葬儀のあとの手続きは誰に相談する?──葬儀社・区役所・行政書士の役割分担と7日・14日・2年の期限
葬儀のあとの手続きは、場面ごとに窓口が分かれます。葬儀の手配は葬儀社、死亡届の受理・火葬許可証の交付・世帯変更届・葬祭費は市区町村の窓口、相続の書類作成は行政書士の領域です。死亡届7日(戸籍法第86条第1項)、世帯変更届14日(住民基本台帳法第25条)、葬祭費・埋葬料2年(健康保険法第193条第1項)という葬儀直後の期限と、遺産分割協議書の作成・預貯金の名義変更のように法律上の期限が定められていない手続きを切り分けて整理しました。
結論(先に要点):葬儀のあとに続く手続きは、場面ごとに窓口が分かれます。葬儀の手配と式場・火葬場の予約は葬儀社、死亡届の受理・火葬許可証の交付・世帯変更届・葬祭費は市区町村の窓口、相続の書類作成は行政書士などの領域です。葬儀の直後に法律上の期限があるのは、死亡届(死亡の事実を知った日から7日以内)、世帯変更届(変更があった日から14日以内)、健康保険の保険給付(2年)です。一方、遺産分割協議書の作成や預貯金の名義変更そのものに、法律上の期限は定められていません。四葉行政書士事務所は、戸籍収集、相続人調査、財産調査、財産目録、合意済み内容に基づく遺産分割協議書の作成などの行政書士業務を担当します。相続登記は司法書士又は弁護士、税務は税理士、個別の法的判断・紛争は弁護士の領域です。
葬儀のあと、最初に動く窓口はどこですか?
葬儀の直後、喪主の目の前にいるのは葬儀社です。そのため、相続の手続きまで葬儀社に尋ねてしまうことがあります。実際には、場面ごとに窓口が分かれます。
| 場面 | 主な窓口 |
|---|---|
| 通夜・告別式の手配、式場・火葬場の予約、見積り | 葬儀社 |
| 死亡届の受理、火葬許可証の交付、世帯変更届 | 市区町村の窓口 |
| 国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費 | 市区町村の窓口 |
| 健康保険(協会けんぽ・健康保険組合等)の埋葬料 | 加入していた保険者 |
| 年金の届出・未支給年金 | 日本年金機構等 |
| 戸籍収集、相続人調査、財産目録、遺産分割協議書の作成 | 本人/行政書士等 |
| 相続登記 | 本人/司法書士又は弁護士 |
| 準確定申告・相続税 | 本人/税理士 |
| 相続放棄の可否、遺留分、紛争 | 弁護士 |
手続きの全体像と順番は相続が発生したらやることチェックリスト、相続手続きの期限は相続手続きの期限まとめをご覧ください。この記事は「誰に相談するか」の切り分けに絞ります。
葬儀社にはどこまで相談できますか?
葬儀社は、葬儀の手配、式場・火葬場の予約、見積りと費用の説明を担当します。死亡届の用紙は病院や葬儀社から渡されることが多く、記入済みの届書を窓口へ持参する行為は代理人でも可能とする案内が出ています(中央区「死亡届」・参照日2026年8月25日)。取扱いは区市町村により異なるため、提出先の窓口にご確認ください。
一方、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とするのは、行政書士の業務です(行政書士法第1条の3第1項)。行政書士又は行政書士法人でない者は、他の法律に別段の定めがある場合等を除き、業としてこれを行うことができません(同法第19条第1項。いずれも2026年1月施行の改正後の条文)。個別の法律相談・代理・紛争対応は、弁護士法第72条の問題になります。
つまり「葬儀を葬儀社に相談する」ことと「相続の書類作成を依頼する」ことは、別の契約です。葬儀社が相談先を案内すること自体は、依頼者が各専門家と直接契約する限り、この区別と矛盾しません。
死亡届と火葬許可証は、いつまでに誰が出しますか?
死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3か月以内)にしなければなりません(戸籍法第86条第1項)。
届出義務者は、①同居の親族、②その他の同居者、③家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人の順序とされ、ただし順序にかかわらず届出をすることができます(同法第87条第1項)。同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者も、届出をすることができます(同条第2項)。
火葬を行おうとする者は、市町村長(特別区の区長を含む)の許可を受けなければなりません(墓地、埋葬等に関する法律第5条第1項)。火葬場の管理者は、火葬許可証又は改葬許可証を受理した後でなければ、火葬を行ってはならないとされています(同法第14条第1項)。実務では、死亡届の提出時に火葬許可証の交付を受ける流れが一般的です。
世帯主が亡くなったとき、世帯変更届は必要ですか?
その属する世帯又はその世帯主に変更があった者(政令で定める者を除く)は、変更があった日から14日以内に、氏名・変更があった事項・変更があった年月日を市町村長に届け出なければなりません(住民基本台帳法第25条)。
世帯主が亡くなった場合に新しい世帯主の届出が必要かどうかは、残る世帯員の構成によります。例えば中野区は、世帯主が死亡した世帯に15歳以上の方が2人以上いる場合に、新しい世帯主の届出が必要と案内しています(参照日2026年8月25日)。取扱いと必要書類は区市町村により異なるため、お住まいの窓口にご確認ください。
葬祭費・埋葬料はいくらで、いつまでに請求しますか?
亡くなった方が加入していた医療保険の種類によって、給付の名称・金額・窓口が変わります。
| 加入していた制度 | 名称 | 金額 | 申請期限 |
|---|---|---|---|
| 国民健康保険(文京区) | 葬祭費 | 7万円 | 葬祭を行った日の翌日から2年 |
| 後期高齢者医療(文京区) | 葬祭費 | 7万円(広域連合5万円+文京区2万円) | 葬儀を行った日の翌日から2年 |
| 健康保険(協会けんぽ) | 埋葬料・家族埋葬料 | 5万円 | 死亡年月日の翌日から2年 |
| 健康保険(協会けんぽ) | 埋葬費 | 埋葬に要した費用(上限5万円) | 埋葬年月日の翌日から2年 |
保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によって消滅します(健康保険法第193条第1項)。上表の金額は文京区・全国健康保険協会の公表内容(参照日2026年8月25日)です。金額と窓口は区市町村・保険者により異なり、健康保険組合に加入していた場合は、その組合にご確認ください。
「期限のある手続」と「期限のない手続」はどう違いますか?
葬儀のあとの手続きは、しばしば「期限の決まった手続きが続く」とまとめられます。正確には、期限が定められている手続きと、定められていない手続きが混在します。
| 期限が定められているもの | 期限が定められていないもの |
|---|---|
| 死亡届(7日)、世帯変更届(14日)、葬祭費・埋葬料(2年)、相続放棄・限定承認(原則3か月)、準確定申告(4か月)、相続税の申告・納付(10か月)、相続登記(原則3年) | 遺産分割協議そのもの、遺産分割協議書の作成、預貯金の名義変更・払戻しの手続、家財など動産の承継 |
遺産分割協議書の作成や預貯金の名義変更そのものに、法律上の期限は定められていません。ただし、これらを先に進めたことが相続放棄との関係で問題になる場合があります。相続財産の全部又は一部の処分等により法定単純承認が問題となる場合があるため、相続放棄・限定承認を検討している場合は、先に相続放棄・限定承認を検討する前に知っておきたいことをご覧ください。口座が凍結されたときの取扱いは亡くなった人の預貯金はいつ引き出せる?をご覧ください。
相談先はどう選べばよいですか?
「何を頼みたいか」から逆に選びます。
| 相談したいこと | 相談先 |
|---|---|
| 葬儀の手配・費用・式場 | 葬儀社 |
| 死亡届・火葬許可証・世帯変更届・葬祭費 | 市区町村の窓口 |
| 戸籍収集・相続人調査・財産目録・遺産分割協議書の作成 | 行政書士 |
| 相続登記の代理申請・登記申請書の作成 | 司法書士又は弁護士 |
| 家庭裁判所へ提出する書類の作成 | 司法書士又は弁護士 |
| 準確定申告・相続税の申告 | 税理士 |
| 相続放棄の可否・遺留分・遺産分割の紛争 | 弁護士 |
| 相続した不動産の査定・売却・賃貸 | 宅地建物取引業者 |
いずれも、依頼者が各専門家と直接契約する形になります。相続した不動産の売却・管理は相続不動産の完全ガイド(四葉不動産)をご覧ください。四葉不動産株式会社は、四葉行政書士事務所とは別事業体・別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。
四葉行政書士事務所は、何ができますか?
四葉行政書士事務所(文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分)では、戸籍収集・相続人調査、財産調査・財産目録の作成、合意済み内容に基づく遺産分割協議書の作成、遺言関連資料の整理などを、行政書士業務の範囲で段階的に案内します。相続人調査の進め方は相続は何から始める?、協議書は遺産分割協議書は自分で作れる?をご覧ください。
受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、相続業務の全体像は相続・遺言・信託サービスをご覧ください。ご相談は無料です。
葬儀そのものの相談先は?
葬儀の手配・費用、式場や火葬場の選択は葬儀社の領域で、行政書士の業務ではありません。当事務所は葬儀の見積り・手配を行いません。
東京都大田区・杉並区で葬儀を承る「感謝のお葬式」では、葬儀後に必要となる手続きの流れと相談先の選び方をまとめた記事が公開され、その中で当事務所をご紹介いただきました。あわせてご覧ください。
葬儀社と当事務所は、それぞれ独立した事業体です。相互に紹介料その他の金銭の授受はありません。ご依頼は、それぞれの事業者と直接ご契約いただく形になります。
よくある質問
Q. 葬儀社に相続の相談をしてもよいですか?
A. 葬儀の手配・費用の相談は葬儀社の領域です。相続の書類作成を他人の依頼を受け報酬を得て業として行うことは、行政書士法第1条の3第1項・第19条第1項の対象になります。葬儀社から相談先の案内を受け、依頼者が各専門家と直接契約する形であれば、この区別と矛盾しません。
Q. 葬儀のあと、いちばん早い期限はどれですか?
A. 死亡届で、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内です(戸籍法第86条第1項)。次に世帯変更届の14日以内(住民基本台帳法第25条)が続きます。
Q. 遺産分割協議書の作成や預貯金の名義変更にも期限がありますか?
A. これらの手続そのものに法律上の期限は定められていません。ただし相続放棄・限定承認を検討している場合、財産の処分等が法定単純承認との関係で問題となる場合があります。個別の判断は弁護士にご確認ください。
Q. 葬祭費や埋葬料はいつまでに請求できますか?
A. 文京区の国民健康保険・後期高齢者医療の葬祭費は、葬祭(葬儀)を行った日の翌日から2年です。健康保険の保険給付を受ける権利は、行使することができる時から2年で時効によって消滅します(健康保険法第193条第1項)。金額と窓口は制度・保険者により異なります。
この記事の出典(一次情報)
- 戸籍法第86条第1項(死亡の届出の期間)
- 戸籍法第87条第1項・第2項(死亡の届出をすべき者)
- 墓地、埋葬等に関する法律第5条第1項(埋葬、火葬又は改葬の許可)
- 墓地、埋葬等に関する法律第14条第1項(火葬場の管理者の義務)
- 住民基本台帳法第25条(世帯変更届)
- 健康保険法第193条第1項(時効)
- 行政書士法第1条の3第1項(業務)・第19条第1項(業務の制限)=2026年1月施行の改正後の条文
- 弁護士法第72条(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
- 中央区「死亡届」
- 中野区「世帯変更届」
- 文京区「葬祭費の支給について」(国民健康保険)
- 文京区「葬祭費」(後期高齢者医療制度)
- 全国健康保険協会「埋葬料・埋葬費」「健康保険埋葬料(費)支給申請書」
- 法令・公的資料は2026年8月25日に確認
本記事は一般的な情報提供であり、個別の届出義務者、期限の起算点、給付の支給要件、相続放棄・限定承認の該当性を保証するものではありません。個別の法的判断・紛争対応は弁護士、家庭裁判所提出書類の作成は司法書士又は弁護士、相続登記の代理申請・登記申請書の作成は司法書士又は弁護士、税務は税理士、不動産の査定・媒介は四葉不動産株式会社が、それぞれ独立した事業体として別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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