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2026.09.13相続

相続した底地(そこち)を売るには──借地人との関係・地代・売却ルート

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

底地(そこち)とは借地権が付いた土地の所有権です。相続で引き継ぐこと自体に借地人の承諾は要りません(民法第896条)。売る相手は主に借地人・第三者で、借地人が買えば借地関係は解消します。価格は地代の水準・残存期間・借地権割合で変わり一律ではありません。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、売る相手・価格の考え方・進める順番を条文と国税庁の資料から整理します。

結論(先に要点):底地(そこち)とは、借地権が付いた土地の所有権のことです。相続で引き継ぐこと自体に借地人の承諾は要りません(民法第896条=包括承継)。売る相手は主に借地人・第三者(底地買取業者を含む)で、借地人が買えば借地関係は解消します。価格は地代の水準・残存期間・借地権割合などで変わり、一律ではありません。売る前に建物ではなく土地の相続登記を済ませることが前提です。

亡くなった親の土地を調べていて、「うちの土地なのに他人の家が建っている」と気づく。地代は入るが自由に使えない——それが底地です。相続の場面で扱いに迷う論点のひとつだと感じています。本記事は、借地に貸している土地(底地)を相続し、売却や整理を考えている地主に向けて、売る相手・価格の考え方・進める順番を、民法・借地借家法・財産評価基本通達の条文と国税庁の資料から整理したものです。価格や税額の最終確認は、税理士と当社の査定で行います。

底地(そこち)とは何で、借地権とどう違うのか?

底地は「借地権の付いた土地の所有権」、借地権は「その土地を借りて使う権利」です。同じ土地の裏表の関係にあります。

一筆の土地に借地契約があると、その土地の価値は地主側の底地と借地人側の借地権に分かれます。地主は所有権を持ちますが、借地人が建物を所有して土地を使っているため、自由に使ったり明け渡しを求めたりはできません。地主が受け取るのは地代です。

底地(地主側)借地権(借地人側)
中身借地権が付いた土地の所有権土地を借りて建物を所有・使用する権利
手にするもの地代土地の使用
制約自由に使えない・明渡しを求めにくい地代の支払い・契約の条件
相続時承諾不要(民法第896条)承諾不要(民法第896条)

相続そのものには、地主側でも借地人側でも相手の承諾は要りません。 民法(明治29年法律第89号)第896条が「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定めているためです。相続は当事者の意思による移転ではなく、法律による包括承継だからです。借地人側から見た承諾の要否は相続した家が借地だったに整理しています。

相続した底地は、誰に売れるのか?

主に借地人、第三者(底地を扱う買取業者を含む)、そして借地人との交換という選択肢があります。

底地は借地権の制約が付いたままなので、更地に比べて売り先が限られ、価格も下がりやすいのが実情です。それでも次のような組み方があります。

売り方概要留意点
借地人に売る借地人が底地を買えば完全な所有権になる借地人に資金と意思があるか
第三者・買取業者に売る底地のまま第三者へ売却地代収益物件として評価され価格は下がりやすい
借地権と底地を同時に売る地主と借地人が協力し完全所有権として第三者へ双方の合意と価格配分の調整が要る
等価交換(借地権と底地の交換)一筆を分け、地主・借地人がそれぞれ所有権を得る分筆・測量と税務の検討が要る

「借地人がいちばんの買い手候補」であることが多い一方、資金や意思の有無で変わります。 借地人に売る、第三者に売る、同時に売る、交換する——どれが有利かは地代の水準・残存期間・借地人との関係で変わり、当社は一般的な選択肢と論点をお示しします。共有で相続した底地を売る場合は、共有者全員の合意が要る点も私道の持分を相続したときと同じ構造です。

底地の価格や地代・更新料は、どう決まるのか?

一律の基準はありません。税務上の評価と、実際の売買価格は別に考える必要があります。

税務上の底地(貸宅地)の評価は、財産評価基本通達によります。借地権の価額は自用地としての価額に借地権割合を掛けて求め(通達27)、貸宅地=底地はそこから借地権の価額を差し引いた額で評価するのが基本です(通達25)。借地権割合は路線価図・評価倍率表に地域ごとに定められています。

区分相続税の評価(財産評価基本通達)
借地権自用地としての価額 × 借地権割合(通達27)
底地(貸宅地)自用地としての価額 −(自用地としての価額 × 借地権割合)(通達25)

もっとも、この税務上の評価額と、実際に市場で売れる価格は一致しません。 底地の実勢価格は、地代の水準、残存期間、更新や譲渡の承諾の見込み、借地人の属性によって動きます。地代の増減については、借地借家法(平成3年法律第90号)第11条第1項が、租税公課の増減・土地価格の変動・近傍類似の地代との比較で不相当となったとき、当事者は将来に向かって地代等の増減を請求できると定めています。承諾料や更新料の水準は、一次資料で確認できる一律の基準がないため、本記事では金額を書いていません。 売却の手取りの比べ方は買取と仲介、手取りはいくら違うのかをご覧ください。相続税評価と譲渡所得の計算は税理士にご確認ください。

売却前に、相続登記や測量はどこまで必要か?

まず土地の相続登記を済ませることが前提です。境界が不明なら測量も検討します。

売買では、売主が名義人であることが前提になります。底地は「土地」なので、必要なのは建物ではなく土地の相続登記です(建物は借地人のものです)。相続登記は義務でもあります。不動産登記法(平成16年法律第123号)第76条の2第1項は、相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に移転の登記を申請しなければならないと定めています(相続登記の申請義務化は令和6年〈2024年〉4月1日施行)。登記の申請そのものは司法書士の業務です。

集めるもの・やることどこから・誰がなぜ要るか
土地の登記事項証明書・公図法務局名義人・範囲・地番を確認する
土地賃貸借契約書(借地契約書)自宅・貸金庫・借地人地代・期間・更新・譲渡の条項を読む
地代の入金記録通帳・領収書現在の地代と滞納の有無を確認する
土地の相続登記司法書士売主=名義人にする(3年以内の義務)
境界確定・測量・分筆土地家屋調査士境界不明・等価交換の分筆に備える

契約書が見つからないことは珍しくありません。 その場合でも、地代の入金記録と登記から手がかりをたどれることがあります。境界が不明なときや等価交換で一筆を分ける場合は、土地家屋調査士による測量・分筆が要ります。義務化と売却の順序は相続登記をしないまま実家は売れますかに整理しています。相続した不動産の全体像は相続した不動産のご相談にまとめています。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

税金や借地人との紛争は、誰に相談すればよいのか?

役割は分かれています。底地は関わる専門家が多いので、はじめに交通整理をしておくと迷いません。

やること担い手
底地の調査・価格の考え方・売買の媒介と契約四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)
遺産分割協議書など権利義務・官公署提出書類の作成行政書士
土地の相続登記司法書士
底地・借地権の相続税評価と譲渡所得の申告税理士
境界確定・測量・分筆土地家屋調査士
借地人との紛争・借地契約の解釈・地代増減の争訟弁護士

底地の調査、価格の考え方、買主・借地人との条件調整、媒介と契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。遺産分割協議書など、権利義務に関する書類・官公署に提出する書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。この2つはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。土地の相続登記は司法書士、相続税評価と譲渡所得の申告は税理士、測量・分筆は土地家屋調査士、借地人との紛争や借地契約の解釈・地代増減の争訟は弁護士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。相談は無料です。

よくある質問

Q. 底地を相続したことを借地人に伝えると、何か請求されますか?
A. 相続は民法第896条による包括承継で、地主が変わったこと自体に借地人の承諾は要らず、承諾料の条文上の根拠も見当たりません。ただし地主側でも、名義が変わったことを借地人に書面で伝えておくのが実務です。地代の請求先や更新の相手方が変わるためです。個別の契約に別段の定めがある場合は扱いが異なるので、契約書を確認してください。

Q. 底地はいくらで売れますか?相続税の評価額で売れますか?
A. 一致しないのが通常です。相続税の評価は財産評価基本通達25により自用地価額から借地権の価額を差し引いて求めますが、実勢の売買価格は地代の水準・残存期間・承諾の見込み・借地人の属性で動きます。当社は評価額を先に置くのではなく、契約書と地代の記録を読んでから条件を組み立てます。税務上の評価と申告は税理士にご確認ください。

Q. 借地人が底地を買ってくれません。第三者に売れますか?
A. 売れます。底地のまま第三者や底地を扱う買取業者に売る道があります。ただし借地権の制約が付いたままなので、地代収益物件として評価され、更地より価格は下がりやすいのが実情です。借地権と底地を同時に第三者へ売る、等価交換で一筆を分ける、といった組み方もあります。どれが有利かは条件次第で、当社は一般的な選択肢と論点をお示しします。

Q. 相続人が複数います。底地は共有のまま売れますか?
A. 共有のままでも、共有者全員が売主となれば売却できます。ただし全員の意思確認と押印、印鑑証明書が必要です(民法第898条・第899条)。まとまらない場合は民法第256条の共有物分割の問題になり、話し合いがつかなければ最終的に裁判所の手続になります。この段階の争いは弁護士の領域です。遺産分割で単独名義にしてから売るか、共有のまま売るかは、期限と人数から逆算して決めます。

この記事の出典(一次情報)

※承諾料・更新料の水準、底地と借地権の価格の割合については、一次資料で確認できる一律の基準がないため、本記事では金額を書いていません(未検証)。実勢価格は個別の物件・地代・借地人の状況で変わります。
※相続税評価額と実際の売買価格は一致しません。相続税評価・譲渡所得の計算・申告は税理士が行います。
※共有物分割や地代増減、借地契約の解釈をめぐる争いは裁判所の手続によることがあり、可否や金額は裁判所が判断します。本記事は個別の事案について可否を判断していません。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断を示すものではありません。土地の相続登記は司法書士、相続税・譲渡所得の申告は税理士、測量・分筆は土地家屋調査士、借地人との紛争は弁護士が行います。
※底地の調査・媒介および売買契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、遺産分割協議書等の書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉行政書士事務所代表行政書士、四葉不動産株式会社代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。相続した底地について、契約書と登記と評価を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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