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2026.07.19相続

空き家を放置すると何が起こるか──更地にできない「固定資産税」という壁

浦松 丈二

浦松 丈二

四葉不動産株式会社 代表取締役/行政書士・宅建士

プロフィール(士業ドットコム)↗

犯罪に使われ、動物のすみかになり、配管が傷む——空き家を放置するデメリットは多いのに、なぜ更地にできないのか。答えは固定資産税の住宅用地特例(課税標準6分の1)にあります。ところが2023年12月施行の改正空家法で「管理不全空家」が新設され、勧告を受けると特例が外れて税が最大およそ6倍に。放置が最も損な選択になった今、慌てて解体や売却をするのではなく、「決めないまま時間だけ過ぎる状態」から抜け出す判断を四葉不動産がお手伝いします。

「誰も住んでいない家」は、静かに社会の問題になる

空き家は、ただそこにあるだけ、と思われがちです。実際にはそうではありません。

まず、犯罪に使われることがあります。所有者の目が届かない家は、不法侵入や、時に犯罪の拠点として利用されたケースが報じられ、社会の注目を集めました。次に、動物のすみかになります。猫や、時にはハクビシンやネズミが住み着き、糞害や近隣トラブルの原因になる。そして、建物そのものが傷みます。人が住まない家は換気も水道の使用もなく、湿気で木材が腐り、配管がやられ、シロアリが入る。屋根や外壁が崩れれば、通行人や隣家への実害にもつながります。

全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%と過去最高を更新しました(総務省・令和5年住宅・土地統計調査)。もはや一軒の問題ではなく、地域の安全と景観にかかわる社会問題です。

それでも「更地にできない」理由

ここで多くの人が首をかしげます。そんなにデメリットがあるなら、いっそ壊して更地にすればいいではないか、と。

ところが、そう簡単にいきません。理由は固定資産税にあります。土地の上に住宅が建っていると、「住宅用地の特例」によって、200平方メートル以下の小規模住宅用地は固定資産税の課税標準額が6分の1に軽減されます(総務省・固定資産税の概要)。

つまり、傷んだ空き家であっても、壊さず建物を残しておくほうが、土地の税金は安く済む。この制度が、結果として「取り壊さず放置する」インセンティブを生んできました。老朽化した家が全国に残り続けてきた背景には、こうした税制の構造があります。これは個人の怠慢というより、制度設計、いわば政治の問題でもあると私は考えています。

法律が変わった──放置は「6倍」につながる

その構造にメスを入れたのが、2023年(令和5年)12月に施行された改正・空家等対策特別措置法(空家法)です(国土交通省・空家法関連情報改正法(令和5年法律第50号))。

この改正で、従来の「特定空家」に加えて、「管理不全空家」という新しいカテゴリーが設けられました。特定空家になるおそれのある、放置され管理が行き届かない状態の空き家を、早い段階で市区町村が指導・勧告できるようになったのです。

ポイントは税との連動です。管理不全空家や特定空家に認定され、自治体の勧告を受けると、先ほどの「住宅用地の特例」が解除されます。特例が外れれば、土地の固定資産税は最大でおよそ6倍に跳ね上がる計算になります。「壊さず残すほうが税金が安い」という従来の常識が、法改正で通用しなくなったということです。放置は、もはや経済的にも割に合わない選択になりました。

私たちがお手伝いするのは、放置しないための「判断」です

大切なのは、慌てて解体することでも、慌てて売ることでもありません。放置という「決めないまま時間だけ過ぎる状態」から抜け出すことです。

管理不全空家として勧告を受ける前に手を打つのか、活用の道を探るのか、売却に踏み切るのか。選択肢はいくつもあります。四葉不動産は行政書士がいる不動産会社として、法制度の期限と、税負担と、ご家族の事情を並べて、次の一手を一緒に整理します。

「放置」だけは、どの選択肢よりも損が大きい。それだけは、経験からも制度からも申し上げられます。文京区・小日向を拠点に、空き家のご相談をお受けしています。まだ迷っている段階で、どうぞお声がけください。


このコラムで触れた公的機関の情報

※固定資産税の具体的な税額や特例解除の判断は、家屋・土地の状況や自治体の運用により異なります。本コラムは一般的な情報提供であり、個別の税務・法務助言ではありません。

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