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2026.08.14事業用不動産

民泊を始められる物件の条件──用途地域・管理規約・消防設備はどう確認するか

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

民泊(住宅宿泊事業)は届出制ですが、どの物件でもできるわけではありません。契約前に確認すべきは、①自治体条例による区域・期間の制限、②マンションなら管理規約、③消防法令への適合の3点です。文京区では対象地域で日曜正午から金曜正午まで営業できません(区公式・2026年8月14日参照)。180日の数え方、転貸型で必要な貸主の承諾、消防法令適合通知書までの手順を、契約前のチェックリストとして整理しました。

結論(先に要点):民泊(住宅宿泊事業)は届出制ですが、どの物件でもできるわけではありません。契約前に確認すべきは、①自治体条例による区域・期間の制限、②マンションなら管理規約、③消防法令への適合の3点です。この順番を間違えると、物件を契約したのに営業できないという手戻りになります。本記事は、民泊を始めたい方・そのための物件を探している方に向けて、確認の方法を順に説明します。届出手続の全体像は民泊のご相談をご覧ください。

民泊はどの用途地域でもできますか?

住宅宿泊事業は、法律上は用途地域による一律の制限がなく、住居専用地域でも届出により営むことができます。ただし、e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」(平成29年法律第65号)18条は、生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、自治体が条例で区域を定めて実施を制限できると定めており、実務ではこの条例の制限が先に効きます

たとえば文京区では、次のとおり区域と期間が制限されています(文京区公式サイト・2026年8月14日参照)。

項目文京区の制限内容
対象地域住居専用地域、住居地域、準工業地域、文教地区
制限期間対象地域では日曜日の正午から金曜日の正午までは住宅宿泊事業を行えない
事前相談届出の前に区への事前相談(予約制)が必要

つまり文京区の対象地域では、実質的に週末を中心とした営業に限られます。制限の内容は自治体ごとに大きく異なります。物件の所在自治体の条例を最初に確認する——これが民泊の物件探しの出発点です。

一方、旅館業法の簡易宿所として営業する場合は、建築基準法の用途地域の制限を受け、住居専用地域では原則として営業できません。制度によって「できる場所」が異なる点に注意してください。

3つの民泊制度はどう違いますか?

住宅宿泊事業旅館業(簡易宿所)特区民泊
根拠法住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)旅館業法(昭和23年法律第138号)国家戦略特別区域法
手続都道府県知事等への届出許可認定
年間営業日数180日以内制限なし制限なし(最低宿泊日数の定めあり)
用途地域法律上の一律制限なし(条例による制限あり)制限あり対象区域が限られる

180日は「人を宿泊させる日数」の上限で、毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で、届出住宅ごとに算定します。1日は正午から翌日の正午までと数えます(観光庁「民泊制度ポータルサイト」・2026年8月14日参照)。

「180日では事業として足りない」という場合は、簡易宿所や特区民泊が選択肢になりますが、その分、使える物件の条件は厳しくなります。どの制度で行くかを先に決めてから物件を探すと、無駄がありません。

マンションで民泊が禁止されるのはどんな場合ですか?

分譲マンションでは、管理規約で住宅宿泊事業を禁止できます。実際に禁止条項を設けているマンションは少なくありません。

届出の際には、管理規約に住宅宿泊事業を禁止する定めがないことの確認が求められます。規約に定めがない場合でも、管理組合として禁止する意思決定がないかの確認が必要とされています(観光庁「民泊制度ポータルサイト」・2026年8月14日参照)。

購入・賃借の前に確認するものは2つです。

  • 管理規約の現物——「住宅宿泊事業を禁止する」旨の条項の有無
  • 管理組合の総会議事録——規約改正の予定や、禁止の決議がないか

賃借した部屋で民泊を行う「転貸型」の場合は、これに加えて所有者(貸主)の書面による承諾が必要です。転貸を認める賃貸借契約でも、民泊利用まで認めているとは限りません。

消防設備は何が必要ですか?

住宅宿泊事業を行う住宅には、一般の住宅より厳しい消防法令の基準が適用される場合があります。代表的なものが自動火災報知設備と誘導灯です。必要な設備は、家主居住型か家主不在型か、宿泊室の面積、建物の規模・構造によって変わります。

手順は次のとおりです。

順番やること
1管轄消防署に事前相談(物件の図面を持参)
2必要な消防用設備を確認し、見積り・設置
3消防法令適合通知書の交付を受ける

届出の際に、自治体からこの通知書の提出を求められることがあります。設備工事の費用は物件によって大きく変わるため、契約前に消防署への事前相談を済ませておくと、収支計画の狂いを防げます。

契約前のチェックリスト

確認項目確認先確認するもの
条例の区域・期間制限物件所在の自治体制限区域・制限期間・事前相談の要否
用途地域自治体の都市計画図簡易宿所・特区民泊も視野に入れる場合は特に重要
管理規約(マンション)管理会社・管理組合禁止条項の有無・総会の決議
消防管轄消防署必要設備・消防法令適合通知書
所有者の承諾(転貸型)貸主転貸と民泊利用の承諾(書面)

区域・期間の制限、規約の解釈、消防用設備の要否は、物件の所在地・規模・型によって結論が変わります。最終確認は、物件所在の自治体の担当窓口および所轄消防署で行ってください。

誰に相談すればよいですか?

住宅宿泊事業の届出書類の作成は、四葉行政書士事務所が承ります。民泊に使える物件のご紹介、売買・賃貸借の契約は、四葉不動産株式会社が承ります。両者はそれぞれ独立した事業体として別契約で受任します。収支や税務のご相談は、税理士へ直接ご依頼いただく形をご案内します。

民泊向け物件のご相談は民泊のご相談へ。飲食店の居抜き物件で保健所の確認が必要なケースは「居抜き物件は契約前に保健所へ」を、事業用物件全般は投資用・事業用不動産をご覧ください。

よくある質問

Q. 住居専用地域のマンションでも民泊はできますか?
A. 住宅宿泊事業は法律上、住居専用地域でも届出により可能ですが、自治体の条例で区域・期間が制限されている場合はそちらが優先します(文京区では住居専用地域を含む対象地域で日曜正午〜金曜正午の営業ができません)。さらにマンションでは管理規約の確認が必要です。所在自治体の窓口と管理規約の両方をご確認ください。

Q. 180日はどうやって数えるのですか?
A. 毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間で、届出住宅ごとに「人を宿泊させた日数」を数えます。1日は正午から翌日の正午までです。予約が入っていても宿泊がなければ数えません。詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認できます。

Q. 賃貸で借りた部屋で民泊をしてもよいですか?
A. 賃貸借契約で転貸が認められていること、そのうえで民泊としての利用について貸主の承諾があることの両方が必要です。無断で行うと契約解除の原因になり得ます。承諾は書面で取得してください。転貸型で届出をする際には、貸主の承諾を確認する書類が必要になります。

Q. 物件を契約する前に、民泊ができる物件かどうか見てもらえますか?
A. はい。所在自治体の条例、管理規約、消防の論点を契約前に整理してお示しします。物件の媒介・契約は四葉不動産株式会社、届出書類の作成は四葉行政書士事務所の業務で、それぞれ別契約でのご依頼となります。可否の最終確認は自治体窓口・所轄消防署で行います。

この記事の出典(一次情報)

※届出の添付書類の詳細な現行運用(管理規約の写し等)は、届出先自治体・民泊制度ポータルサイトで着手時点の最新情報をご確認ください(未検証の部分は本文に記載していません)。
※条例の制限、管理規約の解釈、消防用設備等の設置義務は、物件の所在地・規模・営業の型により結論が変わります。本記事は一般的な情報提供であり、個別物件の可否を判断・保証するものではありません。必ず所在自治体の担当窓口および所轄消防署にご確認ください。
※物件の媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、住宅宿泊事業の届出等に係る官公署提出書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別契約で受任します。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。元毎日新聞記者・中国総局長。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と届出(行政手続)の論点を同じテーブルで確認します。税務など専門外の場面は連携する専門家をご案内します。

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