一般社団法人の設立|非営利型と普通型の違い・定款認証から登記まで

障害福祉・介護・地域事業の受け皿として検討される一般社団法人の設立を整理します。設立時社員は共同して定款を作成し(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第10条)、公証人の認証(第13条)と設立登記(第22条)で成立する準則主義で、NPO法人の認証主義と異なります。定款の記載事項(第11条)、非営利型(法人税法施行令第3条)と普通型の課税の違い、認証手数料・登録免許税、設立後の指定申請と業際の分け方を解説します。
結論(先に要点):一般社団法人は、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)に基づき、社員になろうとする者(設立時社員)が共同して定款を作成し(第10条第1項)、その定款について公証人の認証を受け(第13条)、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることによって成立する法人です(第22条)。NPO法人のように所轄庁の認証を要する「認証主義」ではなく、法定の手続と要件を満たせば行政庁の許認可なく設立できる「準則主義」で、事業の内容に制限はありません。設立時社員は「共同して」定款を作成すると定められているため2名以上が必要と解されており、株式会社のような資本金の概念はありません。課税は、すべての所得に法人税がかかる普通型(非営利型以外)と、収益事業から生じた所得にのみ法人税がかかる非営利型(法人税法施行令第3条)に分かれ、非営利型は定款の定めや理事の親族割合などの要件を満たす必要があります。定款作成・設立時の書類作成は行政書士の業務ですが、定款の認証は公証人、設立の登記は司法書士、非営利型に当たるかの判定や法人税の申告は税理士、設立後に障害福祉・介護サービスなどの指定を取る場合の指定申請は行政書士(当方)へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提で分けて振ります。活動拠点となる物件の売買・賃貸は別事業体の四葉不動産株式会社が担当します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の設立の可否や非営利型該当を保証するものではありません。当事務所は紹介料を受け取りません。
一般社団法人は何人で、どんな手順で設立できる?
一般社団法人は、人の集まり(社団)に法人格を認めたもので、根拠は一般社団法人及び一般財団法人に関する法律です。設立するには、社員になろうとする者(設立時社員)が共同して定款を作成し、その全員が署名または記名押印します(第10条第1項)。条文には「二人以上」という明文はありませんが、「共同して」作成すると定められていることから、設立時社員は2名以上が必要と解されています。社員は個人でも法人でもよく、株式会社のような出資(資本金)の概念はありません。
設立の仕組みは、所轄庁の設立認証を要するNPO法人(特定非営利活動法人)とは異なります。NPO法人の流れはNPO法人(特定非営利活動法人)の設立認証の流れと所轄庁で整理しています。一般社団法人は準則主義で、行政庁の認証・許可を受けずに、法定の手続を踏めば設立できます。
| 項目 | 一般社団法人 | NPO法人 | 株式会社 |
|---|---|---|---|
| 根拠法 | 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 | 特定非営利活動促進法 | 会社法 |
| 設立の仕組み | 準則主義(公証人の定款認証+設立登記) | 認証主義(所轄庁の設立認証+設立登記) | 準則主義(設立登記のみ) |
| 定款の認証 | 公証人 | 不要(所轄庁が認証) | 公証人 |
| 構成員 | 設立時社員2名以上 | 社員10人以上 | 株主1人でも可 |
| 事業の制限 | なし | 別表の20分野に限られる | なし |
| 剰余金の分配 | 社員へ分配できない | 構成員へ分配できない | 株主へ配当できる |
一般社団法人は、社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めを置いても、その定めは効力を有しません(第11条第2項)。これは「非営利」の中核で、事業で利益を出すこと自体は禁じられませんが、その利益を構成員で山分けする仕組みは取れない、という意味です。どの法人格が適するかは事業の内容や資金の集め方で変わり、これは制度の違いの説明です。最終的にどの形を選ぶかはご本人が判断します。
非営利型と普通型では課税と要件がどう違う?
一般社団法人は、法人税法上の取扱いで「非営利型法人」と「それ以外(普通型)」に分かれます。非営利型は法人税法上の公益法人等として扱われ、法人税は収益事業(法人税法施行令が定める34業種)から生じた所得にのみ課されます。普通型は、普通法人と同じく原則としてすべての所得が法人税の課税対象です。どちらに当たるかは、法人の名称ではなく、定款の定めと運営の実態で決まります。
非営利型の要件は法人税法施行令第3条が定め、次の2類型があります。いずれの類型でも、各理事について、その理事と親族等である理事の合計数が理事の総数の3分の1以下であることが共通の要件です。
| 類型 | 根拠 | 主な要件 |
|---|---|---|
| 非営利性が徹底された法人 | 法人税法施行令第3条第1項 | 剰余金の分配を行わない旨の定款の定め/解散時の残余財産を国・地方公共団体や公益社団・財団法人等に帰属させる旨の定款の定め/これらに反する行為(特定の個人・団体への特別の利益供与を含む)を行ったことがない/理事の親族等が3分の1以下 |
| 共益的活動を目的とする法人 | 法人税法施行令第3条第2項 | 会員に共通する利益を図る活動が主たる目的/定款等に会費の定めがある/主たる事業として収益事業を行っていない/特定の個人・団体に剰余金の分配や残余財産を帰属させる定款の定めがない/理事の親族等が3分の1以下 |
障害福祉や介護、地域事業などの受け皿として設立する場合、非営利型を選ぶかどうかは、助成制度の利用可否や会費収入の構造とあわせて検討されます。もっとも、非営利型に当たるかの最終的な判定や法人税の申告は税理士の業務です。行政書士が担当するのは、非営利型の要件を満たす形に定款の案を整えることまでで、税務上の該当判定そのものは税理士へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提でお渡しします。
定款には何を必ず定め、認証はどこで受ける?
定款は法人の基本ルールで、一般社団法人の定款には次の事項を記載または記録しなければなりません(第11条第1項)。これらを欠くと定款全体が無効になります。
| 定款の記載事項(第11条第1項) | 内容 |
|---|---|
| 目的 | 法人が行う事業の目的 |
| 名称 | 「一般社団法人」の文字を用いる |
| 主たる事務所の所在地 | 最小行政区画まで |
| 設立時社員の氏名または名称および住所 | 設立時社員の特定 |
| 社員の資格の得喪に関する規定 | 入社・退社の条件 |
| 公告方法 | 官報・電子公告など |
| 事業年度 | 決算期 |
前述のとおり、社員に剰余金・残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めは効力を有しません(第11条第2項)。設立後に障害福祉サービスや介護サービスの指定を取る予定があるなら、定款の「目的」にその事業を具体的に書いておくことが実務では重要です。指定の基準では、原則として法人であることと、定款の事業目的に当該事業が含まれていることが前提になるためで、後から目的を追加すると変更登記が必要になります。障害福祉サービスの指定と物件の要件は障害福祉サービス(生活介護等)の指定と物件の要件で整理しています。
ご自身のケースについて相談したい方へ
在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。
作成した定款は、公証人の認証を受けなければ効力を生じません(第13条)。この点が、公証人認証を要しないNPO法人との大きな違いです。認証は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局・地方法務局に所属する公証人が所属する公証役場で受けます。電子定款にも対応しており、紙の定款で生じる収入印紙4万円は一般社団法人の定款には課されません(印紙税法上の課税文書に当たらないため)。
設立登記までに準備する書類と期間の目安は?
定款の認証後、設立時理事を選任し(定款で定めなかったときは、認証の後遅滞なく設立時社員が選任します。第15条)、主たる事務所の所在地で設立の登記をすることで法人が成立します(第22条)。流れと費用の目安は次のとおりです。金額は登記・認証の法定費用で、書く直前に公証役場・法務局の最新の案内を確認します(参照日 2026-10-20)。
| 手続 | 担当・場所 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 定款の作成 | 行政書士が支援 | — |
| 定款の認証 | 公証人(公証役場) | 認証手数料5万円(一般社団法人は資本金の概念がなく一律)+謄本手数料(1枚250円・おおむね2,000円程度) |
| 設立時理事等の選任 | 設立時社員 | — |
| 設立の登記 | 司法書士(法務局) | 登録免許税6万円(登録免許税法別表第一) |
理事会を置かない一般社団法人は理事1名以上で設立でき、理事会を置く場合は理事3名以上と監事の設置が必要です。設立の登記は司法書士の業務で、行政書士は登記の代理をしません。全体では、定款の案の確定から登記完了まで、準備の状況によって数週間から1〜2か月程度を見込むのが一般的です。具体的な処理期間は公証役場・法務局の混雑や書類の補正の有無で変わります。
設立後に障害福祉・介護の指定を取るなら何を先に決めておく?
受け皿となる法人を作って終わりではなく、実際に障害福祉・介護・地域事業などを運営するには、事業ごとの指定・許認可が別に必要です。一般社団法人の設立とこれらは、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく前提で分けて振ります。先に決めておくと後戻りが少ないのは、次の点です。
- 定款の「目的」に、将来行う事業(放課後等デイサービス、生活介護、訪問介護など)を具体的に書く → 行政書士が定款案で支援。後から追加すると変更登記(司法書士)が必要
- 非営利型にするか普通型にするか → 税務上の該当判定・法人税の申告は税理士
- 設立の登記、成立後の役員変更などの登記 → 司法書士
- 障害福祉・介護サービスなどの指定申請 → 行政書士(当方。障害福祉サービス(生活介護等)の指定と物件の要件で整理)
- 医療を目的とする場合の医療法人 → 制度が別(医療法人の設立認可の流れと必要書類)
- 事務所・活動拠点となる物件の売買・賃貸 → 宅地建物取引業者(別事業体の四葉不動産株式会社)
行政書士が担当するのは、定款作成・設立時の書類作成・整理、各専門家へ渡す資料の整理と、相談への同席です。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、対応業務の全体像は取扱業務をご覧ください。当事務所は紹介料を受け取りません。
よくある質問
Q. 一般社団法人は1人でも設立できますか?
A. 設立時社員は2名以上が必要と解されています。一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第10条第1項は、社員になろうとする者が「共同して」定款を作成すると定めており、1人だけでの設立はできません。社員は個人でも法人でもよく、設立後に社員が1名になっても直ちに解散するわけではありませんが、設立の時点では2名以上をそろえます。
Q. 非営利型にすれば税金はかかりませんか?
A. いいえ。非営利型(法人税法施行令第3条)は、収益事業から生じた所得にのみ法人税が課される扱いで、収益事業を行えば課税されます。非営利型に当たるかの判定や、収益事業の範囲・申告の要否は個別の判断になるため、税理士が担当します。普通型(非営利型以外)は原則としてすべての所得が課税対象です。
Q. 定款の認証は、NPO法人のように所轄庁で受けるのですか?
A. いいえ。一般社団法人の定款は公証人の認証を受けます(第13条)。所轄庁の設立認証を要するNPO法人とは仕組みが異なり、一般社団法人は準則主義で、行政庁の認証・許可を受けずに設立登記で成立します(第22条)。
Q. 設立から障害福祉の指定まで、一つの事務所にまとめて頼めますか?
A. 定款作成・設立書類の作成と指定申請は行政書士、定款の認証は公証人、設立の登記は司法書士、非営利型の判定・法人税は税理士が担当し、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。一つの窓口でご相談を受けて各専門家に整理してお渡しすることはできますが、受任は分かれます。当事務所は紹介料を受け取りません。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)第10条第1項(設立時社員が共同して定款を作成・全員が署名又は記名押印)・第11条第1項(定款の記載事項=目的/名称/主たる事務所の所在地/設立時社員の氏名又は名称及び住所/社員の資格の得喪/公告方法/事業年度)・第11条第2項(社員に剰余金・残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めは効力を有しない)・第13条(定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じない)・第15条(設立時理事等の選任)・第22条(主たる事務所の所在地における設立の登記による成立)(参照日 2026-10-20)
- e-Gov法令検索「法人税法施行令」第3条第1項(非営利性が徹底された法人の要件)・第3条第2項(共益的活動を目的とする法人の要件)、および法人税法上の公益法人等は収益事業から生じた所得にのみ課税される扱い(参照日 2026-10-20)
- 日本公証人連合会「定款認証」Q&A(一般社団法人の定款認証手数料、謄本手数料1枚250円・おおむね2,000円程度、社団法人の定款には収入印紙を貼付しない旨)(参照日 2026-10-20)
- e-Gov法令検索「登録免許税法」別表第一(一般社団法人・一般財団法人の設立の登記に係る登録免許税)(参照日 2026-10-20)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の設立の可否、非営利型該当、必要書類の要否、手続の効果を保証するものではありません。定款作成・設立書類の作成・相談は行政書士、定款の認証は公証人、設立の登記や成立後の登記は司法書士、非営利型の判定・法人税など税務は税理士、障害福祉・介護サービス等の指定申請は行政書士(当方)が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。事務所・活動拠点となる物件の売買・賃貸は別事業体の四葉不動産株式会社が担当し、当事務所は紹介料を受け取りません。費用や処理期間は公証役場・法務局の最新の案内を確認して進めます。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
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