お盆の帰省でやる実家の「棚卸し」──売買契約書と建築確認済証がないと選択肢が狭まります
浦松 丈二
四葉不動産株式会社 代表取締役・専任宅地建物取引士(東京)第293544号/行政書士 第25087022号。元毎日新聞中国総局長(記者歴34年)。社会保険労務士試験合格(2026年9月開業予定)
プロフィール(士業ドットコム)↗お盆の帰省は、実家の書類と家族の記憶をまとめて確認できる年に一度の機会です。とりわけ購入時の売買契約書と建築確認済証は、失うと税金と活用の両面で選択肢が狭まります。契約書がないと取得費を証明できず、売った金額の5パーセントを取得費とみなす概算取得費での申告になります。建築確認済証がないと、グループホーム等への転用で建築士による現況調査が必要になります。写真は原本の代わりにはなりません。「撮る・決める・控える」の3つを、帰省中の10分で。文京区小日向の四葉不動産株式会社が、実務の目線で整理しました。
お盆の帰省は、実家の書類と家族の記憶をまとめて確認できる年に一度の機会です。とりわけ購入時の売買契約書と建築確認済証は、失うと税金と活用の両面で選択肢が狭まります。写真は原本の代わりにはなりませんので、撮ったうえで原本の置き場所を家族で決めるところまで済ませてください。
この記事は、まだ相続が起きていない段階の方に向けたものです。すでに相続した空き家をどうするかでお悩みの方は、文京区の空き家を売却・活用したい|相続空き家の対処法をご覧ください。
なぜ「帰省中」が実家の棚卸しに向いているのか?
理由は3つあります。
ひとつは、建物の現況を自分の目で見られること。写真は現地でしか撮れません。屋根、外壁、雨樋、床下の湿り——文章で聞いても分からないことが、1枚の写真で伝わります。
もうひとつは、書類の在りかを親に聞けること。購入時の売買契約書がどの箱に入っているか、建築確認済証や図面が残っているか。これは所有者本人にしか分からないことが多く、後から探すと、家じゅうを何日もかけてひっくり返すことになります。しかもこの2つは、再発行のしくみがないという点で権利証とも性質が違います。
そして三つめが、境界と増改築の「記憶」を聞けること。「あのブロック塀はうちが建てた」「隣とはこの木を境にしてきた」——登記簿にも図面にも載っていないこうした経緯は、親の記憶の中にしかありません。売却の場面でいちばん時間を取られるのが、実はここです。
相続が起きてからでは、この3つとも失われます。帰省は、失われる前に記録できる数少ない機会です。
実は、これは私自身の後悔でもあります。母から相続した一戸建てを売却したとき、購入時の売買契約書がどうしても見つかりませんでした。母が元気なうちに「契約書はどこにある?」と一言聞いておけば済んだはずのことを、していなかった。結果、取得費を証明できないまま、売却金額の5パーセントを取得費とみなす概算取得費で申告するほかなく、税負担はその分だけ重くなりました。この記事で「帰省中に聞いておく」ことをお勧めするのは、同じ思いをする方を一人でも減らしたいからです。
建物と敷地で、何を写真に残しておけばよいか?
スマートフォンで構いません。位置情報をオンにして撮ると、後から場所を特定しやすくなります。
| 撮る対象 | 撮り方のコツ | 後で効いてくる場面 |
|---|---|---|
| 建物の四面(前・後・左・右) | 建物全体が入る距離から、1面ずつ | 査定の初期相談、遠方からの相談 |
| 屋根・外壁・雨樋 | 傷み・ひび・欠けは寄りでも1枚 | 修繕費の見当をつけるとき |
| 境界標(杭・鋲・プレート) | 標識と、そこから見た隣地との関係の2枚 | 売却時の境界確認、越境の話し合い |
| 越境しているもの(枝・塀・配管・エアコン室外機) | どちらからどちらへ越えているかが分かる角度で | 売買前の是正協議 |
| 前面道路と間口 | 道路から玄関を見た1枚、道路の幅が分かる1枚 | 再建築の可否や接道の確認 |
| 増改築した部分 | 元の建物との継ぎ目が分かる角度で | 登記や確認申請との突き合わせ |
| 室内(各部屋・水回り・床下点検口) | 部屋ごとに1枚ずつ。散らかっていて構いません | 賃貸活用の可否、片づけ費用の見当 |
| 設備の銘板(給湯器・分電盤・浄化槽) | 型番と製造年が読める寄りで | 設備の残存年数の把握 |
撮った写真は、その日のうちにクラウドの共有フォルダに入れ、きょうだいと共有しておくことをお勧めします。「見た人・見ていない人」の差が、後の話し合いのこじれの種になりやすいためです。
探しておくべき書類はどれか?
原本を持ち帰る必要はありません。スマートフォンで撮って、在りかをメモしておくだけで十分です。
| 書類 | よくある保管場所 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| ★ 購入時の売買契約書(領収書・仲介手数料の明細も) | 契約書ファイル、押し入れの書類箱 | いくらで買ったかの証明。これがないと譲渡所得の計算で不利になります(次の節で詳述) |
| ★ 建築確認済証・検査済証 | 図面の筒、押し入れ、契約書ファイル | 建物が適法に建てられた証明。用途を変えて活用する道が残るかどうかがここで決まります(次の節で詳述) |
| 登記識別情報通知(旧・権利証) | 仏壇・金庫・タンスの奥・銀行の貸金庫 | 所有者と持分の確認。紛失しても手続きは可能ですが、手間と費用が増えます |
| 固定資産税・都市計画税の納税通知書 | 直近の郵便物の束、引き出し | 所在地・地番・家屋番号・評価額が1枚で分かる、いちばん便利な書類 |
| 建物の図面(配置図・平面図・立面図) | 図面の筒 | 面積・間取りの確認。転用を検討するときの出発点 |
| 測量図・境界確認書 | 図面と一緒、または契約書ファイル | 境界をめぐる話し合いの出発点 |
| 重要事項説明書 | 売買契約書と一緒 | 購入時点の法令上の制限(用途地域・接道等)の記録 |
| リフォーム・修繕の見積書や領収書 | 家計簿と一緒のことが多い | 修繕履歴。増改築の費用は取得費に加算できる場合があります |
| 火災保険・地震保険の証券 | 保険の書類一式 | 契約内容と満期の確認 |
| 借地・借家の契約書(該当する場合) | 契約書ファイル | 借地権付きかどうかで進め方が大きく変わります |
このうち★を付けた2つは、後から取り戻すことがきわめて難しい書類です。理由を次の節で説明します。
なぜ「売買契約書」と「建築確認済証」の2つが特別なのか?
実務で「あとから効いてくる損」としていちばん多く見てきたのが、この2つの書類が見つからないことによるものです。どちらも、親が元気なうちに在りかを聞いておけば防げた類のものです。そして売買契約書については、冒頭に書いたとおり、私自身がその当事者でした。
売買契約書がないと、税金の計算で不利になります
不動産を売ったときの譲渡所得は、ごく単純化すると「売った金額 − 取得費 − 譲渡費用」で計算します。この取得費(いくらで買ったか)を証明できないと、売った金額の5パーセント相当額を取得費とみなして計算する取り扱いになります(租税特別措置法第31条の4、同関係通達31の4-1)。
数字にすると、影響の大きさが分かります。
| 契約書がある場合 | 契約書がない場合 | |
|---|---|---|
| 売った金額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
| 取得費 | 実際に買った金額(仮に2,000万円) | 3,000万円 × 5% = 150万円 |
| 課税の対象になる額(譲渡費用は考慮せず) | 1,000万円 | 2,850万円 |
※税率や各種特例を考慮しない、仕組みを示すための単純化した例です。実際の税額の計算・適用の可否は税理士にご確認ください。
昭和の時代に買った家であれば、当時の購入価格は今の相場よりずっと低いことが多く、契約書があっても取得費はそれほど大きくならない——そう思われるかもしれません。それでも、5パーセントよりは大きいのが通常です。増改築の費用も取得費に加算できる場合があるため、リフォームの領収書も同じ扱いで探しておく価値があります。
契約書は、権利証と違って再発行のしくみがありません。売主・仲介業者が現存していれば写しが残っている可能性はありますが、数十年前の取引では期待しにくいのが実情です。だからこそ、親が「あの箱に入っているはずだ」と言えるうちに、現物を確認して撮っておく——この一手間の価値が大きいのです。
建築確認済証がないと、活用の選択肢が狭まります
もうひとつが、建築確認済証と検査済証です。これは、その建物が建築基準法に適合して建てられたことを示す書類です。
これが効いてくるのは、家を「別の使い方」に変えようとするときです。たとえば相続した戸建てを障害者グループホーム(共同生活援助)として活用する場合、建築基準法上は寄宿舎または共同住宅といった特殊建築物として扱われるのが一般的です(取り扱いは自治体により異なります)。用途を変更してこうした特殊建築物とし、その部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるときは、用途変更の確認申請が必要です(建築基準法第87条第1項。2019年6月25日施行の改正で、それまでの100平方メートル超から200平方メートル超に緩和されました)。
一般的な戸建てなら200平方メートル以下に収まることが多く、確認申請そのものは不要になる場合があります。ただし、確認申請が要らないことと、建築基準法に適合しなくてよいことは別です。指定申請や消防の段階で建物の適法性が問われたとき、確認済証・検査済証がないと、それを示す材料がありません。
検査済証がない建物について活用を進める道が閉ざされているわけではありません。建築士が現況を調査し、建築基準法令への適合状況を確認する手順が国土交通省のガイドラインとして整理されています(「既存建築物の現況調査ガイドライン」令和6年12月策定。従来の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」は2025年4月1日にこれへ統合・一本化されました)。ただし、この調査には別途の費用と期間がかかります。書類が1枚あれば済んだはずのところに、調査という工程がまるごと足される——それが「選択肢が狭まる」の中身です。
グループホームへの転用を具体的に検討される場合は、グループホームに使える物件探しもご覧ください。なお、用途変更の確認申請や現況調査は建築士の業務、障害福祉サービスの指定申請は行政書士の業務にあたります。当社は物件そのものの確認と、それぞれの専門家へのお取り次ぎを承ります。
写真を撮れば、原本は捨ててよいのでしょうか?
いいえ。ここは誤解されやすいところなので、はっきり書きます。写真は原本の代わりにはなりません。
譲渡所得の確定申告では、購入時の売買契約書は写しを添付するのが通常の取り扱いです。その意味では、鮮明な写真があれば申告の実務は進みます。ただし内容に疑義が生じたときに原本の確認を求められる可能性は残りますし、印紙の貼付など写真では伝わらない要素もあります。原本があるなら、原本を残す——これが原則です。
実家の片づけでいちばん多い事故が、古い書類の束が、中身を確認されないまま処分されることです。写真を撮る作業には、それ自体に予防効果があります。撮るときに「これは捨ててはいけない書類だ」と家族全員が認識するからです。撮ったら、原本を1つの箱にまとめ、どこに置くかを家族で決めて共有する。ここまでをセットにしてください。
では、写真の本当の役割は何でしょうか?
公的な証明を取り直すための「手がかり」を押さえることです。
建築確認済証・検査済証は、原則として再発行されません。しかし、特定行政庁が保管する台帳に基づく台帳記載事項証明書の交付を受けられる場合があります。いつ・どの番号で建築確認や完了検査を受けたかを、公的に示す書類です。
ここで効いてくるのが写真です。文京区の案内によれば、台帳記載事項証明の交付には台帳の受付番号の特定が必要とされています。確認済証の写真が1枚あれば、確認番号と確認年月日がそこに写っていますから、特定が一気に楽になります。写真がなければ、建築主・当時の地名地番・建物の用途・建築年月日といった情報から探すことになります。
文京区と東京都の取り扱いは、次のとおりです。
| 文京区(区確認の物件) | 東京都(都確認の物件) | |
|---|---|---|
| 建築計画概要書の保管 | 平成元年(1989年)4月以降の申請分 | 平成11年(1999年)5月1日以降のもの |
| 概要書のコピー | 閲覧後に写しの交付あり | コピーサービスは行っていない |
| 台帳記載事項証明 | 昭和25年11月23日以降の申請分/1件300円 | 1通400円 |
| 台帳の閲覧 | 可(受付番号の特定が必要) | 行っていない |
| 窓口 | 都市計画部 建築指導課 | 都市整備局 市街地建築部 建築指導課 |
出典:文京区都市計画部建築指導課「概要書及び台帳記載事項証明について」。手数料は消費税非課税。取り扱いは変更されることがありますので、お手続きの前に窓口へご確認ください。
この表で注目していただきたいのは、建築計画概要書は平成元年4月以降の分しか区にないという点です。相続空き家の3,000万円特別控除の対象となる「昭和56年5月31日以前に建築された家屋」は、まさにこの範囲の外側にあります。昭和の家については、概要書に頼れない。だからこそ、確認済証の原本と、そこに書かれた番号の記録が効いてきます。
帰省中にやることは、結局この3つです
- 撮る——売買契約書と建築確認済証・検査済証を1枚ずつ。所要10分ほど
- 決める——原本を1つの箱にまとめ、置き場所を家族で共有する
- 控える——確認番号と確認年月日だけは、写真とは別にメモしておく。後で台帳記載事項証明を取るときの検索キーになります
固定資産税の納税通知書も、余裕があれば撮っておいてください。1枚に所在地・地番・家屋番号・評価額がまとまっているため、後の相談がぐっと具体的になります。
親に聞いておくべきことは何か?
書類に残らないことだけを聞きます。長い聞き取りにする必要はありません。お茶を飲みながら、思い出話の延長で構いません。
- 境界の経緯:「隣との境は、どこで、いつ決めたか」「杭を入れたときのことを覚えているか」
- 増改築の経緯:「どこを、いつ、どの業者が直したか」「その書類は残っているか」
- 近隣との関係:「どなたと親しくしてきたか」「もめごとはなかったか」
- 土地建物の来歴:「いつ、誰から取得したか」「代々の土地か、購入したものか」
- 本人の希望:「この家をどうしてほしいと思っているか」
最後の項目は、聞きにくい問いです。ただ、親が元気なうちに一度でも口にしてもらえたかどうかが、後でごきょうだいが判断するときの支えになります。「決めてもらう」必要はありません。「聞いておく」だけで十分です。
「誰が引き継ぐか」の話し合いに進む段階になったら、実家を兄弟で相続したら──『とりあえず共有名義』が一番危ない理由もあわせてお読みください。
帰ったあと、いつまでに何をするのか?
制度上の期限は、相続が起きてから動き出します。ただし、知っておくと帰省中の記録の意味が変わるため、主なものを挙げます。
| 項目 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 相続登記の申請義務 | 相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請 | 不動産登記法第76条の2第1項(2024年4月1日施行) |
| 同・怠った場合 | 正当な理由なく怠ったときは10万円以下の過料 | 不動産登記法第164条第1項(2024年4月1日施行) |
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの譲渡が対象 | 租税特別措置法第35条第3項 |
| 同・適用期限 | 2027年(令和9年)12月31日まで | 同上(適用期限の延長) |
| 同・対象となる家屋 | 昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く) | 同上 |
| 同・相続人が3人以上のとき | 1人あたりの控除額は2,000万円(2024年1月1日以降の譲渡) | 同上 |
| 管理不全空家等・特定空家等 | 勧告を受けると住宅用地特例の対象から外れ、土地の固定資産税額が最大6倍になる場合がある(負担調整措置等により実際の増額幅はこれより小さくなることがあります) | 空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項・第2項(令和5年法律第50号による改正・2023年12月13日施行)/地方税法第349条の3の2 |
3,000万円特別控除の昭和56年5月31日以前という要件は、帰省中に確認しやすい項目です。建築確認済証か固定資産税の納税通知書を見れば、おおよその建築年が分かります。ただし適用の可否は税務の専門領域ですので、判断は税理士にご確認ください。当社は提携税理士のご紹介と、売却そのもののサポートを承ります。
放置した場合に何が起こるかは、空き家を放置すると何が起こるか──更地にできない「固定資産税」という壁で詳しく整理しています。
「まだ元気だから早い」と思ったときはどうするか?
この記事でお勧めしているのは、売る準備でも、片づけでも、話し合いの決着でもありません。写真を撮り、書類の在りかをメモし、経緯を聞く——それだけです。所要時間は、通しで半日ほど。決めることは何もありません。
「早い」と感じるのは自然なことです。ただ、この作業は早すぎて困ることがないという点で、ほかの相続準備と性質が違います。撮った写真が無駄になることはありませんし、書類の在りかを知っていて損をすることもありません。
売るか、残すか、貸すか——その判断は、必要になったときに考えれば十分です。判断そのもので迷ったときは、相続した実家は、売るべきか残すべきか──そろばんの外側にある「感情という壁」をご覧ください。
なお、住宅街の一戸建ては、障害者グループホーム(共同生活援助)の住まいとして活用できる場合があります。用途地域・居室面積・消防設備など指定基準に関わる確認が必要で、基準は自治体・事業類型により異なりますが、選択肢の一つとして頭の隅に置いていただければと思います(グループホームに使える物件探し)。
誰に相談すればよいか?
内容によって窓口が分かれます。以下は一般的な整理です。
| 相談したいこと | 窓口 |
|---|---|
| 建物・土地の現況、査定、売却・賃貸活用・管理の比較 | 宅地建物取引業者(四葉不動産株式会社) |
| 遺産分割協議書・遺言書など法務手続きに関わる書類の作成 | 行政書士(四葉行政書士事務所/別契約) |
| 相続登記の申請代理 | 司法書士 |
| 相続税、譲渡所得課税、特別控除の適用判断 | 税理士 |
| 用途変更の確認申請、検査済証のない建物の現況調査 | 建築士 |
| 障害福祉サービス(グループホーム等)の指定申請 | 行政書士(四葉行政書士事務所/別契約) |
| 相続人の間で争いがある場合の代理交渉 | 弁護士 |
四葉不動産株式会社は、文京区小日向の地元会社として、実家の現況確認から売却・賃貸活用・管理の比較材料づくりまでを承ります。「まだ何も決めていないが、写真だけ見てほしい」というご相談で結構です。遠方・海外にお住まいの方は、オンラインと郵送で進められます。
法務手続きに関わる書類作成は、併設の四葉行政書士事務所が別契約で受任します(相続・遺言・信託の書類作成)。登記申請の代理は司法書士、税務は税理士、紛争性のある案件は弁護士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。四葉不動産株式会社・四葉行政書士事務所・四葉社会保険労務士事務所(2026年9月開業予定)は、それぞれ独立した事業体として業務を受任し、当社が紹介料を受け取ることはありません。
相続した不動産の全体像は、文京区で不動産を相続したら|管理・活用・売却の完全ガイドにまとめています。
よくある質問
Q. 親に「相続の準備」と言わずに、この確認をする方法はありますか?
「保険の見直しに写真がいるらしい」「災害に備えて家の記録を残しておきたい」といった入り方をされる方が多いようです。実際、建物の写真と書類の所在の記録は、罹災時の保険請求でも役に立ちます。準備の目的を一つに限る必要はありません。
Q. きょうだいがいます。ひとりで撮ってきてよいのでしょうか?
撮ること自体に問題はありませんが、撮った後に共有することをお勧めします。情報を持っている人と持っていない人に分かれると、後の話し合いで不信が生まれやすくなります。共有フォルダに入れて全員が見られる状態にしておくのが、いちばん簡単な予防策です。
Q. 実家が文京区ではなく遠方にあります。相談できますか?
ご相談は承ります。ただし、実際の売却や賃貸の媒介は、その地域を扱える業者が適している場合があります。まず状況を伺ったうえで、当社でお手伝いできる範囲と、地元業者に依頼したほうがよい範囲をご説明します。
Q. 探しましたが、購入時の売買契約書が見つかりません。もう手はありませんか。
契約書そのものがなくても、取得費を裏づける材料が残っていないかを探す価値はあります。購入当時の住宅ローンの金銭消費貸借契約書、返済予定表、通帳の記録、仲介手数料や登記費用の領収書、購入時のパンフレットや価格表——こうした資料が手がかりになる場合があります。どの資料がどこまで認められるかは税務の判断になりますので、税理士にご相談ください。当社は提携税理士のご紹介を承ります。
Q. 建築確認済証・検査済証が見当たりません。売却はできますか。
売却そのものができなくなるわけではありません。また、確認済証・検査済証は再発行されませんが、特定行政庁の台帳に基づく台帳記載事項証明書の交付を受けられる場合があります。文京区では昭和25年11月23日以降の申請分が対象で、手数料は1件300円です(台帳の受付番号の特定が必要)。用途を変えて活用する場合は、これに加えて建築士による現況調査という道もあります。まずは、どこまでの書類が残っているかの確認から始めます。
Q. 写真を撮っておけば、原本は処分してよいのでしょうか。
いいえ。写真は原本の代わりにはなりません。確定申告に添付するのは写しで足りるのが通常の取り扱いですが、原本は残しておくのが安全です。写真の役割は、①在りかと存在を記録すること、②後で公的な証明を取り直すための手がかり(確認番号・確認年月日など)を押さえること、の2つとお考えください。
Q. 建物が古く、値段がつかないと言われました。
建物に値段がつかない場合でも、土地としての評価や、条件次第で活用の選択肢が残ることがあります。再建築の可否や活用の幅は、接道の状況や隣地との関係など個別の事情により異なるため、まず現況の確認から始めます。結果をお約束するものではありませんが、条件の難しい物件こそ、進め方のご提案が価値を持ちます。
この記事の根拠
- 租税特別措置法第31条の4第1項および租税特別措置法関係通達31の4-1(長期譲渡所得の概算取得費控除)——取得費が不明な場合等は、譲渡による収入金額の5パーセント相当額を取得費とすることができる。昭和28年1月1日以後に取得した土地建物等についても、同通達により同様の取り扱いが認められている
- 建築基準法第87条第1項(用途変更に対するこの法律の準用)——建築物の用途を変更して別表第一(い)欄に掲げる特殊建築物(寄宿舎等)とする場合で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるときは、確認申請が必要。この面積要件は2019年6月25日施行の改正により100平方メートル超から200平方メートル超に緩和された
- 建築基準法第93条の2(書類の閲覧)——特定行政庁は建築計画概要書等の閲覧の請求があった場合に閲覧させなければならない。閲覧対象書類は建築基準法施行規則第11条の4に規定
- 文京区都市計画部建築指導課「概要書及び台帳記載事項証明について」——建築計画概要書の保管は文京区で平成元年4月以降の申請分、東京都で平成11年5月1日以降のもの。台帳記載事項証明は文京区で昭和25年11月23日以降の申請分・1件300円(消費税非課税)、東京都で1通400円。いずれも台帳の受付番号の特定が必要
- 既存建築物の現況調査ガイドライン(国土交通省・令和6年12月策定)——建築士が既存建築物の建築基準法令への適合状況を調査するための手順・方法。従来の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」(平成26年7月)は2025年4月1日をもって本ガイドラインに統合・一本化された
- 不動産登記法第76条の2第1項(相続等による所有権の移転の登記の申請/2024年4月1日施行)——相続により所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその所有権を取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しなければならない
- 不動産登記法第164条第1項(過料/2024年4月1日施行)——正当な理由なく申請を怠ったときは10万円以下の過料
- 租税特別措置法第35条第3項(被相続人の居住用財産に係る譲渡所得の特別控除の特例)——適用期限2027年(令和9年)12月31日。対象は昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)、譲渡価額1億円以下等の要件あり。2024年1月1日以降の譲渡で、当該家屋等を取得した相続人が3人以上の場合は1人あたり2,000万円
- 空家等対策の推進に関する特別措置法第13条第1項・第2項(平成26年法律第127号/令和5年法律第50号による改正・2023年12月13日施行)——改正により「管理不全空家等」が新設され、市町村長による指導(第1項)・勧告(第2項)の対象となった
- 地方税法第349条の3の2(住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例)——小規模住宅用地(200平方メートル以下の部分)は課税標準が6分の1。空家法第13条第2項の勧告を受けた管理不全空家等および特定空家等の敷地は特例の対象から除外され、土地の固定資産税額が最大6倍になる場合がある(負担調整措置等により実際の増額幅はこれより小さくなることがある)
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的・税務的判断を行うものではありません。制度の運用は自治体により異なります。適用の可否については、所轄の税務署・市区町村および各分野の専門家にご確認ください。
