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2026.08.16相続の手続き(行政書士の実務から)

相続土地国庫帰属にかかる費用と期間──審査手数料・負担金・標準処理期間8か月

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

相続土地国庫帰属には、申請時の審査手数料と承認後の負担金があります。審査手数料は土地1筆14,000円、負担金は20万円が基本ですが土地の種目・面積で増える場合があります。標準処理期間8か月、30日以内の負担金納付、隣接土地の合算特例、申請中・承認後の土地管理までを文京区の実務に沿って整理しました。

結論(先に要点):相続土地国庫帰属には、申請時の審査手数料と、承認後の負担金という2段階の費用があります。審査手数料は土地1筆につき14,000円です。負担金は20万円が基本ですが、市街化区域等の一定の宅地・農地、森林などでは面積に応じて20万円を超える場合があります。承認申請後の審査の標準処理期間は8か月とされていますが、申請内容・実地調査・土地の状況・補正などによって8か月を超えることがあります。承認後は、負担金通知が到達した日の翌日から30日以内に納付し、納付した時点で土地所有権が国庫へ帰属します。個別の処理期間・負担金額・承認結果は、法務局の審査によるものであり、当事務所が保証するものではありません。

費用は「審査手数料」と「負担金」の2段階

国庫帰属の費用は、大きく次の2つに分かれます。

段階費用支払時期
申請時審査手数料申請書に収入印紙を貼付して納付
承認後負担金負担金の通知が到達した日の翌日から30日以内

このほか、戸籍等の取得費、郵送費、行政書士等への書類作成報酬、土地家屋調査士への調査・測量等の費用などが発生する場合があります。

審査手数料は土地1筆につき14,000円

審査手数料は、土地1筆につき14,000円です。申請書に収入印紙を貼付して納付します。

取下げ、却下、不承認となった場合でも、審査手数料は返還されません。複数筆をまとめて申請しても、審査手数料の軽減はありません。

例えば10筆の土地を申請する場合、審査手数料は「14,000円×10=140,000円」です。ただし、これは審査手数料だけの金額であり、負担金その他の費用を含みません。

負担金は20万円が基本だが、土地の種目・面積で増える場合がある

負担金は20万円が基本です。ただし、市街化区域等の一定の宅地、市街化区域等の一定の農地、森林などは、面積に応じて20万円を超える場合があります。

負担金は、国が管理することとなる土地について、国有地の種目ごとの10年分の標準的管理費用を考慮して算定されます。「どの土地も20万円」ではありません。

面積は登記記録上の地積を基準にする

面積に応じて負担金を算定する場合、法務省Q&Aに基づき、登記記録上の地積を基準とします。現況を目測した面積ではありません。

現況面積が登記地積と異なる場合、法務省Q&Aでは、原則として承認前に地積更正又は地積変更の登記を行うとしています。その場合、土地の調査・測量、地積更正等の表示登記による追加費用・準備期間が発生する可能性があります。これらの調査・測量、表示登記は土地家屋調査士へ確認してください。

隣接する複数の土地は負担金をまとめられる場合がある

隣接する2筆以上の土地が同じ種目である場合、申出により一つの土地とみなして負担金を算定できる特例があります。自動的に適用されるわけではありません。

申出ができる期間は、承認申請書の提出時から承認されるまでです。

混同しないでください。

  • 審査手数料 → 各筆14,000円のまま
  • 負担金 → 一定の隣接土地について合算算定特例あり
  • 面積比例型では、対象土地の面積を合算して算定

「総費用」を断定しない

制度上の主要費用は審査手数料と負担金です。これとは別に、案件によって次のような費用が発生する可能性があります。

  • 戸籍等取得費
  • 印鑑証明書等の取得費
  • 郵送費
  • 行政書士等への書類作成報酬
  • 土地家屋調査士への調査・測量等の費用
  • 申請要件を満たすために土地の状態を整理する費用

「総額234,000円で必ず終わる」などとはいえません。測量・解体等も、すべての案件で必須ではありません。

期間は3段階で考える

国庫帰属の期間は、次の3段階に分けて考えます。

A 申請前

事前相談、土地・境界・権利関係確認、資料収集、申請書・添付資料作成を行います。必要期間は案件ごとに異なります。事前相談は推奨ですが、相談から申請までの法定期限があるわけではありません。

B 申請後

承認申請後の審査の標準処理期間は8か月とされています。これは通常の審査期間の目安です。書面調査、必要に応じて実地調査などが行われます。

ただし、申請内容、実地調査、天候、土地の状況、補正などによって8か月を超えることがあります。8か月経過後に自動的に承認される制度ではありません。一部の法務局では、申請の補正に要する期間は標準処理期間に含まれないと案内しています。

C 承認後

承認通知と負担金納入告知書が届きます。負担金通知が到達した日の翌日から30日以内に納付します。負担金を納付した時点で土地所有権が国庫へ帰属します。

「8か月で必ず終わる」「申請から8か月後に必ず国庫帰属する」とはいえません。

申請中・承認後も土地管理は申請者の責任

申請後も、承認通知後も、負担金を納付するまでは、土地所有権は申請者にあります。その間、草刈り等を含め、申請者が土地を管理します。

「申請すれば管理義務から解放される」わけではありません。

負担金を納めないとどうなる?

負担金通知が到達した日の翌日から30日以内に納付しなければ、承認は失効します。

同じ土地について再度国庫帰属を希望する場合は、最初から申請し直す必要があります。その場合、以前の審査手数料も返還されません。所有権が国へ移るのは承認通知時ではなく、負担金納付時です。

行政書士に頼めること・頼めないこと

申請主体は、本人又は法定代理人です。任意代理人による申請手続全部の代理はできません。

申請書・添付書類を業として作成代行できる資格者は、弁護士・司法書士・行政書士です。四葉行政書士事務所では、申請者本人名義の申請書・添付書類作成、必要資料の収集・整理を扱います。

承認時期、処理期間短縮、負担金額、承認結果を保証しません。

専門家の担当はこう分かれる

  • 国庫帰属申請書等作成 → 行政書士・司法書士・弁護士
  • 相続登記 → 司法書士又は弁護士
  • 土地の筆界に関する調査・測量、表示に関する登記等 → 土地家屋調査士
  • 個別法的紛争 → 弁護士
  • 税務 → 税理士
  • 売却査定・媒介 → 四葉不動産株式会社

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体・別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。

相続した土地の売却・管理は相続不動産の完全ガイド(四葉不動産)をご覧ください。四葉不動産株式会社は四葉行政書士事務所とは別事業体・別契約で対応します。

国庫帰属できる土地・できない土地も事前に確認

制度を利用できる人、共有者全員共同、却下事由、不承認事由、建物付き土地などの詳しい説明は相続土地国庫帰属制度と相続放棄をご覧ください。

財産調査は相続財産の調査と財産目録、相続手続きの期限は相続手続きの期限まとめ、相続登記は相続登記はどう進める?をご覧ください。受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、相続業務の全体像は相続・遺言・信託サービスをご覧ください。

よくある質問

Q. 国庫帰属は申請から何か月かかりますか?
A. 承認申請後の審査の標準処理期間は8か月とされています。ただし、申請内容、実地調査、天候、土地の状況、補正などによって8か月を超えることがあります。

Q. 8か月で必ず国庫帰属できますか?
A. 8か月で必ず終わるわけではありません。また、承認後は負担金通知から30日以内の納付が必要で、納付時に国庫へ帰属します。

Q. 10筆の土地なら審査手数料はいくらですか?
A. 審査手数料は各筆14,000円のため、10筆なら140,000円です。複数筆でも軽減はありません。これは審査手数料だけの金額です。

Q. 負担金は必ず20万円ですか?
A. 20万円が基本ですが、市街化区域等の一定の宅地・農地、森林などでは面積に応じて20万円を超える場合があります。

Q. 隣り合う複数の土地なら負担金をまとめられますか?
A. 隣接する2筆以上の土地が同じ種目である場合、申出により一つの土地とみなして負担金を算定できる特例があります。自動適用ではなく、承認申請書の提出時から承認されるまでに申し出ます。審査手数料は各筆14,000円のままです。

Q. 申請中も草刈りなどの管理が必要ですか?
A. 申請後も、承認通知後も、負担金を納付するまでは土地所有権は申請者にあります。草刈り等を含め、申請者が管理します。

Q. 承認後30日以内に負担金を払わないとどうなりますか?
A. 承認は失効します。再度国庫帰属を希望する場合は、最初から申請し直す必要があります。以前の審査手数料も返還されません。

Q. 国庫帰属したら翌年の固定資産税は必ずかからない?
A. 固定資産税は、1月1日時点の固定資産課税台帳上の所有者によるものです。年末に国庫帰属し、国への登記が翌年1月となった場合には、翌年度分を従前の所有者が負担する場合があります。個別の課税関係は自治体等へ確認してください。

この記事の出典(一次情報)

  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度に関するQ&A」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の相談対応について」
  • 東京法務局「相続土地国庫帰属制度」(標準処理期間8か月)
  • 相続土地国庫帰属法
  • 相続土地国庫帰属法施行令

本記事は一般的な情報提供であり、個別の国庫帰属申請の処理期間、負担金額、承認の可否、費用総額を保証するものではありません。国庫帰属申請の最終的な承認・不承認、費用算定は法務局の審査・通知によるものです。国庫帰属申請書等の作成は行政書士・司法書士・弁護士、相続登記は司法書士又は弁護士、土地の筆界に関する調査・測量、表示に関する登記等は土地家屋調査士、個別法的紛争は弁護士、税務は税理士、売却査定・媒介は四葉不動産株式会社が、それぞれ独立した事業体として別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

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