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売りにくい土地・建物

文京区のがけ・擁壁のある土地を売るとき、何を確認し、誰が安全性を判断しますか?

桜が咲く文京区の街並み
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

坂と高低差の多い文京区で、がけ・擁壁のある土地を売るときは、擁壁の安全性と建て替え時の要否が価格と買い手の範囲を左右します。東京都建築安全条例第6条は高さ2mを超えるがけの下端から高さの2倍以内に建築・造成する場合に高さ2mを超える擁壁を求め、高さ2m超の擁壁は建築基準法第88条第1項・施行令第138条第1項第5号により確認の対象、がけ崩れのおそれがあれば擁壁等の措置が要ります(第19条第4項)。2024年7月31日から文京区全域が盛土規制法の宅地造成等工事規制区域です。安全性は建築士と特定行政庁が判断し、当社は書類の整理・役所調査・重要事項説明・出口の比較を行います。

結論(先に要点):文京区のように坂と高低差の多い地域では、がけや擁壁のある土地を売るとき、「擁壁が安全か」「建て替えのときに造り直しが要るか」が価格と買い手の範囲を左右します。東京都建築安全条例第6条は、高さ2mを超えるがけの下端からの水平距離ががけの高さの2倍以内の場所に建築物を建てる、または敷地を造成する場合に、原則として高さ2mを超える擁壁を設けることを求めています。高さ2mを超える擁壁は建築基準法第88条第1項と同法施行令第138条第1項第5号により工作物として確認の対象で、建築物ががけ崩れ等の被害を受けるおそれがあるときは擁壁の設置その他安全上適当な措置が必要です(同法第19条第4項)。さらに2024年7月31日から文京区全域が宅地造成及び特定盛土等規制法(盛土規制法)の宅地造成等工事規制区域に指定され、一定規模以上の盛土・切土は許可の対象です。擁壁の安全性と建て替え時の要否は建築士(構造)と特定行政庁(文京区)が判断し、当社(四葉不動産株式会社)は判断しません。当社が行うのは、擁壁の検査済証などの書類と役所調査の結果を報告書にし、重要事項として説明し、出口を並べることです。各専門家とはそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただき、当社は紹介料を受け取りません。

小日向・小石川・目白台・本郷など、文京区の住宅地は台地と低地の境に坂が走り、擁壁の上に建つ家、がけの下に建つ家が珍しくありません。相続した実家の裏が高い擁壁だった、造成時の書類が残っていない、というご相談は、売却の前に必ず整理が要ります。本記事は、がけ・擁壁のある土地を売るときに、何を確認し、誰が判断し、どう説明するかを条文と区の公表資料から整理します。出口の全体像は売りにくい土地・建物の出口相談、接道や再建築の論点は再建築不可の土地・家の出口相談にまとめています。

がけ・擁壁のある土地は、何が問題になりますか?

規定内容売却で効いてくる場面
東京都建築安全条例第6条高さ2mを超えるがけの下端からの水平距離ががけの高さの2倍以内の場所に建築物を建築し、または敷地を造成する場合は、原則として高さ2mを超える擁壁を設けなければならない建て替え時に擁壁の新設・造り直しが必要になりうる
建築基準法第19条第4項建築物ががけ崩れ等による被害を受けるおそれのある場合は、擁壁の設置その他安全上適当な措置を講じなければならないがけ下・がけ上の敷地での安全措置
建築基準法第88条第1項・施行令第138条第1項第5号高さ2mを超える擁壁は工作物として、確認等の規定が準用される既存擁壁に確認済証・検査済証があるかどうか
盛土規制法(宅地造成及び特定盛土等規制法)宅地造成等工事規制区域内の一定規模以上の盛土・切土・土石の堆積は許可の対象造成をともなう建て替え・売却後の工事

つまり、擁壁が古い、書類がない、高さや構造が分からない土地は、買主が建て替えの費用とリスクを読めず、買い手の範囲が狭くなります。逆に、擁壁の書類がそろい、専門家の見立てが得られていれば、説明できる土地になります。

売る前に、どの書類を確認しますか?

確認事項書類・確認先担う人
擁壁の確認済証・検査済証の有無文京区の建築計画概要書・台帳記載事項証明当社(役所調査)
造成時の図面・工事記録所有者の保管書類、施工会社所有者、当社が整理
がけの高さ・擁壁の高さと敷地との位置関係現地の測量・高低差の分かる図面土地家屋調査士・測量士
擁壁の構造・劣化の状況現地調査建築士(構造)。当社は判断しない
宅地造成等工事規制区域の指定文京区・東京都の公表資料当社(役所調査)
隣地との境界と擁壁の所有関係境界確定測量、登記簿土地家屋調査士。手順は境界確定測量と売却

擁壁が自分の土地にあるのか隣地にあるのか、共有なのかは、境界の位置とあわせて確認します。擁壁の所有関係が曖昧なままだと、修繕費用の負担をめぐる争いのもとになり、紛争性が出れば弁護士の領域です。

盛土規制法で、文京区は何が変わりましたか?

宅地造成及び特定盛土等規制法(昭和36年法律第191号。令和4年法律第55号による改正で題名が変わり、2023年5月26日施行)に基づき、東京都は規制区域を指定し、文京区の公表によれば2024年7月31日から文京区全域が「宅地造成等工事規制区域」に指定されました。文京区が主な対象として挙げる工事は次のとおりです。

許可の対象となる主な工事(文京区の公表資料による)
盛土で高さ1mを超えるがけを生じるもの
切土で高さ2mを超えるがけを生じるもの
盛土で高さ2mを超えるもの
盛土または切土をする土地の面積が500㎡を超えるもの
一時的な土石の堆積で高さ2mを超え、かつ面積300㎡を超えるもの

これらは、売却後に買主が擁壁を造り直す、敷地を造成するといった場面で関わります。どの工事が許可の対象になるかは、文京区の担当課(都市計画課開発担当)と建築士に確認します。本記事は個別の工事の許可要否を判断しません。

誰が、擁壁の安全性を判断しますか?

判断事項判断する人当社の関わり
擁壁の構造・安全性・耐用の見立て建築士(構造設計)、必要に応じて地盤・擁壁の専門業者書類と現地の情報を整理して渡す
建て替え時に擁壁の新設・造り直しが要るか建築士、特定行政庁(文京区)役所調査で条例・規制区域の該当を確認
盛土・切土の許可要否特定行政庁(文京区)、建築士区の公表資料を報告書に添える
擁壁の所有関係・費用負担土地家屋調査士(境界)、紛争性があれば弁護士登記簿・公図の確認

当社は宅地建物取引業者であり、擁壁が安全かどうか、造り直しが要るかどうかを判断する資格を持ちません。判断は建築士と特定行政庁が行い、当社はその見立てを買主に正確に伝えます。

売却時の説明と責任は、どうなりますか?

宅地建物取引業法第35条第1項第2号は、建築基準法その他の法令に基づく制限で政令で定めるものの概要を重要事項として説明することを求めています。東京都建築安全条例第6条のがけの規定や、盛土規制法の規制区域は、この説明に関わる事項です。

説明する事項内容
がけ・擁壁の存在と高さ、位置関係測量や図面に基づく事実
擁壁の確認済証・検査済証の有無役所調査の結果。無いなら無いことを説明
東京都建築安全条例第6条の該当建て替え時に擁壁が必要になりうること
宅地造成等工事規制区域の該当一定規模以上の工事は許可対象であること
建築士の見立て(取得している場合)内容と、見立てであって保証ではないこと

売主が知りながら告げなかった事実については、担保責任を負わない特約をしても責任を免れません(民法第572条)。擁壁のひび割れや過去の崩れ、役所からの指摘は、そのまま買主に伝えます。契約不適合責任の範囲をどう定めるかは、契約ごとに検討します。

出口は、どう比べますか?

出口向く場面先にすること
書類と見立てを整えて媒介で売る擁壁の書類があり、建築士の見立てが得られる役所調査、建築士への相談
現状のまま媒介で売る書類が無く、見立ても取らない無いことを含めて重要事項説明
提携する買取業者を買主とする媒介早く現金化したい、契約不適合責任を限定したい価格の根拠の説明
建てずに貸す・持つ建て替えを急がない既存建物の状態の確認

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

当社は、これらを報告書に並べ、価格の根拠を書面で示します(宅地建物取引業法第34条の2第2項)。査定額と売値の関係は査定額と売値の違い、セットバックとの関係は42条2項道路のセットバックがある土地の面積と価格をご覧ください。

四葉不動産株式会社は、何を行いますか?

四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)は、東京都文京区小日向を拠点に、がけ・擁壁のある土地、再建築不可・狭小地・共有・借地など売りにくい土地・建物の売却の媒介と、出口の比較を行っています。がけ・擁壁のある土地では、役所調査(確認済証・検査済証の有無、条例の該当、規制区域の指定、用途地域)、書類の整理、建築士への相談材料の作成、報告書と出口の比較、媒介契約(同法第34条の2)、重要事項説明(同法第35条)、売買契約と決済の段取りを担います。報酬は同法第46条に基づく定めの範囲内で、紹介料は受け取りません。

誰に相談すればよいですか?

役所調査、書類の整理、出口の比較、重要事項説明、売却の媒介は四葉不動産株式会社が承ります。擁壁の安全性と建て替え時の要否の判断は建築士(構造)と特定行政庁(文京区)が、盛土・切土の許可は文京区の担当課が、境界と高低差の測量は土地家屋調査士・測量士が、登記は司法書士が、譲渡所得の税務は税理士が、擁壁の所有や費用負担をめぐる隣地との紛争は弁護士が担います。これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。

よくある質問

Q. 擁壁の検査済証がありません。売れませんか?
A. 売れないわけではありません。無いことを重要事項として説明し、建築士の見立てを取るか、現状のまま売るか、提携する買取業者を買主とする媒介にするかを比べます。書類が無い擁壁は買主が建て替え費用を読みにくいため、買い手の範囲が狭くなることは一般論として押さえておきます。

Q. 擁壁が古いのですが、造り直しは必要ですか?
A. 当社は判断できません。建て替えの計画がある場合、東京都建築安全条例第6条の該当や擁壁の構造・状態をもとに、建築士と特定行政庁(文京区)が判断します。造成をともなう工事は盛土規制法の許可の対象になることがあり、これも区の担当課で確認します。

Q. 隣の家の擁壁がうちの土地に迫っています。誰の責任ですか?
A. 擁壁がどちらの土地にあるか、境界がどこかで変わります。境界確定測量は土地家屋調査士が行い、費用負担や修繕をめぐって争いがあるときは弁護士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。当社は登記簿・公図と測量結果を整理し、売却時の説明に反映します。

Q. 盛土規制法の規制区域に入っていると、売却に何か影響しますか?
A. 売却そのものが制限されるわけではありません。ただし、買主が擁壁の造り直しや造成を行う場合、一定規模以上の盛土・切土は許可の対象になるため、重要事項説明で規制区域の該当を伝えます。文京区の公表によれば、2024年7月31日から文京区全域が宅地造成等工事規制区域です。

この記事の出典(一次情報)

  • 東京都例規集「東京都建築安全条例」(昭和25年東京都条例第89号。第6条=高さ2mを超えるがけの下端からの水平距離ががけの高さの2倍以内に建築・造成する場合の擁壁の設置。最終改正 令和7年3月31日条例第53号。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第19条第4項=がけ崩れ等のおそれのある場合の擁壁の設置その他安全上適当な措置、第88条第1項=工作物への準用。現行版の施行日 2026年5月27日・令和8年法律第23号による改正。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(昭和25年政令第338号。第138条第1項第5号=高さ2mを超える擁壁を工作物として指定。現行版の施行日 2025年12月1日・令和7年政令第377号による改正。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「宅地造成及び特定盛土等規制法」(昭和36年法律第191号。令和4年法律第55号による改正・2023年5月26日施行。現行版の施行日 2025年6月1日・令和4年法律第68号による改正。2026年9月24日参照
  • 文京区「宅地造成及び特定盛土等規制法の施行について」(2024年7月31日から文京区全域が宅地造成等工事規制区域。許可の対象となる工事の規模。問い合わせ先=都市計画部都市計画課開発担当。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号。第34条の2第2項=価額の根拠の明示、第35条第1項第2号=法令に基づく制限の説明、第46条=報酬。現行版の施行日 2026年4月1日・令和7年法律第68号による改正。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号。第572条=担保責任を負わない旨の特約の限界。現行版の施行日 2026年6月24日・令和8年法律第45号による改正。2026年9月24日参照

※擁壁の安全性、建て替え時の擁壁の要否、盛土・切土の許可要否、価格は、がけの高さ・擁壁の構造と状態・敷地との位置関係・区の判断によって変わります。本記事は個別の土地について判断していません。擁壁の安全性と建築の可否は建築士・特定行政庁へ、許可は文京区の担当課へ、測量は土地家屋調査士へ、登記は司法書士へ、税務は税理士へ、紛争は弁護士へご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の土地・取引の適否や結果を判断・保証するものではありません。安全性や法令上の制限の最終判断は建築士・特定行政庁が行います。
※土地の査定・媒介および売買契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、擁壁の安全性の判断は建築士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。擁壁の安全性は建築士・特定行政庁に委ね、書類と役所調査の結果を報告書にして出口を同じテーブルに並べます。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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