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相続

相続した実家の残置物・遺品を片付けずに現況有姿で売れるか|所有権・費用・契約不適合の整理

雨戸を閉めたまま草の伸びた空き家を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

相続した実家に家具や遺品が残っていても、片付けずに「現況有姿(現状のまま)」で売ること自体はできます。ただし残置物(遺品)は原則として相続財産であり、相続人全員の遺産共有に属するため(民法第898条)、誰か一人が勝手に処分してよいものではありません。売却で効くのは、相続人の間で処分の合意が取れているか、買主に現況有姿であることと契約不適合責任の範囲を売買契約書で明確にできているか、相続登記が済んでいるかです。東京都文京区の宅地建物取引士が、民法と不動産実務から、売る前に確認できることを整理します。現況有姿での売り方の整理と媒介は当社、遺産分割・紛争は弁護士、相続登記は司法書士、譲渡所得税・相続税は税理士、現地の片付けは遺品整理業者へ分離受任でご案内します。

結論(先に要点):相続した実家に家具や遺品が残っていても、片付けずに「現況有姿(現状のまま)」で売ること自体はできます。ただし、残置物(遺品)は原則として相続財産であり、相続人全員の遺産共有に属するため(民法第898条)、誰か一人が勝手に処分してよいものではありません。売却で効くのは、相続人の間で処分の合意が取れているか、買主に現況有姿であることと契約不適合責任の範囲を売買契約書で明確にできているか、相続登記が済んでいるかです。残置物を残したまま売るか、片付けてから売るかは、費用・時間・買主の受け止めで決まります。現況有姿での売り方の整理と媒介は当社(宅地建物取引業)、残置物の所有権や遺産分割でもめている場合の交渉・調停は弁護士、相続登記は司法書士、譲渡所得税・相続税は税理士、現地の片付けは遺品整理業者へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料のやりとりはありません)。

遠方や多忙で片付けが進まないまま実家の相続と売却を検討する相続人に向けて、「残置物があると売れないのか」「何から手を付ければよいのか」を、民法と宅地建物取引業の実務の順に整理します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の残置物を誰がどう処分してよいか、遺産分割や契約不適合責任の最終判断は、弁護士・税理士・当事者間の合意の領域です。

四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、相続不動産の査定と売却の媒介を承っています。残置物の残る実家について、売る前に確認できることからご相談いただけます。

相続した実家の残置物(遺品)は誰のもので、勝手に処分してよいのか?

実家に残された家具・家電・衣類・書類などの動産(遺品)は、原則として相続財産であり、相続人が数人いるときは相続人全員の共有に属します(民法第898条)。したがって、相続人の一人が他の相続人に無断で全部を処分してよいものではありません。

民法(明治29年法律第89号)第898条第1項は、「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」と定めます。実家の建物・土地だけでなく、中に残された遺品も相続財産であれば、この遺産共有の対象です。形見分けや廃棄を含めて、残置物をどう扱うかは、遺産分割や相続人間の合意のなかで決めるのが順序です。

場面整理
相続人が一人その相続人の判断で処分できる(他に権利者がいないか、賃借物・リース物が混じっていないかは確認)
相続人が複数相続財産は遺産共有(民法第898条)。処分は相続人間の合意のもとで
遺産分割や処分でもめている交渉・調停・訴訟になり得るため弁護士の領域。合意ができるまで一方的な処分は避ける
第三者の物が混じる貴重品・他人の預かり物・リース品などは別扱い。所有者に確認

実家を売る前提で残置物を片付ける場合も、相続人間で「誰が・何を・いつまでに・費用は誰が」処分するかを合意しておくのが実務です。共有状態の不動産を売るときの同意の取り方は共有名義の相続不動産を売るときの同意も参考になります。相続人の間で残置物の所有や分け方をめぐって対立している場合は、交渉・調停・訴訟になり得るため弁護士の領域で、当社がこれを仲裁・判断することはありません。

片付けずに「現況有姿」のまま売ることはできるのか?

できます。残置物が残っていても、売買契約で「現況有姿(現状のまま引き渡す)」と定め、残置物の扱い・引き渡しの状態・契約不適合責任の範囲を明確にすれば、片付けずに売ることは実務上珍しくありません。買主がリフォームや解体を前提に買う場合は、むしろ現況のままで取引が成立することもあります。

現況有姿での売却では、次の点を整理します。

整理する点内容
残置物の扱い引き渡しまでに撤去するのか、残置物を残したまま引き渡すのか。残す場合は所有権放棄・処分委任の取り決め
引き渡しの状態清掃・解体の有無、どの状態で引き渡すか
契約不適合責任現況有姿であることと、売主が負う責任の範囲・期間を契約書に明記
相続人の合意残置物の処分・引き渡し条件について相続人全員が合意しているか

現況有姿は「どんな状態でも売主は一切責任を負わない」という意味ではありません。何を現況とし、売主が何を保証しないのかを契約書で具体的に定めることで、後の争いを避けます。買主が住宅ローンを使う場合や、建物の状態・心理的な事情が価格に影響する場合もあります。事故・心理的瑕疵の告知は相続した事故物件・心理的瑕疵の告知と売却、実家売却の全体の流れは相続した実家を売るまでの流れで扱っています。当社は、残置物の扱いと現況有姿の条件を売買契約と重要事項説明に正確に反映します。

残置物の片付けや解体の費用はどのくらいで、売却前にやるべきか?

費用は、残置物の量・品目(家電リサイクル対象品の有無)・立地・建物の規模・解体の要否で大きく変わるため、一律の金額は示せません。遺品整理業者や解体業者の見積もりを複数取って比べるのが実務です。売却前に片付け・解体をするかは、費用を誰が負担するか、買主がどの状態を望むかで判断します。

選択要点
現況有姿で残置物を残して売る片付け費用を抑えられるが、その分が価格や買主の手間に反映されることがある。残す場合の処分の取り決めが要る
片付けてから売る室内を見せやすく買主の幅が広がることがある。遺品整理業者への費用と相続人の合意が要る
古家付きで売る/解体して更地で売る建物の状態・立地・買主像で分かれる。費用と時間の比較が要る

解体か古家付きかの比較は相続した空き家は解体か古家付きかで詳しく扱っています。片付けや解体をしないまま空き家を放置すると、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号)のもとで、放置すれば特定空家等(第2条第2項)になるおそれのある「管理不全空家等」として市区町村長の指導・勧告の対象になり得ます。この区分は改正法(令和5年法律第50号)により2023年(令和5年)12月13日に施行され、勧告を受けると住宅用地に係る固定資産税の特例が解除される扱いがあります。費用の見積もりと業者の選定は遺品整理業者・解体業者の領域で、当社は売却の段取りのなかで、片付け・解体を売却前にするかどうかの比較と業者への振り分けをお手伝いします。具体的な費用の額・税額を当社が保証することはありません。

契約不適合責任との関係で、何を売買契約書に書いておくべきか?

現況有姿で売る場合こそ、契約不適合責任の範囲を売買契約書で明確にしておくことが大切です。民法の契約不適合責任(第562条から第566条)を前提に、売主が何を保証し、何を保証しないのか、買主が不適合を知ってからいつまでに通知すべきかを具体的に定めます。

民法では、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しないとき、買主は追完請求(第562条)、代金減額請求(第563条)、損害賠償請求・契約の解除(第564条)ができるとされています。そして、種類・品質に関する不適合については、買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知しないと、これらの請求ができなくなります(第566条本文。売主が引渡し時に不適合を知り、または重大な過失で知らなかった場合を除く)。現況有姿の売買では、こうした民法の原則を踏まえて、特約で責任の範囲・期間をどう定めるかが実務上の要点になります。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

契約書に書く点内容
現況有姿の明示現状のまま引き渡すこと、売主は現況を前提とすること
残置物の扱い撤去するか残すか、残す場合の所有権・処分の取り決め
契約不適合責任の範囲売主が負う責任の範囲・期間(民法第562〜566条を前提にした特約の内容)
既知の不具合の告知雨漏り・シロアリ・設備の不具合など、売主が知っている事情の説明

契約不適合責任をどこまで限定するか、特約がどこまで有効かは、買主が消費者か事業者か、売主が知っていた事情があるかなどで変わり、最終的な法的判断は弁護士の領域です。当社は、現況有姿と残置物の扱い、売主が知っている不具合を、売買契約書と重要事項説明に正確に落とし込み、判断が要る部分は弁護士へおつなぎします。

誰に何を頼むのか(遺産分割・登記・税務・遺品整理の分担)?

残置物の残る実家の売却は、不動産の媒介、遺産分割・紛争、登記、税務、現地の片付けが別々の専門の領域にまたがります。当社が担うのは現況有姿での売り方の整理と媒介で、それ以外は各有資格者・業者へ、独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします。

困りごと頼む先
現況有姿での売り方の整理、査定、売却の媒介当社(宅地建物取引業)
残置物の所有・遺産分割でもめている(交渉・調停・訴訟)弁護士
相続登記(所有権移転)司法書士
譲渡所得税・相続税・取得費の整理税理士
現地の遺品整理・不用品の処分遺品整理業者
建物の解体解体業者

これらはそれぞれ独立した事業体であり、別々にご契約いただく前提です。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。なお、国土交通省・法務省が公表する「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は賃貸借(賃借人の死亡後の残置物処理)を想定したものですが、残置物を誰がどう処理するかを事前に取り決めておくという考え方は、相続した実家の売却でも参考になります。当社は、残置物の合意・現況有姿の条件・相続登記の状況を確認し、どこを誰に振るかの段取りからご相談をお受けします。相続不動産の売却全般は相続不動産の相談窓口もご覧ください。

残置物の残る相続した実家の売却を四葉不動産に相談する(相談無料)

お問い合わせに「残置物のある実家の売却」と、相続人の人数・遺産分割の状況・相続登記の状況・残置物のおおよその量をご記入ください。売れる・売れないを先に決めつけず、残置物の合意、現況有姿の条件、どこを誰に振るかの整理からお話しします。

よくある質問

Q. 相続した実家の遺品は、私の一存で処分してよいのですか?
A. 相続人がご自身お一人であれば、ご自身の判断で処分できます(賃借物やリース品、他人の預かり物が混じっていないかは確認を)。相続人が複数いる場合、遺品を含む相続財産は相続人全員の共有に属するため(民法第898条)、他の相続人に無断で全部を処分するのは避け、誰が・何を・いつまでに・費用は誰が処分するかを相続人間で合意しておくのが実務です。所有や分け方でもめている場合は弁護士の領域です。

Q. 残置物を片付けずに「現況有姿」のまま売れますか?
A. 売れます。売買契約で「現況有姿(現状のまま引き渡す)」と定め、残置物の扱い・引き渡しの状態・契約不適合責任の範囲を明確にすれば、片付けずに売ることは実務上珍しくありません。買主がリフォームや解体を前提に買う場合は、現況のまま取引が成立することもあります。現況有姿は売主が一切責任を負わない意味ではなく、何を保証しないのかを契約書で具体的に定めることが大切です。

Q. 現況有姿で売ると、契約不適合責任はどうなりますか?
A. 現況有姿でも、民法の契約不適合責任(第562〜566条)が前提になります。買主は不適合に対し追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・解除ができ、種類・品質の不適合は知った時から1年以内の通知が必要です(第566条本文)。現況有姿の売買では、売主が負う責任の範囲・期間を特約でどう定めるかが要点です。特約の有効性など法的判断は弁護士の領域で、当社は契約書と重要事項説明への反映を担います。

Q. 片付けや解体の費用はどのくらいかかりますか?
A. 残置物の量・品目・立地・建物の規模・解体の要否で大きく変わるため、一律の金額は示せません。遺品整理業者や解体業者の見積もりを複数取って比べるのが実務です。空き家を片付けずに放置すると、空家等対策特別措置法のもとで管理不全空家等として市区町村長の指導・勧告の対象になり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が解除される扱いもあります。当社は売却の段取りのなかで、片付け・解体を売却前にするかの比較と業者への振り分けをお手伝いします。

この記事の出典(一次情報)

以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・項・号・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。残置物の処分や現況有姿の条件は個別の事情で変わります。参照日はいずれも2026年10月26日。個別の残置物の処分の可否、遺産分割の内容、契約不適合責任の範囲を確定するものではありません。

  • e-Gov法令検索「民法」(明治29年法律第89号。第898条=共同相続による相続財産の共有、第562条=買主の追完請求権、第563条=代金減額請求権、第564条=損害賠償請求及び解除権の行使、第566条=種類又は品質に関する担保責任の期間の制限〔不適合を知った時から1年以内の通知〕)
  • e-Gov法令検索「空家等対策の推進に関する特別措置法」(平成26年法律第127号。第2条第2項=特定空家等の定義。管理不全空家等の制度は令和5年法律第50号による改正で新設され、2023年〔令和5年〕12月13日施行。勧告を受けた管理不全空家等は住宅用地に係る固定資産税の特例が解除される扱い)
  • 法務省・国土交通省「残置物の処理等に関するモデル契約条項(ひな形)の策定について」(令和3年〔2021年〕公表。単身高齢者等の賃貸借における賃借人死亡後の残置物処理を想定したモデル。残置物を誰がどう処理するかを事前に取り決める考え方の参考であり、相続した実家の売却を直接規律するものではない。参照日2026年10月26日)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の残置物の処分の可否、遺産分割の結論、契約不適合責任の範囲、価格への影響を保証するものではありません。残置物の所有・遺産分割・紛争は弁護士が、相続登記は司法書士が、譲渡所得税・相続税は税理士が、現地の片付けは遺品整理業者が、建物の解体は解体業者が判断・担当します。

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。相続不動産の査定と売却の媒介を承ります。著者プロフィール

更新日:2026年10月26日

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相続した実家、海外に住んだまま持っている物件、入居者がいるままの一棟——いまの状況をLINEで一言お送りください。代表(宅地建物取引士)が直接お返事し、売却・賃貸・そのまま持つ場合の見通しを整理します。査定・媒介は四葉不動産株式会社が単独でお受けします。

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