相続した不動産に差押えの登記がある。売れるのか、どう外すのか

差押えの登記が付いた相続不動産でも、売買契約を結び所有権移転登記をすること自体はできます。ただし差押えには処分を制限する効力があり、買主は差押手続に対抗できず競売で所有権を失う恐れがあるため、実務では決済で売買代金から滞納税や債務を弁済し、差押えを解除・取下げしてもらって抹消するのが基本です。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、民法・国税徴収法・民事執行法・民事保全法の条文から抹消の順序と決済の組み方を整理します。弁済交渉・仮差押えの争いは弁護士、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得は税理士へ分離受任でご案内します。
結論(先に要点):差押えの登記が付いた相続不動産でも、売買契約を結び所有権移転登記をすること自体はできます。ただし差押えには処分を制限する効力があり、買主は差押手続に対抗できず競売で所有権を失う恐れがあるため、実務では決済で売買代金から滞納税や債務を弁済し、差押えを解除・取下げしてもらって抹消するのが基本です。滞納の分納・換価の猶予や債権者との弁済交渉・仮差押えの争いは弁護士(または本人・税務当局との折衝)、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得の試算は税理士、売買の媒介と重要事項説明は当社(宅建士)へ分けます。
被相続人の滞納や債務で差押え・仮差押えの登記が付いた相続不動産を売却したい相続人に向けて、売れるのか、抹消の順序と決済の組み方を、民法・国税徴収法・民事執行法・民事保全法の条文から整理します。当社が担うのは、物件の査定・売却の段取り・売買の媒介と重要事項説明です。滞納税の分納・換価の猶予や債権者との弁済交渉・仮差押えの争いは弁護士(または本人・税務当局との折衝)、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得の試算は税理士が担い、これらは四葉不動産株式会社とは独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただく分離受任で進めます。旧抵当権が残る場合の抹消は相続した不動産の旧抵当権を抹消して売る、未登記建物があるときは未登記建物の相続と売却もあわせてご覧ください。
差押えの登記が付いたままでも、相続不動産は売れるの?
契約と登記の手続自体は可能ですが、そのまま引き渡すのは通常避けます。相続人は相続開始の時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するため(民法第896条)、被相続人に付いた差押えの登記も、滞納税や債務もそのまま引き継がれます。差押えの登記があっても所有権は相続人にあり、売買契約を結び所有権移転登記をすること自体を法律が禁じているわけではありません。
問題は差押えの処分制限効です。差押え後に売買で所有権を得た買主は、差押債権者や差押手続に対抗できず、その後に競売が進めば買主は所有権を失います。だから買主も金融機関も、差押えが残ったままの物件は通常は買えません。実務では、差押えを抹消できる見込みを立てたうえで、決済で代金から弁済して差押えを解除・取下げしてもらい、抹消登記を受けてから引き渡す、という順序で組みます。抵当権が残る物件を売るときと同じ発想です。
| 論点 | 取扱い |
|---|---|
| 所有権の帰属 | 相続人に承継(民法896条)。差押登記があっても所有権はある |
| 契約・移転登記 | 手続自体は可能 |
| 差押えの処分制限効 | 買主は差押手続に対抗できず、競売で所有権を失う恐れ |
| 実務の順序 | 代金から弁済→差押え解除・取下げ→抹消→引渡し |
売れるかの最終的な見立ては、差押債権額と売却見込み額、相続人の意向で変わります。債権者との交渉や争いは弁護士、登記は司法書士、売却の段取りは当社が担います。
滞納処分の差押えと、民事執行の差押え・仮差押えはどう違うの?
根拠となる法律が違い、外し方も変わります。大きく、税金の滞納処分による差押え、確定判決など債務名義に基づく民事執行の差押え(強制競売)、本案前に将来の執行を保全する仮差押えの3つに分かれます。登記事項証明書には「差押」「仮差押」と記録され、誰が(税務署・市区町村か、裁判所か)差し押さえたかで扱いが分かれます。
滞納処分の差押えは、督促に係る国税が督促状発付の日から10日を経過した日までに完納されないとき等に行われ(国税徴収法第47条)、不動産は差押書の送達により差し押さえられ、税務署長が差押えの登記を嘱託します(同法第68条)。民事執行の差押えは、裁判所が強制競売の開始決定で目的不動産を差し押さえる旨を宣言し(民事執行法第45条)、差押えの登記が嘱託されます(同法第48条)。仮差押えは、金銭債権について強制執行ができなくなる恐れ等があるときに発せられ(民事保全法第20条)、不動産に対する仮差押えの執行は仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法で行います(同法第47条第1項)。
| 種類 | 根拠 | 外し方の筋 |
|---|---|---|
| 滞納処分の差押え | 国税徴収法47条・68条(地方税は地方税法) | 完納・猶予→税務当局が解除 |
| 民事執行の差押え | 民事執行法45条・48条 | 債権者へ弁済→取下げ・手続取消し |
| 仮差押え | 民事保全法20条・47条 | 弁済・保全取消し・解放金の供託など |
どの差押えかで交渉相手と手順が変わります。税の分納・換価の猶予は本人・税務当局との折衝、債権者との弁済交渉や仮差押えを争う場面は弁護士が担い、当社は売却見込みの面から支えます。
決済で売買代金から弁済して抹消する段取りは、どう組むの?
抵当権の抹消と同じく、同時履行で組みます。売買契約では、引渡し・所有権移転登記の時までに差押えを抹消することを売主の義務とし、買主が差押えの残る状態で代金を払わされないように、抹消を停止条件や同時履行の関係に置きます。決済日に、買主の支払う売買代金から滞納税・債務の弁済に充て、税務当局・債権者から差押えの解除・取下げの書面を受け取り、司法書士が抹消登記と所有権移転登記を連件で申請します。
滞納処分では、完納等により税務署長が差押えを解除し(国税徴収法第79条)、差押えの登記の抹消を嘱託します。民事執行では、債権者への弁済で申立てが取り下げられ競売手続が取り消されると、差押えの登記の抹消が嘱託されます。仮差押えは、被保全債権の弁済や保全取消し・解放金の供託などで登記を抹消します。売却額が差押債権額に足りるか、複数の差押え・抵当権があるときの配当の順序や過不足は、事案で詰める必要があり、交渉は弁護士、登記の実行は司法書士が担います。売買代金で債務が完済できない見込みのときは、抹消の見通しが立たず取引が成立しないこともあります。
| 段取り | 誰が | 中身 |
|---|---|---|
| 契約での建付け | 宅建士(当社) | 抹消を売主義務・同時履行に置く |
| 代金からの弁済・交渉 | 弁護士・本人・税務当局 | 滞納税・債務の弁済、取下げの取付け |
| 解除・取下げ→登記 | 司法書士・税務当局・裁判所 | 差押抹消と所有権移転の連件申請 |
決済の設計は当社が媒介として整えますが、弁済額の交渉・配当の可否は弁護士・税務当局、登記は司法書士が実行します。
相続登記を先に入れる必要はあるの?誰に頼むの?
売る前提としては、原則として相続登記を先に済ませます。差押えは被相続人名義のまま付いていることが多く、売買による所有権移転登記の前提として、相続による名義の移転(相続登記)が必要です。相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません(不動産登記法第76条の2)。差押えが付いていることは相続登記の申請自体を妨げません。
相続登記や差押抹消の登記申請を代理できるのは司法書士です。遺産分割協議書の作成は行政書士、相続税の申告や売却益にかかる譲渡所得の試算は税理士、滞納の分納・換価の猶予や債権者との弁済交渉・仮差押えを争う場面は弁護士と、担い手が分かれます。差押えが残る相続不動産では、相続登記・抹消の順序と決済日を合わせる段取りが要になるため、司法書士と当社で早めに連携しておくと手戻りを防げます。誰にどこまで頼むかは事案で変わるため、各資格者に確認します。
| 手続 | 担い手 | 根拠・備考 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 司法書士 | 不動産登記法76条の2(2024年4月1日義務化・3年以内) |
| 差押抹消の登記 | 司法書士・税務当局・裁判所 | 解除・取下げを受けて抹消 |
| 遺産分割協議書 | 行政書士 | 協議内容の書面化 |
| 相続税・譲渡所得 | 税理士 | 申告・税額の試算 |
ご自身のケースについて相談したい方へ
物件探しや売却について、状況をお聞かせください。
登記は司法書士、税務は税理士、交渉は弁護士へ分け、当社は売却の段取りを担います。
売買の媒介(宅建士)と、交渉・登記・税務は、どこで線を引くの?
線は明確です。物件の査定・売却の段取り・売買の媒介と重要事項説明は当社(宅建士)、滞納税の分納・換価の猶予や債権者との弁済交渉・仮差押えを争う場面は弁護士(または本人・税務当局との折衝)、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得の試算は税理士です。重要事項説明(宅地建物取引業法第35条)では、登記された権利として差押え・仮差押えの登記を買主に説明し、抹消の見通しと決済での処理を売買契約の条件に落とし込みます。
これらは別々の独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。当社が担うのは査定と媒介・重要事項説明までで、弁済額の交渉や差押えを争えるかの判断、配当の可否には立ち入りません。相続した不動産の売却に関する当社への相談は相続不動産のご相談をご覧ください。各専門家は四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所、および他の専門家(弁護士・司法書士・税理士)として、それぞれ独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。
| 業務 | 担い手 |
|---|---|
| 査定・媒介・重要事項説明 | 宅建士(当社) |
| 弁済交渉・分納・換価の猶予・仮差押えの争い | 弁護士・本人・税務当局 |
| 相続登記・差押抹消の登記 | 司法書士 |
| 相続税・譲渡所得 | 税理士 |
差押えの残る相続不動産の売却のご相談は相続不動産のご相談からどうぞ。
よくある質問
Q. 差押えの登記が付いている相続不動産は、まったく売れないのですか?
A. 売れないわけではありません。契約と所有権移転登記の手続自体は可能で、実務では決済で売買代金から滞納税や債務を弁済し、差押えを解除・取下げしてもらって抹消してから引き渡します。ただし差押えには処分制限効があり、残したまま引き渡すと買主が競売で所有権を失う恐れがあるため、通常は抹消を前提に取引を組みます。弁済交渉は弁護士・税務当局、登記は司法書士が担います。
Q. 税金の滞納による差押えと、裁判所の差押え・仮差押えは外し方が違いますか?
A. 違います。滞納処分の差押えは完納等により税務署長が解除し(国税徴収法79条)、差押登記の抹消を嘱託します。民事執行の差押えは債権者への弁済で申立てが取り下げられ手続が取り消されると抹消されます。仮差押えは被保全債権の弁済や保全取消し・解放金の供託などで抹消します。どれに当たるかで交渉相手と手順が変わるため、弁護士・税務当局に確認してください。
Q. 売買代金で滞納税や債務を全部返せない場合はどうなりますか?
A. 差押えを抹消できる見通しが立たず、取引が成立しないことがあります。複数の差押え・抵当権があるときは配当の順序や過不足の問題になり、弁済額の交渉や配当の可否は弁護士・税務当局・裁判所の領域です。当社は売却見込み額の面から情報を出しますが、債務を完済できるかの判断には立ち入りません。まず弁護士・税務当局に現状を確認することをおすすめします。
Q. 相続登記と差押えの抹消は、どちらを先にしますか?
A. 売る前提では相続による名義の移転(相続登記)を先に行うのが原則です。差押えは被相続人名義のまま付いていることが多く、相続登記は差押えがあっても申請できます。相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が必要です(不動産登記法76条の2)。相続登記・差押抹消・所有権移転の順序と決済日を合わせる段取りは司法書士と当社で調整します。
この記事の出典(一次情報)
- 民法(明治29年法律第89号)第896条(相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する〈相続の一般的効力〉。2026年10月16日参照)
- 国税徴収法(昭和34年法律第147号)(第47条=差押えの要件〈督促に係る国税が督促状発付の日から10日を経過した日までに完納されないとき等〉、第68条=不動産の差押えの手続及び効力発生時期〈差押書の送達・差押えの登記の嘱託〉、第79条=差押えの解除の要件。2026年10月16日参照)
- 民事執行法(昭和54年法律第4号)(第45条=強制競売の開始決定、第48条=開始決定に係る差押えの登記の嘱託等。2026年10月16日参照)
- 民事保全法(平成元年法律第91号)(第20条=仮差押命令の必要性、第47条第1項=不動産に対する仮差押えの執行は仮差押えの登記をする方法又は強制管理の方法により行う。2026年10月16日参照)
- 不動産登記法(平成16年法律第123号)第76条の2(相続等による所有権の移転の登記の申請の義務。取得を知った日から3年以内。2024年4月1日施行。2026年10月16日参照)
- 宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第35条(重要事項の説明。登記された権利など。2026年10月16日参照)
本文更新・追加資料確認日:2026年10月16日。民法の承継、国税徴収法の差押え・解除、民事執行法の強制競売、民事保全法の仮差押え、不動産登記法の相続登記義務化の条番号はe-Gov法令検索で確認しました。地方税の滞納処分は地方税法が根拠で手続の細部が異なること、弁済額の交渉や配当の可否、仮差押えを争えるか、個別事案での抹消の見通しは当事者・債権者・税務当局・裁判所の判断で変わるため本記事では断定せず【未検証】とし、交渉・争いは弁護士、登記は司法書士が原資料で確認します。e-Gov掲載の条文は参照日時点のもので、改正があり得ます。公開は資格者確認待ちとして保留します。
本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・差押えの解除の可否・配当の見通しを示すものではありません。所管行政庁と各資格者による確認が必要です。四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所と他の専門家(弁護士・司法書士・税理士)は、それぞれ独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。滞納の分納・換価の猶予や債権者との弁済交渉・仮差押えの争いは弁護士、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得の試算は税理士、売買の媒介と重要事項説明は当社が担います。物件の初回相談は無料、各専門家の受任範囲・費用は各契約先に確認します。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。差押えの登記が付いた相続不動産では、査定と媒介、差押え・仮差押えを明示した重要事項説明、抹消を同時履行に置く決済の段取りを担当し、弁済交渉・仮差押えの争いは弁護士、相続登記や差押抹消の登記は司法書士、相続税・譲渡所得は税理士へ分けます。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
売る・貸す・持ち続ける——決める前のご相談からで大丈夫です。
相続した実家、海外に住んだまま持っている物件、入居者がいるままの一棟——いまの状況をLINEで一言お送りください。代表(宅地建物取引士)が直接お返事し、売却・賃貸・そのまま持つ場合の見通しを整理します。査定・媒介は四葉不動産株式会社が単独でお受けします。
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