メインコンテンツにスキップ
2026.08.16相続の手続き(行政書士の実務から)

法定相続情報一覧図とは?戸籍一式の代わりに利用できる制度と申出のしかた

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

法定相続情報一覧図は、戸籍から判明する法定相続人を一覧にした図で、法定相続情報証明制度として法務局へ申出ると登記官の認証文付きの写しを交付してもらえます。相続関係説明図との違い、申出方法、5年保存・再交付、行政書士に頼める範囲を整理しました。

結論(先に要点):法定相続情報一覧図は、戸除籍謄本等の記載から判明する法定相続人を一覧にした図で、各種相続手続で戸籍一式の代わりに利用できる制度です。法定相続情報証明制度として登記所(法務局)へ申出ると、登記官が認証文を付した一覧図の写しが交付されます。ただし、一覧図が証明するのは「法定相続人が誰か」までで、遺産分割の内容や相続放棄の結果は証明しません。一覧図の作成・申出は、行政書士が委任による代理人として行えます。相続登記の代理申請を専門家に依頼する場合は司法書士、相続税の申告は税理士が担当します。

法定相続情報証明制度とは何か

法定相続情報証明制度は、平成29年5月29日から全国の登記所(法務局)で始まった制度です。被相続人の戸除籍謄本等の束と、相続関係を一覧にした図(法定相続情報一覧図)を登記所へ申出ると、登記官がその内容を確認したうえで、一覧図に認証文を付した写しを交付します。

この写しを利用すると、その後の相続手続や年金等の手続で、戸除籍謄本等の束を複数の窓口へ何度も提出する手間を減らせます。相続手続では同じ戸籍を複数の窓口へ出すことが多いため、提出の手間を減らせるのがこの制度の利用目的です。

なお、一覧図は相続人の人数や戸籍の関係によって複数枚になる場合があります。また、提出先によっては一覧図の写し以外に追加の書類を求められる場合があります。

法定相続情報一覧図と「認証文を付した写し」の違い

言葉がややこしいので整理します。

  • 法定相続情報一覧図:申出人が戸除籍謄本等の記載に基づいて作成する、相続人を一覧にした図です。
  • 認証文を付した一覧図の写し:登記官が一覧図と戸除籍謄本等との整合性を確認したうえで、一覧図に認証文を付して交付する写しです。

実際に相続手続で利用するのは、後者の「認証文を付した一覧図の写し」です。

一覧図が証明するもの/証明しないもの

法定相続情報一覧図が証明するのは、「被相続人が亡くなった時点での法定相続人が誰か」です。あくまで戸除籍謄本等の記載に基づく法定相続人を明らかにするものです。

一方、次のことは証明しません。

  • 遺産分割の内容(誰がどの財産を取得したか)
  • 相続放棄・遺産分割協議の結果として、実際には相続人とならない方がいるか

そのため、相続放棄や遺産分割協議の結果として相続分を有しない方がいる場合も、その方の氏名等は一覧図に記載されます。一方、推定相続人から廃除された方は相続権がはく奪されているため記載されません。

相続関係説明図との違い

名前が似ていますが、役割と性質が違います。

比較項目法定相続情報一覧図相続関係説明図
何をするものか法定相続情報証明制度の申出に使う図相続人の範囲を分かりやすく示す説明資料
認証の有無登記官が認証文を付した写しを交付認証はない(任意作成)
主な使いどころ相続手続・年金等手続で戸籍一式の代わり相続登記の申請などで相続関係を示す

相続関係説明図は、収集した戸籍をもとに家系図の形で図示するもので、作成者が任意で作ります。これに対して法定相続情報一覧図は、法務局へ申出て登記官の認証を受ける点が大きな違いです。

誰が申出できる?行政書士ができること

申出ができるのは、被相続人の相続人(又はその相続人)です。また、申出人からの委任によって代理人に依頼できます。委任による代理人については、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士及び行政書士に依頼できます(法務局)。

つまり、行政書士は戸籍の収集・読み取りに加えて、法定相続情報一覧図の作成と申出までを委任による代理人として行えます。四葉行政書士事務所では、戸籍収集から一覧図の作成・申出までを一連の流れとしてご案内します。戸籍収集の進め方は相続は何から始める?文京区で進める戸籍収集・相続人調査と行政書士に頼めることをご覧ください。

申出先と郵送申出・郵送交付

申出先は、次のいずれかを管轄する登記所から選択できます。

  • 被相続人の本籍地(死亡時の本籍)
  • 被相続人の最後の住所地
  • 申出人の住所地
  • 被相続人名義の不動産の所在地

申出や一覧図の写しの交付(戸除籍謄抄本の返却を含む)は、登記所へ出向くほか、郵送でも可能です。郵送による交付を希望する場合は、申出書にその旨を記入し、返信用封筒と郵便切手を同封します。

法定相続情報番号(2024年4月1日開始)

2024年4月1日から、交付される一覧図の写しには、法定相続情報を識別するために登記官が付す「法定相続情報番号」が記載されます。

法務局で行う不動産登記の申請等手続では、この番号を申請書に記載することで、一覧図の写し(認証文付きの原本)の添付を省略できる場合があります。

ただし、法定相続情報番号を利用できるのは、法務局で行う不動産登記の申請等手続に限られます。銀行の相続手続、相続税の申告、年金手続など、法務局以外の手続では、一覧図の写しの代わりに番号を利用することはできません。その場合は一覧図の写しを提出するか、提出先の要請に従ってください。

相続人の住所の記載は任意

一覧図に相続人の住所を記載するかどうかは任意です。住所を記載した場合は、申出書にその相続人の「住所を証する書面(住民票の写し等)」を添付します。

住所を記載した一覧図の写しを利用すると、その後の相続登記等の申請で、住所を証する書面の添付を省略できる場合があります。一方、一度交付された一覧図について、交付後に相続人の住所が変わったことだけを理由に、改めて申出をして一覧図を作り直すことはできません。

5年は有効期限?一覧図の保存期間と再交付

法定相続情報一覧図は、申出日の翌年から起算して5年間保存されます。この5年は、交付された写しの「有効期限」ではなく、法務局での保存・再交付が可能な期間です。

再交付を受けられるのは、当初の申出人(当初の申出書に「申出人」として氏名が記載された方)です。他の相続人は、自らの資格では再交付を受けることができません。代理人が再交付を申し出る場合は、当初の申出人からの委任状など必要書類を確認します。再交付の申出は、当初の申出をした登記所で行います。

なお、交付された紙の一覧図の写しは、5年経過後に当然に無効になるわけではありません。ただし、提出先によっては新しい写しを求める場合があります。

外国籍・海外在住の場合

被相続人や相続人が日本国籍を有しないなど、必要な戸除籍謄抄本を提出できない場合は、この制度を利用できません(法務局)。

海外在住というだけでは、この制度を利用できないわけではありません。必要な戸除籍謄抄本が取得・提出できるかどうかがポイントです。外国籍の相続人や海外在住の相続人がいる場合は、戸籍・書類の範囲を個別に確認する必要があります。台湾を含む海外の相続人がいる場合の戸籍・除戸謄本の取得については台湾の除戸謄本はどこで取るかをご覧ください。

一覧図だけでは足りない場面

法定相続情報一覧図の写しは、被相続人の死亡に起因する相続手続及び年金等手続に利用できますが、すべての手続が一覧図だけで完結するわけではありません。

  • 遺産分割協議を行った場合には、一覧図とは別に遺産分割協議書などの関係書類も必要になります(遺産分割協議書は自分で作れる?)。
  • 金融機関や官公署など、提出先によって取扱いが異なります。

そのため、一覧図の写しを利用する場合は、あらかじめ利用先機関に一覧図以外で必要となる書類を確認するのが確実です。

戸籍の広域交付との関係

法定相続情報一覧図の前提となるのは、戸籍の収集です。2024年3月1日から始まった戸籍の広域交付は、戸籍に記載されている本人またはその配偶者・直系尊属・直系卑属であれば、本籍地以外の市区町村窓口でも戸籍・除籍・改製原戸籍を請求できます。

ただし、広域交付は代理人による請求・第三者請求・職務上請求の対象外です。行政書士が委任・職務上請求で戸籍を収集する場合は、本籍地の市区町村へ個別に請求します。戸籍収集と広域交付の詳細は相続は何から始める?をご覧ください。

文京区で相続手続きを進める流れ

四葉行政書士事務所(文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分)では、戸籍収集・相続人調査から法定相続情報一覧図の作成・申出、財産目録、遺産分割協議書の作成までを段階に分けてご案内します。ご相談は無料です。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、相続業務の全体像は相続・遺言・信託サービスをご覧ください。

申出人の住所が文京区の場合は、申出先として東京法務局本局を選択できます。なお、申出先は被相続人の本籍地(死亡時の本籍)、被相続人の最後の住所地、申出人の住所地、被相続人名義の不動産の所在地のいずれかを管轄する登記所から選択します。

相続した不動産の売却・管理は相続不動産の完全ガイド(四葉不動産)をご覧ください。四葉不動産株式会社は四葉行政書士事務所とは別事業体・別契約で対応します。

よくある質問

Q. 法定相続情報一覧図は自分で作れますか?
A. 法務局が様式と記載例を掲載しており、戸籍を集めて作成すれば申出できます。ただし、戸籍の読み取りを誤ると一覧図に誤りが生じ、登記官から修正を求められたり、返戻されたりすることがあります。行政書士は戸籍の収集から一覧図の作成・申出までを代行できます。

Q. 一覧図があれば戸籍はもう必要ありませんか?
A. 戸除籍謄本等の束の代わりとして利用できますが、提出先によって取扱いが異なります。また、遺産分割をした場合は遺産分割協議書などの関係書類が別に必要です。利用先機関に一覧図以外で必要な書類を事前に確認してください。

Q. 一覧図の写しに有効期限はありますか?再交付はいつまでできますか?
A. 一覧図の写し自体に法令上の有効期限の定めはありません。ただし、申出日の翌年から起算して5年間保存され、この間は当初の申出人(当初の申出書に「申出人」として記載された方)が再交付を受けられます。提出先によっては新しい写しを求める場合があります。

Q. 相続放棄した人がいても一覧図に記載されますか?
A. 記載されます。一覧図は戸籍に基づく法定相続人を明らかにするもので、相続放棄や遺産分割協議の結果として相続分を有しない方も記載されます。一方、推定相続人から廃除された方は記載されません。

この記事の出典(一次情報)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の相続の可否・手続・効果を保証するものではありません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。相続登記の代理申請を専門家に依頼する場合は司法書士、相続税は税理士、紛争性のある事案は弁護士、不動産は宅地建物取引業者が、それぞれ独立した事業体として別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。

LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|火・水 10:00〜19:00/月・木・金・土・日 18:00〜19:00