技能実習から特定技能へ移行すると社会保険・労働保険はどうなる?(外食・製造)
浦松 丈二
社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士(四葉社会保険労務士事務所/四葉行政書士事務所)
同じ会社で技能実習から特定技能1号へ在留資格を変えるだけなら、健康保険・厚生年金・労災・雇用保険の被保険者資格は原則として続き、資格の喪失や取得の手続はいりません。保険は在留資格ではなく雇用関係に付くからです(健康保険法第3条第1項・厚生年金保険法第9条)。移行を機に別の会社へ移るときは喪失・取得の手続が必要です。特定技能1号の報酬は日本人と同等以上でなければならず(省令第1条第1項第3号)、昇給で標準報酬月額の随時改定が必要になることもあります。外食・製造分野での確認と手続、賃金設計は社会保険労務士、在留資格変更申請と登録支援機関の支援業務は行政書士の領域で、独立した事業体として別々にご契約いただきます。
結論(先に要点):同じ会社で技能実習から特定技能1号へ在留資格を変えるだけなら、健康保険・厚生年金・労災・雇用保険の被保険者資格は原則として続き、資格の喪失や取得の手続はいりません。保険は在留資格ではなく雇用関係に付くからです。ただし移行を機に別の会社へ移るときは、前の会社で資格喪失、次の会社で資格取得の手続が必要です。
外食業・製造分野での移行に伴う社会保険・労働保険の確認と手続、報酬同等要件を満たすための賃金設計は、四葉社会保険労務士事務所がお引き受けします。在留資格変更許可申請や登録支援機関の支援業務は行政書士(四葉行政書士事務所)の領域で、四葉社会保険労務士事務所とは独立した事業体として、それぞれ別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は面談のうえ資格者が行います。
技能実習から特定技能へ移ると、社会保険(健康保険・厚生年金)はどうなるのか?
技能実習生も特定技能外国人も、適用事業所に使用される労働者であれば、日本人と同じく健康保険・厚生年金保険の被保険者です。被保険者になるかどうかは在留資格の種類ではなく、適用事業所との使用関係で決まります(健康保険法第3条第1項、厚生年金保険法第9条)。
したがって、同じ会社で技能実習から特定技能1号へ在留資格を変えるだけで、雇用が途切れないのであれば、被保険者資格はそのまま続きます。あらためて資格喪失届・資格取得届を出す必要はありません。
| 移行のかたち | 社会保険(健保・厚年)の手続 |
|---|---|
| 同じ会社のまま在留資格だけ変更 | 資格は継続。喪失・取得の手続は原則不要 |
| 移行を機に別の会社へ転職 | 前の会社で資格喪失届、次の会社で資格取得届が必要 |
| 移行前に無給の空白期間が生じ雇用契約が切れる | 空白の扱いで結論が変わるため、契約の切れ目を確認して個別に判断 |
技能実習と特定技能の在留資格の違いや制度の全体像は技能実習・育成就労・特定技能——就労と労務の違いに、介護分野での移行時の労務は介護の特定技能外国人を雇うときの労務と社会保険に整理しています。空白期間の社会保険の扱いなど、契約の切れ目に関する個別のあてはめは雇用の実態によって判断が分かれます(未検証)。
労働保険(労災)と雇用保険の資格は継続するのか?
労災保険は、事業に使用され賃金を支払われる労働者であれば、国籍や在留資格を問わず適用されます。特定の届出で「加入」する制度ではなく、事業の保険関係のなかで当然に対象になります。技能実習から特定技能へ移っても、同じ事業で働き続けるかぎり労災の対象であることは変わりません。
雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるといった要件を満たす労働者が被保険者になります(雇用保険法。適用除外は同法第6条)。要件を満たしていれば、在留資格が技能実習から特定技能に変わっても被保険者資格は続き、資格取得届を出し直す必要はありません。
| 保険 | 移行後の扱い(同一の会社で継続雇用の場合) |
|---|---|
| 労災保険 | 労働者であれば当然に対象。在留資格変更による手続は不要 |
| 雇用保険 | 週20時間・31日以上見込み等の要件を満たせば被保険者資格は継続 |
一方で、雇い入れ時と離職時には外国人雇用状況の届出が必要です。転職を伴う移行では、前の会社が離職の届出、次の会社が雇入れの届出を行います。届出の様式と期限は外国人を雇ったら、ハローワークに届け出るにまとめています。継続雇用のまま在留資格だけが変わる場合の届出の要否は、個別に確認が必要です(未検証)。
日本人と同等以上の報酬要件は、社会保険にどう響くのか?
特定技能1号の雇用契約には、報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であることという基準があります(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号)第1条第1項第3号)。同じ省令の第1条第1項第2号は、所定労働時間が通常の労働者と同等であることも求めています。
技能実習のときより報酬が上がることは珍しくありません。ここで労務側が確認するのは、標準報酬月額への反映です。固定的賃金が変わり、変動後の3か月の報酬で標準報酬月額に2等級以上の差が生じたときは、随時改定(月額変更届)の対象になります(健康保険法第43条、厚生年金保険法第23条)。改定されれば保険料も変わります。
| 確認すること | 内容 |
|---|---|
| 報酬同等要件 | 日本人が従事する場合と同等以上(省令第1条第1項第3号)。賃金規程と照らして水準を確認 |
| 所定労働時間 | 通常の労働者と同等(同項第2号) |
| 標準報酬月額 | 昇給で固定的賃金が変わり2等級以上差が出れば随時改定(月額変更届)の対象 |
同等以上かどうかの最終的な当てはめは、比較対象の日本人労働者の有無や職務内容によって変わります。標準報酬月額の随時改定と定時決定の違いは算定基礎届と月額変更届は何が違うのかに、外食業での開業・シフトと労務は飲食店を開業するときの労務——深夜シフトとみなし労働に整理しています。
在留手続と労務は、誰に振り分けるのか?
移行のときは、在留資格の手続と労務の手続が同時に動きます。担当する資格が違うため、それぞれ別の契約になります。
ご自身のケースについて相談したい方へ
社会保険・給与・労務について、状況をお聞かせください。
| 手続 | 担当 |
|---|---|
| 在留資格変更許可申請、登録支援機関としての支援計画・支援業務 | 行政書士(四葉行政書士事務所。当事務所とは別の事業体) |
| 社会保険・労働保険の資格の確認と手続、賃金規程・報酬水準の設計、就業規則の整備 | 社会保険労務士(四葉社会保険労務士事務所) |
| 帰国時の年金の脱退一時金など出口の手続 | 社会保険労務士(帰国する社員の年金はどうなるのか) |
外国人を1人雇うときに窓口がいくつ必要になるかの全体像は外国人を1人雇うと、窓口はいくつ必要かに整理しています。四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任し、行政書士など別の専門家が必要な場合は、お客様に直接ご契約いただく形をご案内します。当事務所は紹介料を受け取りません。
四葉社会保険労務士事務所は、何ができますか?
当事務所がお引き受けするのは、外食業・製造分野で技能実習から特定技能へ移行するときの労務の設計と手続です。
- 同一の会社で継続雇用する場合の、社会保険・労働保険の資格継続の確認
- 転職を伴う移行の場合の、資格喪失届・資格取得届など得喪手続の代行
- 日本人と同等以上の報酬要件を満たすための賃金規程・報酬水準の設計
- 昇給に伴う標準報酬月額の随時改定(月額変更届)の判断と手続
- 就業規則・労働条件明示・外国人雇用状況の届出など雇用管理の整備
在留資格変更許可申請や登録支援機関としての支援業務は行政書士の領域です。四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任し、行政書士(四葉行政書士事務所)など別の専門家が必要な場合は、お客様に直接ご契約いただく形をご案内します。紹介料はありません。
ご相談は無料です。費用は報酬額表に、サービス内容とご相談の流れもあわせてご覧ください。
よくある質問
Q. 同じ会社で技能実習から特定技能に変えると、社会保険の手続はいりますか?
A. 雇用が途切れずに在留資格だけを変える場合は、健康保険・厚生年金の被保険者資格はそのまま続き、あらためて資格喪失届・資格取得届を出す必要は原則ありません。被保険者になるかどうかは在留資格の種類ではなく、適用事業所との使用関係で決まるためです(健康保険法第3条第1項、厚生年金保険法第9条)。移行を機に別の会社へ移るときは、前の会社で資格喪失、次の会社で資格取得の手続が必要です。
Q. 労災保険と雇用保険は、移行後も続きますか?
A. 労災保険は、事業に使用され賃金を支払われる労働者であれば国籍や在留資格を問わず対象で、在留資格が変わっても同じ事業で働くかぎり対象であることは変わりません。雇用保険は、週20時間以上・31日以上の雇用見込みなどの要件を満たしていれば被保険者資格が続きます。転職を伴う移行では、雇入れ・離職の際に外国人雇用状況の届出が必要です。
Q. 特定技能で給料が上がると、社会保険料も上がりますか?
A. 上がることがあります。特定技能1号には報酬が日本人と同等以上であることの基準があり(省令第1条第1項第3号)、昇給で固定的賃金が変わって変動後3か月の報酬に標準報酬月額の2等級以上の差が生じると、随時改定(月額変更届)の対象になります(健康保険法第43条、厚生年金保険法第23条)。標準報酬月額が上がれば保険料も上がります。
Q. 在留資格の変更申請も社労士に頼めますか?
A. 在留資格変更許可申請や登録支援機関としての支援業務は行政書士の領域で、社会保険労務士は行いません。四葉社会保険労務士事務所は社会保険・労働保険と賃金・雇用管理を担当し、在留手続は行政書士(四葉行政書士事務所)が担当します。両者は独立した事業体で、それぞれ別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。
この記事の根拠
- 健康保険法(大正11年法律第70号)第3条第1項 ── 被保険者は適用事業所に使用される者。被保険者資格は在留資格の種類ではなく使用関係に付く
- 厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第9条 ── 適用事業所に使用される70歳未満の者は被保険者
- 健康保険法第43条・厚生年金保険法第23条 ── 固定的賃金の変動により標準報酬月額に著しい差が生じたときの随時改定(実務上は変動後3か月・2等級以上差が目安)
- 雇用保険法(昭和49年法律第116号)── 被保険者と適用除外(第6条)。週20時間以上・31日以上の雇用見込み等の要件を満たす労働者が被保険者
- 労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)── 労働者を使用する事業に適用。国籍・在留資格を問わない
- 特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令(平成31年法務省令第5号)第1条第1項第2号(所定労働時間の同等)・第3号(報酬の額が日本人と同等以上)(e-Gov法令検索・2026年9月19日参照)
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第28条第1項 ── 外国人雇用状況の届出(雇入れ・離職の際)
- 同一の会社での在留資格変更に伴う空白期間の社会保険の扱い、継続雇用のまま在留資格が変わる場合の外国人雇用状況の届出の要否は、契約と雇用の実態によって判断が分かれます。本記事では個別の結論を出していません(未検証)
本記事は一般的な情報提供です。個別のご事情に応じた判断は、面談のうえ資格者が行います。四葉社会保険労務士事務所では、技能実習から特定技能への移行に伴う社会保険・労働保険の資格継続や得喪手続、報酬同等要件を満たす賃金規程の設計、標準報酬月額の随時改定、就業規則・外国人雇用状況の届出など雇用管理の整備についてご相談いただけます。在留資格変更許可申請や登録支援機関としての支援業務は行政書士(四葉行政書士事務所)が担当し、四葉社会保険労務士事務所は独立した事業体として業務を受任します。別の専門家が必要な場合は、お客様に直接ご契約いただく形をご案内し、紹介料は受け取りません。よくいただくご質問はよくあるご質問にまとめています。執筆は浦松丈二(社会保険労務士・行政書士・宅地建物取引士)です。
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