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投資・事業用不動産

輸入した貨物を関税前に置く「保税蔵置場」にできる倉庫物件の条件は?

ガラス面に空が映る低層オフィスビルを描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

輸入した外国貨物を関税を払う前の状態で置ける「保税蔵置場」は、関税法第42条により税関長が許可した場所です。倉庫物件で効くのは、税関官署からの距離を基準にした立地(所轄税関官署からの路程おおむね25キロメートル以内が目安)、貨物を安全に保管でき不正を防げる構造・設備、第43条の欠格事由に当たらないことの3点。外国貨物を関税未納のまま置ける期間は蔵入承認から2年(第43条の2)。東京都文京区の宅地建物取引士が、関税法と税関の運用、倉庫業法との違いから物件の条件を整理します。物件の用途地域・構造の確認と媒介は当社、許可申請は通関業者・行政書士、通関は通関士、保管営業は倉庫業登録へ分離受任でご案内します。

結論(先に要点):輸入した外国貨物を関税を払う前の状態で置ける「保税蔵置場」は、関税法(昭和29年法律第61号)第42条第1項により税関長が許可した場所です。倉庫物件で効くのは、①税関官署からの距離を基準にした立地(税関の運用で所轄税関官署からの路程がおおむね25キロメートル以内が目安)、②貨物を安全に保管でき不正を防げる構造・設備(施錠・保安)、③第43条の欠格事由(場所や設備の不適当を含む)に当たらないこと、の3点です。許可期間は10年を超えない範囲で更新でき(第42条第2項)、外国貨物を関税未納のまま置ける期間は最初に蔵置の承認を受けた日から2年で、特別の事由があれば税関長が延長します(第43条の2)。物件の用途地域・構造の確認と倉庫の売買・賃貸の媒介は当社(宅地建物取引業)、許可申請の書類作成支援は通関業者・行政書士、輸出入の通関手続は通関士、貨物を預かって保管する営業は倉庫業法の登録(別手続)へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料のやりとりはありません)。

輸入・EC事業者、物流会社、事業用倉庫を探す・貸す不動産プロに向けて、「どんな倉庫物件なら保税蔵置場の許可を取れるのか」を、関税法の条文と税関の運用、倉庫業法との違いの順に整理します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件が保税蔵置場の許可を受けられるか、どの保税地域が適するかの最終判断は、所轄の税関と有資格者の領域です。

四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、事業用倉庫の調査と賃貸・売買の媒介を承っています。保税蔵置場にしたい倉庫物件について、契約前に確認できることからご相談いただけます。

保税蔵置場・保税倉庫・倉庫業登録は何が違いますか?

まず押さえたいのは、「保税」と「倉庫業」は別の制度だということです。保税蔵置場は関税法に基づく税関長の許可で、外国貨物を関税未納のまま置ける場所。倉庫業の登録は倉庫業法に基づく国土交通大臣の登録で、他人の物品を寄託を受けて保管する営業の資格です。両者は根拠法も所管も異なり、必要に応じて両方を備えることもあります。

関税法でいう「保税地域」には5種類があり、保税蔵置場はそのうちの一つです。種類ごとに、置ける貨物と期間、許可・指定の仕組みが違います。

保税地域の種類根拠条文性格
指定保税地域関税法第37条財務大臣が指定する公共的な施設。短期の積卸し・一時蔵置向け
保税蔵置場関税法第42条税関長が許可。外国貨物の長期蔵置ができる
保税工場関税法第56条税関長が許可。外国貨物のまま加工・製造ができる
保税展示場関税法第62条の2税関長が許可。博覧会等で外国貨物を展示
総合保税地域関税法第62条の8蔵置・加工・展示などを総合的に行える区域

いわゆる「保税倉庫」は、保税蔵置場を指す通称として使われることが多い言葉です。一方、倉庫業法第3条は「倉庫業を営もうとする者は、国土交通大臣の行う登録を受けなければならない」と定め、同法第6条は倉庫の施設・設備が種類ごとの国土交通省令の基準に適合しないと登録を拒否するとしています。倉庫業の登録の物件要件は営業倉庫の登録に必要な物件の要件で扱っています。自社の貨物だけを置くなら倉庫業の登録は不要ですが、他人の貨物を預かって保管するなら倉庫業の登録が別に要ります。保税蔵置場の許可があっても倉庫業の登録を兼ねるわけではありません。

保税蔵置場の許可で税関が見る物件の立地と構造は?

保税蔵置場の許可は、申請者(人)だけでなく、場所と設備も審査の対象です。税関は一般に、人的要件(申請者の適格性)、場所的要件(税関官署からの距離など)、施設的要件(保安・施錠など)、量的要件(貨物の取扱見込量)の観点から審査すると整理されています。物件側で効くのは場所的要件と施設的要件です。

関税法第42条第1項は、保税蔵置場を「外国貨物の積卸し若しくは運搬をし、又はこれを置くことができる場所として、税関長が許可したもの」と定めます。その許可について、同法第43条は、税関長が許可をしないことができる場合(欠格事由)を各号で挙げており、その中に「位置又は設備が保税蔵置場として不適当であると認められること」に相当する事由が含まれます。立地と構造は、ここで物件の適否として効いてきます。

観点税関が見るところ(運用)
場所的要件(立地)所轄税関官署からの路程がおおむね25キロメートル以内が原則。これを超えおおむね100キロメートル以内でも、道路・港湾・空港などの交通施設が整備されていれば認められる余地がある
施設的要件(構造・保安)外国貨物を関税未納のまま置くため、施錠・区画・出入管理など、貨物の亡失や不正を防げる構造・設備
量的要件取り扱う貨物の見込量に対し施設の規模が見合っているか
他法令・用途建築基準法の用途地域で倉庫(事業用)を建てられる区域か、消防法ほか貨物に応じた規制を満たせるか

立地の数値(25キロメートル・100キロメートル)は税関の運用(基本通達等)に基づく目安で、法律そのものに書かれた数字ではありません。臨海の工場構内で本船に直接積み卸しする施設など、距離の基準になじまない施設には例外的な取扱いもあります。該当の最終判断は所轄の税関です。当社は、候補倉庫の用途地域・構造・前面道路・最寄り税関官署からの距離といった、契約前に資料と現地で確かめられる点を整理し、保税・通関の専門家に確認すべき論点をお渡しします。

どのくらいの期間、関税を払わずに貨物を置けますか?

保税蔵置場の最大の利点は、外国貨物を関税や消費税を納める前の状態で、長く置けることです。関税法第43条の2は、保税蔵置場に外国貨物を置くことができる期間を、最初にその貨物を置くことが承認された日から2年と定め、特別の事由があるときは申請により税関長が必要な期間を指定して延長できるとしています。

ここで前提になるのが「蔵入承認」です。関税法第43条の3第1項は、外国貨物を保税蔵置場に入れた日から3月を超えて置こうとする場合、その3月を超える前に税関長に申請して承認を受けなければならないと定めます。つまり、入れてから3月までは承認なしで置け、それを超えて長く置くには承認(蔵入承認)を受け、承認日から2年の長期蔵置が認められる、という組み立てです。

期間内容根拠
入れた日から3月まで蔵入承認なしで置ける関税法第43条の3第1項
承認(蔵入承認)後 2年外国貨物を関税未納のまま置ける長期蔵置関税法第43条の2第1項
2年を超える延長特別の事由があれば税関長が期間を指定して延長関税法第43条の2第2項
指定保税地域の場合原則1月(保税蔵置場より短い)関税法第36条の規定による

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この「置いている間は関税・消費税の納付を保留できる」仕組みは、輸入の時期と国内販売の時期をずらしたい事業者にとって資金繰りの面で意味があります。ただし、どの貨物をいつ輸入(引取り)扱いにするか、関税・消費税をいつ納めるかは通関・税務の判断で、当社が助言する領域ではありません。物件側で確認できるのは、長期蔵置に耐える保管環境(温度・湿度・区画)と、構造が保税の基準になじむかどうかです。

許可申請・通関・倉庫業はそれぞれ誰が担いますか?

保税蔵置場の活用は、物件の調査、保税蔵置場の許可申請、日々の通関手続、他人の貨物を預かる倉庫業の登録が、別々の専門の領域にまたがります。当社が担うのは倉庫物件の用途地域・構造の確認と売買・賃貸の媒介で、それ以外は各有資格者・登録事業者へ、独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします。

困りごと頼む先
倉庫物件の用途地域・構造・立地の確認、賃貸・売買の媒介当社(宅地建物取引業)
保税蔵置場の許可申請の書類作成・手続支援通関業者・行政書士(本人申請も可)
輸出入貨物の通関手続(申告・納税)通関士(通関業者)
他人の貨物を寄託を受けて保管する営業倉庫業法の登録(国土交通大臣・別手続)
貨物に応じた消防・危険物などの規制消防署・所管行政庁
所有権移転・賃借権などの登記司法書士

これらはそれぞれ独立した事業体であり、別々にご契約いただく前提です。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。保税蔵置場の許可を取れるかは、最終的には立地・構造・申請者の適格性を所轄の税関が審査して決めます。物件を見ながら、場所的要件・施設的要件・用途地域・蔵置期間という論点を切り分け、どこを誰に確認するかの段取りからご相談をお受けします。事業用倉庫の探し方は事業用・投資用不動産の相談窓口もご覧ください。

保税蔵置場にできる倉庫物件のご相談を四葉不動産へ(相談無料)

お問い合わせに「保税蔵置場の倉庫物件」と、扱う貨物の種類・希望エリア・必要な床面積と天井高・最寄りの港湾/空港の見当をご記入ください。取れる・取れないを先に決めつけず、立地・構造・用途地域・蔵置期間の確認と、通関・倉庫業の専門家へどこを振るかの整理からお話しします。

よくある質問

Q. 自社の輸入貨物を置くだけでも保税蔵置場の許可は要りますか?
A. 外国貨物を関税・消費税を納める前の状態で長く置きたい場合に、保税蔵置場の許可(関税法第42条)が意味を持ちます。許可を受けた場所でなければ、原則として外国貨物を関税未納のまま蔵置できません。他人の貨物を預かって保管する営業は倉庫業法の登録(第3条)が別に必要で、保税蔵置場の許可があっても倉庫業の登録を兼ねるわけではありません。自社貨物の保税蔵置か、他人の貨物の保管営業かで必要な手続きが変わります。

Q. 税関からどれくらい近い物件でないと許可されませんか?
A. 税関の運用では、所轄税関官署からの路程がおおむね25キロメートル以内が原則の目安とされ、これを超えおおむね100キロメートル以内でも、道路・港湾・空港などの交通施設が整備されていれば認められる余地があるとされています。ただしこれは法律そのものの数字ではなく税関の運用(基本通達等)に基づく目安で、臨海の工場構内の施設など例外的な取扱いもあります。距離の該当判断は所轄の税関によります。

Q. 関税を払わずに何年くらい置けますか?
A. 関税法第43条の2第1項は、保税蔵置場に外国貨物を置ける期間を、最初に蔵置の承認(蔵入承認)を受けた日から2年と定めています。特別の事由があれば、申請により税関長が必要な期間を指定して延長できます(同条第2項)。なお、入れた日から3月を超えて置くには、あらかじめ蔵入承認を受ける必要があります(第43条の3第1項)。いつ輸入(引取り)扱いにして関税・消費税を納めるかは通関・税務の判断です。

Q. 保税蔵置場の許可申請は不動産会社がやってくれますか?
A. いいえ。保税蔵置場の許可申請の手続支援は通関業者・行政書士の領域、輸出入の通関手続は通関士の領域で、当社は行いません。当社が担うのは倉庫物件の用途地域・構造・立地の確認と、売買・賃貸の媒介です。本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件が許可を受けられるかを保証するものではないため、許可の見込みは所轄税関と通関・保税の専門家にご確認ください。

この記事の出典(一次情報)

以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・項・号・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。立地・構造の該当、許可の見込み、蔵置期間の取扱いの最終判断は、所轄の税関と有資格者の領域です。参照日はいずれも2026年10月27日。個別の物件が保税蔵置場の許可を受けられることを保証するものではありません。

  • e-Gov法令検索「関税法」(昭和29年法律第61号。第42条=保税蔵置場の許可〔第1項=税関長が許可したもの、第2項=許可期間は10年を超えない範囲で更新、第3項=公告〕、第43条=許可の要件〔税関長が許可をしないことができる欠格事由。位置又は設備が保税蔵置場として不適当であることを含む〕、第43条の2=外国貨物を置くことができる期間〔第1項=蔵置の承認を受けた日から2年、第2項=税関長による延長〕、第43条の3=外国貨物を置くことの承認〔第1項=入れた日から3月を超えて置くときの蔵入承認〕)
  • 税関「保税制度の概要・保税蔵置場の許可申請手続」(保税地域の5種類〔指定保税地域・保税蔵置場・保税工場・保税展示場・総合保税地域〕と蔵置期間の比較、許可審査の観点〔人的・場所的・施設的・量的要件〕、場所的要件の距離の目安。数値・運用は基本通達による。参照日2026年10月27日。該当判断は所轄税関)
  • e-Gov法令検索「倉庫業法」(昭和31年法律第121号。第3条=倉庫業を営もうとする者は国土交通大臣の登録を受けなければならない、第6条=登録の拒否〔倉庫の施設・設備が種類ごとの国土交通省令の基準に適合しないこと等〕。保税蔵置場の許可とは別の制度)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件への保税蔵置場の許可の可否、蔵置期間の取扱い、用途地域・構造の適否を保証するものではありません。立地・構造の該当と許可の審査は所轄の税関が、許可申請の書類作成支援は通関業者・行政書士が、通関手続は通関士が、倉庫業の登録は国土交通大臣が、登記は司法書士が判断・担当します。

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。事業用倉庫の調査と賃貸・売買の媒介を承ります。著者プロフィール

更新日:2026年10月27日

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