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投資・事業用不動産

「借地権付き物件」を中国・台湾の顧客に説明する——普通借地と定期借地、取得時の確認事項

海を挟んで向かい合う二つの街並みを描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

借地権は他人の土地を借りて建物を所有する権利で、所有権と違い地代・契約期間・地主の承諾がついて回ります。普通借地権は更新で長く使え、定期借地権は期間満了で土地を返します。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、残存期間・地代・承諾料・ローンの付きにくさという取得時の確認事項を、借地借家法と国税庁の資料から母国語で説明する材料として整理します。承諾料の慣行や旧法の適用関係など未確認事項は資格者確認待ちです。

結論(先に要点):借地権は、他人の土地を借りてその上に建物を所有する権利です。所有権と違い、地代・契約期間・地主の承諾がついて回ります。普通借地権は更新で長く使え、定期借地権は期間満了で土地を返します。買うときは、残存期間・地代・承諾の要否と承諾料・住宅ローンの付きにくさを先に確かめます。

日本の不動産を中国本土・台湾の顧客へ紹介する不動産会社や資産管理アドバイザーに向けて、日本固有の「借地権」という権利を母国語で説明するための材料を、借地借家法と国税庁の資料から整理します。当社は物件情報の提供と媒介、地主との承諾交渉(媒介の範囲)を担います。借地権の移転登記は司法書士、地代・更新・立退きをめぐる紛争や借地非訟の申立ては弁護士、相続税評価・譲渡所得税の試算は税理士が担います。これらは四葉不動産株式会社とは独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただく分離受任で進めます。現地プロと組んで日本の物件を扱う進め方は現地の専門家と組んで日本の不動産を扱うもあわせてご覧ください。

借地権とは何か?所有権とどう違うのか?

借地権は、建物の所有を目的として他人の土地を借りる権利(地上権または土地の賃借権)です。土地は地主のもので、借地人は地代を払って土地を使い、その上の建物だけを自分の名義で所有します。土地と建物の名義が分かれるのが、所有権(土地建物とも自分のもの)との最大の違いです。

借地借家法(平成3年法律第90号)は、借地権を「建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権」と定めます。日本では、借地上の建物を自分名義で登記しておけば、土地の権利を第三者にも主張できる(対抗できる)仕組みがあり、借地人の保護が厚いのが特徴です。中国本土・台湾の顧客には「土地使用権(土地は国家または他人のもの、建物は自分のもの)」に近い構造として説明すると伝わりやすい一方、更新や期間の扱いは制度ごとに異なるため、日本法の条文に沿って確認します。

論点所有権借地権
土地の権利自分のもの地主のもの(借りている)
建物の権利自分のもの自分のもの
継続費用なし(固定資産税のみ)地代(+更新料・承諾料が生じ得る)
期間なし契約期間あり(普通借地権は更新可、定期借地権は満了で終了)
住宅ローン付けやすい付きにくい場合がある(金融機関により地主の承諾書等が要る)

借地借家法は平成4年8月1日に施行されました。それより前に設定された借地権には、原則として旧借地法(大正10年法律第49号)が適用され続け、更新後の存続期間などの扱いが現行法と異なります。古い借地ほど、どちらの法律が適用されるかを先に確かめる必要があります(適用関係の最終判断は弁護士が行います)。

普通借地権と定期借地権で、出口はどう変わるのか?

普通借地権は更新できるため半永久的に使える一方、定期借地権は更新がなく、期間満了で土地を地主へ返します。出口(将来どうなるか)が正反対なので、買う前にどちらかを必ず見分けます。

普通借地権の存続期間は30年で、契約でこれより長く定めることもできます(借地借家法第3条)。更新後の期間は、最初の更新が20年、以後は10年です(同法第4条)。期間が満了しても、借地人が更新を請求し、かつ土地上に建物があるときは、地主が遅滞なく正当の事由ある異議を述べない限り、従前と同じ条件で更新されたものとみなされます(同法第5条)。これらに反して借地人に不利な特約は無効です(同法第9条)。

定期借地権は、存続期間を50年以上として、更新しない・建物買取を請求しないなどを定める借地権で、この特約は公正証書による等書面でしなければなりません(同法第22条)。専ら事業用の建物を所有する目的のものには、30年以上50年未満または10年以上30年未満の事業用定期借地権等があり、こちらは公正証書で設定します(同法第23条)。定期借地権は期間満了で終了し、原則として更地にして土地を返すため、残存期間が短いほど建物の使用できる年数が限られます。

種類根拠条文存続期間更新満了時
普通借地権第3条・第4条・第5条30年以上(更新後は20年→10年)あり(法定更新あり)条件を満たせば継続
定期借地権第22条50年以上なし原則更地で返還
事業用定期借地権等第23条10年以上50年未満なし原則更地で返還

借地権付き物件を買うとき、何を確認すればよいか?(残存期間・地代・承諾料・ローン)

先に効くのは、①残存期間②地代の額と改定の有無③地主の承諾の要否と承諾料④住宅ローンが付くか、の4点です。所有権の物件と違い、ここを外すと「買った後に使える年数が短い」「地主の承諾が得られず転売できない」といった出口の問題に直結します。

残存期間は、普通借地権なら更新で延ばせますが、定期借地権なら満了で終わるため、満了までの年数がそのまま資産価値に響きます。地代は毎月の継続費用で、契約で改定の条項があるかを見ます。ローンは、借地権付き建物を担保にする場合、金融機関が地主の承諾(譲渡・担保設定の承諾)を求めることが多く、所有権の物件より選択肢が狭くなりがちです。中国語圏の非居住者が買主になるときは、別途、外国為替及び外国貿易法の報告や税務の確認も重なります(外為法と送金・決済の整理の関連論点)。

確認事項見るポイント誰に相談するか
残存期間普通か定期か、満了までの年数当社(物件調査)・弁護士(適用法の判断)
地代月額、改定条項、滞納の有無当社・地主
承諾・承諾料譲渡・増改築・建替に地主の承諾が要るか当社(交渉は媒介の範囲)・弁護士(裁判は借地非訟)
住宅ローン借地権に融資する金融機関か、地主の承諾書が要るか当社・金融機関

地主の承諾が必要になるのはどの場面か?承諾料の目安は?

借地権を売る(第三者へ譲渡する)とき、建物を増改築・建替するとき、賃借権を転貸するときなどに、地主の承諾が必要になるのが一般的です。契約内容によりますが、相続でそのまま引き継ぐこと自体には承諾は要りません。

借地権(土地の賃借権)を第三者へ譲渡・転貸するには、原則として地主の承諾が要ります。地主が承諾しないとき、借地人は裁判所に「借地権設定者の承諾に代わる許可」を申し立てることができ、地主に不利となるおそれがないのに承諾しない場合、裁判所が承諾に代わる許可を与えることができます(借地借家法第19条。いわゆる借地非訟)。この申立てや手続は弁護士の領域で、当社が行うのは媒介の範囲での地主との交渉までです。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

承諾料(名義書換料・建替承諾料・更新料など)の金額には法律上の基準がありません。地主との合意と個別事情で決まり、慣行として示される目安も幅があります。以下は「そう言われることがある」という程度の参考にとどめ、実際の額は地主との交渉と、争いになれば弁護士の判断で確定します(金額はいずれも【未検証】)。

承諾料の名目よく言われる目安(法的根拠なし・【未検証】)備考
譲渡承諾料(名義書換料)借地権価格のおおむね1割程度と言われることがある売買時に地主へ
建替・増改築承諾料更地価格の数%程度と言われることがある建物を建て替える場合
更新料契約・地域の慣行による法律上の支払義務がない場合もある

承諾料に法的な相場があるかのような断定は避けてください。中国語圏の顧客には「承諾料は税金のような固定の料率ではなく、地主との交渉で決まる費用」と伝えると誤解が起きにくくなります。

売却や相続のとき、借地権はどう扱われるのか?

借地権は財産として売買でき、相続でも承継されます。相続で借地権をそのまま引き継ぐこと自体に地主の承諾は要りませんが、第三者へ売るときは原則として承諾が必要です。相続税の評価では、借地権にも金銭的な価値が認められます。

相続税・贈与税での借地権の価額は、その土地の自用地(更地)としての価額に「借地権割合」を乗じて求めます。借地権割合は地域ごとに定められ、路線価図や評価倍率表に表示されます(国税庁タックスアンサー No.4611「借地権の評価」、参照日2026年10月12日)。定期借地権等は、原則として借地人の受ける経済的利益とその存続期間を基に評価します。具体的な評価額・税額の試算は税理士の領域で、当社は行いません。売却益にかかる譲渡所得税の試算も同じく税理士が担います。

借地上の建物と借地権を売るときは、地主の承諾と、建物・借地権の移転登記が必要です。登記は司法書士が担います。相続登記の義務化と売却の全体像は相続登記の義務化と売却、数次相続で相続人が増えた実家の売り方は数次相続で相続人が増えた実家を売るにも整理しています。相続不動産の相談は相続不動産のご相談、投資・事業用の物件は投資・事業用不動産のご相談もご覧ください。当社は物件調査・媒介・地主との承諾交渉(媒介の範囲)を担い、移転登記は司法書士、評価・税務は税理士、紛争・借地非訟は弁護士へ、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。

よくある質問

Q. 借地権は所有権より安いのに売りにくいと聞きました。なぜですか?
A. 土地が自分のものではなく、地代・契約期間・地主の承諾がついて回るためです。特に第三者へ売るときは地主の承諾が原則必要で(借地借家法第19条)、住宅ローンも付きにくい場合があります。価格は所有権より抑えられますが、出口の確認がより重要になります。

Q. 定期借地権の物件は、期間が終わったらどうなりますか?
A. 定期借地権は更新がなく、存続期間満了で終了し、原則として建物を取り壊して更地で土地を地主へ返します(借地借家法第22条・第23条)。満了までの残存年数がそのまま使える期間になるため、買う前に残存期間を必ず確認します。

Q. 地主が借地権の売却を承諾してくれないときは、売れないのですか?
A. 地主に不利となるおそれがないのに承諾しないときは、裁判所に承諾に代わる許可を申し立てられます(借地借家法第19条、借地非訟)。この申立ては弁護士の領域です。当社ができるのは媒介の範囲での交渉までで、裁判手続は弁護士へ分けてご契約いただきます。

Q. 承諾料の相場はいくらですか?
A. 承諾料に法律上の基準はなく、地主との合意と個別事情で決まります。「借地権価格の1割程度」などと言われることがありますが、あくまで慣行上の目安で幅があり【未検証】です。固定の料率ではないため、断定せず地主との交渉で確かめます。

この記事の出典(一次情報)

本文更新・追加資料確認日:2026年10月12日。借地借家法の各条文はe-Gov法令検索の統合条文本文で確認しました。借地借家法の施行日(平成4年8月1日)と旧借地法の適用関係、承諾料・更新料・地代の金額や慣行、個別物件のローン可否は、事案により変わるため本記事では断定せず【未検証】とし、適用法の判断は弁護士、評価・税額は税理士、融資は金融機関が確認します。公開は資格者確認待ちとして保留します。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・権利関係の確定・税務判断を示すものではありません。所管行政庁と各資格者による確認が必要です。四葉不動産株式会社、四葉行政書士事務所、四葉社会保険労務士事務所と他の専門家(司法書士・税理士・弁護士)は、それぞれ独立した事業体として、業務ごとに別々にご契約いただきます。直接契約・直接請求・直接入金で進め、紹介料・送客手数料のやり取りはありません。借地権の移転登記は司法書士、相続税評価・譲渡所得税の試算は税理士、地代・更新・立退きの紛争や借地非訟は弁護士が担います。物件の初回相談は無料、各専門家の受任範囲・費用は各契約先に確認します。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。繁体字・簡体字での資料提供に対応し、中国語圏の買主と現地の専門家に向けて、借地権という日本固有の権利の確認事項を母国語で整理します。登記・評価・税務・紛争の判断は各担当へ分けます。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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