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投資・事業用不動産

営農型太陽光(ソーラーシェアリング)を置ける農地の条件とは

ガラス面に空が映る低層オフィスビルを描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

営農型太陽光(ソーラーシェアリング)は、農地を宅地などへ全面転用するのではなく、支柱の基礎部分だけを農地法の一時転用許可で使い、下部では営農を続ける仕組みです。だから第一種農地など通常は転用が難しい農地でも、一定の要件を満たせば設置できる余地があります。鍵は、下部農地の収量がおおむね2割以上減らないこと。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、農林水産省のガイドラインと農地法の条文から、一時転用許可の期間(原則3年・最長10年)と営農継続の要件を整理します。

結論(先に要点):営農型太陽光(ソーラーシェアリング)は、農地を宅地などへ全面転用するのではなく、支柱の基礎部分だけを農地法の「一時転用許可」で使い、下部では営農を続ける仕組みです。だから第一種農地など通常は転用が難しい農地でも、一定の要件を満たせば設置できる余地があります。鍵は、下部農地の収量がおおむね2割以上減らないこと。許可の申請は行政書士、設置後の登記は司法書士・土地家屋調査士、売電収入や相続の税務は税理士へ分けてご案内します。

相続・保有する第一種農地や市街化調整区域の農地の活用を考える地主と、農地付き案件を扱う不動産事業者に向けて、営農型太陽光の「置ける農地の条件」を農地法と農林水産省のガイドラインから整理します。当社は物件・活用の情報提供を担い、農地転用の許可申請、登記、税務、紛争は、それぞれの資格者へ分けてご案内します。

営農型太陽光は、農地を「転用」するのか、それとも「一時転用」なのか

全面転用ではなく、支柱の基礎部分だけの「一時転用」です。パネルの下は農地のまま営農を続けるのが前提です。

営農型太陽光発電は、農地に支柱を立てて上部に太陽光パネルを設置し、その下部で営農を継続する方式です。農林水産省の「営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取扱いに関するガイドライン」(令和6年3月25日 5農振第2825号。令和6年4月1日施行)は、支柱の基礎部分について農地法(昭和27年法律第229号)第4条第1項(自ら転用する場合)または第5条第1項(権利移動を伴う転用)の一時転用許可の対象とし、下部の農地は営農を継続する扱いとしています。

論点全面転用(通常の太陽光)営農型(ソーラーシェアリング)
農地法の扱い農地を宅地等へ転用(第4条・第5条の転用許可)支柱の基礎部分だけ一時転用許可
下部の土地農地でなくなる農地のまま営農を継続
許可の期間恒久的な転用期間を区切った一時転用(原則3年、一定の場合10年)
営農の要件なし下部農地の単収がおおむね2割以上減少しないこと

通常の太陽光は農地そのものを失わせる全面転用なので、農地区分によっては許可が下りません。営農型は「農地を農地のまま使いながら、支柱部分だけ一時的に転用する」点が決定的に違います。農地転用許可の一般的な流れは農地転用許可(第4条・第5条)の流れに、相続した農地を売る・貸す場合は相続した農地を売る・貸すときに最初に確認することにまとめています。

第一種農地や調整区域でも、営農型なら設置できるのか

一定の要件を満たせば、第一種農地等でも支柱部分の一時転用許可を受けられる余地があります。ただし農用地区域内農地(青地)は別の手続きが重なります。

通常の全面転用では、第一種農地(おおむね10ヘクタール以上の集団農地など生産性の高い農地)は原則として転用が許可されません。しかし営農型は農地での営農を続ける前提のため、農林水産省は第一種農地等であっても、一定の要件を満たせば一時転用許可を受けられる取扱いを示しています。市街化調整区域の農地も、営農が継続されることを前提に支柱部分の一時転用が検討されます。

農地の区分全面転用営農型の支柱部分の一時転用
第2種・第3種農地許可されやすい可能。期間を10年以内にできる場合がある
第1種農地原則不許可一定の要件を満たせば許可の余地がある
農用地区域内農地(青地)原則不許可農業振興地域整備計画からの除外等、別の手続きが先に要りうる

**農用地区域内農地(いわゆる青地)**は、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区域に含まれており、転用の前提として整備計画からの除外等が別途問題になりえます。どの農地区分に当たるか、どの手続きが先に要るかは、農業委員会・都道府県と、申請については行政書士にご確認ください。具体的な許可の可否は個別の農地ごとの判断になります。

営農を続ける要件(遮光率・単収8割)を外すと、許可はどうなるのか

下部農地の単収が、地域の平均的な単収と比べておおむね2割以上減ってしまうと、営農の適切な継続が認められず、許可の取消しや原状回復を求められることがあります。

営農型の一時転用許可は、「下部の農地で営農が適切に続けられること」を条件にしています。ガイドラインの判断基準は、設備の下部の農地における単位面積当たりの収量が、地域の同じ作物の平均的な単収と比べて、おおむね2割以上減少しないことです。つまり8割以上の収量を維持することが求められます。かつて目安とされた「遮光率」そのものに一律の数値基準があるわけではなく、現在は実際の単収で判断します。

確認する項目内容
単収の維持下部農地の単収が地域平均のおおむね8割以上(2割以上減らさない)
毎年の報告営農の状況を毎年1回、農業委員会等へ報告する
営農に支障が出たとき改善が見込めない場合、一時転用許可の取消し・支柱等の撤去・原状回復を求められることがある
作物の選び方遮光に耐える作物か、日照とパネル配置が営農と両立するか

収量が確保できないと、売電が続けられても許可の前提が崩れます。設備を置く前に、どの作物で単収を維持できるか、営農の担い手を誰にするかを設計しておくことが要です。農地としての評価や相続での扱いは相続した生産緑地を売るときの注意も参考になります。

一時転用許可は何年ごとに更新が必要で、誰が申請するのか

一時転用許可の期間は原則3年以内で、一定の場合は10年以内です。期間満了時に問題がなければ再許可を受けられます。申請は農地転用許可の手続きなので、行政書士が承ります。

ガイドラインは、一時転用許可の期間を次のように区分しています。

期間対象となる場合
10年以内①認定農業者等の担い手が下部の農地で営農する場合 ②荒廃農地(遊休農地)を再生利用する場合 ③第2種農地・第3種農地の場合
3年以内上記以外の場合

期間が満了しても、営農が適切に続けられ周辺の営農に支障がなければ、再許可を受けて継続できます。逆に、単収の維持ができていない・報告がない等の問題があれば、再許可が受けられないことがあります。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

一時転用許可の申請、毎年の報告書の作成など、官公署に提出する書類の作成は行政書士の業務です。四葉グループでは、物件・活用のご相談は四葉不動産株式会社が、農地転用・一時転用の許可申請は併設の四葉行政書士事務所が別契約で承ります。設置後に支柱部分を分けるための分筆など表示に関する登記は土地家屋調査士、所有権等の権利の登記は司法書士へ、それぞれ直接ご依頼いただきます。

売電収入や設備の扱いで、相続・税務はどこに相談すべきか

売電は資源エネルギー庁のFIT/FIP制度に基づく仕組みで、収入の課税や設備・農地の相続の扱いは税理士の領域です。当社は物件・活用の情報提供にとどめ、税務判断は行いません。

営農型太陽光の売電は、再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)または市場連動型のプレミアム(FIP)という、資源エネルギー庁が所管する制度に基づきます。売電収入にかかる所得税・法人税、設備の減価償却、農地や設備を相続するときの評価と課税は、いずれも税理士が扱う領域で、当社も当事務所も判断しません。

相談先担当する内容
四葉不動産株式会社物件・農地の活用に関する情報提供、売買・賃貸借の媒介
四葉行政書士事務所(別契約)農地転用・一時転用の許可申請、毎年の報告書の作成
土地家屋調査士分筆など表示に関する登記
司法書士所有権等の権利に関する登記
税理士売電収入・設備・農地の相続に関する税務
弁護士賃貸借や近隣との紛争

当社・当事務所と各士業は、それぞれ独立した事業体です。役割の重なる部分は、どちらが何を担うかを契約の前に明確にし、別々にご契約いただきます。 当社は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。農地を含む相続全般は相続のご相談、農地の事業活用は投資・事業用不動産のご相談をご覧ください。

よくある質問

Q. 営農型太陽光は、農地を宅地に変えるのですか?
A. いいえ。農地を宅地等へ全面転用するのではなく、支柱の基礎部分だけを農地法第4条第1項・第5条第1項の「一時転用許可」で使い、下部では営農を続けます。下部の土地は農地のままです。この点が、農地そのものを失わせる通常の太陽光発電の全面転用と決定的に違います。

Q. 第一種農地でも設置できますか?
A. 一定の要件を満たせば、第一種農地等でも支柱部分の一時転用許可を受けられる余地があります。通常の全面転用では第一種農地は原則不許可ですが、営農を継続する営農型は例外的に検討されます。ただし農用地区域内農地(青地)は、農業振興地域整備計画からの除外等が先に問題になりえます。個別の可否は農業委員会・都道府県と行政書士にご確認ください。

Q. 収穫が減ると許可はどうなりますか?
A. ガイドラインは、下部農地の単位面積当たり収量が地域の同じ作物の平均的な単収と比べておおむね2割以上減少しないこと(8割以上の維持)を求めています。毎年1回、営農の状況を報告する必要があり、改善の見込みがないほど収量が落ちると、一時転用許可の取消しや支柱の撤去・原状回復を求められることがあります。

Q. 許可は何年ごとに取り直しますか。申請は誰がしますか?
A. 一時転用許可の期間は原則3年以内で、認定農業者等の担い手が営農する場合・荒廃農地を再生利用する場合・第2種/第3種農地の場合は10年以内です。期間満了時に営農に問題がなければ再許可を受けられます。許可申請や毎年の報告書など、官公署に提出する書類の作成は行政書士が承ります(当社とは別契約)。

この記事の出典(一次情報)

※どの農地区分に当たるか、第一種農地・農用地区域内農地での許可の可否、必要な前提手続き(農業振興地域整備計画からの除外等)は、個別の農地ごとに判断されます。本記事では具体的な許可の可否を断定しておらず、該当性は【未検証】として農業委員会・都道府県および行政書士による確認を前提としています。
※一時転用許可の期間区分・単収の判断・報告の様式は、自治体の運用や最新の通知で変わりえます。適用の際はe-Gov法令検索と農林水産省の最新のガイドラインでご確認ください。
※売電収入・設備・農地の相続に関する税務の扱いは、事業形態や個別の事情で変わります。本記事では具体的な税額・税率を断定していません。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・税務判断を示すものではありません。農地転用・一時転用の許可申請は行政書士、分筆など表示に関する登記は土地家屋調査士、権利に関する登記は司法書士、税務は税理士、紛争は弁護士が行います。
※物件・活用の情報提供および売買・賃貸借の媒介は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が担い、各士業とは、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で進めます。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。相続・保有する農地の活用について、農地区分と農地法の許可・一時転用、営農継続の要件を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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