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相続の手続き(行政書士の実務から)

亡くなった家族名義の自動車の相続と移転登録はどう進める?普通車・軽自動車の違い

家族・住まい・相続書類を整理するイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

行政書士・宅地建物取引士(四葉行政書士事務所/四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

被相続人名義の自動車も相続財産で、遺産分割の対象です(民法第896条・第898条・第907条)。普通自動車は道路運送車両法第13条の移転登録を所有権移転から15日以内に運輸支局で、軽自動車は登録制度の対象外で軽自動車検査協会で名義変更します。査定額100万円以下の普通車は遺産分割協議成立申立書で協議書に代えられる簡易な取扱いも解説。自動車の名義変更は行政書士、不動産の相続登記は司法書士、相続税は税理士、争いは弁護士へ振り分ける分離受任を整理しました。

結論(先に要点):亡くなった家族名義の自動車も相続財産で、遺産分割の対象になります。被相続人の財産は相続開始のときに相続人へ承継され(民法第896条)、相続人が複数なら相続財産はいったん共有になり(民法第898条)、誰が引き継ぐかは遺産分割の協議(民法第907条)で決めます。普通自動車(登録自動車)は、道路運送車両法第13条にもとづき、所有権の移転があった日から15日以内に運輸支局で移転登録(名義変更)を申請します。軽自動車はこの登録制度の対象外で、軽自動車検査協会での手続になります。査定額100万円以下の普通自動車は、遺産分割協議書に代えて遺産分割協議成立申立書を使える簡易な取扱いがあります。本記事は手続の流れと必要書類・役割分担を整理する一般的な情報提供であり、個別の相続関係や書類の要否は判断しません。

自動車も遺産分割の対象になりますか

自動車は動産の相続財産で、預貯金や不動産と同じく遺産分割の対象です。被相続人の財産に属した一切の権利義務は相続開始のときに相続人へ承継され(民法第896条)、相続人が複数いるときは相続財産がいったん共同相続人の共有になります(民法第898条)。誰がその自動車を引き継ぐかは、共同相続人が遺産分割の協議(民法第907条)で決め、遺言があれば遺言に従います。

引き継ぐ人が決まったら、車検証(自動車検査証)上の所有者を変える手続が必要です。手続の入口は、その自動車が普通自動車(登録自動車)か軽自動車かで分かれます。車検証の「所有者」がローン会社やディーラーのままになっている(所有権留保)ときは、まず所有者側の手続が必要になるため、車検証の記載を先に確認します。

普通車と軽自動車で手続きはどう違いますか

普通自動車は道路運送車両法の登録制度の対象で、相続では「移転登録」を行います。軽自動車は登録制度の対象外で、軽自動車検査協会で名義変更(自動車検査証記入申請=所有者の変更記録)を行います。おおまかな違いは次のとおりです。

項目普通自動車(登録自動車)軽自動車
手続の名称移転登録(道路運送車両法第13条)名義変更(自動車検査証記入申請)
窓口管轄の運輸支局軽自動車検査協会
申請期限所有権の移転があった日から15日以内所有者の変更があった日から15日以内(道路運送車両法第67条第1項)
遺産分割協議書原則必要(相続人1名や申立書の場合を除く)原則として求められないことが多い
車庫(保管場所)自動車保管場所証明書(車庫証明)地域により保管場所の届出

普通自動車の移転登録に必要な主な書類は、申請書(第1号様式)、手数料納付書(登録印紙。移転登録は500円)、自動車検査証、被相続人の死亡と相続人が分かる戸籍謄本一式または法定相続情報一覧図の写し、遺産分割協議書(相続人が1名なら不要)、新所有者の印鑑証明書(発行後3か月以内)と実印、自動車保管場所証明書(証明日から40日以内)などです。管轄が変わるときはナンバープレートの交換や自動車の持ち込みが要る場合があります。なお、相続による移転登録は、オンラインでまとめて行う自動車保有関係手続(OSS)の対象外で、運輸支局の窓口での手続になります。四葉行政書士事務所は、行政書士業務の範囲で、これらの書類作成と移転登録の代理を支援します。個別の書類の要否は運輸支局の取扱いによります。

査定額100万円以下だと書類は簡単になりますか

相続する普通自動車の価格が100万円以下の場合は、遺産分割協議書に代えて「遺産分割協議成立申立書」を使える簡易な取扱いがあります。相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる査定証、または査定価格を確認できる資料の写し等を添付した場合に限って使えます。

区分用いる書類他の相続人の関与
通常(協議書方式)遺産分割協議書相続人全員の署名・実印・印鑑証明書
査定額100万円以下(申立書方式)遺産分割協議成立申立書+査定価格の分かる資料申請する相続人だけで作成でき、他の相続人の実印・印鑑証明書は不要

申立書方式では、その自動車を相続する相続人が単独で申立書を作成でき、申請人本人の実印は押しますが、ほかの相続人の同意書や印鑑証明書は求められません。査定額は、中古車の査定業者やディーラー等が発行する査定価格の分かる資料で示します。100万円を超える場合や、相続人の間で取得者に争いがある場合は、この簡易な方式は使えず、通常の遺産分割協議書が必要です。どの方式に当たるかは、車両の評価額と相続関係で決まります。

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相続登記や相続税とはどう役割を分けますか

自動車(動産)の名義変更と、不動産・税・紛争は、それぞれ担当する専門家が分かれます。役割は次のとおりです。

  • 自動車の移転登録・名義変更の書類作成・代理、遺産分割協議成立申立書や自動車保管場所証明書(車庫証明)の作成 → 四葉行政書士事務所(行政書士)
  • 不動産の相続登記(所有権移転登記) → 司法書士
  • 相続税の申告・納税、譲渡や評価の税務 → 税理士
  • 遺産分割そのもので相続人の間に争いがある場合の交渉・調停・訴訟 → 弁護士

四葉行政書士事務所と、不動産の相続を扱う四葉不動産の相続の窓口は別事業体です。各分野は、それぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提で、当事務所は紹介料を受け取りません。相続の全体の流れは相続手続の受任の流れ、料金は報酬額表、相続の取扱業務は相続手続サービスをご覧ください。相続登記の考え方は相続登記の流れ、遺産分割協議書の作り方は遺産分割協議書の作成、相続開始後にやることの全体像は相続手続チェックリストで整理しています。

よくある質問

Q. 自動車の名義変更に期限はありますか?
A. 普通自動車の移転登録は、道路運送車両法第13条により、所有権の移転があった日から15日以内に申請することとされています。相続の場合は遺産分割が整うまで時間がかかることもありますが、名義をそのままにすると、売却・廃車や自動車保険、リコール通知などで支障が出ることがあるため、遺産分割が決まったら早めの手続をおすすめします。軽自動車も、道路運送車両法第67条第1項により、所有者の変更があった日から15日以内に軽自動車検査協会で手続を行うこととされています。

Q. 相続人が1人でも遺産分割協議書は必要ですか?
A. 相続人が1人だけであれば、遺産分割協議書は不要で、その相続人であることが戸籍で確認できれば移転登録を申請できます。相続人が複数いる場合は、原則として遺産分割協議書(相続人全員の実印・印鑑証明書付き)が必要ですが、査定額100万円以下の普通自動車では遺産分割協議成立申立書で代えられます。

Q. 軽自動車の相続手続は普通車とどう違いますか?
A. 軽自動車は道路運送車両法の登録制度の対象外で、名義変更は軽自動車検査協会で行います。相続の場合でも遺産分割協議書までは求められないことが多く、新所有者の住民票など比較的簡易な書類で手続できます。ただし取扱いは変わり得るため、必要書類は軽自動車検査協会の最新の案内で確認してください。

Q. 車の名義変更と一緒に相続税や不動産の登記も頼めますか?
A. 自動車の名義変更は行政書士が扱えますが、相続税の申告は税理士、不動産の相続登記は司法書士、相続人の間の争いは弁護士と、担当する資格が分かれます。四葉行政書士事務所はそれぞれの資格者と独立した事業体として別々にご契約いただく前提でご案内し、紹介料を受け取りません。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「道路運送車両法」(昭和26年法律第185号)第13条(移転登録)・第67条第1項(自動車検査証の記録事項の変更)(参照日 2026-09-22)
  • e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号)第896条(相続の一般的効力)・第898条(共同相続の効力)・第907条(遺産の分割の協議)(参照日 2026-09-22)
  • 国土交通省・地方運輸局「自動車の相続(移転登録)の手続・必要書類」および「遺産分割協議成立申立書」(相続する自動車の価格が100万円以下であることを確認できる資料を添付した場合に使用可・参照日 2026-09-22)
  • 軽自動車検査協会「名義変更(相続を含む所有者の変更)の手続」(参照日 2026-09-22)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の相続関係における必要書類の要否、査定額の評価、手続の受理を保証するものではありません。移転登録の可否と審査は運輸支局が、軽自動車の手続は軽自動車検査協会が行います。不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士、相続人の間に争いがある場合の交渉・調停・訴訟は弁護士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約のうえ対応します。当事務所は紹介料を受け取りません。個別の判断は、面談のうえ資格者が行います。執筆は浦松 丈二(行政書士・宅地建物取引士)です。

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