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売りにくい土地・建物

再建築不可の家を貸して持ち続けるとき、建築確認が要る工事と要らない工事の線はどこですか?

住宅と街並みから不動産活用を考えるイメージ
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

再建築不可の家でも修繕して貸しながら持ち続けられます。接道義務(建築基準法第43条第1項)が効くのは新築・増築・改築・移転(第2条第13号)であり、修繕・模様替は建築に当たらないからです。ただし主要構造部の一種以上の過半を修繕・模様替する大規模の修繕・模様替(第2条第14号・第15号)は、二以上の階数を有するか延べ面積200㎡超の建築物で確認が要ります(第6条第1項第2号)。この線は令和4年法律第69号の改正が2025年4月1日に施行されて引かれ、改正前は木造2階建て住宅の大規模修繕は確認の対象外でした。判断は建築士と特定行政庁が行い、当社は貸す・売る・持つの比較と賃貸・売却の媒介を行います。

結論(先に要点):再建築不可の家でも、修繕して貸しながら持ち続けることはできます。接道義務(建築基準法第43条第1項)が問題になるのは「建築」、つまり新築・増築・改築・移転(同法第2条第13号)であって、修繕や模様替そのものは建築ではないからです。ただし、壁・柱・床・はり・屋根・階段といった主要構造部の一種以上について過半を修繕・模様替する「大規模の修繕」「大規模の模様替」(同法第2条第14号・第15号)は、二以上の階数を有するか延べ面積200㎡を超える建築物では建築確認が要ります(同法第6条第1項第2号)。この「2階建て以上なら確認が要る」という線は、令和4年法律第69号による改正が2025年4月1日に施行されて引かれたもので、改正前は木造2階建て住宅の大規模修繕は確認の対象外でした。どの工事が大規模の修繕・模様替に当たるかは建築士が判断し、確認の要否は特定行政庁(文京区)が扱います。当社(四葉不動産株式会社)は判断しません。当社が行うのは、貸して持つ・媒介で売る・提携する買取業者を買主とする媒介・隣地への売却の比較と、貸す場合の需要の情報提供です。建築士・弁護士・司法書士・税理士とはそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただき、当社は紹介料を受け取りません。

「建て替えられない家だから、直して貸すしかないと思うが、どこまで直してよいのか」——再建築不可の家を持ち続ける方からの、いちばん多い質問です。本記事は、建築確認が要る工事と要らない工事の線を、2025年4月1日施行の改正後の建築基準法の条文で整理し、貸す形と出口の再検討まで扱います。再建築不可の基本は相続した再建築不可物件の売却に、43条2項の認定・許可は43条2項1号認定・2号許可は誰が申請するかに、出口の全体像は再建築不可の土地・家の出口相談にまとめています。

再建築不可でも、修繕して貸すことはできますか?

できます。建築基準法第43条第1項は「建築物の敷地は道路に2m以上接しなければならない」と定め、この規定が効くのは建築のときです。同法第2条第13号は、建築を「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること」と定義しています。修繕や模様替はこの定義に含まれません。

行為建築に当たるか再建築不可の敷地での扱い
新築・改築(建て替え)・移転当たる(第2条第13号)接道義務を満たさない限りできない
増築当たる(同号)同上。防火地域・準防火地域外で10㎡以内なら確認は不要(第6条第2項)だが、接道義務の問題は別
修繕・模様替当たらないできる。ただし「大規模」なら確認が要る場合がある(次章)
内装・設備の更新当たらないできる

つまり、貸して持ち続ける道は開いています。問題は、どこまでの工事なら確認申請なしに進められ、どこからが確認の対象になるか、です。

建築確認が要る工事は、どこからですか?

建築基準法第6条第1項は、次の建築物を建築しようとする場合と、第1号・第2号の建築物の大規模の修繕・大規模の模様替をしようとする場合に、確認を受けることを求めています。

建築物建築大規模の修繕・模様替
第1号別表第一の用途に供する特殊建築物で、その用途の床面積の合計が200㎡を超えるもの確認が要る確認が要る
第2号第1号以外で、二以上の階数を有し、または延べ面積が200㎡を超える建築物確認が要る確認が要る
第3号第1号・第2号以外で、都市計画区域内などの建築物確認が要る確認は不要

「大規模の修繕」は建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕(第2条第14号)、「大規模の模様替」は同じく過半の模様替(第2条第15号)です。主要構造部とは壁・柱・床・はり・屋根・階段で、構造上重要でない間仕切壁や最下階の床などは除かれます(第2条第5号)。

工事の例大規模の修繕・模様替に当たりうるか2階建て以上または200㎡超の住宅での確認
屋根の葺き替えで屋根の過半を取り替える当たりうる要る場合がある
外壁の過半を張り替える当たりうる要る場合がある
柱・はりの過半を交換する当たりうる要る場合がある
内装の張替え、キッチン・浴室の交換当たらないのが通常不要が通常
主要構造部の一部(過半に満たない)補修当たらない不要

「過半」に当たるかどうかは、工事の範囲を図面で確認して建築士が判断します。当社は判断しません。確認申請が要る工事では、建築基準関係規定への適合が審査され、既存の建物の扱いも含めて建築士と特定行政庁(文京区)に確認します。

2025年4月1日の改正で、何が変わりましたか?

令和4年法律第69号(脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律)が2025年4月1日に施行され、建築基準法第6条第1項の区分が変わりました。

項目改正前改正後(2025年4月1日〜)
木造2階建て住宅の位置づけ都市計画区域内の建築物として「建築」のみ確認の対象(いわゆる4号建築物)「二以上の階数を有する建築物」として第2号に該当
木造2階建て住宅の大規模の修繕・模様替確認の対象外確認が要る
審査省略(確認の特例、第6条の4)4号建築物で建築士の設計に係るものは一部の審査を省略第3号の建築物で建築士の設計に係るものに限られる(第6条の4第1項第3号)

再建築不可の家の多くは木造2階建てです。改正前なら確認なしに進められた屋根や外壁の大規模な修繕が、改正後は確認の対象になりうる、というのがこの改正の実務上の意味です。改正前後で工事の計画を立て直したご相談も増えています。個別の工事が確認の対象かどうかは、建築士が図面で判断し、必要なら特定行政庁(文京区)に事前相談します。

貸す形は、どう選びますか?

項目選択肢担う人
契約の種類普通借家契約、または期間の定めがあり更新がない定期建物賃貸借(借地借家法第38条第1項。公正証書等の書面で契約)当社(媒介・契約書面)、法的論点は弁護士
修繕の範囲貸す前に直す範囲と、貸した後の修繕の分担所有者、建築士(工事の判断)、当社(賃貸の需要の情報提供)
借主への説明再建築不可であること、建物の状態、法令上の制限当社(宅地建物取引業法第35条の重要事項説明)
収支修繕費、賃料、固定資産税、管理費所有者、税務は税理士

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

将来の売却を視野に入れるなら、定期建物賃貸借で期間を区切る形が選択肢になります。どちらの契約が向くかは、所有者の計画と借主の需要で変わります。賃貸併用の考え方は賃貸併用住宅を売る・貸すもご覧ください。

貸しながら、出口はどう再検討しますか?

出口内容先に確認すること
貸して持ち続ける修繕と賃貸で収益を得る工事の確認要否(建築士)、収支
隣地への売却・隣地の買い増し隣地と合わせて接道を確保する隣地所有者の意向。詳細は隣地への売却・隣地の買い増し
43条2項の認定・許可条件を満たせば建築できる可能性建築士の見立て、文京区の窓口
媒介で売る/提携する買取業者を買主とする媒介再建築不可のまま売る価格の根拠、告知事項

当社は、これらを報告書に並べ、貸して持つ場合の収支の材料と、売る場合の価格の根拠(宅地建物取引業法第34条の2第2項)を示します。

四葉不動産株式会社は、何を行いますか?

四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)は、東京都文京区小日向を拠点に、再建築不可・共有・借地・狭小地など売りにくい土地・建物の売却の媒介と、貸して持つ・買取を含む出口の比較を行っています。再建築不可の家を貸して持ち続ける場合は、役所調査(道路の種別・接道・用途地域・防火地域)、賃貸の需要の情報提供、貸す場合の重要事項説明と契約書面、将来の売却の段取りを担います。工事が確認の対象かどうかの判断はしません。

誰に相談すればよいですか?

貸す・売る・持つの比較、賃貸の媒介、売却の媒介は四葉不動産株式会社が承ります。どの工事が大規模の修繕・模様替に当たるか、確認申請の要否と手続は建築士と特定行政庁(文京区)が、賃貸借契約をめぐる法的な争いは弁護士が、登記は司法書士が、修繕費や賃料の税務は税理士が担います。これらはそれぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。

よくある質問

Q. 再建築不可の家でも、屋根や外壁を直してよいですか?
A. 修繕や模様替は建築(新築・増築・改築・移転)に当たらないため、接道義務の問題にはなりません。ただし、主要構造部の一種以上について過半を修繕・模様替する大規模の修繕・模様替は、二以上の階数を有するか延べ面積200㎡を超える建築物では建築確認が要ります(建築基準法第6条第1項第2号)。過半に当たるかは建築士が判断します。

Q. 平屋の小さな家なら、確認は要りませんか?
A. 二以上の階数を有さず、延べ面積が200㎡以下で、特殊建築物でない建築物は第6条第1項第3号に当たり、大規模の修繕・模様替に確認は要りません。ただし増築は建築に当たるため、防火地域・準防火地域外で10㎡以内の増築(第6条第2項)であっても、再建築不可の敷地では接道義務の問題が別に生じます。個別の判断は建築士へご相談ください。

Q. 2025年4月の改正で、何に注意すればよいですか?
A. 木造2階建て住宅が第2号の建築物になり、大規模の修繕・模様替に確認が要るようになりました。改正前に確認なしで進められた工事でも、改正後は確認の対象になりうるため、工事の計画は建築士に図面で確認してもらい、必要なら文京区に事前相談します。

Q. 貸している間に、売る話が来たらどうしますか?
A. 借主がいる状態でも売却はできますが、契約の種類(普通借家か定期建物賃貸借か)と残存期間で買主の範囲と価格が変わります。当社は貸す前の段階で、将来の売却を見据えた契約の形を情報提供し、売る段階では価格の根拠を書面で示します。法的な争いが生じた場合は弁護士へご相談ください。

この記事の出典(一次情報)

  • e-Gov法令検索「建築基準法」(昭和25年法律第201号。第2条第5号=主要構造部、第13号=建築、第14号=大規模の修繕、第15号=大規模の模様替。第6条第1項=確認を要する建築物(第1号・第2号は建築と大規模の修繕・模様替、第3号は建築のみ)、第6条第2項=防火地域・準防火地域外の10㎡以内の増築等の除外、第6条の4=確認の特例、第43条第1項=接道。令和4年法律第69号による改正・2025年4月1日施行。現行版の施行日 2026年5月27日・令和8年法律第23号による改正。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「借地借家法」(平成3年法律第90号。第38条第1項=定期建物賃貸借は公正証書による等書面によって契約する場合に限り更新がないこととする旨を定められる。現行版の施行日 2026年5月21日・令和4年法律第48号による改正。2026年9月24日参照
  • e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(昭和27年法律第176号。第34条の2第2項=価額の根拠の明示、第35条=重要事項の説明。現行版の施行日 2026年4月1日・令和7年法律第68号による改正。2026年9月24日参照

※どの工事が大規模の修繕・模様替に当たるか、確認申請の要否、既存の建物の扱いは、建物の階数・延べ面積・用途・工事の範囲・敷地の状況によって変わります。本記事は個別の工事について判断していません。工事と確認申請は建築士・特定行政庁へ、賃貸借の法的な争いは弁護士へ、登記は司法書士へ、税務は税理士へご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の建物・工事・契約の適否や結果を判断・保証するものではありません。確認申請の要否の最終判断は建築士・特定行政庁が行います。
※賃貸・売却の媒介および契約書面は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、工事の判断と確認申請は建築士が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。工事の判断は建築士・特定行政庁に委ね、貸して持つ場合と売る場合の出口を同じテーブルに並べて比較します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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