相続した不動産に古い抵当権が残っているとき、抹消して売るにはどうしますか?

相続した不動産に古い抵当権が残っていても売れますが、買主・金融機関は担保のない状態での引渡しを求めるため、抹消の段取りが要ります。完済しているのに抵当権が消えないのは、抹消登記を申請しないと登記簿から消えないからです。抹消登記の申請は司法書士(登記は独占業務)で、当社は登記を代理しません。債権者だった会社が消滅・不明のときは休眠担保権の抹消(不動産登記法第70条・第70条の2、令和5年4月1日施行)を供託や30年経過で行います。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、抹消と売却の順番を条文から整理します。
結論(先に要点):相続した不動産に古い抵当権が残っていても、売ること自体はできます。ただし買主・金融機関は担保のない状態での引渡しを求めるのが通常なので、売却の前提として抹消の段取りを組みます。完済しているのに抵当権が消えていないのは、完済時に抹消登記が自動でされず、金融機関から渡された書類で自分で申請する必要があるのに放置されたためです。抹消登記の申請は司法書士(登記は司法書士の独占業務)で、当社は登記申請を代理しません。債権者だった会社が消滅・行方不明で通常の抹消ができないときは、休眠担保権の抹消(不動産登記法第70条・第70条の2、令和5年4月1日施行)という供託や30年の経過を用いる方法があります。被相続人名義から相続人名義への相続登記も司法書士が担い、争いが生じたら弁護士へ。物件の査定・売却の段取りは当社(四葉不動産株式会社)が、抹消登記・相続登記は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で分担します。
親から相続した土地や家の登記簿を見たら、完済したはずの抵当権や、見覚えのない古い担保権が残っていた——売却の前にこれを消したい、というのが本記事の想定です。相続した不動産に残る担保権を、売却の段取りとあわせてどう扱うか、不動産登記法・民法の条文と法務局・国税庁の資料から順に整理します。登記申請の代理は司法書士が担い、当社は物件の査定・売却準備・スケジュール調整を情報提供として行います。
相続した不動産に抵当権が残っていると、そのまま売れますか?
売ること自体はできます。抵当権が付いたままでも所有権は移転でき、売買契約は成立します。ただし実務では、買主が住宅ローンを組む場合、金融機関は「先順位の担保がない状態」での引渡しを条件にします。買主が現金でも、前の担保が残っていれば競売リスクを嫌って敬遠します。そこで、決済(残代金の受領)と同時に抵当権を抹消し、担保のないきれいな所有権を引き渡すのが通常の流れです。
| 場面 | 抹消の段取り |
|---|---|
| 完済済みの抵当権が残っている | 決済前または決済と同時に抹消登記(司法書士が申請) |
| 住宅ローン残債がある | 売却代金でローンを完済し、金融機関から抹消書類を受領して同時抹消 |
| 債権者が会社ごと消滅・不明 | 休眠担保権として不動産登記法第70条・第70条の2の方法を検討 |
まず登記簿(登記事項証明書)を取り、乙区に残る抵当権・根抵当権を洗い出すところから始めます。相続した不動産の売却の全体像は相続した不動産の売却に整理しています。あわせて、登記名義が被相続人のまま・未登記のままのケースは相続した未登記建物の表題登記と売却、共有で相続した場合は相続した共有不動産を売るときの同意もご覧ください。
完済しているのに抵当権が消えていないのは、なぜ起きますか?
抵当権は、被担保債権(住宅ローンなど)を完済すれば実体としては消滅します(民法)。しかし登記簿上の抵当権は、完済しても自動では消えません。抹消登記は当事者が申請してはじめて記録から消えます。
完済時、金融機関は抹消に必要な書類(登記識別情報または登記済証、弁済を証する書面、抹消の委任状など)を渡します。これを使って自分で(または司法書士に依頼して)抹消登記を申請するのですが、この手続を忘れたり後回しにしたまま年月が経ち、そのまま相続を迎える——というのがよくある経緯です。
| 残っている理由 | 相続時の状況 |
|---|---|
| 完済後に抹消登記を申請し忘れた | 書類が手元に残っていれば通常の抹消が可能 |
| 金融機関から受け取った書類を紛失した | 金融機関に再発行・証明書の依頼が要る |
| 債権者(貸主)が古く、会社が消滅している | 通常の共同申請ができず、休眠担保権の抹消を検討 |
書類がそろっていれば、抹消は難しくありません。問題は、書類を失っていたり、債権者が既に存在しないケースです。次章で扱います。
抵当権の抹消は誰が申請しますか?(司法書士の登記・必要書類・費用)
不動産の登記申請の代理は、司法書士の独占業務です。当社(不動産)は登記申請を代理しません。抵当権抹消登記は、登記権利者(不動産の所有者)と登記義務者(抵当権者=金融機関)が共同で申請するのが原則で、実務では司法書士が双方から委任を受けて手続します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 申請する人 | 登記権利者(所有者)と登記義務者(抵当権者)の共同申請。司法書士が代理 |
| 主な書類 | 登記識別情報または登記済証、抵当権解除証書・弁済証書、抵当権者の委任状、会社法人等番号など |
| 登録免許税 | 不動産1個につき1,000円(登録免許税法別表第一)。土地と建物は別個で数える。1申請あたり上限20,000円 |
| 司法書士報酬 | 別途。事案の内容による |
相続がからむ場合、抹消の前提として被相続人名義から相続人名義への相続登記が要ることがあります。相続登記は2024年(令和6年)4月1日から義務化され(不動産登記法第76条の2)、相続を知った日から3年以内の申請が求められます。相続登記も司法書士が担います。
債権者が会社ごと消滅・行方不明のとき、休眠担保権はどう抹消しますか?
明治・大正・昭和期に設定された古い抵当権で、債権者(貸主)だった会社や個人が既に存在しない・所在が知れない場合、通常の共同申請ができません。このとき使うのが「休眠担保権」の抹消です。不動産登記法は、令和5年4月1日施行の改正で第70条を整理し、第70条の2を新設しました(改正法=令和3年法律第24号)。
| 方法 | 要件の概要 | 根拠 |
|---|---|---|
| 公示催告・除権決定 | 登記義務者の所在が知れないとき、公示催告を申し立て、除権決定を得て単独で抹消申請 | 不動産登記法第70条第1項〜第3項 |
| 弁済期から20年+供託 | 先取特権・質権・抵当権で、被担保債権の弁済期から20年経過し、その後に元本・利息・損害金の全額に相当する金銭を供託したとき、単独で抹消申請 | 不動産登記法第70条第4項 |
| 法人の解散+30年 | 登記義務者が法人で解散し、所定の調査を行っても清算人の所在が判明しないとき、弁済期から30年かつ解散から30年経過で単独抹消申請 | 不動産登記法第70条の2 |
供託や公示催告の判断・申立て、これらの抹消登記の申請は司法書士が担い、供託は法務局・供託所で行います。どの方法が使えるかは、抵当権者が個人か法人か、弁済期からの年数、所在調査の結果で分かれます。争い(債権者側からの異議など)が生じたときは弁護士の領域です。当社は登記や供託の代理をしません。
ご自身のケースについて相談したい方へ
物件探しや売却について、状況をお聞かせください。
抹消と売却・引渡しは、どんな順番とスケジュールで進めますか?
抹消と売却は、担保権の状態によって進め方が変わります。
| ケース | 進め方の目安 |
|---|---|
| 書類がそろった完済済み抵当権 | 売却活動と並行して抹消を準備し、決済と同時に抹消。引渡しはきれいな所有権で |
| ローン残債がある | 売却代金で完済し、金融機関の抹消書類を受領して同時抹消(いわゆる同時決済) |
| 休眠担保権が残る | 供託・公示催告に時間がかかるため、売却の前に着手。完了時期を見ながら売却スケジュールを組む |
ポイントは、休眠担保権の抹消は時間がかかる場合がある点です。公示催告や供託の手続には数か月以上を要することがあり、売り出しと同時進行では間に合わないことがあります。登記簿を先に確認し、担保権の状態を早めに把握して、抹消の見通しを立ててから売却スケジュールを組むのが安全です。物件の査定・売り出し・買主との調整は当社が、抹消登記・相続登記は司法書士が担います。
これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。抹消登記・相続登記は司法書士へ、供託は法務局・供託所で、債権者との争いが生じたときは弁護士へ、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。相談は無料です。
誰に相談すればよいですか?
相続した不動産の査定・売却準備・売り出し・買主との調整・売買契約は、四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)が承ります。抵当権抹消登記・相続登記など登記申請の代理は司法書士が、休眠担保権の供託は法務局・供託所が、債権者との紛争が生じた場合は弁護士が扱います。当社は登記申請を代理せず、物件(不動産)の売却と、担保権の抹消の段取りを同じテーブルに並べて確認します。
よくある質問
Q. 完済したのに抵当権が登記簿に残っています。放っておいて大丈夫ですか?
A. 実体としての抵当権は完済で消滅していても、登記簿の記録は申請しなければ消えません。売却の際は買主・金融機関が担保のない状態を求めるため、抹消が要ります。完済時に金融機関から受け取った書類(登記識別情報・弁済証書・委任状など)がそろっていれば、司法書士に依頼して抹消できます。書類を紛失している場合は金融機関に再発行を依頼します。
Q. 抵当権の抹消は不動産会社にお願いできますか?
A. いいえ。登記申請の代理は司法書士の独占業務です。当社(不動産)は登記申請を代理しません。当社は物件の査定・売却準備・スケジュール調整を担い、抹消登記・相続登記は司法書士へ、供託は法務局・供託所へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形をご案内します。
Q. 抹消の費用はいくらかかりますか?
A. 登録免許税は不動産1個につき1,000円です(登録免許税法別表第一)。土地と建物は別個に数えるため、戸建てなら土地・建物で2,000円が目安です。1申請あたり上限は20,000円です。これに加えて司法書士報酬が別途かかります。金額は事案の内容によって変わります。
Q. 貸主だった会社がもうありません。それでも消せますか?
A. 消せる場合があります。債権者が消滅・行方不明で通常の共同申請ができないときは、公示催告・除権決定(不動産登記法第70条)、弁済期から20年経過+供託(同条第4項)、法人の解散から30年(同法第70条の2、令和5年4月1日施行)といった休眠担保権の抹消の方法があります。どれが使えるかは抵当権者が個人か法人か・年数・所在調査で分かれ、判断と申請は司法書士が、供託は法務局・供託所が担います。
この記事の出典(一次情報)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」(平成16年法律第123号。第70条=登記義務者の所在が知れない場合等の抹消(公示催告・除権決定、弁済期から20年+供託)。第70条の2=解散した法人を登記義務者とする担保権の抹消(弁済期から30年・解散から30年)。いずれも令和5年4月1日施行。2026年9月23日参照)
- e-Gov法令検索「不動産登記法」第76条の2(相続登記の申請義務。令和6年4月1日施行。相続を知った日から3年以内。2026年9月23日参照)
- e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号。弁済による債権の消滅と、これに伴う抵当権の付従性による消滅。2026年9月23日参照)
- e-Gov法令検索「登録免許税法」(昭和42年法律第35号。別表第一=抹消登記の登録免許税は不動産1個につき1,000円。2026年9月23日参照)
- 法務省「令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント」(第70条・第70条の2の改正と相続登記義務化の施行日。2026年9月23日参照)
※抹消の可否・方法(通常の共同申請か、公示催告・供託・第70条の2か)、必要書類、費用は、抵当権者が個人か法人か・弁済期からの年数・所在調査の結果・登記簿の記載によって変わります。本記事は個別の登記について判断していません。抵当権抹消登記・相続登記は司法書士へ、供託は法務局・供託所へ、債権者との紛争は弁護士へご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件・登記の適否や結果を判断・保証するものではありません。登記の可否や具体的な方法の最終判断は司法書士など有資格者が行います。
※物件の査定・媒介および売買契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、登記申請の代理は司法書士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。
この記事の執筆者
浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。登記は司法書士、紛争は弁護士に振り分けたうえで、物件(不動産)の売却と担保権の抹消の段取りを同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。
売る・貸す・持ち続ける——決める前のご相談からで大丈夫です。
相続した実家、海外に住んだまま持っている物件、入居者がいるままの一棟——いまの状況をLINEで一言お送りください。代表(宅地建物取引士)が直接お返事し、売却・賃貸・そのまま持つ場合の見通しを整理します。査定・媒介は四葉不動産株式会社が単独でお受けします。
LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。
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