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相続

相続した土地が『盛土規制区域』に入っていたら売れるのか——2023年施行の規制と売却の段取り

相続した実家を前に立つ二人の後ろ姿を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

相続した土地が盛土規制区域に入っていても、売ること自体はできます。盛土規制法が許可の対象にしているのは区域内で行う一定規模以上の盛土・切土などの工事であって、所有権を移す売買ではないからです。価格や売りやすさに効くのは、買主が建て替え・造成で許可を要するか、既存の擁壁が安全かという点。東京都文京区の宅地建物取引士が、宅地造成及び特定盛土等規制法(令和4年法律第55号・令和5年5月26日施行)第12条・第30条と宅地建物取引業法第35条から、売る前に確認できることを整理します。許可・届出の申請は行政書士、擁壁の安全性評価は建築士・土木の専門家、相続登記は司法書士、税務は税理士へ分離受任でご案内します。

結論(先に要点):相続した土地が「盛土規制区域」に入っていても、土地を売ること自体はできます。盛土規制法が許可の対象にしているのは、区域内で行う一定規模以上の盛土・切土などの「工事」であって、所有権を移すこと(売買)ではないからです。価格や売りやすさを左右するのは、買主がそこで工事や建て替えをするときに許可が要るか、既存の盛土・擁壁が安全かという点です。区域に入るかの調査と重要事項説明・媒介は当社が、許可・届出の申請代行は行政書士、擁壁・盛土の安全性評価や設計は建築士・土木の専門家、譲渡所得や相続税は税理士、相続登記は司法書士、境界や契約をめぐる紛争は弁護士へ分けてご案内します。それぞれ独立した事業体として、別々にご契約いただきます。

傾斜地や造成地の土地を相続し、売却を考えている相続人に向けて、「盛土規制区域に入っていると売れないのか」「何から調べればよいのか」を、宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)と宅地建物取引業法の順に整理します。本記事は一般的な情報提供で、既存の盛土・擁壁が安全かどうかの判断や許可の要否の最終判断は、建築士・土木の専門家や所管の都道府県等の領域です。

四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、相続不動産の査定と売却の媒介を承っています。盛土規制区域に入るかもしれない土地について、売る前に確認できることからご相談いただけます。

盛土規制法とは何か、いつから何が変わったのか?

盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)は、令和4年法律第55号により従来の宅地造成等規制法を抜本的に改め、令和5年5月26日に施行されました。危険な盛土等を、土地の用途や目的にかかわらず全国一律の基準で規制するのが狙いです。これにより、宅地造成だけでなく、農地や森林への盛土、土石の堆積なども規制の対象に入りました。

規制区域は2種類あります。

区域どんな土地か工事の許可
宅地造成等工事規制区域市街地や集落など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリア一定規模以上の工事は都道府県知事等の許可(法第12条第1項)
特定盛土等規制区域市街地等から離れていても、地形等の条件で盛土等が崩れると人家等に危害を及ぼしうるエリア一定規模以上の工事は都道府県知事等の許可(法第30条第1項)

このほか、すでに造成された宅地で災害のおそれが大きい区域を「造成宅地防災区域」として指定する仕組みもあります(法第45条)。いずれも区域を指定するのは都道府県知事等で、指定の状況は地域によって進み方が異なります。重要なのは、これらの規制が「工事」にかかるものであって、土地の売買そのものを禁じるものではないという点です。

自分の相続した土地が規制区域かどうかはどう調べるか?

区域に入っているかは、まず区域を指定する都道府県(または指定都市・中核市等)の公表情報で確認します。多くの自治体が、区域指定を告示するとともにウェブの地図や窓口で閲覧できるようにしています。

調べ方内容
自治体の公表地図・窓口都道府県等の盛土規制法の担当課(砂防・宅地防災・開発指導など)で区域を確認
告示の有無区域指定は告示で効力が生じる。指定日と範囲を確認
造成宅地防災区域別枠で指定されていないか確認(既存の造成地が対象)
現地の状況過去の盛土・切土、擁壁、崖、湧水などの有無を現地で確認

区域指定は各都道府県等が順次進めており、同じ市内でも指定の有無が分かれます。当社は、売却の相談をお受けした土地について、所在地の自治体の公表情報から区域該当の見込みを調べ、重要事項説明に向けた調査につなげます。区域の最終的な該当判断は所管の自治体が行います(参照日2026年10月23日時点の公表情報に基づき確認します)。

既存の盛土・擁壁がある土地は売れるのか、誰が安全性を判断するのか?

既存の盛土や擁壁がある土地でも、売ること自体はできます。ただし、買主がそこで新たに建て替えや造成をする場合、区域内なら一定規模以上の工事に許可が要り、既存の擁壁が現行基準に適合しているかが問題になります。古い擁壁(二段擁壁、間知ブロックの老朽化、不明な構造など)は、買主の資金計画や解体・造り直しの費用に直結します。

確認の軸誰が判断するか
既存擁壁の構造・劣化・適法性建築士・土木の専門家(調査・評価・設計)
区域内の工事に許可が要るか所管の都道府県等(許可の審査)
土地の価格への影響宅地建物取引業(当社。査定・媒介)

当社が「この擁壁は安全です」と断ずることはできません。安全性の評価や造り直しの設計は建築士・土木の専門家の領域で、当社は現況(擁壁の有無、過去の造成、崖地かどうか)を整理し、売却の段取りに反映します。崖や擁壁がある土地を売るときの考え方は崖・擁壁のある土地を売る前に確認すること、土壌に由来する調査が絡む土地の売却は工場・倉庫跡地など土壌汚染が疑われる土地の売却も参考になります。

重要事項説明では盛土規制法をどう説明するのか?

宅地建物取引業者が売買を媒介するときは、宅地建物取引業法第35条に基づく重要事項説明で、法令に基づく制限を買主に説明します。盛土規制法の宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域・造成宅地防災区域への該当は、同法施行令第3条に定める「法令上の制限」として説明の対象になります。

説明する内容ポイント
区域への該当宅地造成等工事規制区域・特定盛土等規制区域・造成宅地防災区域のいずれかに入るか
区域内の制限一定規模以上の工事に許可が要る旨(買主の建て替え・造成に影響)
既存の盛土・擁壁現況として把握できる範囲を説明。安全性の判断は専門家の領域

区域に入っていても、その事実を正しく調査し説明すれば売買は成立します。むしろ説明を怠ると、後で契約不適合や説明義務違反を問われるおそれがあります。当社は、区域該当の調査結果を重要事項説明に正確に反映し、買主が建て替え・造成で許可を要する可能性を含めて説明します。許可が実際に下りるか、どの工事が許可対象かといった個別判断は、所管の自治体と、申請を扱う行政書士の領域です。

許可申請・税務・登記は誰に頼むのか?(分離受任)

盛土規制区域の相続土地を売る場面は、不動産・許認可・建築・税務・登記・紛争がそれぞれ別の事業体にまたがります。順番を取り違えると、安全性の評価を飛ばして売り出す、相続登記が済まないまま買主を探す、といった行き違いが起きます。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

役割誰が担うか
区域該当の調査、査定、重要事項説明、売却の媒介・決済宅地建物取引業(当社)
盛土規制法の許可・届出の申請代行行政書士
既存擁壁・盛土の安全性評価、造り直しの設計建築士・土木の専門家
相続登記、建物の表題変更などの登記司法書士
譲渡所得税・相続税の計算と申告税理士
境界や契約をめぐる紛争、相続人間の争い弁護士

盛土規制法の許可・届出の申請書類の作成は行政書士の業務で、当社は代行しません。既存の擁壁や盛土が安全かの判断・設計は建築士・土木の専門家が担います。

これらはそれぞれ独立した事業体であり、別々にご契約いただく前提です。当社は区域該当の調査と売却の媒介を担い、許可・届出の申請は行政書士、安全性評価と設計は建築士・土木の専門家、相続登記は司法書士、譲渡所得税・相続税は税理士、紛争は弁護士へと分けてご案内します。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。

盛土規制区域の相続土地の売却を四葉不動産にどう相談できますか?

傾斜地や造成地の土地を相続し、盛土規制区域に入っているかもしれない土地を売りたい方から、四葉不動産へ直接、査定と売却の媒介のご依頼をいただけます。 まずは次の内容をお知らせください。

  • 売りたい土地の所在と、登記名義の現況(相続登記が済んでいるか)
  • 傾斜地・造成地か、既存の盛土・擁壁・崖があるか
  • 過去の造成や建て替えの履歴で分かっていること
  • 相続人の人数と、遺産分割の状況

四葉不動産は、所在地の自治体の公表情報から区域該当の見込みを調べ、売る前に確認できることをお伝えします。許可・届出の申請は行政書士、擁壁・盛土の安全性評価は建築士・土木の専門家、相続登記は司法書士、税務は税理士、紛争は弁護士へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく分離受任でご案内します。

盛土規制区域に入るかもしれない相続土地の売却を四葉不動産に相談する(相談無料)

相続した土地が市街化調整区域に入っている場合の売却の考え方は相続した市街化調整区域の土地は売れるかもご覧ください。お問い合わせに「盛土規制区域の相続土地の売却」と、土地の所在・現況をご記入ください。売れる・売れないを先に決めつけず、区域の調査と、どこを誰に振るかの整理からお話しします。

よくある質問

Q. 相続した土地が盛土規制区域に入っていると、もう売れないのですか?
A. 売れます。盛土規制法が許可の対象にしているのは区域内で行う一定規模以上の盛土・切土などの工事であって、土地の売買そのものではありません(法第12条第1項・第30条第1項)。価格や売りやすさに効くのは、買主が建て替え・造成で許可を要するか、既存の擁壁が安全かという点です。区域該当は当社が調査し、重要事項説明に反映します。

Q. 盛土規制区域かどうかは、どこで調べられますか?
A. 区域を指定するのは都道府県知事等で、告示とともにウェブの地図や窓口で確認できるのが一般的です。盛土規制法の担当課(砂防・宅地防災・開発指導など)でご確認いただけます。当社も売却のご相談をお受けした土地について、所在地の自治体の公表情報から区域該当の見込みを調べます。最終的な該当判断は所管の自治体が行います。

Q. 古い擁壁がある土地です。安全かどうかは不動産会社が判断できますか?
A. いいえ。擁壁や盛土が安全かの判断、現行基準への適合、造り直しの設計は、建築士・土木の専門家の領域です。当社は現況(擁壁の有無・過去の造成・崖地かどうか)を整理して売却に反映し、安全性の評価は専門家へおつなぎします。買主が工事をする際の許可の要否は、所管の自治体と行政書士の領域です。

Q. 盛土規制区域の土地は、重要事項説明でどう扱われますか?
A. 盛土規制法の区域への該当は、宅地建物取引業法第35条・同法施行令第3条に基づく「法令上の制限」として重要事項説明の対象になります。区域に入っていても正しく調査・説明すれば売買は成立します。説明を怠ると後で責任を問われるおそれがあるため、当社は区域該当の調査結果を正確に反映して説明します。

この記事の出典(一次情報)

以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。区域指定の状況は都道府県等ごとに異なります。参照日はいずれも2026年10月23日。個別の土地が規制区域に入るか、許可が要るかを確定するものではありません。

  • e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)」(昭和36年法律第191号。令和4年法律第55号による全部改正・令和5年5月26日施行。第12条第1項=宅地造成等工事規制区域内の工事の許可、第30条第1項=特定盛土等規制区域内の工事の許可、第45条=造成宅地防災区域)
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号。第35条=重要事項の説明。法令に基づく制限を買主に説明する義務)
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行令」(昭和39年政令第383号。第3条=重要事項説明の対象となる法令上の制限に盛土規制法関係を掲げる)
  • 国土交通省「盛土規制法」解説ページ:規制区域の考え方・許可制度の概要(参照日2026年10月23日)。区域指定の状況は各都道府県等の公表情報で確認

本記事は一般的な情報提供であり、個別の売却の可否や許可の要否、既存の盛土・擁壁の安全性を保証するものではありません。区域への該当は所管の都道府県等が、擁壁・盛土の安全性は建築士・土木の専門家が、許可の要否は所管の自治体と行政書士が判断します。

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。相続不動産の査定と売却の媒介を承ります。著者プロフィール

更新日:2026年10月23日

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