判断は特定行政庁で確認してください。
Q. 展示している在庫の車一台ごとに、車庫証明を取る必要がありますか?
A. 通常はありません。車庫証明(車庫法第4条)は自動車の登録の場面で必要になり、販売用の在庫車は買主が決まって登録する段階で買主側が取得するのが一般的です。ただし、事業者が社用車として登録して使う車には、その保有者として保管場所の確保と車庫証明・届出が要ります(第3条・第5条・第7条)。手続の窓口は保管場所を管轄する警察署です。
Q. 賃貸の店舗を古物商の営業所にできますか?
A. できる場合があります。ただし賃貸借契約の使用目的が古物営業を許すこと、管理者を置いて業務を適正に行える区画があることが前提です。古物営業法第14条により買取は営業所等で行うため、展示場と営業所の位置関係も整理が要ります。契約書の使用目的の欄を先に読み、必要なら用途を足す交渉をします。許可の申請は行政書士が担います。
Q. 古物商許可の申請や車庫証明は、不動産会社に頼めますか?
A. いいえ。古物商許可や車庫証明など官公署に提出する書類の作成・申請補助は行政書士の業務で、四葉行政書士事務所が承ります。物件の調査・媒介・契約は四葉不動産株式会社が承ります。用途変更の確認申請や自動車修理工場の適合設計は建築士が担います。いずれも独立した事業体として、それぞれ直接ご契約いただきます。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「古物営業法」(昭和24年法律第108号。第2条=古物営業・古物商の定義、第3条=都道府県公安委員会の許可、第5条=主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会への許可申請、第13条=営業所ごとに管理者一人を選任、第14条=営業所または相手方の住所・居所以外での古物の受取制限。2026年9月13日参照)
- e-Gov法令検索「自動車の保管場所の確保等に関する法律」(昭和37年法律第145号。第3条=保管場所の確保、第4条=登録等の際の保管場所を証する書面(車庫証明)の提出、第5条=軽自動車の保管場所の位置の届出、第7条=保管場所を変更したときの15日以内の変更届出。2026年9月13日参照)
- e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第48条・別表第二=用途地域における建築物の用途制限。物品販売店舗・自動車修理工場の可否と規模の区分。2026年9月13日参照)
- 国土交通省・警察庁等「自動車の保管場所(車庫証明)制度」の案内(保管場所証明・届出の手続の概要。2026年9月13日参照)
※用途地域ごとの物品販売店舗・自動車修理工場の可否と床面積・作業場面積の具体的な対応、原動機出力の扱いは、建築基準法別表第二および各特定行政庁の運用によって定まります。本記事は個別の物件について適合を判断していません。着手時点で特定行政庁と所轄警察署に確認してください。
※自動車修理工場の作業場床面積の段階(50㎡・150㎡・300㎡)と地域の対応関係は、本記事では地域ごとに断定していません(未検証)。特定行政庁の窓口で確認してください。
※用途変更の確認申請の要否・耐震・検査済証の扱いは、物件の床面積・構造・区域の指定によって変わります。最終判断は建築士・特定行政庁で行ってください。
※費用・期間の具体額は物件と改修規模で大きく変動し、本記事では確定していません(未検証)。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件の可否や許可・届出の受理を判断・保証するものではありません。
※物件の調査・媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、古物商許可・車庫証明等の官公署提出書類の作成・申請補助は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉行政書士事務所代表行政書士、四葉不動産株式会社代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。中古車販売・古物商の物件について、用途地域・保管場所・営業所の要件を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
「これ、どうしたらいい?」の一言からで大丈夫です。
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