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2026.08.11離日・売却

権利証が見つからない。それでも売れるのか?——代わりになる3つの方法と、かかる日数

浦松 丈二

浦松 丈二

四葉不動産株式会社代表取締役・宅建士・行政書士

プロフィール(士業ドットコム)↗

権利証(登記識別情報)は再発行されません。不動産登記法第21条が「当該登記を完了したとき」に通知すると定めるだけで、もう一度出す規定を置いていないからです。それでも売れます。不動産登記法第22条ただし書が「提供することができないことにつき正当な理由がある場合」を例外にしており、代わりの方法が3つ用意されています。司法書士の本人確認情報、事前通知、公証人の認証です。ただし期間が法令で決まっているのは事前通知だけで、不動産登記規則第70条第8項により、外国に住所がある場合は通知を発送した日から4週間。届いた日からではありません。30日で売って出国する日程で、この方法が選ばれることはまずありません。この記事は3つの方法の中身と日数、費用を表で比べます。文京区小日向、茗荷谷駅から徒歩5分です。

売れます。権利証がなくても所有権を移す方法が、法律に3つ用意されています。ただし期間が法律で決まっているのは1つだけで、それは海外にお住まいの場合、通知を発送した日から4週間かかります。

**どの方法を選ぶかで、決済の日に間に合うかどうかが変わります。**売却全体の流れは日本を離れる方の不動産売却にあります。

最終更新:2026年8月11日

権利証は、再発行してもらえないのですか?

できません。再発行を認める規定が、法律にないからです。

いまの権利証は「登記識別情報」という符号です。不動産登記法第21条は、これを「当該登記を完了したとき」に通知すると定めています。登記が終わったときの一度きりで、もう一度出す手続きは条文にありません。禁止する条文があるのではなく、根拠になる条文がないため出せない、という形です。法務省の「新不動産登記法Q&A」A17も「その再通知は,認められません」と書いています。

紙の「登記済証」をなくした場合も、同じ3つの方法をとります。ただし本記事では根拠条文まで確認していません(未検証)。可否は司法書士にご確認ください。

では、権利証がないと売れないのですか?

**売れます。**不動産登記法第22条は、本文で登記識別情報の提供義務を定めたうえで、ただし書で「提供することができないことにつき正当な理由がある場合」を例外にしています。法律が最初から、出せない場合を想定しているのです。登記官が本人かどうかを確かめる方法は、次の3つです。

方法期間期間の根拠費用費用の根拠
(1) 資格者代理人による本人確認情報法令上の期間の定めなし。面談の日程次第規定そのものがない法定額なし司法書士法施行規則第22条は報酬基準の事前明示を義務づけるだけ。金額の定めはなく、事務所により異なる
(2) 事前通知国内2週間/国外4週間(発送した日から起算)+郵送日数不動産登記規則第70条第8項登記所の手数料はかからない法務局の案内。優先取扱いには不動産登記規則第70条第3項により切手の提出が要る
(3) 公証人の認証法令上の期間の定めなし。公証役場の予約次第規定そのものがない委任状の認証4,000円/外国語のときは10,000円公証人手数料令第34条第1項ただし書+第18条/第34条第3項

**「規定そのものがない」に目を留めてください。**日数が法律で決まっているのは(2)だけで、(1)と(3)の速さは司法書士事務所や公証役場の都合で決まります。

(1) 司法書士に本人確認情報を作ってもらう、とはどういうことですか?

司法書士が売主本人と会って確認し、その内容を書面にして登記官に出す方法です。

根拠は不動産登記法第23条第4項第1号。条文の言葉は「登記の申請の代理を業とすることができる代理人」で、「資格者代理人」は法律ではなく不動産登記規則第63条第5項の定義語です。

押さえる点中身根拠
登記官の判断が入る「その内容を相当と認めるとき」に事前通知が不要になる不動産登記法第23条第4項第1号
面談が要る「申請人と面談した日時、場所及びその状況」の記載が必要不動産登記規則第72条第1項第1号
確認書類が要る運転免許証、個人番号カード、旅券等、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書のいずれか1点以上不動産登記規則第72条第2項第1号

「司法書士が作れば通る」ではなく、登記官が相当と認めるかという関門があります。面談の日時と場所を書く以上、**書類のやりとりだけでは作れません。**必要なときは司法書士におつなぎします(ご本人と直接ご契約いただきます)。当社が紹介料を受け取ることはありません。

(2) 事前通知制度は、なぜ30日の決済に間に合わないのですか?

登記所が売主に手紙を出し、返事を待つ制度だからです。待つ期間が、海外にお住まいの場合は4週間と決められています。

不動産登記法第23条第1項は、登記官が**登記義務者(売主)**に通知すると定めています。買主にも代理人にも通知は行きません。

日本国内に住所がある場合外国に住所がある場合
申出の期間発送した日から2週間発送した日から4週間
通知の送付方法本人限定受取郵便(規則第70条第1項第1号)書留郵便等(規則第70条第1項第3号)
期間内に申出がないとき却下(不動産登記法第25条第10号)却下(同)

いちばん大事なのは起算点です。規則第70条第8項は「通知を発送した日から」と書いています。届いた日からではありません。国際郵便の日数も、返送の日数も、その4週間の中に入ります。なお「事前通知は本人限定受取郵便で来る」と書いた記事がありますが、それは国内に住所がある場合の話です。

そして事前通知は登記を申請したあとに始まります。決済当日に申請し、通知が発送され、売主が申出をして、はじめて登記が実行されます。買主は代金を払ったあと、登記が入らないまま数週間待つことになります。「30日で売って出国する」日程で、この方法が選ばれることはまずありません。

(3) 公証人の認証は、海外にいてもできるのですか?

条文の上ではできるようになりました。ただし「公証人が相当と認めるとき」に限られます。

不動産登記法第23条第4項第2号は公証人の認証を定めています。注意したいのは何に認証を受けるのかです。

申請のしかた認証を受けるもの手数料
代理人に委任する委任状(条文の言葉では「その権限を証する情報」)4,000円(外国語で記載されているときは10,000円)
本人が自分で申請する登記申請書そのもの不動産の価額に連動するため、4,000円にはなりません

4,000円は、委任状を作成するとした場合の手数料8,000円(公証人手数料令第18条)の10分の5です。11,000円を下回るため第34条第1項ただし書が適用されます。外国語のときは第34条第3項で6,000円が加算されます。

ここで公証人法第52条第2項です。2025年10月1日に施行され、公証人が相当と認めるときはウェブ会議の方法による認証も可能になりました。私署証書の認証の根拠は同法第52条第1項で、**同じ施行で第58条から改番されています。**解説記事の多くは「第58条」のままです。実際に使えるかは公証役場ごとの運用です。**可否は公証役場にご確認ください。**委任状の中身は委任状に何をどう書くかにあります。

3つのうち、どれを選ぶことになるのですか?

**選ぶのは司法書士です。**登記の判断であって、不動産業者が決めることではありません。

決済日が決まっていて余裕がないときは(1)、出国まで日本にいるなら(1)か(3)、すでに海外なら(1)の面談の方法か(3)のウェブ会議の可否を確認する、という順で話が進みます。買主も決済日もまだなら、手数料のかからない(2)も候補です。

すでに海外にお住まいの方の全体像は海外所有者の売却ガイドにあります。

権利証が「見つからない」のと「盗まれたかもしれない」のは、同じですか?

違います。制度の向きが正反対です。

不動産登記規則第65条第1項に、登記識別情報の失効の申出があります。名前が似ていますが、これはその登記識別情報を使えなくする手続きです。登記を前に進める制度ではなく、悪用を止める制度です。申し出れば、あとから見つかっても、もう使えません。どちらに当たるかの判断は司法書士にご確認ください。

出国が決まっている場合、いつまでに言えばいいのですか?

「見つからないかもしれない」と思った時点で言ってください。日数が法律で決まっているのは事前通知だけで、残りは相手の都合で決まるからです。

探す時間、司法書士に相談して面談の日程を組む時間、公証役場を予約する時間。いずれも法令上の期間の定めはなく、定めがあるのは事前通知の申出だけです。

この記事では「一般に何日」という数字を書いていません。**一次資料で裏の取れる数字がないからです。**見込みは司法書士や公証役場にご確認ください。出国前の順番は出国後に売る・今やることに、印鑑登録は外国人の印鑑登録にまとめています。

この記事の根拠

法令・資料条・項・号施行日・最終改正
不動産登記法第21条(登記識別情報の通知)/第22条 本文・ただし書(提供義務と例外)/第23条第1項(事前通知)/第23条第4項第1号(本人確認情報)/第23条第4項第2号(公証人の認証)/第25条第10号2026年6月24日施行(最終改正 令和8年法律第46号)
不動産登記規則第63条第5項(資格者代理人の定義)/第65条第1項(失効の申出)/第70条第1項第1号・第3号(送付方法)/第70条第3項(優先取扱い)/第70条第8項(「通知を発送した日から二週間…外国に住所を有する場合には、四週間とする」)/第72条第1項第1号(面談の記載)/第72条第2項第1号(確認書類)2026年5月21日施行(最終改正 令和8年法務省令第38号)
公証人法第52条第1項(私署証書の認証。第58条から改番)/第52条第2項(ウェブ会議の方法)2025年10月1日施行
公証人手数料令第34条第1項ただし書・第18条(委任状の認証4,000円)/第34条第3項(外国語は6,000円加算)2026年5月21日施行(最終改正 令和8年政令第38号)
司法書士法施行規則第22条(報酬基準の事前明示)2023年3月31日施行(最終改正 令和4年法務省令第24号)
法務省「新不動産登記法Q&A」A17「その再通知は,認められません」

「未検証」は2026年8月11日時点の条文によりますが、施行日・最終改正日の裏取りができていません。**この記事は一般的な情報提供で、個別に登記ができるかどうかを判断するものではありません。**登記手続きは司法書士の業務で、ご本人と直接ご契約いただきます。**当社が紹介料を受け取ることはありません。**税務は税理士、紛争は弁護士へご依頼ください。

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この記事は、四葉不動産株式会社代表取締役・宅地建物取引士・行政書士の浦松丈二が書いています。毎日新聞で記者歴34年、中国総局長として中国や台湾、タイに駐在しました。文京区小日向、茗荷谷駅から徒歩5分です。

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