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投資・事業用不動産

冷蔵・冷凍倉庫(低温物流センター)の物件はどこを見て選ぶ?

ガラス面に空が映る低層オフィスビルを描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

冷蔵・冷凍倉庫(低温物流センター)の物件は、常温の普通倉庫と同じ目では選べません。物件側で先に確認するのは、用途地域(倉庫業を営む倉庫は準住居〜工業専用で可、住居系は不可。建築基準法別表第二)、床の積載荷重(登録倉庫の床は3,900N/㎡以上。建築基準法施行令第85条)、冷凍機・凝縮器を置くスペース、冷凍機を回す受電容量。東京都文京区の宅地建物取引士が、倉庫業法・高圧ガス保安法・フロン排出抑制法の振り先まで、契約前に確認できることを条文と国土交通省の資料から整理します。

結論(先に要点):冷蔵・冷凍倉庫(低温物流センター)の物件は、常温の普通倉庫と同じ目で選ぶと詰まります。物件側で先に確認するのは、用途地域(倉庫業を営む倉庫は準住居・近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用でしか建てられず、住居系では建てられません。建築基準法別表第二)、床の積載荷重(倉庫業の登録を受ける倉庫の床は1平方メートルあたり3,900ニュートン以上。建築基準法施行令第85条)、天井高・庫内の冷凍機や凝縮器を置くスペース、そして冷凍機を回せる受電容量です。冷凍設備は高圧ガス保安法、冷媒フロンの充塡・回収はフロン排出抑制法、保管する食品・医薬品は食品衛生法や医薬品医療機器等法がそれぞれ関わり、倉庫業の登録には国土交通大臣の登録(倉庫業法第3条)が要ります。不動産会社(当社)が担うのは、用途地域・床荷重・電力・冷凍機スペースといった物件適合性の調査と、重要事項説明(宅地建物取引業法第35条)を含む媒介までです。倉庫業登録・高圧ガス・フロンの許認可申請の書類作成は行政書士、冷凍設備や受変電の施工は有資格の設備・電気工事業者、保管物の営業許可は所管官庁が担い、いずれも独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料のやりとりはありません)。

低温物流・食品卸・医薬品流通の事業者や、3PL・倉庫投資を検討する法人の不動産担当に向けて、冷蔵・冷凍倉庫の物件を契約前にどこで見極めるかを、条文と国土交通省の資料の順に整理します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件が倉庫業登録の基準や高圧ガス・フロンの規制に適合するかの最終判断は、所管官庁と各有資格者の領域です。

四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、事業用不動産の調査と媒介を承っています。「この空き倉庫で低温物流センターを開けるか」という段階から、契約前に確認できることをご相談いただけます。

冷蔵・冷凍倉庫は、普通倉庫と物件の探し方がどう違う?

常温の営業倉庫(第一類〜第三類など)でも用途地域と床荷重は確認しますが、冷蔵・冷凍倉庫はそこに「冷凍設備」という重い機械が加わるぶん、見る項目が増えます。冷凍機・凝縮器・受変電設備を置く場所と、その機械を回し続ける電力、庫内を低温に保つ断熱・気密、結露や床の凍上への対策——これらは常温倉庫にはない論点です。

項目常温の営業倉庫冷蔵・冷凍倉庫(低温物流)
用途地域準住居〜工業専用で可(住居系不可)同じ(倉庫業を営む倉庫として扱う)
床の積載荷重3,900N/㎡以上(施行令第85条)同じ基準に加え、凍上・断熱床の構造
設備原則不要冷凍機・凝縮器・受変電・断熱パネル
関わる法令倉庫業法・建築基準法左記+高圧ガス保安法・フロン排出抑制法
保管物の規制物品による食品衛生法・医薬品医療機器等法が絡みやすい

常温の営業倉庫の登録物件の見方は営業倉庫の登録を受けられる物件はどこを見る?で、無人の冷凍自販機を置く店舗物件は無人冷凍自販機を置ける物件の条件で扱っています。本記事は、低温物流施設に固有の冷凍設備・床荷重・電力・コールドチェーン適合という物件要件に絞ります。

用途地域・床荷重・天井高・電力容量は、何を確認すればいい?

物件を契約する前に、不動産会社の調査で確認できるのは次の点です。許認可の可否そのものではなく、「許認可を取りに行ける物件か」を見るのが入口になります。

確認項目根拠・目安確認の仕方
用途地域建築基準法別表第二。倉庫業を営む倉庫は準住居・近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用で可、住居系は不可自治体の都市計画情報、建築確認済証の用途地域欄
市街化調整区域か市街化調整区域は原則建築不可。開発許可を受けた倉庫でないと倉庫業登録に進めない都市計画法上の区域区分を自治体で確認
床の積載荷重倉庫業の登録を受ける倉庫の床は3,900N/㎡以上(建築基準法施行令第85条第3項)構造計算書・建築確認図書、必要なら建築士の確認
天井高・庫内空間冷凍機・凝縮器・断熱パネル・荷役機器が入る高さと平面現地実測、設備業者との事前協議
受電容量冷凍機・急速凍結機を回す電力。既存契約容量と増設余地電力会社・電気工事業者への確認(法定の一律基準ではない)

電力容量や冷凍機の能力は法令で一律に決まっているものではなく、扱う温度帯(冷蔵か冷凍か、急速凍結を行うか)と保管量で変わります。ここは設備・電気工事業者の設計領域なので、物件選定の段階から有資格の事業者に相談する前提で見ておくと、契約後に「受電が足りない」と分かる事態を避けやすくなります。用途地域と床荷重は不動産会社の調査で裏が取れますが、受電の増設可否は電力会社・工事業者の回答待ちになる点に注意してください。

冷凍設備(高圧ガス)と倉庫業登録で必要になる許認可は、誰に頼む?

冷蔵・冷凍倉庫の開設には、不動産の物件適合とは別に、複数の許認可が並びます。どれも不動産会社の業務ではなく、行政書士・設備業者・所管官庁の領域です。物件側では「これらを取りに行ける物件か」までを確認します。

許認可・手続概要主に関わる担当
倉庫業の登録営業倉庫として保管業を営むには国土交通大臣の登録(倉庫業法第3条)。冷蔵倉庫は施設設備基準上の一区分行政書士(書類作成)・国土交通省(地方運輸局)
高圧ガス(冷凍)の許可・届出冷媒ガスを圧縮・液化して冷凍する設備は高圧ガス保安法の規制対象。1日の冷凍能力に応じて都道府県知事の許可・届出の区分がある行政書士(書類作成)・設備業者(保安)・都道府県
第一種フロン類充塡回収業者の登録業務用冷凍空調機器のフロン類を充塡・回収する事業はフロン排出抑制法で都道府県への登録が必要行政書士(書類作成)・都道府県
冷凍設備・受変電の施工冷凍機・凝縮器・受変電の設置工事は有資格者(高圧ガス製造保安責任者・電気工事士等)の領域設備・電気工事業者

倉庫業法では、冷蔵倉庫は冷蔵室の保管温度を常時摂氏10度以下に保つこと、見やすい場所に温度計を設置すること、通報機を設けることなどが施設設備基準で求められ、一類倉庫の基準の多くも準用されます(倉庫業法施行規則、国土交通省告示。2024年に冷蔵倉庫の温度帯区分が細分化されました)。これらの登録申請の書類作成・提出は行政書士の、高圧ガスやフロンの保安・施工は有資格の設備事業者の仕事です。高圧ガスの販売届出や第一種フロン類充塡回収業者の登録といった冷凍・空調設備事業の許認可の全体像は、行政書士(別契約の独立した事業体)におつなぎします。許認可の可否や適合の最終判断は所管官庁と各有資格者が行います。

食品・医薬品を保管するとき、追加で問われる物件条件は?

冷蔵・冷凍倉庫で何を保管するかによって、倉庫業の基準の上に別の規制が重なります。保管物の営業許可そのものは所管官庁の領域ですが、物件が「その許可の施設基準に耐えうる造りか」は契約前に見ておきたい点です。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

保管物重なる主な規制物件で意識する点
冷凍食品・生鮮品食品衛生法(保管の衛生管理)温度管理の記録、区画、搬入出の動線
医薬品医薬品医療機器等法。流通品質の基準(GDP)が意識される温度帯の安定性、バリデーション可能な設備
要冷蔵の原材料保管物ごとの業法・取引先の品質基準温度逸脱への対応、停電時のバックアップ

食品・医薬品の営業許可や品質基準は所管の官公庁・取引先が判断します。物件側では、温度帯の安定性、停電・冷凍機停止時の保冷やバックアップ電源を置ける余地、区画や動線が確保できるかといった「設備・運用を載せられる器か」を確認します。許可の要件そのものの適合判断は、不動産会社ではなく所管官庁と専門家の領域です。

居抜き(既存の冷凍機付き)と空き倉庫では、どちらが有利?

冷凍機が残る居抜き物件は初期投資を抑えやすい一方で、設備の老朽化や能力不足、冷媒の種類(規制対象フロンか)という別のリスクがあります。空き倉庫は設備を自由に設計できる反面、冷凍機・受変電の新設に時間と費用がかかります。どちらが有利かは、扱う温度帯と保管量、そして既存設備の状態次第です。

観点居抜き(冷凍機付き)空き倉庫(設備なし)
初期費用抑えやすい冷凍機・受変電の新設が必要
立上げ期間短い(流用できれば)設計・施工の期間が要る
リスク設備の老朽化・能力不足・冷媒規制受電増設の可否、工事期間
確認すべき点冷凍能力・冷媒種・保守履歴・残存耐用受電余地・床荷重・天井高

居抜きなら、冷凍能力と冷媒の種類、保守履歴、残存耐用年数を設備業者に見てもらうのが先です。空き倉庫なら、受電の増設可否と床荷重・天井高を押さえるのが先になります。当社は、どちらの物件でも用途地域・床荷重・電力の調査と媒介までをお手伝いし、設備の評価は有資格の設備業者に、許認可の可否は行政書士・所管官庁におつなぎします。事業用物件の探し方は事業用不動産・投資用物件の相談窓口、オフィス・拠点の物件は事業の拠点・オフィス物件の相談窓口もご覧ください。

冷蔵・冷凍倉庫の物件さがしを四葉不動産へ(相談無料)

お問い合わせに「冷蔵・冷凍倉庫」と、希望エリア、扱う温度帯(冷蔵/冷凍/急速凍結)、想定保管量、居抜きと空き倉庫のどちらを検討しているかをご記入ください。用途地域・床荷重・受電容量の確認から、許認可の振り先の整理までをお話しします。

よくある質問

Q. 冷蔵・冷凍倉庫はどの用途地域なら建てられますか?
A. 倉庫業を営む倉庫は、建築基準法別表第二により、準住居地域・近隣商業地域・商業地域・準工業地域・工業地域・工業専用地域で建てられ、低層・中高層の住居専用地域や第一種・第二種住居地域では建てられません。市街化調整区域は原則不可で、開発許可を受けた倉庫でないと倉庫業登録に進めません。対象地の用途地域は自治体の都市計画情報や建築確認済証で確認できます。

Q. 床の荷重はどのくらい必要ですか?
A. 倉庫業の登録を受ける倉庫の床は、建築基準法施行令第85条により1平方メートルあたり3,900ニュートン(概ね400kg/㎡)以上の積載荷重に耐える必要があります。冷蔵・冷凍倉庫では、これに加えて断熱床の構造や凍上対策も論点になります。既存建物では構造計算書や建築確認図書で確認し、必要に応じて建築士に見てもらうのが確実です。

Q. 冷凍設備や倉庫業登録の手続は、不動産会社が代行してくれますか?
A. いいえ。不動産会社が担うのは、用途地域・床荷重・電力・冷凍機スペースといった物件適合性の調査と、重要事項説明(宅地建物取引業法第35条)を含む媒介までです。倉庫業の登録や高圧ガス・フロンの許認可申請の書類作成は行政書士、冷凍設備・受変電の施工は有資格の設備・電気工事業者、保管物の営業許可は所管官庁が担います。いずれも独立した事業体として別々にご契約いただきます。

Q. 冷凍機が残っている居抜き倉庫は、そのまま使えますか?
A. 使えるかどうかは設備の状態次第です。冷凍能力が扱う温度帯・保管量に足りるか、冷媒がどの種類か(規制対象フロンか)、保守履歴と残存耐用年数を、有資格の設備業者に確認してもらうのが先です。流用できれば初期費用と立上げ期間を抑えられますが、老朽化や能力不足が見つかることもあります。物件の用途地域・床荷重・電力は当社が調査します。

この記事の出典(一次情報)

以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・項・号・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。倉庫業登録の施設設備基準や冷蔵倉庫の温度帯区分は告示で随時改正されるため、国土交通省の最新の案内で確認してください。個別の物件が各基準に適合するかは所管官庁と各有資格者が判断します。公的資料の参照日はいずれも2026年11月3日。

  • e-Gov法令検索「倉庫業法」(昭和31年法律第121号。第3条=国土交通大臣の登録)
  • e-Gov法令検索「倉庫業法施行規則」(昭和31年運輸省令第59号。冷蔵倉庫の施設設備基準。e-Gov法令検索で条番号と最新を確認)
  • 国土交通省「倉庫業の登録の手引き」および「倉庫業法第三条の登録の基準等に関する告示」(平成14年国土交通省告示第43号。冷蔵倉庫の保管温度・温度帯区分。2024年に温度帯区分を細分化。参照日2026年11月3日。最新は国土交通省のページで確認)
  • e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。別表第二=用途地域内の建築物の制限)
  • e-Gov法令検索「建築基準法施行令」(昭和25年政令第338号。第85条=積載荷重。倉庫業を営む倉庫の床は3,900N/㎡以上)
  • e-Gov法令検索「都市計画法」(昭和43年法律第100号。第8条=用途地域)
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号。第35条=重要事項の説明)
  • e-Gov法令検索「高圧ガス保安法」(昭和26年法律第204号。冷凍のための製造の許可・届出、第20条の4=販売事業の届出。e-Gov法令検索で条番号と最新を確認)
  • e-Gov法令検索「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」(平成13年法律第64号。第一種フロン類充塡回収業者の登録。e-Gov法令検索で条番号と最新を確認)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の物件が倉庫業登録の基準・用途地域・高圧ガス・フロンの規制に適合するかを保証するものではありません。物件適合性の調査と媒介は不動産(当社)が、倉庫業・高圧ガス・フロンの許認可申請の書類作成は行政書士が、冷凍設備・受変電の施工は有資格の設備・電気工事業者が、保管物の営業許可は所管官庁が、それぞれ判断・担当します。

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。事業用不動産の調査と媒介を承ります。著者プロフィール

更新日:2026年11月3日

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