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2026.09.19投資・事業用不動産

自動車の解体・破砕業(自動車リサイクル法)の物件・立地要件は?生活環境影響調査と保管設備

浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

使用済自動車の解体業には都道府県知事の許可(自動車リサイクル法第60条)、破砕業にも同じく知事の許可(第67条)が要ります。物件で効くのは、用途地域(危険物と騒音振動を伴う工場は工業系に寄る)、施設に係る基準(飛散・流出・地下浸透・騒音を防ぐ設備)、そして破砕機等が廃棄物処理法第15条の産業廃棄物処理施設に当たる場合の生活環境影響調査です。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、契約前に確認できることを条文と公的資料から整理します。

結論(先に要点):使用済自動車の解体業には都道府県知事の許可(自動車リサイクル法第60条)、破砕業にも同じく知事の許可(第67条)が要ります。物件で先に効くのは、①用途地域(廃油などの危険物と騒音・振動を伴う工場は工業系の地域に寄る)②許可の施設に係る基準(飛散・流出・地下浸透・騒音を防ぐ設備を置けるか)③破砕機・プレス機などが廃棄物処理法第15条の産業廃棄物処理施設に当たる場合の生活環境影響調査、の3点です。物件・立地情報の提供までが不動産の範囲で、許可申請は行政書士に振り分けます。

自動車の解体・中古車・スクラップの事業を新しく始めたい、あるいは今の拠点を広げたい——そのとき「この土地・建物で許可が下りるのか」が最初の関門になります。本記事は、事業者の方と、その事業用物件を扱う不動産の担当者に向けて、契約前・内見前に書類で絞り込める点を条文と公的資料から整理します。許可が下りるかどうかの最終判断は申請先の自治体と有資格者が行うもので、本記事は物件選定の目のつけどころを示すものです。

自動車の解体・破砕業に許可が要るのはどの作業からか?

使用済自動車を解体する作業からは解体業、それを破砕・プレスする作業からは破砕業の許可が要ります。

使用済自動車の再資源化等に関する法律(自動車リサイクル法。平成14年法律第87号)は、使用済自動車の処理に携わる事業者を段階ごとに規律しています。中古車として引き取り・引渡しをする引取業者・フロン類回収業者は「登録」ですが、**解体と破砕は「許可」**で、ハードルが一段上がります。

  • 解体業(第60条)=使用済自動車または解体自動車の解体を行う事業。事業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可(保健所を設置する市ではその市長)。
  • 破砕業(第67条)=解体自動車の破砕・破砕前処理(プレス・せん断)を行う事業。同じく都道府県知事の許可。破砕業の許可申請書の記載事項は第68条に定めがあります。
事業の区分手続根拠条文権者
引取業・フロン類回収業登録自動車リサイクル法第42条・第53条都道府県知事
解体業許可第60条都道府県知事(保健所設置市は市長)
破砕業(破砕前処理を含む)許可第67条都道府県知事(保健所設置市は市長)

許可は事業所(=物件)ごとに、施設に係る基準・申請者の能力に関する基準・欠格要件(解体業は第62条)を満たすかどうかで審査されます。「人」だけでなく「その場所」が基準を満たすことが前提なので、物件を決める前に効いてくるわけです。似た事業として、整備の認証工場は道路運送車両法という別の許可軸で見ます(自動車整備工場(特定整備の認証工場)に使える物件の要件は?)。中古車の展示・保管の物件は中古車販売店・古物商の展示場と保管場所にまとめています。

物件選定に効く用途地域と、生活環境影響調査はどこで関わるのか?

用途地域では工業系に寄り、生活環境影響調査は「別の法律の許可」で関わってきます。

自動車の解体・破砕は、廃油・廃液という危険物を扱い、切断・破砕・重機の稼働で騒音や振動を伴う「工場」に当たります。建築基準法別表第二(用途地域内の建築物の制限)と都市計画法(昭和43年法律第100号)の用途規制では、危険性が大きい工場や著しく環境を悪化させるおそれのある工場は、住居系・商業系の地域では建てられず、準工業地域では危険物の量に制限があり、工業地域・工業専用地域に寄るのが一般的です。作業場の床面積や原動機の出力で線引きが変わるため、物件の所在する用途地域と、想定する作業場の規模を最初に照らし合わせます。

「生活環境影響調査」は、自動車リサイクル法の解体業・破砕業の許可そのものに法定の添付書類として求められているわけではありません。関わってくるのは廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律。昭和45年法律第137号)第15条の産業廃棄物処理施設の設置許可のほうです。

何の許可か生活環境影響調査根拠
自動車リサイクル法の解体業・破砕業の許可法定の添付書類ではない(施設基準として生活環境保全上の支障防止は求められる)自動車リサイクル法第60条・第62条・第67条
廃棄物処理法の産業廃棄物処理施設の設置許可申請書に生活環境影響調査の結果を記載した書類の添付が必要廃棄物処理法第15条第3項

破砕機・せん断機・プレス機や、解体で生じた廃プラスチック・がれき類などの処理施設が、処理能力や種類の面で廃棄物処理法施行令第7条の産業廃棄物処理施設に該当する規模(たとえば一定の破砕施設で1日あたり5トン超)になると、自動車リサイクル法の許可とは別に、都道府県知事の施設設置許可が必要になります。その申請には、周辺地域の生活環境に及ぼす影響についての調査結果を記載した書類(生活環境影響調査書)の添付が求められます(第15条第3項)。自分の計画する施設がこの「15条施設」に当たるかは、能力・種類で分かれるため、物件を決める前に申請先の自治体に確認します。 該当する場合は、縦覧や周辺への周知など手続の期間も長くなり、立地選びに直結します。

保管・油水分離・雨水対策で物件に求められる設備は何か?

汚れた水と油を敷地の外へ出さない造りになっているかが要点です。

自動車リサイクル法の許可の施設に係る基準は、廃棄物の飛散・流出、地下への浸透、悪臭、騒音・振動によって生活環境の保全上の支障が生じないよう必要な措置が講じられた施設であることを求めます。細目は施行規則(省令)や自治体の運用で定まり、物件では次のような点が見られます。

見る点物件で確認すること
床面解体作業や保管を行う場所がコンクリート等で舗装され、油や汚水が地下に浸み込まない構造か
油水分離廃油・廃液の回収設備、油水分離槽を設置できる排水経路があるか
雨水・排水汚染された水が雨水とともに敷地外へ流れ出ない勾配・側溝・集水枡があるか
保管使用済自動車・解体自動車・部品・廃タイヤ等を種類ごとに、崩れ・飛散しない高さと区画で保管できる広さがあるか
近隣との距離騒音・振動・粉じんが住居等に及ばない敷地の余裕・遮へいを取れるか

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

排水を公共用水域へ流す場合は、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の特定施設の届出や排水基準への対応が別に要ることがあり、過去に工場・給油所だった土地では土壌汚染対策法の観点も重なります。これらは**建物の広さより「地面と排水の造り」**で可否が分かれるため、内見では床・側溝・排水先を必ず見ます。物件の遵法性そのものを確かめる考え方は検査済証のない中古物件を福祉施設に転用できるか、事業用地の探し方の全体像は事業用不動産のご相談事務所・店舗物件のご相談にまとめています。

許可申請・登記・税務は誰に振り分けるのか?(振り先の整理)

物件・立地情報の提供までが不動産の範囲です。ここから先は、それぞれの専門家に別々にご依頼いただきます。

役割担い手
物件・立地の調査、用途地域・排水・保管スペースの確認、賃貸借・売買の媒介四葉不動産株式会社(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)
解体業・破砕業の許可申請、廃棄物処理法の施設設置許可の書類、生活環境影響調査書の取りまとめ四葉行政書士事務所
土地・建物の登記、法人の設立登記司法書士
法人設立・事業譲渡の税務、消費税・法人税税理士
近隣紛争・契約紛争弁護士

四葉不動産株式会社と四葉行政書士事務所は、それぞれ独立した事業体です。それぞれ直接ご契約いただきます。 当社・当事務所は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。司法書士・税理士・弁護士へも、それぞれ直接ご依頼いただく形をご案内します。一つの窓口でご相談は受けますが、契約は事業体ごとに分かれます。相談は無料です。

よくある質問

Q. 中古車を仕入れて売るだけなら、解体業の許可は要りますか?
A. 中古車として引き取り・販売するだけなら、解体業の許可は要りません。解体業の許可(自動車リサイクル法第60条)が要るのは、使用済自動車や解体自動車の「解体」を行う場合です。ただし引取業としての登録や、古物営業法上の古物商許可など別の手続が関わることがあります。どの手続に当たるかは事業の内容ごとに変わるため、行政書士にご確認ください。

Q. 準工業地域の倉庫で自動車の解体はできますか?
A. 準工業地域は、危険性が大きい工場や著しく環境を悪化させるおそれのある工場を建てられない地域です。自動車の解体は廃油等の危険物と騒音・振動を伴うため、作業場の規模や扱う量によっては建てられないことがあります。可否は用途地域と作業場の床面積・出力で分かれるので、物件ごとに用途地域と規模を照らし合わせて確認します。

Q. 破砕機を置くと必ず生活環境影響調査が要りますか?
A. 必ず要るわけではありません。生活環境影響調査書の添付が求められるのは、その破砕機等が廃棄物処理法第15条の産業廃棄物処理施設(施行令第7条に定める種類・能力)に該当する場合です。能力や種類で該当・非該当が分かれるため、計画する機械の仕様をもとに申請先の自治体へ確認するのが確実です。

Q. 物件を先に契約してから許可を申請しても大丈夫ですか?
A. おすすめしにくい順序です。許可は施設(物件)が基準を満たすことが前提で、床の構造・排水・保管スペース・用途地域で不適合だと申請が通りません。契約前に用途地域・排水経路・保管面積を確かめ、必要なら賃貸借契約に「許可が下りないときの解除」を入れておくのが安全です。書類の要否は行政書士に、契約条項は当社にご相談ください。

この記事の出典(一次情報)

※解体業・破砕業の施設に係る基準の細目(床面の構造・油水分離・保管の高さ・雨水対策等)は施行規則および各都道府県・保健所設置市の運用によって具体が定まります。数値・仕様は申請先の自治体の最新の手引で確認してください。本記事では自治体ごとに異なる数値を断定していません。
※破砕機・プレス機等が廃棄物処理法第15条の産業廃棄物処理施設に該当するかは、機械の種類と処理能力で分かれます。該当・非該当の判定は申請先の自治体および行政書士にご確認ください。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断や許可の可否の判断を示すものではありません。解体業・破砕業の許可申請および廃棄物処理法の施設設置許可の書類作成は行政書士、土地・建物の登記は司法書士、税務は税理士、紛争は弁護士が行います。
※物件・立地の調査および賃貸借・売買契約は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が、許認可の書類作成は四葉行政書士事務所が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で受任します。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。事業用物件について、用途地域・排水・保管と許認可の要件を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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