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相続

相続した実家に住宅ローンが残っていたら?抵当権の抹消と残債・団信・売却の進め方

雨戸を閉めたまま草の伸びた空き家を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

団体信用生命保険が付いたローンは、債務者の死亡で保険金により完済されることが多く、その場合は抵当権を抹消して売れます。団信がない・残債が残るときは、金融機関と返済・任意売却を相談し、相続放棄の可能性があるなら売る前に弁護士へ確認します。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、民法・不動産登記法・国税庁の資料から売るまでの順番を整理します。

結論(先に要点):団体信用生命保険が付いたローンは、債務者の死亡で保険金により完済されることが多く、その場合は抵当権を抹消して売れます。団信がない・残債が残るときは、金融機関と返済・任意売却を相談し、相続放棄の可能性があるなら売る前に弁護士へ確認します。

親の住宅ローン(抵当権)が残ったままの実家を相続した相続人向けに、売るまでの順番を整理します。相続した旧耐震マンションの売却や換価分割で売る流れと重なる部分は繰り返さず、ここは「ローンと抵当権」に絞ります。

当社は査定・残債と価格の突合せ・売却の仲介を担当します。相続登記と抵当権抹消登記は司法書士、残債の返済条件や任意売却の交渉は金融機関、取得費・譲渡所得税・空き家特例は税理士、債務超過で相続放棄を検討する判断や共同相続人との紛争は弁護士が担います。これらは四葉不動産株式会社とは独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。

団体信用生命保険が付いていればローンは消えますか?

多くの住宅ローンには団体信用生命保険(団信)が付いており、債務者が死亡すると保険金でローンが完済されるのが一般的な仕組みです。この場合、相続人はローン残債を負わずに済み、完済後に抵当権を抹消できます。ただし団信は全ローンに必ず付いているわけではなく、フラット35のように加入が任意の商品や、加入していない・告知の問題で支払われない場合もあります。

まず金融機関へ、団信の有無と支払いの可否、残債の額を確認します。相続では、被相続人の財産に属した一切の権利義務が相続人に承継されます(民法第896条)。ローン債務もこの承継の対象で、団信で完済されるかどうかが、相続人が債務を負うかの分かれ目になります。団信約款や残債証明の個別の運用は商品ごとに異なるため、約款と金融機関の回答で確認します(個別の約款内容は一般的な実務としての整理です)。

抵当権が残ったままだと売れないのはなぜですか?(抹消の順番)

抵当権は、ローンを担保するために金融機関が実家に設定した権利です。抵当権が付いたままでも法律上は売れますが、買主は「返済が滞れば競売にかかる物件」を避けるため、実務ではまず抵当権を抹消してから(または売却代金での完済と同時に)引き渡します。

抹消の順番は次のとおりです。

順番手続き担い手
1残債・団信と完済方法の確認相続人・金融機関
2相続登記と売却に必要な登記の確認(契約締結と登記・決済は別に整理)司法書士
3決済時等の完済と抵当権抹消登記司法書士
4買主への所有権移転登記司法書士

相続登記は令和6年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内の申請が求められます(不動産登記法第76条の2。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料)。売る前提でも相続登記は避けて通れません。抵当権抹消登記は、権利に関する登記として登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則です(同法第60条)。登記はいずれも司法書士の領域です。

売却額が残債を下回る(オーバーローン)ときはどうしますか?

査定額より残債が多い状態を「オーバーローン」といいます。このとき、売却代金だけでは完済できず、原則として抵当権を外せないため通常の売却が難しくなります。選択肢は、不足分を自己資金で補って完済する、金融機関の同意を得て抵当権を外してもらう「任意売却」で進める、などです。

任意売却は金融機関との交渉が前提で、返済条件や抹消の可否は金融機関が判断します。当社ができるのは、査定額と残債を突き合わせてオーバーローンかどうかを早めに見極め、売却の見通しを整理することまでです。返済条件の交渉は金融機関、手続きの前提となる登記は司法書士が担います。

相続放棄を選ぶ可能性があるとき、売る前に注意することは?

残債が資産を大きく上回るなど債務超過の疑いがあるときは、相続放棄も選択肢になります。相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法第915条)。この熟慮期間内に判断します。

放棄を検討している間は、実家を売ったり処分したりしないのが安全です。 相続財産の全部または一部を処分すると、単純承認したものとみなされ(民法第921条)、放棄ができなくなるおそれがあります。放棄すると、その相続人は初めから相続人でなかったものとみなされます(民法第939条)。放棄すべきか、売ってから整理すべきかの最終的な判断は、債務の全体像を踏まえて弁護士に確認します。当社は査定で資産側の見通しを示すところまでを担います。

売却代金から返済と費用はどんな順で精算されますか?

売却が成立すると、代金から残債の返済や諸費用を精算します。おおまかな順序は次のとおりです。

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精算の対象内容
ローン残債抵当権者(金融機関)への完済。これで抵当権を抹消
登記費用相続登記・抵当権抹消登記・移転登記の費用(司法書士報酬・登録免許税)
媒介報酬不動産会社への仲介手数料
税金売却益にかかる譲渡所得税。取得費加算(租税特別措置法第39条)や空き家特例(最高3000万円・一定の場合2000万円)(同法第35条第3項)は併用できず、どちらが有利かは税理士が試算

空き家特例の控除は最高3000万円ですが、2024年1月1日以後の譲渡で、対象となる家屋・敷地等を取得した相続人が3人以上の場合は最高2000万円です(国税庁No.3306、参照日2026年10月12日)。人数は全相続人の人数を一律に指すものではありません。個別の適用と取得費加算との選択は税理士に確認します。

精算後に手元に残る額は、残債と価格の差で変わります。税の特例は要件・期限が細かく、適用の可否と有利不利の判断は税理士の領域です。相続不動産の売却相談もご覧ください。手続きは、残債交渉を金融機関、登記を司法書士、税務を税理士へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。

よくある質問

Q. 団信が付いていれば相続人はローンを払わなくてよいですか?
A. 団信で完済される場合は払わずに済みます。ただし団信が任意加入の商品や未加入・不払いのケースもあるため、まず金融機関で有無と支払い可否、残債額を確認します。

Q. 抵当権が残ったままでも売れますか?
A. 法律上は売れますが、実務では買主が避けるため、完済して抵当権を抹消してから(または代金での完済と同時に)引き渡すのが通常です。抹消登記は司法書士が担います。

Q. 残債が査定額より多いときはどうなりますか?
A. オーバーローンでは代金だけで完済できず抵当権を外せないことが多く、自己資金での補填や金融機関の同意を得た任意売却を検討します。返済条件は金融機関が判断します。

Q. 相続放棄を考えているなら実家を売ってよいですか?
A. 売る・処分すると単純承認とみなされ放棄ができなくなるおそれがあります(民法第921条)。放棄の可能性があるうちは売却を控え、弁護士に確認してから判断します。

この記事の出典(一次情報)

本文更新・追加資料確認日:2026年10月12日。空き家特例の控除上限は国税庁No.3306の取得本文で確認しました。民法・不動産登記法・租税特別措置法の現行統合条文、最終改正番号と全施行履歴、団信約款・残債証明・任意売却の個別運用は未検証です。一般的な確認手順として整理し、個別の適用は金融機関・司法書士・税理士・弁護士が原資料で確認します。公開は資格者確認待ちとして保留します。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・許可適合・税務判断を示すものではありません。所管行政庁と各資格者による確認が必要です。四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所と他の専門家は、それぞれ独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。登記は司法書士、残債交渉は金融機関、税務は税理士、紛争・相続放棄の判断は弁護士が担います。物件の初回相談は無料、各専門家の受任範囲・費用は各契約先に確認します。

この記事の執筆者

浦松丈二 — 宅地建物取引士・行政書士。四葉不動産株式会社代表取締役/四葉行政書士事務所代表。査定と媒介、残債と価格の突合せを担当し、登記・税務・残債交渉・紛争の判断は各担当へ分けます。著者ページ。

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