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2026.08.20投資・事業用不動産

台湾企業が日本に拠点を構えるとき、オフィスと住まいで何が起きるか──外国法人名義の審査と順番

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

日本での拠点づくりで時間がかかるのは、物件を探している期間ではありません。外国法人名義の賃貸審査で見られる点、オフィスと代表者の住まいの順番、借り上げ社宅の考え方を、宅地建物取引士・行政書士が整理します。

結論(先に要点):台湾企業が日本に拠点を構えるとき、時間がかかるのは物件を探している期間ではありません。会社をつくり、在留資格を得て、人を雇うまでの手続きの列に、物件の契約が組み込まれるからです。オフィスと住まいは、その時間割から逆算して決めることになります。四葉では、物件の媒介・契約は四葉不動産株式会社、官公署に提出する書類の作成は四葉行政書士事務所、というように業務主体ごとにそれぞれ直接ご契約いただきます。登記は司法書士、税務は税理士、紛争は弁護士へ直接ご依頼いただく形をご案内し、紹介料・送客手数料のやりとりはありません。中国語でのご相談にも対応します。

2026年8月20日、東京・芝大門で開かれた Startup Island TAIWAN Tokyo Hub の移転を祝う集まりに参加しました。台湾のスタートアップが日本市場に入るときに何でつまずくのか、当事者の話を続けて聞ける場でした。不動産の側から見て残ったことを書きます。

なぜ、物件探しの前に時間割を決める必要がある?

印象に残ったのは、先に日本へ進出した創業者の言葉でした。腰を据えて取り組むべきだ、来日から事業が動き出すまで1年半かかることもある——。会場から驚きの声は上がりませんでした。同じ時間を過ごした人が、その場に何人もいたということだと思います。

この「1年半」の多くは、物件を探している時間ではありません。会社をつくり、在留資格を得て、人を雇い、必要な届出を済ませ、業種によっては許認可を取る。その一つひとつに申請と審査の期間があり、物件の契約はその列の途中に挟まります。

たとえば在留資格「経営・管理」は、2025年10月16日施行の基準改正で要件が引き上げられました。改正の中身と、どの申請にいつ適用されるかは在留資格の側の論点です。不動産の側で押さえておきたいのは、在留資格の審査と物件の契約が互いに前提になり得るという一点です。詳しくは外国人のお部屋探し・多言語対応をご覧ください。

行政の手続きが速く、電子化も進んだ台湾から見れば、日本は手数が多く、時間の読みにくい国に映るのかもしれません。ただ、その時間は削れなくても、順番を間違えなければ短くはできます。逆に、物件を先に押さえてしまい、後から要件と噛み合わないと分かる遠回りが、いちばん高くつきます。

業種によっては、契約したオフィスでは許可が下りないということも起こります。この論点は会社設立とオフィス選びに整理しています。

外国法人の名義で、オフィスや住宅を借りられる?

借りられる場合もありますが、貸主・管理会社・保証会社のそれぞれに審査があり、基準は物件ごとに異なります。日本での取引実績がまだない法人の場合、確認を求められやすいのは次のような点です。

見られやすい点実務での扱われ方
法人の実体登記事項証明書、決算書。設立直後は決算書がないため、事業計画や資本金の額で見られることがある
契約者・入居者の在留資格在留カードの提示を求められることが多い。取得前だと審査が進まない物件もある
連帯保証人・保証会社日本国内に連帯保証人を立てられない場合、保証会社の利用が条件になることがある
家賃の支払い方法国内の法人口座からの引き落としを求められることがある
用途住宅として借りた部屋を事務所として使えるかは、契約と管理規約による

いずれも「必ずこうなる」ものではありません。物件と貸主によって異なるので、候補が出た段階で、条件の通りやすい物件から当たっていくのが現実的です。

オフィスと代表者の住まいは、どちらを先に決める?

どちらが先かは事情によって変わります。判断材料になるのは、次のようなことです。

  • 事業所の確保が、在留資格の審査で確認される場面があること
  • 一方で、在留カードがないと住まいの審査が進みにくい物件があること
  • 短期の滞在先を挟むか、最初から本契約に進むかで、初期費用の総額が変わること
  • オフィスと住まいを同じ時期に決めると、審査の書類が二重に走って負担が重くなること

順番そのものより、どちらの審査がいつ動くかを先に把握しておくことが効きます。個別の事情で答えが変わりますので、スケジュールを一度お持ちください。

社員を日本に呼ぶとき、社宅はどう考える?

社員の住まいを会社が用意する場合、物件の契約と社宅の規程は同時に動きます。法人契約が可能な物件か、転貸の承諾が取れるか、家賃の一部を本人が負担するのかどうか。物件だけを先に決めると、後から制度側で調整できない部分が出てきます。この論点は借り上げ社宅の導入に整理しています。

日台の不動産の商慣行は、何が似ていて何が違う?

会場では、友人である Mola Holdings, Ltd. の鄭社長がスタッフを連れて来ていました。周囲の台湾の方々に私を紹介してくださり、話が一気に広がりました。ありがたいことでした。

台湾の同業の方と話していると、勘所の置きどころが近いと感じます。物件を見るときにどこを疑うか、契約の前に何を確かめるか、顧客との距離をどう取るか。言葉が違っても、そこは通じます。

一方で、制度は別ものです。日本では、宅地建物取引業を営むには免許が必要とされ(宅地建物取引業法第3条)、契約が成立するまでの間に、宅地建物取引業者は宅地建物取引士に重要事項を書面で説明させなければならないと定められています(同法第35条「重要事項の説明等」)。説明するのは会社ではなく、資格を持った個人です。この構造は、台湾から来た方には最初わかりにくいところです。

海外の不動産会社が日本の物件を扱うときの役割分担は、中華圏の不動産会社・営業担当の方へに整理しています。

四葉不動産に何を頼める?

事業用の物件は会社設立とオフィス選び、社員の住まいは借り上げ社宅の導入、代表者やご家族の住まいは外国人のお部屋探し・多言語対応でご相談を承ります。外国法人名義や、来日直後の代表者名義での契約について、貸主・管理会社との条件のすり合わせもここに含まれます。中国語でのご相談にも対応します。ご相談は無料です。

Startup Island TAIWAN Tokyo Hub の施設情報

日本進出を検討している台湾企業の方向けに、公式サイトの記載に基づいて整理しました(2026年8月20日参照)。

項目内容
名称Startup Island TAIWAN Tokyo Hub
住所〒105-0012 東京都港区芝大門1-3-4 GRAN FIRST 7階
公式サイトhttps://tokyo.startupisland.tw/jp
お問い合わせhttps://tokyo.startupisland.tw/jp/contactsupport@startupisland.tw
設立台湾・国家発展委員会(NDC)が設立。2024年9月18日開設(アジア初の海外拠点として発表)。運営は委託
実績延べ200社にサービスを提供し、20社が日本進出を実現(2026年5月18日 国家発展委員会発表)

コワーキングスペース、会議室、イベントスペース、個別相談が利用できます。ただし、いずれも申請と承認が必要で、公式サイトには「Tokyo Hubチームは、申請者の適格性を承認または却下する権利を留保します」と記載されています。主な対象は台湾のスタートアップで、コワーキングの当日利用は中華民国の身分証・健康保険証・パスポートのいずれかの提示が必要とされ、日本側は同行者として3名まで招待される形になります。イベントスペースは、イノベーションや起業に関わるコミュニティ・協会・財団・政府機関・新興企業・企業に所属していることが申請の条件とされ、週末や夜間の開催には追加のスタッフ残業費・清掃費が発生すると記載されています。料金については「試験運用期間中は2025年4月30日まで無料」という記載が残っており、現在の料金体系は公表されていません。開館時間・電話番号・最寄り駅・収容人数の記載もありません。公式サイトは2026年8月20日時点で「新たな拠点への移転を進めております」と案内しています。

よくある質問

Q. 会社をつくる前に、オフィスの契約はできますか?
A. 設立前の法人名義では契約できないため、発起人や代表者となる方の個人名義で契約し、設立後に名義を変更する、といった進め方が取られることがあります。ただし名義変更に貸主の承諾が必要かどうかは契約によって異なります。契約の前に、その物件で名義変更が可能かを確認しておくことをおすすめします。

Q. 契約のときに、どんな書類を求められますか?
A. 法人であれば登記事項証明書や決算書、代表者や入居者については在留カード・パスポート・在職や収入を示す書類などが一般的です。ただし、貸主や保証会社によって求められるものが異なります。海外で発行された書類は、日本語訳を求められることがあります。

Q. 内見や契約の説明は、中国語でも受けられますか?
A. 中国語でのご案内に対応しています。ただし、重要事項の説明は日本語の書面に基づいて行います。理解いただけるよう内容を中国語で補いながら進めます。

Q. 短期の滞在先から始めたほうがよいですか?
A. 在留カードの交付を待つ間や、勤務地が確定していない段階では、短期の滞在先を挟む選択肢があります。一方で、二重に初期費用がかかる面もあります。滞在の見込み期間と、審査がいつ動くかを並べて比べるのが判断材料になります。

この記事の出典(一次情報)

会場での登壇者の発言および参加者についての記述は、筆者が当日その場で見聞きしたものです。主催者による公表内容ではありません。移転前後の面積・拡張の規模は、公表資料が確認できないため記載していません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)。行政書士(登録番号 第25087022号)・宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。元毎日新聞記者・中国総局長。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。

本記事は一般的な情報提供であり、個別の可否判断を示すものではありません。賃貸の審査基準は貸主・管理会社ごとに異なり、在留資格・許認可の要件は改正されることがあります。個別の税務判断は税理士、登記は司法書士、紛争は弁護士が行います。

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