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相続

相続した土地が水路・赤道(法定外公共物)に接している。売るには用途廃止と払下げが要る?

相続した実家を前に立つ二人の後ろ姿を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

相続した土地に赤道(里道・赤線)や青道(水路・青線)といった法定外公共物が食い込む・接していても、土地は相続人の所有で売る準備は始められますが、敷地内に市町村の所有地が入り込むため、実務では用途廃止→払下げ(売払い)で敷地に取り込んでから売ります。法定外公共物は道路法・河川法の適用を受けない里道・水路で、地方分権一括法(平成11年法律第87号)に伴う国有財産特別措置法の改正により、機能を有するものは平成17年(2005年)3月31日までに国から市町村へ無償譲与されました。払下げの前提の境界(筆界)確定測量・分筆は土地家屋調査士、申請書類は行政書士、登記は司法書士・土地家屋調査士、税務は税理士の領域で、東京都文京区の宅地建物取引士が売却までの流れを整理します。

結論(先に要点):相続した土地に赤道(里道・赤線)や青道(水路・青線)といった法定外公共物が食い込んでいる、または接している場合でも、土地そのものは相続人が所有しており、売る準備を始めること自体はできます。ただし敷地内に他人(多くは市町村)の所有地が入り込んでいると、買主がその部分を含めて使えないため、実務ではその法定外公共物を「用途廃止」してから「払下げ(売払い)」を受け、敷地に取り込んでから売るのが通常です。法定外公共物は、道路法や河川法などの適用・準用を受けない里道・水路で、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律(平成11年法律第87号)に伴う国有財産特別措置法(昭和27年法律第219号)の改正により、機能を有するものは平成17年(2005年)3月31日までに国から市町村へ無償で譲与されました。そのため、現に機能を持つ赤道・水路は多くの場合その市町村が管理しており、用途廃止・払下げの窓口も市町村になります(機能を失っているものは財務省=財務局が管理します)。払下げの前提として、隣地との境界(筆界)確定測量と分筆が必要になることが多く、これは土地家屋調査士の仕事です。用途廃止・払下げの申請書類の作成は行政書士、分筆・地目変更の登記は土地家屋調査士、払下げによる所有権移転登記は司法書士、譲渡所得や取得費の税務は税理士、隣地との争いが顕在化したら弁護士の領域で、当社(宅地建物取引業)は売却の窓口として、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形でおつなぎします(紹介料のやりとりはありません)。

赤道・水路などの法定外公共物に接する、または土地内に抱き込む不動産を相続し、売却したい相続人に向けて、なぜそのままでは売りにくいのか、用途廃止と払下げはどんな順で進むのか、誰に頼むのかを整理します。本記事は一般的な情報提供であり、個別の用途廃止の可否や払下げの判断は、物件所在地の市町村と、土地家屋調査士などの有資格者の領域です。

四葉不動産株式会社は、東京都文京区小日向を拠点に、相続した不動産の調査と査定・売却の媒介を承っています。「公図に赤線・青線が入っている」という段階から、契約前に確認できることをご相談いただけます。

赤道・青道(法定外公共物)が敷地にあると、なぜそのままでは売りにくい?

赤道(里道・赤線)や青道(水路・青線)は、法務局の公図で赤色・青色の線として表示される、里道や水路の跡です。これらは道路法・河川法などの特別法の適用を受けないため「法定外公共物」と呼ばれ、所有者は多くの場合その土地を管理する市町村です(機能を失っているものは国=財務局)。

相続した土地の中に赤道・水路が食い込んでいると、その部分は相続人の所有ではなく、敷地として自由に使えません。建物の建築や分譲の計画でも、敷地の一体利用ができず、接道や有効宅地面積に影響します。買主・金融機関から見れば「敷地の中に他人名義の帯状の土地がある」状態なので、売買の妨げになります。

状態買主から見た不安
敷地内に赤道・水路が食い込んでいるその部分を敷地として使えず、建築・利用計画が立てにくい
敷地が赤道・水路に接している接道や境界の扱いが不明確で、評価が下がりやすい
公図に赤線・青線はあるが現地に痕跡がない現況と公図が食い違い、境界・所有関係の調査が必要

実務では、この法定外公共物を用途廃止して払下げを受け、敷地に取り込んでから売るのが通常です。私道持分や接道の論点は相続した私道持分がある土地を売る流れ、無道路地・旗竿地の論点は相続した旗竿地・無道路地を売る流れでも扱っています。本記事では法定外公共物(赤道・水路)の用途廃止・払下げという入口に主題を限定します。

用途廃止と払下げ(売払い)はどんな順で、どこへ申請する?

法定外公共物を敷地に取り込むには、まず「用途廃止」でその土地が公共物としての役目を終えたことを市町村に認めてもらい、次に「払下げ(売払い)」でその土地を買い受けます。おおまかな順序は、現況・公図の調査 → 境界(筆界)確定測量 → 用途廃止の申請 → 払下げの申請・代金の納付 → 所有権移転登記、です。

段階内容窓口・担い手
用途廃止現に機能を失っている法定外公共物について、公共物としての用途を廃止する市町村(法定外公共物管理条例・要綱による)
払下げ(売払い)用途廃止後に普通財産となった土地を時価で買い受ける市町村
申請書類の作成・提出代理用途廃止・払下げの申請書類の作成行政書士

用途廃止が認められる要件は自治体ごとに定められますが、公表されている例では、対象区間が現に機能を喪失し利用されていないことが明らかであること、用途廃止によって付近の土地が囲繞地(袋地)とならないこと、道路拡幅や開発の予定がなく存置の必要がないこと、などが挙げられています。隣接地所有者や自治会などの同意を求める自治体もあります。機能を失っていない赤道・水路は原則として用途廃止・払下げの対象になりません。要件と可否の判断は、物件所在地の市町村が行います。当社は公図と現況から、どの筋道に当たりそうかの見立てを整理してお渡しします。

払下げの前提になる境界(筆界)確定測量と分筆は誰の仕事?

払下げを受けるには、買い受ける法定外公共物の範囲を特定するため、隣接する土地との境界(筆界)を確定し、必要に応じて分筆する測量が前提になります。これは土地家屋調査士の専門領域です。

ここで区別したいのが「筆界」と「所有権界」です。筆界は登記上の土地の範囲を画する線で、当事者が合意で動かせるものではなく、不明なときは不動産登記法(平成16年法律第123号)第123条以下の筆界特定制度で明らかにする仕組みがあります。所有権界は当事者の合意や争いで決まる所有権の及ぶ範囲で、両者は一致しないことがあります。払下げでは、市町村・隣地所有者の立会いのもとで境界を確認し、測量図を作って範囲を確定します。

作業内容担い手
境界(筆界)確定測量・立会い市町村・隣地所有者と境界を確認し、測量図を作成土地家屋調査士
分筆登記払い下げる部分を1筆として分ける表示に関する登記土地家屋調査士
地目変更登記払下げ後に地目を宅地等へ変更する表示に関する登記土地家屋調査士
払下げによる所有権移転登記市町村から買主への所有権移転の権利に関する登記司法書士

境界が確定しないと払下げの範囲が決まらないため、測量は多くの場合、用途廃止・払下げと並行して必要になります。境界確定測量の一般的な流れは相続した不動産の境界確定測量と売却でも扱っています。分筆・地目変更は表示に関する登記で土地家屋調査士、払下げによる所有権移転は権利に関する登記で司法書士と、担い手が分かれます。本記事では役割分担の筋道のみを示し、個別の測量・登記は有資格者に委ねます。

費用と期間の目安は?(測量・払下げ代金・登記)

費用は、測量・払下げ代金・登記の3つに大きく分かれます。いずれも事案(面積・隣地の数・境界の争いの有無)で変わるため、目安として性格を整理します。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

費用の種類性格担い手・決める主体
境界確定測量・分筆の費用隣地の数や立会いの手間で変動土地家屋調査士
払下げ代金払い下げる土地の時価。鑑定や固定資産評価等をもとに市町村が決定市町村
登録免許税(分筆・地目変更)不動産1個につき1,000円の定額(表示に関する登記の種類による)法務局
登録免許税(所有権移転)固定資産評価額に税率を乗じた額法務局
各専門家の報酬行政書士・土地家屋調査士・司法書士それぞれの報酬各事業者

払下げ代金の算定方法や、用途廃止から払下げまでの処理期間は自治体ごとに異なり、隣地との境界確認に時間がかかると全体の期間も読みづらくなります。具体の払下げ代金は市町村が、測量・登記の費用は各有資格者が、事案に応じて算定します。当社は、測量・払下げ・登記という工程と売却時期の論点を切り分けて整理します。

相続登記が未了のまま進められる?登記・税務・争いは誰に振る?

相続した土地の名義がまだ被相続人のままのときは、先に相続登記が要ります。相続登記は令和6年(2024年)4月1日から義務化され(不動産登記法第76条の2)、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象になり得ます。名義が相続人に移っていないと、払下げや売買の手続きが進めにくくなります。

困りごと振り先
公図・現況の調査、査定、売却の媒介当社(宅地建物取引業)
用途廃止・払下げの申請書類の作成・提出代理行政書士
境界(筆界)確定測量、分筆・地目変更の登記土地家屋調査士
相続登記、払下げによる所有権移転登記司法書士
譲渡所得税の取得費計算、特例の適用判断、申告税理士
隣地所有者との境界・利用をめぐる争い弁護士

これらはそれぞれ独立した事業体であり、別々にご契約いただく前提です。当社は紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。用途廃止が認められるか、払下げ代金がいくらかの判断は市町村が、筆界の確定は土地家屋調査士が、登記は司法書士・土地家屋調査士が、税務は税理士が行います。当社は公図と現況を見ながら、用途廃止・払下げ・測量・登記という論点を切り分け、どこを誰に相談するかの段取りからご相談をお受けします。相続不動産の進め方は相続した不動産の相談窓口もご覧ください。

赤道・水路が残る相続土地の売却のご相談を四葉不動産へ(相談無料)

お問い合わせに「法定外公共物(赤道・水路)」と、公図に赤線・青線があるか、現地に道・水路の痕跡があるか、相続登記が済んでいるか、物件所在地(自治体)をご記入ください。売れる・売れないを先に決めつけず、公図と現況の調査と、用途廃止・払下げ・測量・登記・税務の専門家へどこを振るかの整理からお話しします。

よくある質問

Q. 敷地に赤道・水路が入り込んでいても、相続した土地は売れますか?
A. 土地そのものは相続人の所有なので、売る準備を始めること自体はできます。ただし赤道・水路の部分は多くの場合その市町村の所有で、敷地として使えないため、実務では用途廃止して払下げを受け、敷地に取り込んでから売るのが通常です。用途廃止・払下げの可否は物件所在地の市町村が判断します。本記事では筋道のみを示し、個別の可否は市町村・有資格者に委ねます。

Q. 払下げの窓口は国ですか、市町村ですか?
A. 機能を有する法定外公共物は、平成11年法律第87号に伴う国有財産特別措置法の改正により、平成17年(2005年)3月31日までに国から市町村へ無償で譲与されました。そのため、現に機能を持つ赤道・水路は多くの場合その市町村が管理しており、用途廃止・払下げの窓口も市町村です。機能を失って譲与されなかったものは財務省(財務局)が管理しています。どちらに当たるかは市町村に確認します。

Q. 払下げの前に測量は必ず必要ですか?誰に頼みますか?
A. 払い受ける範囲を特定するため、隣接地との境界(筆界)確定測量が前提になることが多く、これは土地家屋調査士の仕事です。筆界は当事者の合意で動かせない登記上の線で、不明なときは不動産登記法第123条以下の筆界特定制度があります。分筆・地目変更は表示に関する登記で土地家屋調査士、払下げによる所有権移転は権利に関する登記で司法書士が担当します。

Q. 相続登記が済んでいなくても用途廃止や売却を進められますか?
A. 名義が被相続人のままだと払下げや売買の手続きが進めにくく、先に相続登記が要るのが通常です。相続登記は2024年4月1日から義務化され(不動産登記法第76条の2)、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象になり得ます。相続登記は司法書士の領域です。先に名義を相続人へ移してから、用途廃止・払下げ・売却へ進む段取りを整理します。

この記事の出典(一次情報)

以下は確認の出発点となる公表資料です。法令は改正されるため、条文・項・号・施行日・最終改正はe-Gov法令検索で最新を確認してください。用途廃止・払下げの要件や払下げ代金の算定は自治体ごとに異なるため、物件所在地の市町村の条例・要綱を直接確認してください。参照日はいずれも2026年10月31日。個別の用途廃止の可否や払下げの成立を保証するものではありません。

  • e-Gov法令検索「国有財産特別措置法」(昭和27年法律第219号。法定外公共物の市町村への譲与の根拠。機能を有するものは地方分権一括法に伴う改正により市町村へ無償譲与された)
  • e-Gov法令検索「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号=地方分権一括法。法定外公共物の譲与の仕組みを整えた。譲与期間は平成17年3月31日まで)
  • e-Gov法令検索「地方自治法」(昭和22年法律第67号。第238条以下=公有財産〔行政財産・普通財産〕の区分、用途廃止・処分の根拠)
  • e-Gov法令検索「不動産登記法」(平成16年法律第123号。第37条=地目変更の登記、第39条=分筆の登記、第76条の2=相続登記の申請義務〔令和6年4月1日施行〕、第123条以下=筆界特定制度)
  • 各市町村の法定外公共物管理条例・払下げ(用途廃止兼譲渡)要綱(用途廃止の要件、払下げ代金の算定、申請書類は自治体ごとに異なる。参照日2026年10月31日。可否は市町村の判断による)

本記事は一般的な情報提供であり、個別の用途廃止の可否、払下げの成立、筆界の確定や登記の結果を保証するものではありません。用途廃止・払下げの申請書類の作成は行政書士が、境界(筆界)確定測量と分筆・地目変更の登記は土地家屋調査士が、相続登記や払下げによる所有権移転登記は司法書士が、譲渡所得税の取得費計算や特例の適用は税理士が、隣地との争いは弁護士が判断・担当します。

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)/四葉不動産株式会社 代表取締役・宅地建物取引士。相続した不動産の調査と査定・売却の媒介を承ります。著者プロフィール

更新日:2026年10月31日

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