メインコンテンツにスキップ
2026.09.08投資・事業用不動産

非居住者の中華圏バイヤーは日本の収益物件でアパートローンを組めるか

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

海外に住む非居住者(中国・台湾)が日本の収益物件を買うとき、国内金融機関のアパートローン・プロパーローンは、日本国内の住所・永住資格・国内の連帯保証人などを求めることが多く、本人が単独で使える先は限られます。可否は各金融機関の審査次第。このため現金決済が中心になり、海外送金の着金から決済日を逆算する段取りが要点です。融資は各金融機関、送金は取引銀行、源泉・確定申告・納税管理人は税理士、在留資格は行政書士に振り分けます。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、購入時の融資と現金決済の実務を条文と公的資料から整理します。

結論(先に要点):海外に住む非居住者(中国・台湾など)が日本の収益物件を買うとき、国内金融機関のアパートローン・プロパーローンは、多くが借入時に日本国内の住所(住民登録)や永住資格、または国内の連帯保証人を要件としており、海外在住の本人が単独で利用できる先は限られます。可否・条件は各金融機関の審査による最終判断で、当社が「組める/組めない」を断定することはできません。このため実務では現金決済が中心になり、海外送金の着金時期から決済日を逆算する段取りが要点になります。融資審査の可否は各金融機関、外貨管理・送金は取引銀行、源泉徴収・確定申告・納税管理人の届出は税理士・税務署、在留資格は行政書士、登記は司法書士に振り分け、これらはそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。当社(四葉不動産株式会社)は物件の調査・媒介・売買契約の情報提供に限ります。

本記事は、日本の一棟・区分の収益物件を買いたい中国大陸・台湾の非居住者投資家と、現地でその投資を支援する資産アドバイザー(プロ層)に向けたものです。融資の最終判断は各金融機関、送金・外貨管理と税務は取引銀行・税理士、在留や納税管理人の届出は税理士・税務署、在留資格の申請は行政書士に振り分けます。当社は物件取得の実務の情報提供に限り、これらはそれぞれ独立した事業体として別々にご契約いただきます。

非居住者は日本の金融機関で不動産投資ローンを組めるのか?

一律に「組める」とも「組めない」とも言えません。金融機関ごとに要件が違い、可否はその審査による最終判断だからです。

一般に、国内金融機関のアパートローン・プロパーローンは、借入時に次のいずれかを求めることが多いとされます。海外在住で日本に住所を持たない非居住者本人が、これらを満たさないまま単独で借りられる先は限られます。

金融機関が求めがちな要件海外在住の非居住者本人にとって
日本国内の住所(住民登録)・在留資格住民登録がなく、満たしにくい
永住資格または長期の在留実績非居住者本人は持たないことが多い
国内の安定収入・確定申告の実績国内所得がなければ示しにくい
日本国内に住む連帯保証人用意できるかどうかで可否が分かれる

一方で、日本国内に法人(資産管理会社)を設立し、その法人と国内の役員・保証で融資を検討する道や、本国の金融機関の日本向けサービスを使う道もあり得ます。ただしこれらも各行の審査次第で、条件も年によって変わります。**当社は特定の金融機関名や「借りられる商品」を断定しません。**可否は必ずご自身で各金融機関にご確認ください。法人保有と個人保有の分かれ目は収益物件を法人で持つか個人で持つかに整理しています。

融資が難しい場合、現金決済ではどんな段取りになるのか?

非居住者の取引では、現金決済(融資を使わない一括決済)が中心になります。段取りはこうです。

  1. 買付・売買契約の締結。契約時に手付金を支払う(手付の性格は日本と本国で異なります)
  2. 売買契約時に、宅地建物取引業者が取引時確認(本人確認)を行う
  3. 決済日に、残代金の支払いと所有権移転登記(司法書士)を同時に行う
  4. 決済と同時に鍵・書類の引渡しを受ける

現金決済では融資審査がない分、手続きは速く進みます。ただし、海外から購入資金を送る場合、着金までの時間が決済スケジュールを左右します(次章)。手付・ローン特約・契約不適合など、契約条項で誤解しやすい点は売買契約でつまずきやすい条項に整理しています。

海外からの購入資金の送金で決済スケジュールはどう変わるのか?

海外送金は、国内の口座間振込と違い、着金までに数日〜それ以上かかることがあります。理由は主に次のとおりです。

送金で時間がかかる要因決済への影響
送金銀行・受取銀行のコンプライアンス確認(資金の出所の確認等)着金が遅れると決済日に間に合わないおそれ
為替の両替・レートの確定円建て決済額に対する必要額が変動する
本国側の送金額・回数の規制(国により異なる)一度に送れず分割になることがある
中継銀行の経由着金日が読みにくくなる

このため、決済日から逆算して余裕をもって送金を開始することが要点です。着金が決済日に間に合わないと、決済遅延や、場合によっては契約解除・手付損害のリスクになります。送金の可否・所要日数・上限は取引銀行と本国の規制の問題で、当社は決済スケジュールの調整という不動産の側からお手伝いします。外貨管理・送金そのものの判断は取引銀行・税理士の領域です。

非居住者が用意すべき本人確認・在留・納税管理人の書類は何か?

非居住者の取引では、日本の住民票・印鑑証明書に代わる書類を、本国でそろえる必要があります。

まず、宅地建物取引業者は犯罪収益移転防止法上の特定事業者であり、売買契約の締結にあたって取引時確認(本人特定事項・取引を行う目的・実質的支配者等の確認)を行う義務があります(犯罪による収益の移転防止に関する法律第4条)。非居住者本人については、パスポート等の本人確認書類に加え、本国での住所を証する書類が必要になります。

登記の場面では、日本の印鑑証明書に代えて、本国の公証機関等が発行する署名(サイン)証明・住所証明を用いるのが一般的です。これらの取得には時間がかかるため、早めの準備が要点です。登記申請の代理は司法書士が担います。

税務では、日本の不動産から賃料を得る非居住者は確定申告が必要で、日本に住所・居所のない人が申告等を行うには納税管理人を定めて届け出ます(国税通則法第117条)。納税管理人に資格が要るか、法人でもなれるかは納税管理人に資格は要るのかに整理しています。

場面必要になりやすい書類・手続き担い手
売買契約(取引時確認)パスポート等、本国の住所証明、取引目的の確認宅地建物取引業者(当社)
所有権移転登記本国公証のサイン証明・住所証明司法書士
賃料の確定申告納税管理人の届出(国税通則法第117条)税理士・税務署
日本に住んで事業をする場合在留資格の申請行政書士

融資審査・送金・税務はそれぞれ誰に相談すればよいのか?

非居住者の収益物件購入は、複数の専門家の領域が重なります。役割はこう分かれます。

相談内容担い手
融資の可否・条件・審査各金融機関
海外送金・外貨両替・送金上限取引銀行(本国側・日本側)
賃料の源泉徴収・確定申告・納税管理人・外貨に係る税務税理士・税務署
外為法に基づく不動産取得の報告本人・居住者である代理人(下記参照)
在留資格・官公署提出書類行政書士
所有権移転登記司法書士
物件の調査・媒介・売買契約宅地建物取引業者(当社)

賃料収入の税務では、テナントが法人や事業目的であれば、支払う賃料から原則20.42%が源泉徴収されます(所得税法第212条第1項・第213条第1項。借り手が自己・親族の居住用に借りる個人なら施行令第328条で不要)。実務の流れは非居住者の家賃はどう源泉徴収されるかをご覧ください。将来、非居住者から物件を買う買主は、原則として譲渡対価の10.21%を源泉徴収する義務があります(所得税法第161条第1項第5号等)。これらの税額の判断は税理士の領域です。

外為法では、非居住者が日本国内の不動産(またはこれに関する権利)を取得したとき、原則として取得後20日以内に、日本銀行を経由して財務大臣へ「本邦にある不動産又はこれに関する権利の取得に関する報告書」を提出します。令和8年(2026年)4月1日施行の報告省令改正により、取得日が同日以降のものは原則として取得目的を問わず報告対象となり、報告事項に取引の相手方(居住者・非居住者の別)・取得の目的・不動産番号が加わりました。適用除外の最新の範囲は財務省・日本銀行の案内でご確認ください。外為法報告の全体像は外為法の不動産取得報告に整理しています。

**この分担は、どこか一社がまとめて引き受ける形ではありません。**それぞれ独立した事業体として、別々にご契約いただきます。当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。当社は物件の調査・媒介・売買契約という不動産の側だけを担い、融資の可否・送金・税務は必ず各金融機関・取引銀行・税理士にご確認いただくかたちで進めます。事業用・投資用の物件全般は投資用・事業用不動産に整理しています。

よくある質問

Q. 海外に住んだまま、日本の銀行で収益物件のローンを組めますか?
A. 組める先は限られます。国内金融機関のアパートローン・プロパーローンは、日本国内の住所(住民登録)や永住資格、国内の連帯保証人などを求めることが多く、海外在住の非居住者本人が単独で満たすのは難しいのが実情です。可否・条件は各金融機関の審査による最終判断で、当社が断定することはできません。必ず各金融機関にご確認ください。

Q. 現金で買う場合、決済で一番気をつけることは何ですか?
A. 海外送金の着金時期です。海外からの送金はコンプライアンス確認や中継銀行の経由で着金までに時間がかかり、決済日に間に合わないと決済遅延や契約解除・手付損害のリスクになります。決済日から逆算して余裕をもって送金を始めてください。送金の可否・上限・所要日数は取引銀行と本国の規制の問題です。

Q. 非居住者が物件を買うと、外為法の報告は要りますか?
A. 原則として要ります。非居住者が日本の不動産等を取得したときは、取得後20日以内に日本銀行を経由して財務大臣へ報告書を提出します。令和8年(2026年)4月1日施行の報告省令改正で、取得日が同日以降のものは原則として取得目的を問わず報告対象となりました。適用除外の最新の範囲は財務省・日本銀行の案内でご確認ください。なお「非居住者」かどうかは国籍ではなく住所で判断されます。

Q. 賃料や売却でどんな税金がかかりますか?
A. 賃料収入は不動産所得として確定申告が必要で、テナントが法人・事業目的なら賃料から原則20.42%が源泉徴収されます(所得税法第212条・第213条)。将来、非居住者から物件を買う買主には、原則として譲渡対価の10.21%の源泉徴収義務があります(所得税法第161条第1項第5号等)。日本に住所のない人は納税管理人の届出も要ります(国税通則法第117条)。税額の判断は税理士にご確認ください。

この記事の出典(一次情報)

※融資の可否・条件は各金融機関の審査による最終判断です。本記事は特定の金融機関・商品の利用可否を保証するものではありません。海外送金の可否・上限・所要日数は取引銀行と本国側の規制によります。外為法の報告義務の要否・適用除外の最新の範囲は、財務省・日本銀行の案内で必ずご確認ください。
※賃料の源泉徴収・確定申告・譲渡時の源泉徴収・納税管理人の判断は税理士、在留資格・官公署提出書類は行政書士、所有権移転登記は司法書士の領域です。当社は物件の取得・媒介の情報提供に限ります。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の融資・税務・投資判断を助言・保証するものではありません。物件の調査・媒介および売買・賃貸借契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、官公署提出書類の作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。税務は税理士、登記は司法書士、紛争は弁護士の領域です。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。物件(不動産)と届出(行政手続)の論点を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

まずはお気軽にご相談ください

コラムの内容に関するご質問も大歓迎です。

「これ、どうしたらいい?」の一言からで大丈夫です。

代表が直接お返事し、ご希望を伺って条件に合う物件があればLINEでご紹介します。

LINEは代表・浦松丈二に直接つながります。24時間受付・順次お返事します。

東京メトロ丸ノ内線「茗荷谷」駅 徒歩5分|10:00〜18:00(定休:火・水)