宅地建物取引業の免許申請——専任の宅地建物取引士・事務所要件・保証協会

日本で不動産の売買・賃貸仲介業を新規に開業するには、宅地建物取引業法第3条の免許が必要です。事務所が1つの都道府県内だけなら知事免許、2以上にまたがれば大臣免許で、有効期間は5年(更新が必要)です。事務所ごとに業務従事者5人に1人以上の専任の宅地建物取引士を置く義務があり(第31条の3第1項、割合は施行規則第15条の5の3の5分の1)、事務所には独立性・継続性が求められます。営業前には、営業保証金(主たる事務所1,000万円・その他500万円。宅地建物取引業保証協会に加入すれば弁済業務保証金分担金60万円・30万円の納付で供託に代えられる)の手当てが必要です(第25条・第64条の9)。免許申請書類の作成・提出代理は行政書士、事務所物件は別事業体の不動産、法人設立の登記は司法書士、保証金・保証協会の手続は本人と協会、税務は税理士に分けて整理します。
結論(先に要点):日本で不動産の売買や賃貸の仲介などを業として行うには、宅地建物取引業法第3条第1項により、国土交通大臣または都道府県知事の免許を受けなければなりません。事務所が1つの都道府県の区域内だけにあるなら知事免許、2以上の都道府県にまたがるなら大臣免許です。免許の有効期間は5年で、続けるには更新の免許が要ります(同条第2項・第3項)。事務所ごとに、業務に従事する者5人に1人以上の割合で成年者である専任の宅地建物取引士を置く義務があり(第31条の3第1項、割合は施行規則第15条の5の3)、営業を始める前に営業保証金(主たる事務所1,000万円・その他の事務所ごとに500万円。宅地建物取引業保証協会に加入すれば供託に代えられる)の手当ても必要です(第25条・第64条の9)。本記事は一般的な情報提供であり、個別の事業者が免許の基準や専任要件を満たすかを判断・保証するものではありません。免許申請書類の作成・提出の支援は四葉グループの行政書士が独立した事業体として担い、事務所として使う物件の確保は別事業体の四葉不動産株式会社、法人設立・役員変更の登記は司法書士、営業保証金の供託や保証協会への入会手続はご本人と保証協会、税務は税理士が、それぞれ別々にご契約いただく前提で分けて進めます。当事務所は紹介料を受け取りません。
宅地建物取引業の免許は、どんな場合に必要になるのか?(知事免許と大臣免許の違い)
出発点は「何を業として行うか」です。宅地建物取引業法第2条第2号は、宅地建物取引業を、宅地もしくは建物の売買・交換、または宅地建物の売買・交換・貸借の代理もしくは媒介を、業として(不特定多数を相手に反復継続して)行うものと定めています。これらを行うには、第3条第1項により免許が必要です。なお、自分が所有する物件を自ら貸す「自ら貸主」の行為は、原則として宅地建物取引業には当たりません(代理・媒介ではないため)。この線引きは個別の事情で変わり得るので、計画段階で所管に確認することが欠かせません。
免許の区分は、事務所の所在で分かれます。
| 項目 | 知事免許 | 大臣免許 |
|---|---|---|
| 根拠 | 宅地建物取引業法第3条第1項 | 同項 |
| 区分の基準 | 事務所が1つの都道府県の区域内だけにある | 事務所が2以上の都道府県にまたがる |
| 申請先 | その都道府県知事 | 国土交通大臣(主たる事務所の所在地を管轄する都道府県経由) |
| 有効期間 | 5年(更新の免許が必要・第3条第2項第3項) | 5年(同) |
免許の有効期間は免許の日から5年で、満了後も続けるには更新の免許を受けなければなりません(第3条第2項・第3項)。多くの都道府県では満了の90日前から30日前までの間に更新申請を求める運用です。免許を受けられない欠格事由は第5条第1項に定められており、過去の処分歴や役員の状況などが審査されます。
「専任の宅地建物取引士」は何人必要で、どんな人が該当するのか?
宅地建物取引業法第31条の3第1項は、事務所その他国土交通省令で定める場所ごとに、業務に従事する者の数に対する割合が国土交通省令で定める数以上となる数の、成年者である専任の宅地建物取引士を置かなければならないと定めています。この割合は施行規則第15条の5の3で「5分の1以上」とされており、実務上は「業務に従事する者5人につき専任の宅地建物取引士1人以上」と説明されます。
| 項目 | 内容(根拠) |
|---|---|
| 設置場所 | 事務所ごと(案内所等で契約を扱う場合は別途) |
| 必要人数 | 業務に従事する者5人に1人以上(第31条の3第1項、施行規則第15条の5の3) |
| 資格 | 成年者である専任の宅地建物取引士(宅地建物取引士証の交付を受けた者) |
| 専任の意味 | その事務所に常勤し、専ら宅建業に従事していること。他社との兼業や非常勤は原則認められない |
「専任」とは、その事務所に常勤し、専らその業務に従事している状態を指します。他社の役員を兼ねている、別の職業と兼業している、通える距離にないといった場合は、原則として専任と認められません。人数が基準に足りなくなったときは、2週間以内に必要な措置をとる義務があります(第31条の3第3項)。要件を満たすかどうかは宅地建物取引業法に基づく判断で、行政書士が独占業務として代わりに判定するものではありません。
事務所として認められる物件の要件は何か?(独立性・継続性)
事務所は、免許を受けるための前提であると同時に、営業保証金や専任宅建士の数を左右する単位です。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」や各都道府県の手引では、事務所は、継続的に業務を行うことができる施設で、他の法人や個人の生活空間とは物理的に独立していることが求められるとされています。
| 確認される点 | 具体例 |
|---|---|
| 独立性 | 他社や居住スペースと壁などで明確に区分され、独立した出入口があること |
| 継続性 | 一時的な仮設でなく、継続して業務を行える形態であること |
| 使用権原 | 自己所有か賃貸借契約などで、その場所を事務所として使える権原があること |
| 専任宅建士の常勤 | その事務所に専任の宅地建物取引士が常勤していること |
自宅の一室を事務所にする場合、生活空間と明確に区分できるか、出入口や動線が独立しているかが問われます。賃貸物件なら、賃貸借契約の使用目的が事務所使用を認めているか、区分所有の規約に反しないかも確認が必要です。物件の細部の可否は所管の窓口が判断するため、契約前に相談しておくと提出直前の差し戻しを避けやすくなります。事務所物件の選定・賃貸借の媒介・重要事項説明は、別事業体の四葉不動産株式会社が独立した事業体として担います。賃貸管理まで行うなら賃貸住宅管理業の登録とサブリースも別の論点です。
営業保証金と保証協会(弁済業務保証金分担金)、どちらを選ぶのか?
免許を受けても、それだけでは営業を始められません。取引の相手方を保護するための金銭的な手当てとして、営業保証金を供託するか、宅地建物取引業保証協会に加入するかのいずれかが必要です。
| 項目 | 営業保証金(第25条) | 保証協会に加入(第64条の9) |
|---|---|---|
| 主たる事務所 | 1,000万円(施行令第2条の4) | 弁済業務保証金分担金 60万円 |
| その他の事務所(1か所ごと) | 500万円 | 30万円 |
| 納付・供託の先 | 主たる事務所の最寄りの供託所に供託 | 保証協会に金銭で納付 |
| タイミング | 供託し、その旨を免許権者へ届け出てから営業開始(第25条第4項第5項) | 加入しようとする日までに納付(第64条の9第1項) |
ご自身のケースについて相談したい方へ
在留資格・許認可など、行政手続について状況をお聞かせください。
営業保証金は、供託してその旨を免許権者に届け出た後でなければ事業を開始できません(第25条第4項・第5項)。免許の日から3か月以内に供託の届出をしないと、免許権者は催告でき、なお届出がなければ免許を取り消すことができます(第25条第6項・第7項)。一方、宅地建物取引業保証協会に加入すると、弁済業務保証金分担金(主たる事務所60万円・その他の事務所ごとに30万円)を金銭で納付することで、営業保証金の供託が免除されます(第64条の9)。初期費用を抑えやすいため、新規開業では保証協会に加入する例が多いのが実情です。どちらが適するかは資金計画や事業規模によります。営業保証金の供託や保証協会への入会手続は、ご本人と供託所・保証協会が行う手続で、行政書士が代わりに供託・納付を行うものではありません。
法人設立・事務所確保・免許申請は、それぞれ誰が担当するのか?
関係する専門家が分かれるため、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただくのが基本です。四葉グループの行政書士は、免許申請書類の作成と提出の代理、所管の都道府県・地方整備局への事前相談の案内を、独立した事業体として担います。
| 依頼先 | 主な役割 |
|---|---|
| 行政書士(当事務所) | 宅地建物取引業免許の申請書類の作成・提出代理、更新・変更届の支援 |
| 不動産業者(別事業体の四葉不動産株式会社) | 事務所として使う物件の選定・賃貸借の媒介・重要事項説明 |
| 司法書士 | 法人設立・役員変更などの商業登記 |
| ご本人・保証協会/供託所 | 営業保証金の供託、保証協会への入会・弁済業務保証金分担金の納付 |
| 税理士 | 開業後の税務・会計 |
当事務所の取扱業務・受任の流れ・報酬額表もご覧ください。各専門家とは独立した事業体として契約し、相互に紹介料を受け取りません。免許はあくまで宅地建物取引業を営むための入口であり、取引そのものの判断は免許を受けた宅地建物取引業者とその宅地建物取引士が行います。建設工事の請負まで行うなら建設業許可の要件がまた別に関係します。
よくある質問
Q. 自分が持っているアパートを自分で貸すだけでも、宅建業の免許は必要ですか?
A. 原則として不要です。宅地建物取引業(宅地建物取引業法第2条第2号)は、売買・交換や、売買・交換・貸借の「代理・媒介」を業として行うものを指し、自分の所有物件を自ら貸す「自ら貸主」は代理・媒介ではないため、原則として宅建業に当たりません。ただし反復継続して売買を行う場合などは免許が必要になることがあり、線引きは個別の事情で変わります。計画段階で所管に確認してください。
Q. 知事免許と大臣免許は、どちらが「格上」ですか?営業できる範囲は違いますか?
A. 格の違いではなく、事務所の所在による区分です。事務所が1つの都道府県の区域内だけにあれば知事免許、2以上の都道府県にまたがれば大臣免許になります(宅地建物取引業法第3条第1項)。知事免許でも、取引できる物件の所在地が自県内に限られるわけではなく、他県の物件も扱えます。有効期間はどちらも5年です。
Q. 専任の宅地建物取引士は、他の会社の役員を兼ねていても大丈夫ですか?
A. 原則として認められません。専任とは、その事務所に常勤し、専ら宅建業に従事している状態を指します。他社の常勤役員を兼ねる、別の職業と兼業する、通勤できない場所に住んでいるといった場合は専任性が否定され得ます。業務に従事する者5人に1人以上という割合(第31条の3第1項、施行規則第15条の5の3)を欠いたときは、2週間以内に必要な措置をとる義務があります。
Q. 営業保証金の1,000万円を用意できません。開業をあきらめるしかないですか?
A. 宅地建物取引業保証協会に加入する方法があります。加入すると、主たる事務所60万円・その他の事務所ごとに30万円の弁済業務保証金分担金を納付することで、営業保証金の供託が免除されます(宅地建物取引業法第64条の9)。初期費用を抑えやすいため、新規開業で多く選ばれています。どちらが適するかは資金計画や事業規模によるので、入会手続は保証協会にご確認ください。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索・国土交通省「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号)第2条第2号(宅地建物取引業の定義)・第3条第1項(免許。大臣免許と知事免許の区分)・第3条第2項第3項(免許の有効期間5年・更新)・第5条第1項(免許の基準=欠格事由)・第25条(営業保証金の供託。第4項第5項=供託の届出後でなければ事業開始不可、第6項第7項=免許日から3か月以内に届出がないときの催告・取消し)・第31条の3第1項第3項(事務所ごとの専任の宅地建物取引士の設置・不足時2週間以内の措置)・第64条の9(弁済業務保証金分担金の納付)(参照日 2026-11-02)
- e-Gov法令検索・国土交通省「宅地建物取引業法施行令」第2条の4(営業保証金の額=主たる事務所1,000万円・その他の事務所ごとに500万円)(参照日 2026-11-02)
- e-Gov法令検索・国土交通省「宅地建物取引業法施行規則」第15条の5の3(専任の宅地建物取引士の割合=5分の1以上)(参照日 2026-11-02)
- 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」および各都道府県・地方整備局の宅地建物取引業免許申請の手引(事務所の独立性・継続性、専任性の判断、提出書類・手数料。具体の様式・添付書類・提出先は所管により異なる)(参照日 2026-11-02)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の事業者が宅地建物取引業免許の基準や専任の宅地建物取引士の要件、事務所要件を満たすか、更新・変更届の要否や時期を判断・保証するものではありません。免許の審査・付与は国土交通大臣または都道府県知事が行い、具体的な様式・手数料・添付書類は所管により定められています。免許申請書類の作成・提出代理と事前相談の案内は四葉グループの行政書士が独立した事業体として担い、事務所として使う物件の選定・賃貸借の媒介・重要事項説明は別事業体である四葉不動産株式会社、法人設立・役員変更の商業登記は司法書士、営業保証金の供託や保証協会への入会・弁済業務保証金分担金の納付はご本人と供託所・保証協会、開業後の税務は税理士が、それぞれ別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
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