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2026.08.16相続の手続き(行政書士の実務から)

遺言書が見つかったら?検認・遺言執行・不動産登記の流れと行政書士に頼めること

浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

遺言書が見つかったら、まず封印の有無と種類を確認します。封印のある遺言書は家庭裁判所外で開封してはいけません。自宅保管の自筆証書遺言は原則検認が必要ですが、公正証書遺言・法務局保管の自筆証書遺言は不要です。遺言執行、遺贈登記、遺留分、行政書士に頼める範囲を文京区の実務に沿って整理しました。

結論(先に要点):遺言書が見つかった場合、まず確認するのは遺言書の種類と、封印の有無です。検認が必要な遺言書について、遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ提出し、検認を請求します。封印のある遺言書は、家庭裁判所外で勝手に開封しないでください。自宅等で保管されていた自筆証書遺言は原則として家庭裁判所の検認が必要ですが、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言は検認不要です。検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。遺言執行者が就任した場合、遺言内容実現のための任務を行います。四葉行政書士事務所では、戸籍収集、相続人調査、財産調査、遺言内容・財産資料の整理、権利義務書類等の作成を行います。検認申立書の作成、遺言の有効性・解釈、遺留分、紛争対応、不動産登記代理は行いません。

遺言書が見つかったら、まず開封せず種類を確認

遺言書が見つかったら、まず種類と封印の有無を確認します。封印のある遺言書は、家庭裁判所外で勝手に開封しないでください(民法第1004条)。

検認が必要な遺言書について、遺言書の保管者又は遺言書を発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく家庭裁判所へ提出し、検認を請求します。

民法第1005条により、遺言書の提出を怠る、検認を経ずに遺言を執行する、封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封するなどした場合、5万円以下の過料となる場合があります。

ただし、単に封筒に入っている全ての文書について一律に「開封してはいけない」と断定するものではありません。ここでいうのは「封印のある遺言書」です。

遺言書があると遺産分割協議は不要?

「遺言があれば必ず一切の遺産分割協議が不要」とはいえません。

有効な遺言によって取得者・分け方が決まっている財産は、原則としてその遺言内容に沿って手続します。一方、遺言に記載されていない財産や、分け方が決まっていない財産は、遺産分割協議が必要になる場合があります。

民法第908条により、遺言者は相続開始から5年以内の期間、遺産分割を禁止できます。遺言と異なる分け方を希望する場合は、遺言執行者、受遺者、分割禁止、第三者関係などが問題になるため、「全員合意なら必ず可能」とは断定できません。個別判断は弁護士にご確認ください。

遺産分割協議の基本は遺産分割協議書は自分で作れる?をご覧ください。

自筆証書・公正証書・法務局保管で何が違う?

遺言の種類によって、検認の要否が異なります。

遺言の種類検認
公正証書遺言不要
法務局保管の自筆証書遺言不要
自宅等で保管された自筆証書遺言原則必要
秘密証書遺言原則必要

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとは?をご覧ください。

なお、2026年6月24日に令和8年法律第45号が公布されましたが、2026年8月現在、遺言制度改正は全面施行前です。押印任意化等は公布から1年以内の政令指定日、保管証書遺言創設等は公布から3年以内の政令指定日とされています。「既に新制度が使える」わけではありません。本記事は2026年8月現在の現行制度に基づきます。

検認とは?遺言の有効性を判断する手続ではない

検認は、遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。目的は、相続人に遺言の存在・内容を知らせ、遺言書の形状、加除訂正、日付、署名等の状態を明確にし、偽造・変造を防止することです。

申立先は、遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。費用は、遺言書1通につき収入印紙800円+郵便料です。検認済証明書は、遺言書1通につき収入印紙150円です。相続人全員が検認期日に出席する必要はありません。

検認後、遺言執行に使用するため、検認済証明書を取得する流れがあります。

家庭裁判所提出書類の作成は司法書士又は弁護士、手続代理・争いは弁護士の領域です。四葉行政書士事務所では、検認申立書を業務として作成しません。

封印された遺言書を自分で開封してはいけない?

封印のある遺言書は、家庭裁判所外で勝手に開封してはいけません。家庭裁判所において、相続人又は代理人の立会いのもとで開封します。

封印のある遺言書を家庭裁判所外で開封するなどした場合、5万円以下の過料となる場合があります。遺言書を発見したら、まず開封せずに専門家又は家庭裁判所へ確認してください。

法務局保管の遺言か分からない場合の確認方法

法務局に遺言書が保管されているか確認するには、遺言書保管事実証明書を利用します。これは遺言書が法務局に保管されているか確認する制度です。

相続開始後は、遺言書情報証明書を取得できます。遺言書情報証明書は、遺言書画像を含む内容証明であり、各種相続手続で原本に代えて使用することが想定されます。

相続人・受遺者・遺言執行者等が、相続開始後に請求できます。法務局保管遺言は検認不要です。

複数の遺言書が見つかったら?

後の日付の遺言があるからといって、古い遺言全部が当然に無効になるわけではありません。

民法第1022条・第1023条によれば、前の遺言と後の遺言が抵触する場合、抵触する部分について、後の遺言によって前の遺言を撤回したものとみなします。複数遺言の有効性・抵触・解釈は弁護士にご確認ください。

遺言執行者とは?指定されていたら何をする?

遺言執行者とは、遺言内容を実現する者です(民法第1006条〜第1016条)。遺言執行者が就任した場合、遺言内容実現のための任務を行います。指定された者が必ず就任するとは限りません。

民法第1009条上、未成年者・破産者は遺言執行者になれません。弁護士・司法書士・行政書士等の資格自体が必須ではありません。したがって、行政書士が遺言で指定され、就任することも可能です。ただし、「行政書士資格があるから特別な遺言執行権限が付与される」わけではありません。

遺言執行者は、就任後、遅滞なく遺言内容を相続人へ通知し、遅滞なく相続財産目録を作成して相続人へ交付します。遺言内容実現のため、相続財産管理その他必要な行為を行います。遺言執行者がいる場合、相続人は遺言執行を妨げる相続財産処分等をしてはなりません(民法第1013条)。

遺言執行者がいない場合は?

遺言執行者が指定されていない、又はいなくなった場合、家庭裁判所は利害関係人の申立てにより遺言執行者を選任できます。

ただし、「遺言執行者がいなければ全ての遺言で必ず家庭裁判所選任が必要」とはいえません。遺言内容により遺言執行者の必要性は異なります。

家庭裁判所提出書類作成は司法書士又は弁護士、法的判断・代理は弁護士の領域です。

遺言による不動産の名義変更──相続登記と遺贈登記

遺言による不動産取得は、全て「相続登記」とは限りません。遺言の文言、取得者が相続人か否か、「相続させる」旨か「遺贈」かなどにより、登記原因・申請方法が異なります。

法務局の2026年版「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」を踏まえて確認します。2023年4月1日以後、相続人に対する遺贈では、受遺者である相続人が単独で所有権移転登記を申請できる制度があります。2023年4月1日前に開始した相続による遺贈でも、同日以後の申請ではこの単独申請制度を利用できる場合があります。

個別登記判断・申請代理・申請書作成は司法書士又は弁護士の領域です。相続登記の流れは相続登記はどう進める?をご覧ください。

特定財産承継遺言について

特定財産承継遺言の場合、民法第1014条第2項により、遺言執行者は、特定財産承継遺言により取得した相続人が対抗要件を備えるために必要な行為を行うことができます。

ただし、これを理由に「行政書士が司法書士業務として登記代理できる」とはなりません。個別の登記実務は司法書士等へ確認してください。

遺留分・遺言の有効性・争いがある場合

遺言があるからといって、遺留分問題がなくなるわけではありません。

遺留分侵害額請求、遺言能力、方式、偽造、複数遺言の効力、遺言解釈、相続人・受遺者間の争いは弁護士の領域です。遺留分については自筆証書遺言と公正証書遺言の違いとは?もご覧ください。

行政書士・司法書士・弁護士・税理士の役割

四葉行政書士事務所では、適法な範囲で、戸籍収集、相続人調査、財産調査、相続関係整理、遺言内容・財産資料の整理、権利義務書類等の作成を扱います。

さらに、遺言によって指定されるなどした場合、遺言執行者に就任すること自体は可能です。ただし、遺言執行者として行う場合でも、弁護士法、司法書士法、税理士法等により他士業に限定される業務は行いません。

  • 紛争・個別法律判断 → 弁護士
  • 不動産登記代理 → 司法書士又は弁護士
  • 家庭裁判所提出書類作成 → 司法書士又は弁護士
  • 税務 → 税理士
  • 不動産査定・媒介 → 四葉不動産株式会社

四葉行政書士事務所と四葉不動産株式会社は別事業体・別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。

相続した不動産の売却・管理は相続不動産の完全ガイド(四葉不動産)をご覧ください。四葉不動産株式会社は四葉行政書士事務所とは別事業体・別契約で対応します。

文京区で遺言書発見後の手続きを進める流れ

四葉行政書士事務所(文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分)では、遺言書の種類・内容の整理、戸籍収集、相続人調査、財産調査、遺言執行に必要な資料整理、権利義務書類等の作成を段階的に案内します。

受任の流れは受任の流れ、料金は報酬額表、相続業務の全体像は相続・遺言・信託サービスをご覧ください。

よくある質問

Q. 封がされた遺言書を家族で開けてもいいですか?
A. 封印のある遺言書は、家庭裁判所外で勝手に開封しないでください。家庭裁判所において相続人又は代理人の立会いのもとで開封します。

Q. 自筆証書遺言は必ず検認が必要ですか?
A. 自宅等で保管された自筆証書遺言は原則として検認が必要です。法務局保管の自筆証書遺言は検認不要です。

Q. 検認をしたら遺言書が有効だと認められたことになりますか?
A. 検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。遺言書の存在・内容・状態を明確にし、偽造・変造を防止する手続です。

Q. 遺言書があれば遺産分割協議は不要ですか?
A. 有効な遺言で分け方が決まっている財産は原則遺言内容に沿いますが、遺言に記載のない財産や分け方が決まっていない財産は遺産分割協議が必要になる場合があります。

Q. 複数の遺言書が見つかったら新しい方だけ有効ですか?
A. 前の遺言と後の遺言が抵触する場合、抵触部分について後の遺言が前の遺言を撤回したものとみなされます。古い遺言全部が当然に無効になるわけではありません。

Q. 遺言執行者が指定されていない場合はどうしますか?
A. 家庭裁判所へ遺言執行者の選任を申し立てることができます。ただし、全ての遺言で選任が必ず必要とは限りません。

Q. 行政書士は遺言執行者になれますか?
A. 遺言によって指定されるなどし、欠格事由がなければ、行政書士が遺言執行者に就任すること自体は可能です。ただし、他士業に限定される業務は行いません。

Q. 封印された遺言書を間違えて開封したら無効ですか?
A. 家庭裁判所外での開封のみを理由として、直ちに遺言そのものが無効になるとは説明しません。ただし民法第1005条の過料対象となる場合があり、検認が必要な遺言書であれば開封後も検認手続を確認してください。遺言の有効性は弁護士にご確認ください。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov 民法第908条、第1004条、第1005条、第1006条〜第1016条、第1022条、第1023条、第1042条以下(必要範囲)
  • 裁判所「遺言書の検認」
  • 裁判所「遺言執行者の選任」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務省「相続人等の手続」
  • 法務省「遺言書情報証明書」
  • 法務省「遺言書保管事実証明書」
  • 法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(2026年版)
  • 司法書士法第3条
  • 行政書士法現行条文
  • 弁護士法第72条

本記事は一般的な情報提供であり、個別の遺言の有効性、方式、検認、遺言執行、遺贈、相続登記、遺留分、紛争を保証するものではありません。検認申立書等の家庭裁判所提出書類作成は司法書士又は弁護士、遺言の有効性・解釈・遺留分・紛争対応は弁護士、不動産登記代理は司法書士又は弁護士、税務は税理士、不動産の査定・媒介は四葉不動産株式会社が、それぞれ独立した事業体として別契約で対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

まずは、状況を整理するところから。

四葉行政書士事務所(文京区小日向・東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分)が、要件の整理から書類作成・申請までお手伝いします。

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