相続した実家が特定空家の勧告を受けると固定資産税が上がる—住宅用地特例が外れる前の動き方

相続した実家が特定空家等の「勧告」を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例から外れ、翌年度の賦課期日(1月1日)から土地の税額が大きく上がります。段階は助言・指導(空家特措法第22条第1項)→勧告(第22条第2項)→命令(第22条第3項)→行政代執行(第22条第9項)と進み、税が変わる境目は勧告です。住宅用地特例(地方税法第349条の3の2)は小規模住宅用地200㎡以下で価格の6分の1、一般住宅用地で3分の1に軽くする仕組みで、勧告を受けた敷地は対象から外れます。東京都文京区の宅地建物取引士が、売る・解体する・活用するの判断材料を条文と国の指針から整理します。
結論(先に要点):相続した実家が特定空家等の「勧告」を受けると、その敷地は固定資産税の住宅用地特例から外れ、翌年度の賦課期日(1月1日)から土地の税額が大きく上がります。段階は、助言・指導(空家等対策の推進に関する特別措置法〔平成26年法律第127号〕第22条第1項)→勧告(第22条第2項)→命令(第22条第3項)→行政代執行(第22条第9項)と進み、税額が変わる境目は「勧告」です。住宅用地特例は地方税法(昭和25年法律第226号)第349条の3の2で、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は価格の6分の1、一般住宅用地(200㎡超の部分)は3分の1に軽くする仕組みで、勧告を受けた敷地はこの対象から除かれます。特例が外れると非住宅用地の課税標準に切り替わり、自治体の試算では土地の固定資産税が約4倍になる例もあります。令和5年改正(令和5年法律第50号・令和5年12月13日施行)では、特定空家化のおそれがある「管理不全空家等」が新設され、こちらも勧告(同法第13条第2項)で特例が外れます。査定と売却の媒介は当社(宅地建物取引業)、相続登記が未了なら登記は司法書士、譲渡所得税や空き家特例の税務は税理士、代執行・除却費の補助・勧告の撤回などの行政手続は自治体の空家対策窓口へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料のやりとりはありません)。
親から相続した空き家を放置ぎみで、自治体から助言・指導・勧告の通知が届いた、または届きそうな相続人の方に向けて、どの段階で税が変わり、売る・解体する・活用するのどれを選ぶかの判断材料を、条文と国の指針の順に整理します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の税額や処分の最終判断は、税理士・自治体と有資格者の領域です。
四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、相続した空き家の調査と査定・売却の媒介を承っています。勧告の通知が届いた物件について、契約前に確認できることからご相談いただけます。
助言・指導・勧告・命令はどう進み、どの段階で固定資産税が変わるのか?
空家特措法は、放置すれば倒壊や衛生上著しく有害となるおそれがある等の空き家を「特定空家等」と位置づけ、市区町村が段階的に措置を進める仕組みを定めています(第22条)。令和5年改正で条文が組み替えられ、特定空家等の措置は第22条に置かれています。
| 段階 | 根拠(空家特措法) | 固定資産税への影響 |
|---|---|---|
| 助言・指導 | 第22条第1項 | 変わらない |
| 勧告 | 第22条第2項 | 翌年度の賦課期日(1月1日)から住宅用地特例が外れる |
| 命令(履行しないとき) | 第22条第3項 | (勧告の段階で既に外れている) |
| 行政代執行・略式代執行・緊急代執行 | 第22条第9項ほか | 除却費が所有者に請求されうる |
税額が動く境目は「勧告」です。助言・指導の段階ではまだ特例は外れませんが、勧告まで進むと翌年度から土地の税負担が上がります。どの段階にいるか、通知が助言・指導なのか勧告なのかは、文面と自治体の担当課で確認してください。
勧告を受けると住宅用地特例はなぜ外れ、税額は具体的にどれだけ上がるのか?
住宅が建っている土地(住宅用地)には、固定資産税の課税標準を軽くする特例があります。地方税法第349条の3の2により、200㎡以下の部分(小規模住宅用地)は価格の6分の1、200㎡を超える部分(一般住宅用地)は3分の1に下がります。都市計画税にも同様の特例があり、小規模は3分の1、一般は3分の2です(第702条の3)。
勧告を受けた特定空家等(および管理不全空家等)の敷地は、この住宅用地特例の対象から除外されます。特例が外れると、土地は非住宅用地として課税され、負担調整の上限が評価額のおおむね70%になるため、小規模住宅用地では課税標準が6分の1から大きく跳ね上がります。自治体の試算例では、土地の固定資産税・都市計画税が勧告前の約4倍になるとされるものもあります。実際の税額は評価額・負担調整・自治体によって変わるため、具体的な計算は税理士や自治体の資産税課で確認してください。
| 区分 | 固定資産税の特例 | 勧告を受けた敷地 |
|---|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 価格の6分の1 | 特例の対象外 |
| 一般住宅用地(200㎡超の部分) | 価格の3分の1 | 特例の対象外 |
特例が外れる時期は、勧告がされた年の翌年の賦課期日(1月1日)からです。年内に勧告が出ると翌年度の税額に反映されるため、改善や売却の動きは、賦課期日との前後を見ながら考えることになります。
2023年改正で新設された「管理不全空家」は何が変わったのか?
令和5年改正(令和5年法律第50号、令和5年12月13日施行)は、空き家が特定空家等になってから動くのでは遅いという反省から、その手前の段階に手を打てるようにしました。改正で条文数は16条から30条に増え、おもな追加は次のとおりです。
- 「管理不全空家等」の新設(第13条)。そのまま放置すれば特定空家等になるおそれが大きい空き家に、市区町村が指導(第13条第1項)・勧告(第13条第2項)できる
- 管理不全空家等も、勧告を受ければ特定空家等と同様に住宅用地特例から外れる
- 命令等の事前手続を経るいとまがないときの「緊急代執行」の創設、所有者を確知できないときの略式代執行や費用徴収の円滑化
つまり、特定空家等の勧告(第22条第2項)だけでなく、その前段の管理不全空家等の勧告(第13条第2項)でも税が上がりうるようになりました。通知が特定空家等と管理不全空家等のどちらを指すかで、置かれている段階が変わります。
勧告後に売る・解体する・活用するのどれが相続人にとって現実的か?
勧告を受けた後の出口は、おおむね「そのまま売る」「解体して売る」「活用する(貸す・用途を変える)」に分かれます。税と費用の効き方が違います。
| 出口 | 効いてくる点 |
|---|---|
| 古家付き(現況)で売る | 特例は勧告で既に外れている/買主が解体前提か再生前提かで価格が変わる/相続空き家の3000万円特別控除(租税特別措置法第35条第3項)の要件に合うか |
| 解体して更地で売る | 解体費と除却費の補助制度(自治体)/更地化で住宅用地特例は外れる(勧告済みなら実質的な差は小さい)/売却時期と賦課期日 |
| 活用する(貸す・用途変更) | 改善して勧告の撤回を受けられるか/改修費と見込む収益/用途地域の制限 |
相続した空き家の売り方は、解体して更地で売るか古家付き土地で売るか、税の特例は空き家3000万円特別控除と老人ホーム入所の居住要件でそれぞれ掘り下げています。どの出口が手取りで有利かは、譲渡所得税と特例の適用可否が絡むため、税理士とあわせて検討するのが確実です。当社は、物件の現況と相場から、売却したときの見込みと時期の論点を整理してお渡しします。
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勧告の撤回や猶予は受けられるのか、自治体窓口で何を確認するか?
勧告は、所有者に改善を促す行政上の働きかけです。指摘された状態(倒壊のおそれ、衛生上の問題等)を改善すれば、勧告が撤回され、住宅用地特例が復活する余地があります。命令に進む前には弁明の機会が与えられ、代執行は命令に従わない場合の最終手段です。自治体の空家対策窓口では、次の点を確認しておくと動きやすくなります。
- 通知が助言・指導か、勧告か、命令か(段階によって税と手続が変わる)
- 何をどこまで改善すれば勧告が撤回されるか、改善の期限
- 解体の除却費に対する補助制度の有無と要件
- 所有者が複数(共有)・相続登記未了のとき、誰が措置の名宛人になるか
これらの行政手続(代執行・除却費の補助・勧告の撤回)は、自治体の空家対策窓口の領域です。当社が担うのは物件の調査と査定・売却の媒介で、それ以外は各有資格者・行政へ、独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします。
| 困りごと | 頼む先 |
|---|---|
| 空き家の現況調査・査定、売却の媒介 | 当社(宅地建物取引業) |
| 相続登記が未了(2024年4月1日から義務化)、名義の整理 | 司法書士 |
| 譲渡所得税、空き家3000万円特別控除の適用判断 | 税理士 |
| 行政代執行・除却費の補助・勧告の撤回などの行政手続 | 自治体の空家対策窓口 |
| 相続人間の争い、代執行費用をめぐる紛争 | 弁護士 |
これらはそれぞれ独立した事業体であり、別々にご契約いただく前提です。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。勧告の撤回が受けられるか、どの税の特例に合うかは、最終的には自治体・税理士が判断します。物件を見ながら、段階の確認・税の時期・出口の選択という論点を切り分け、どこを誰に相談するかの段取りからご相談をお受けします。相続不動産の進め方は相続した不動産の相談窓口もご覧ください。
特定空家の勧告が届いた相続不動産のご相談を四葉不動産へ(相談無料)
お問い合わせに「特定空家の勧告」と、通知が助言・指導か勧告か、解体を考えているか、相続登記が済んでいるかをご記入ください。税が上がる・上がらないを先に決めつけず、現況調査と、登記・税務・行政手続の専門家へどこを振るかの整理からお話しします。
よくある質問
Q. 勧告の通知が届いただけで固定資産税は上がりますか?
A. 勧告(特定空家等は空家特措法第22条第2項、管理不全空家等は第13条第2項)を受けると、その敷地は住宅用地特例から外れ、翌年の賦課期日(1月1日)から土地の固定資産税・都市計画税が上がります。助言・指導の段階ではまだ外れません。通知が助言・指導か勧告かで扱いが変わるため、文面と自治体の担当課で段階を確認してください。具体的な税額の計算は税理士・自治体の資産税課の領域です。
Q. 税額は具体的にどれくらい上がりますか?
A. 住宅用地特例は小規模住宅用地(200㎡以下)で課税標準を価格の6分の1、一般住宅用地で3分の1に軽くする仕組みです(地方税法第349条の3の2)。勧告で特例が外れると非住宅用地の課税標準に切り替わり、負担調整の上限が評価額のおおむね70%になるため、自治体の試算では約4倍になる例もあります。実際の額は評価額・負担調整・自治体で変わるので、税理士や自治体で確認してください。
Q. 改善すれば勧告は撤回され、税は戻りますか?
A. 指摘された状態を改善すれば勧告が撤回され、住宅用地特例が復活する余地があります。何をどこまで改善すれば撤回されるか、期限はいつかは、自治体の空家対策窓口で確認してください。勧告は改善を促す行政上の働きかけで、命令・代執行はそれに従わない場合の段階です。撤回の可否と行政手続は自治体の領域で、当社は物件の調査と媒介の範囲でお手伝いします。
Q. 相続登記が済んでいなくても売れますか?
A. 売る前提でも、相続登記は避けて通れません。相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が求められます。登記が未了だと、措置の名宛人や売却の当事者がはっきりしないことがあります。登記は司法書士、相続人間の争いは弁護士の領域です。当社は査定と媒介の範囲で、登記の段取りからおつなぎします。
この記事の出典(一次情報)
以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・項・号・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。除却費の補助制度や勧告の運用は自治体ごとに異なるため、物件所在地の空家対策窓口で確認が必要です。参照日はいずれも2026年10月29日。個別の税額や処分の結論を保証するものではありません。
- e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号。第13条=管理不全空家等に対する措置〔第1項=指導、第2項=勧告〕、第22条=特定空家等に対する措置〔第1項=助言・指導、第2項=勧告、第3項=命令、第9項=行政代執行〕。令和5年法律第50号による改正で管理不全空家等の新設・緊急代執行等を追加、令和5年12月13日施行、条文数16→30)
- e-Gov法令検索「地方税法」(昭和25年法律第226号。第349条の3の2=住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例〔小規模住宅用地200㎡以下は価格の6分の1、一般住宅用地は3分の1。勧告を受けた特定空家等・管理不全空家等の敷地を除く〕、第702条の3=都市計画税の住宅用地特例〔小規模3分の1・一般3分の2〕)
- 国土交通省・総務省「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(空家特措法に基づく国の技術的助言。助言・指導、勧告、命令、代執行の運用を整理。参照日2026年10月29日。個別の判断は自治体による)
- 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)第35条第3項=被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの3000万円特別控除。適用の可否は要件により、判断は税理士の領域(参照日2026年10月29日)
本記事は一般的な情報提供であり、個別の税額や勧告の撤回の可否、特例の適用を保証するものではありません。固定資産税・譲渡所得税や空き家特例の適用は税理士が、相続登記は司法書士が、代執行・除却費の補助・勧告の撤回などの行政手続は自治体の空家対策窓口が、相続人間の争いは弁護士が判断・担当します。
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。相続した空き家の調査と査定・売却の媒介を承ります。著者プロフィール
更新日:2026年10月29日
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