メインコンテンツにスキップ
2026.07.28相続

台湾の除戸謄本はどこで取るか──日本の相続手続きに必要な台湾書類と翻訳の段取り

浦松 丈二

浦松 丈二

四葉不動産株式会社 代表取締役・専任宅地建物取引士/四葉行政書士事務所 代表行政書士/元毎日新聞中国総局長

プロフィール(士業ドットコム)↗

台湾の戸籍謄本・除戸謄本は台湾現地の戸政事務所でしか発行されず、台北駐日経済文化代表処では発行できません。日本にいる相続人が取り寄せる3つの方法、台湾民法第1138条・第1144条の相続順位と配偶者の応継分(日本民法と異なり第1順位では配偶者と子が平均)、日本語訳と認証の考え方、令和6年4月施行の相続登記義務化による3年の期限までを、宅地建物取引士・行政書士がまとめました。文京区小日向の四葉グループ。繁体字・台湾華語で対応します。

台湾の戸籍謄本・除戸謄本は、台湾現地の戸政事務所でしか発行されません。台北駐日経済文化代表処では発行できません。日本にいる相続人が取り寄せる方法は、自然人憑証によるオンライン取得、台湾在住の代理人への委任、専門家への取得代行依頼の3つです。

なぜ台湾の戸籍が必要になるのか

日本の不動産の相続手続きで、日本の戸籍だけでは足りない場面があります。被相続人または相続人が台湾籍の場合です。

法の適用に関する通則法第36条は「相続は、被相続人の本国法による」と定めています。被相続人が台湾籍であれば、相続人の範囲と相続分は台湾民法で決まります。法務局や金融機関に対して「台湾民法上、誰が相続人か」を台湾の戸籍書類で証明する必要が出てきます。

台湾の戸籍は、日本の戸籍と同じく家族関係を線でたどれる構造になっています。相続人の確定に使えるのは、この構造があるからです。

台湾民法の相続順位(民法第1138条・第1144条)

順位相続人配偶者がいる場合の配偶者の応継分(第1144条)
第1順位直系血親卑親属(子・孫)他の相続人と平均
第2順位父母遺産の2分の1
第3順位兄弟姉妹遺産の2分の1
第4順位祖父母遺産の3分の2
第1〜第4順位の相続人がいない遺産の全部

配偶者は順位に関係なく常に相続人になります。第1順位のときに配偶者と子が平均になる点が、日本民法(配偶者2分の1)と大きく異なります。

台湾の戸籍謄本・除戸謄本はどこで、どう取るのか

取得方法誰が動くか必要なもの向いているケース
オンライン取得本人自然人憑証と専用の読み取り機本人が自然人憑証を持っている
台湾の代理人に依頼台湾在住の親族・知人台北駐日経済文化代表処で認証を受けた委任状台湾に頼める人がいる
取得代行を依頼行政書士・司法書士等委任状ほか(依頼先の指定による)古い手書きの除戸謄本が多い/平日に代表処へ行けない
現地で直接請求本人が渡台身分証明書渡台の予定がある

押さえるべき点は2つです。

発行できるのは台湾現地の戸政事務所だけです。台北駐日経済文化代表処が扱うのは委任状などの認証であり、戸籍そのものの発行ではありません。ここを取り違えて代表処に足を運ぶ方が少なくありません。

除戸謄本は年代が古いほど手書きが増えます。 判読と翻訳に時間がかかるため、日程は早めに逆算してください。

翻訳と認証はどこまで必要か

台湾の戸籍書類を日本で使う場合、日本語訳を添えるのが基本です。ただし訳文の要件や認証の要否は、提出先によって扱いが変わります。

提出先添えるもの事前に確認すること
法務局(相続登記)台湾戸籍書類と日本語訳訳文の要件、原本還付の可否
金融機関台湾戸籍書類と日本語訳認証の要否は機関ごとに異なる
税務署(相続税)上記に準じる税理士に確認

書類を集める前に提出先へ確認するのが、手戻りを防ぐ最短ルートです。集め終えてから「この形式では受け付けられない」と言われると、取り寄せからやり直しになります。

なお、日本の公文書を台湾へ提出する場合は逆方向の手続きになります。日本と台湾のあいだに正式な外交関係がないため、外務省のアポスティーユ・公印確認ではなく、台北駐日経済文化代表処等での認証を受ける流れです。方向を取り違えないでください。

相続登記の期限はいつか

台湾書類の収集に時間がかかっても、日本側の期限は待ってくれません。

項目内容
根拠不動産登記法第76条の2第1項
施行日令和6年4月1日
期限自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、所有権を取得したことを知った日から3年以内
施行前に発生した相続令和9年3月31日まで
過料正当な理由なく怠った場合、10万円以下(不動産登記法第164条第1項)

台湾書類の取り寄せに数か月かかることは珍しくありません。「まだ書類が揃わない」で放置せず、期限から逆算した進行表を先に作ってください。

誰に相談すればよいのか

台湾がからむ相続は、担当が分かれます。

作業担当四葉での受任
台湾・日本の戸籍収集、遺産分割協議書の作成行政書士四葉行政書士事務所が受任
不動産の管理・活用・売却宅地建物取引業者四葉不動産株式会社が受任
相続登記司法書士提携司法書士へお繋ぎします
相続税の申告税理士提携税理士へお繋ぎします
相続人間に争いがある場合弁護士提携弁護士へお繋ぎします

四葉不動産株式会社と四葉行政書士事務所は、それぞれ独立した事業体として別契約・別請求で受任します。登記・税務・紛争は各資格者の独占業務のため、当方では行わず提携専門家へお繋ぎします。

中国語(繁体字・台湾華語)での対応が必要な場合も、そのままご相談ください。

関連ページ

この記事の根拠

法令・出典該当箇所施行日・備考
法の適用に関する通則法第36条(相続は被相続人の本国法による)平成19年1月1日施行
中華民国民法第1138条(遺産継承人の順序)全國法規資料庫(法務部)掲載の条文による。参照日:2026年7月28日
中華民国民法第1144条(配偶者の応継分)全國法規資料庫(法務部)掲載の条文による。参照日:2026年7月28日
不動産登記法第76条の2第1項(相続等による所有権の移転の登記の申請義務)令和6年4月1日施行
不動産登記法第164条第1項(過料)令和6年4月1日施行
台北駐日経済文化代表処「台湾戸籍謄本の取得について」戸政事務所でのみ発行。自然人憑証と読み取り機によるオンライン取得参照日:2026年7月28日

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断ではありません。実際の手続きは、事案ごとに有資格者の確認を経てください。