キッチンカー(移動販売)の食品営業許可と「仕込み場所」の要件は何か

キッチンカー(移動販売)で飲食を提供するには、車両(自動車)そのものに対する食品営業許可を保健所から受ける必要があり、別に食材を下処理する「仕込み場所」にも用途に応じた営業許可が原則として必要です(食品衛生法第55条、施設の基準は同法第54条に基づく各都道府県の条例)。2021年6月1日施行の改正食品衛生法で、HACCPに沿った衛生管理が原則義務化され(第51条)、営業ごとに食品衛生責任者を選任します。車内でできる調理工程は自治体の取扱いで制限され、仕込みは営業許可を取得した固定施設で行うのが原則です。自宅の台所は原則認められません。許可の有効範囲は許可権者の区域で、同一都道府県内は複数の保健所をまたいで有効となる運用が広がっています。保健所への申請書類作成は行政書士、施設の基準の判定・検査は保健所、車両の構造・改造は製作業者、仕込み場所の物件は別事業体の四葉不動産株式会社に分けて整理します。
結論(先に要点):キッチンカー(移動販売)で飲食を提供するには、車両(自動車)そのものに対する食品営業許可を保健所から受ける必要があり、別に食材を下処理する「仕込み場所」にも用途に応じた営業許可が原則として必要です(食品衛生法第55条、施設の基準は同法第54条に基づく各都道府県の条例)。本記事は官公署に提出する書類の作成という範囲での一般的な情報提供であり、施設の基準に適合するかの判定や実地検査は保健所が行い、当事務所(行政書士)は具体的な衛生上の判断はしません。
キッチンカー(移動販売)の営業許可は店舗の許可と何が違うか?
飲食店などの食品営業は、2021年(令和3年)6月1日に施行された改正食品衛生法のもとで、営業許可・届出・届出不要の業種に整理されました。許可が必要な営業を営む者は、都道府県知事(保健所設置市の市長・特別区の区長を含みます)の許可を受けなければなりません(食品衛生法第55条第1項)。キッチンカーは、この営業許可を「自動車」という施設で受ける形で、多くの自治体で「食品移動営業」と呼ばれます。固定店舗と制度の枠組みは同じですが、施設が車両である点と、車内でできる調理工程が限られる点が違います。
もう一つの大きな違いが、HACCPに沿った衛生管理です。改正法で、原則としてすべての営業者は、厚生労働省令で定める基準に従い衛生管理を行う義務を負います(食品衛生法第51条第1項・第2項)。キッチンカーも例外ではなく、衛生管理計画を作り、記録を残す運用が求められます。あわせて、営業ごとに食品衛生責任者を定める必要があります。
| 項目 | 固定店舗 | キッチンカー(自動車) |
|---|---|---|
| 根拠 | 食品衛生法第55条(営業許可) | 同左(施設が自動車。多くの自治体で「食品移動営業」) |
| 施設の基準 | 食品衛生法第54条に基づく条例 | 同左(車両用の基準。給水・排水、手洗い設備など) |
| 衛生管理 | HACCPに沿った衛生管理(第51条) | 同左 |
| 調理工程 | 店舗内で完結しやすい | 車内の工程に制限。仕込みは別の施設で行うのが原則 |
車両(自動車)に対する食品営業許可の施設基準はどこを見るか?
営業施設の基準は、公衆衛生に与える影響が著しい営業について、都道府県が条例で定めます(食品衛生法第54条)。各都道府県の条例は、全国的な最低ラインである食品衛生法施行規則(施行規則第66条の7・別表)を踏まえて作られています。キッチンカーでは、おおむね次のような点が確認されます(施行規則および各自治体の案内・参照日 2026-11-01)。
| 確認箇所 | 主な内容 |
|---|---|
| 給水・排水 | 貯水タンクと排水タンクを備えること。タンク容量により提供できる食品の範囲が変わる自治体がある(例:茨城県では約40L・約80L・約200Lの区分で提供可能な調理の範囲を分けている・参照日 2026-11-01) |
| 手洗い設備 | 調理者が手を洗える設備。給水と連動していること |
| 冷蔵・保管設備 | 食品の温度管理ができる設備 |
| 構造・区画 | ほこりや排気を避け、食品を衛生的に扱える構造・区画 |
給水タンクの容量区分は自治体ごとに扱いが異なり、全国一律ではありません。車両を購入・製作する前に、施設の設計図面を持って管轄の保健所に事前相談するのが安全です。完成後に基準不適合が分かると、改修が必要になることがあります。
「仕込み場所」はなぜ別に営業許可が要るのか?
キッチンカーは設備と水量が限られるため、多くの自治体が車内でできる調理工程に制限を設けています(例:生ものの調理や、下処理を伴う本格的な調理は不可とする取扱い・各自治体の案内・参照日 2026-11-01)。そこで、食材の下処理や仕込みは、車両とは別に、営業許可を取得した固定の調理施設(仕込み場所)で行うことが原則になります。
この仕込み場所自体も食品を扱う施設であるため、用途に応じた営業許可(飲食店営業など)が別に必要です。自治体によっては、キッチンカーの許可申請の際に、仕込み場所の営業許可証の写しの提出を求めます。自宅の台所は、家庭用の設備で区画も不十分なことが多く、原則として仕込み場所とは認められません。許可付きのレンタルキッチン(シェアキッチン)を仕込み場所として使う方法もあります。
| 場所 | 要る許可 | 典型的な役割 |
|---|---|---|
| 車両(キッチンカー) | 自動車に対する食品営業許可 | 仕上げ・加熱・盛付けなど、衛生上支障のない範囲の調理 |
| 仕込み場所(固定施設) | 用途に応じた営業許可(飲食店営業など) | 食材の下処理・仕込み・保管 |
どこまでを車内で、どこからを仕込み場所で行うべきかは、提供する食品と自治体の取扱いで変わります。個別の当てはめは保健所に確認してください。
複数の保健所をまたいで営業するとき許可はどうなるか?
食品営業許可は、許可権者(都道府県知事・保健所設置市の市長・特別区の区長)の管轄区域内で効力を持ちます。2021年の改正後、同じ都道府県内であれば複数の保健所の区域をまたいでも一つの許可で営業できる運用が広がりました(例:茨城県では2024年1月以降に取得した許可は水戸市を含む県内全域で有効・参照日 2026-11-01)。一方、異なる都道府県で営業する場合は、それぞれの都道府県で許可を受けるのが原則です。
どの範囲で有効か、イベント出店先の自治体で追加の手続や届出が要るかは、自治体ごとに異なります。出店エリアを決めたら、車両の本拠地を管轄する保健所と、出店先を管轄する自治体の双方で、書く直前に最新の取扱いを確認してください。
| 営業の範囲 | 原則の考え方 |
|---|---|
| 同一都道府県内の複数区域 | 一つの許可で有効となる運用が広がっている(自治体の取扱いによる) |
| 異なる都道府県にまたがる | それぞれの都道府県で許可を受けるのが原則 |
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保健所申請・車両構造・物件(仕込み場所)は誰に振るか?
キッチンカーの開業は、許可申請・車両・物件が並行して動きます。担当は次のとおり分かれ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・お手続きいただきます。
- 保健所への食品営業許可の申請書類の作成・提出 → 四葉行政書士事務所(行政書士)。資料と情報の提供までを行い、具体的な衛生上・法的な判断はしません
- 施設の基準に適合するかの判定・実地検査 → 保健所。最終的な適合判断は保健所が行います
- 車両の構造・改造(給排水・手洗い・冷蔵設備などの設置) → 車両の製作・改造業者。衛生設備の仕様は保健所の事前相談を踏まえて決めます
- 仕込み場所の物件(賃貸・取得)の媒介 → 四葉行政書士事務所とは別事業体の四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)。独立した事業体として別契約で対応します
- 出店契約や近隣とのトラブルが法的紛争になった場合 → 弁護士
- 法人で開業する場合の設立登記 → 司法書士/税務・会計 → 税理士
仕込み場所の物件探しは、四葉行政書士事務所とは別事業体の四葉不動産株式会社が、独立した事業体として別契約で対応します。車両の改造業者・保健所・弁護士・司法書士・税理士も、いずれも独立した事業体として別々にご契約・お手続きいただきます。各分野は、それぞれの窓口・資格者と別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。車両を買う前・仕込み場所を借りる前の段階でも、ご相談ください。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、取扱業務は業務のご案内をご覧ください。関連する記事として、飲食店の営業許可と保健所の施設基準、食品製造業の許可と物件の設備基準、特定遊興飲食店営業の許可要件もあわせてご確認ください。
よくある質問
Q. キッチンカーは車両の許可だけで営業できますか?
A. 原則としてできません。車両(自動車)に対する食品営業許可(食品衛生法第55条)に加え、食材を下処理する仕込み場所にも、用途に応じた営業許可が別に必要になるのが一般的です。多くの自治体が車内の調理工程に制限を設けているためです。どこまでを車内で行えるかは提供する食品と自治体の取扱いで変わるため、管轄の保健所に確認してください。
Q. 自宅の台所を仕込み場所にできますか?
A. 原則として認められないことが多いです。家庭用の設備で、営業用として必要な区画や手洗い・設備の基準を満たさないためです(各自治体の案内・参照日 2026-11-01)。許可付きのレンタルキッチン(シェアキッチン)を仕込み場所として使う方法があります。自宅の一部を営業用に改装して許可を取れるかは、保健所に個別に相談してください。
Q. 隣の市や県でも同じ許可で営業できますか?
A. 同じ都道府県内なら、複数の保健所の区域をまたいでも一つの許可で営業できる運用が広がっています(例:茨城県では2024年1月以降に取得した許可は県内全域で有効・参照日 2026-11-01)。異なる都道府県で営業する場合は、それぞれの都道府県で許可を受けるのが原則です。出店エリアの取扱いは自治体ごとに異なるため、事前に確認してください。
Q. 行政書士は車両の設備や衛生の判断もしてくれますか?
A. いたしません。施設の基準に適合するかの判定と実地検査は保健所が行い、車両の構造・衛生設備は製作・改造業者が担当します。当事務所(行政書士)は、保健所への営業許可の申請書類の作成・提出という範囲でお手伝いします。物件は別事業体の四葉不動産株式会社と、紛争は弁護士と、いずれも独立した事業体として別々にご契約いただきます。当事務所は紹介料を受け取りません。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「食品衛生法」第55条(営業の許可)、第54条(公衆衛生に与える影響が著しい営業の施設の基準を都道府県の条例で定めること)、第51条(HACCPに沿った衛生管理を含む営業者が講ずべき措置の基準と遵守義務)(2021年=令和3年6月1日に全面施行された改正法の現行条文・参照日 2026-11-01)
- e-Gov法令検索「食品衛生法施行規則」第66条の7・別表(営業施設の基準の全国的な最低ライン。各都道府県の条例はこれを踏まえて定める)(参照日 2026-11-01)
- 茨城県(日立保健所ほか)「食品移動営業(キッチンカー)について」(自動車(二輪自動車を除く)に施設を設けて移動販売する場合に食品移動営業許可が必要なこと、給水タンク容量の区分による提供可能な調理の範囲、仕込みは営業許可を取得した施設で行うこと、2024年1月以降の許可が県内全域で有効であること・参照日 2026-11-01)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の車両・仕込み場所が施設の基準に適合するか、どの業種の許可に当たるかを保証・判断するものではありません。許可業種の区分・施設の基準・提供できる調理の範囲・許可の有効範囲は、法令改正や自治体の条例・運用で変わるため、必ず最新の条文と、車両の本拠地および出店先を管轄する保健所・自治体の案内で確認してください。施設の基準の適合判定と検査は保健所、車両の構造・改造は製作業者、仕込み場所の物件の媒介は別事業体の四葉不動産株式会社(宅地建物取引業者)、設立登記は司法書士、税務は税理士、紛争の代理は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約・お手続きのうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。具体的な法的判断は、面談のうえ行政書士などの有資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。
まずは、状況を整理するところから。
四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
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