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相続

相続したタワーマンションを売るなら?令和6年の居住用区分所有財産の新評価と売却の段取り

相続した実家を前に立つ二人の後ろ姿を描いた水彩イラスト
浦松 丈二

浦松 丈二

代表取締役・宅地建物取引士(四葉不動産株式会社)

プロフィール(士業ドットコム)↗

令和6年(2024年)1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用のタワーマンション等は、国税庁の通達「居住用の区分所有財産の評価について」(令和5年9月28日付)により相続税評価の計算が変わりました。市場価格と評価額の開きが大きい住戸は、評価額が市場価格のおおむね6割水準まで引き上げられます。ただしこれは相続税評価の枠組みの話で、実際に売れる価格とは別物です。東京都文京区の宅地建物取引士兼行政書士が、評価通達の要点と、管理費・修繕積立金の精算を含む売却の段取りを整理します。

結論(先に要点):令和6年(2024年)1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用のタワーマンション等は、国税庁の通達「居住用の区分所有財産の評価について」(令和5年9月28日付)により相続税評価の計算が変わりました。市場価格と評価額の開きが大きい住戸は、評価額が市場価格のおおむね6割水準まで引き上げられます。ただしこれは相続税評価の枠組みの話で、実際に売れる価格とは別物です。評価・申告は税理士、相続登記(名義変更)は司法書士、遺産分割でもめている場合は弁護士、売却の媒介は当社(宅地建物取引業)が、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で分けてご案内します。具体的な税額計算は行いません。

令和6年にタワーマンションを相続した方、評価の見直し後に売るか持ち続けるかを迷う相続人、相続案件を扱う不動産担当者に向けて、評価通達の要点(あくまで評価の枠組み)と、管理費・修繕積立金の精算を含む売却の段取りを整理します。当社は物件・売却の情報提供と媒介を担い、評価・申告、登記、紛争は、それぞれの資格者へ分けてご案内します。

令和6年の「居住用の区分所有財産の評価」通達で、何が変わったのか

分譲マンション(区分所有の居住用住戸)の相続税評価に、市場価格との開きを埋める補正が入りました。令和6年1月1日以後の相続・遺贈・贈与から適用されます。

国税庁は令和5年9月28日付の法令解釈通達「居住用の区分所有財産の評価について」を出し、令和6年1月1日以後に相続・遺贈・贈与で取得した居住用の区分所有財産から、従来の評価額に「区分所有補正率」を掛ける方式に改めました。高層階や築浅のタワーマンションでは、従来の相続税評価額が市場価格を大きく下回る例があり、この開きを補正するものです。

評価のしくみは次のとおりです(算式は通達・国税庁タックスアンサーによる)。

要素内容
評価乖離率A+B+C+D+3.220。A=築年数×△0.033、B=総階数指数(総階数÷33、上限1.0)×0.239、C=所在階×0.018、D=敷地持分狭小度(敷地利用権面積÷専有部分面積)×△1.195
評価水準1 ÷ 評価乖離率
補正の向き評価水準が0.6未満なら評価額を引き上げ、1超なら引き下げ、0.6以上1以下なら補正なし
評価水準区分所有補正率効果
0.6未満評価乖離率 × 0.6評価額を市場価格のおおむね6割水準まで引き上げ
0.6以上1以下補正なし従来の評価のまま
1超評価乖離率評価額を引き下げ

高層階・築浅ほど評価水準が低くなりやすく、引き上げの対象になりやすい傾向です。具体的な評価額・税額の計算は税理士が行います。 当社は制度の枠組みの情報提供にとどめ、税額計算は行いません。相続不動産の評価と分割の全体像は相続した不動産を代償分割で分けるときの評価と売却も参考になります。

新しい評価は、売却の判断にどう関係するのか(評価額と売却価格は別物か)

相続税評価額と実際の売却価格は別物です。評価通達の見直しは「相続税をいくら払うか」に関わり、「いくらで売れるか」は市場で決まります。両者を切り分けて考えます。

ここが誤解されやすい点です。評価通達はあくまで相続税・贈与税を計算するための財産の評価方法であり、実際の取引価格を定めるものではありません。評価額が引き上げられても、売れる価格が上がるわけではありません。逆に、売却価格は立地・階数・眺望・管理状態・市況で決まります。

比べるもの何で決まるか誰が扱うか
相続税評価額財産評価基本通達+令和6年の区分所有補正率税理士(評価・申告)
実際の売却価格市場(立地・階数・眺望・管理・市況)不動産会社(査定・媒介)

売るか持つかの判断は、「相続税の負担(評価額に基づく)」と「売却で得られる手取り(市場価格に基づく)」の両面を並べて考えます。評価は税理士、査定は不動産会社と担当が分かれるため、早い段階で両方に当たって数字を並べると判断しやすくなります。旧耐震の区分マンションを相続した場合の売却の壁は相続した旧耐震マンションは売れる?──新耐震基準と買主の住宅ローンの壁に、別荘・リゾートマンションの処分は相続した別荘・リゾートマンションの処分にまとめています。

売る前に確認する、管理費・修繕積立金の滞納・精算はどうなるのか

区分マンションは、管理費・修繕積立金の滞納があると、その未払分が買主(特定承継人)に承継されます。相続した時点の滞納の有無と、引渡し時の日割り精算を売る前に確認します。

建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)第7条は管理組合に先取特権を認め、第8条は、管理費等の債権を債務者である区分所有者の特定承継人(買主など)に対しても行使できると定めています。つまり、前の所有者が滞納していた管理費・修繕積立金は、売買契約でどう取り決めても、管理組合は買主に請求できます。相続した住戸に滞納があれば、相続人がまず包括承継し、売却時には精算が必要です。

確認する項目内容
滞納の有無被相続人の代で管理費・修繕積立金の滞納がないか。管理組合・管理会社に残高を照会
特定承継人の承継滞納分は区分所有法第8条で買主に承継される。遅延損害金も対象になり得る
引渡し時の精算管理費・修繕積立金は引渡し日で日割り精算するのが通例
修繕積立金の状況大規模修繕の予定・積立金の値上げ予定・長期修繕計画

滞納を残したまま売ると、買主に承継されるため価格交渉で不利になります。重要事項説明でも管理費・修繕積立金の額や滞納の有無が説明事項になります。売る前に管理組合・管理会社へ残高を照会し、必要なら相続人の間で精算を済ませておきます。

名義変更(相続登記)と売却は、どの順番で進めるのか

原則として、相続登記で名義を相続人に移してから売却します。相続登記は2024年4月1日から義務化されており、売る前提でも避けて通れません。

不動産を売るには、売主が登記名義人であることが前提です。被相続人名義のままでは買主へ所有権移転登記ができないため、先に相続登記で名義を相続人へ移す必要があります。相続登記は不動産登記法第76条の2により、2024年4月1日から申請が義務化され、取得を知った日から原則3年以内に申請することとされています(過去の相続も対象で、経過措置があります)。

順番手続き担当
①遺産分割協議(誰が取得するか)相続人(もめれば弁護士)
②相続登記(名義を相続人へ)司法書士
③売却の媒介契約・売り出し不動産会社(当社)
④売買契約・引渡し・所有権移転登記不動産会社+司法書士

換価分割(売って現金で分ける)なら、代表相続人の名義にいったん登記して売る方法もあります。登記の申請を代理できるのは司法書士で、当社は行いません。相続登記と売却の順序の実務は相続した不動産を換価分割で売る流れは?──名義・登記・譲渡税の按分までに、遺産分割がまとまらない場合の弁護士への振り分けも含めて整理しています。

売却と保有・賃貸、相続税の納税資金との兼ね合いをどう整理するか

相続税の納期限(原則10か月)に向けて、納税資金を売却で用意するのか、保有・賃貸で持ち続けるのかを早めに設計します。期限と売却にかかる時間の兼ね合いが鍵です。

ご自身のケースについて相談したい方へ

物件探しや売却について、状況をお聞かせください。

相続税の申告・納付は、相続の開始を知った日の翌日から原則10か月以内です。タワーマンションのように評価額が大きい財産を相続すると、納税資金をどう用意するかが実務上の焦点になります。売却で用意するなら、売り出しから引渡しまでにかかる期間(数か月単位)を逆算して動きます。

選択肢向く場面留意点
売却して納税資金に充てる納税資金が不足、保有の意思がない売却には時間がかかる。納期限から逆算して早めに着手
保有して賃貸に出す立地がよく賃貸需要がある管理費・修繕積立金・空室リスク、賃料収入の税務
一部を売り一部を保有相続人が複数で意向が分かれる分割方法・持分の整理が先

どれを選ぶかは、相続税額(税理士が評価・計算)と、売却で得られる手取り・売却に要する期間(不動産会社が査定)の両面を並べて判断します。納税資金を見据えた売却スケジュールの立て方は相続不動産の納税資金を売却でつくるスケジュールが参考になります。具体的な税額・納税方法(延納・物納を含む)は税理士が扱う領域で、当社は判断しません。

評価・登記・売却で、誰に何を頼むのか(役割分担)

相続税の評価・申告は税理士、相続登記は司法書士、遺産分割の争いは弁護士、売却の査定・媒介は不動産(宅建)が分担します。役割が重なる部分は、契約前にどこが何を担うかを明確にします。

四葉グループでは、タワーマンションの売却・活用のご相談は四葉不動産株式会社が、相続に伴う許認可等の書類作成は併設の四葉行政書士事務所が、別契約で承ります。評価・申告、登記、紛争は、それぞれの資格者へ分けてご案内します。

相談先担当する内容
四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)売却の査定、売買・賃貸借の媒介、管理費等の精算の実務
税理士相続税評価(区分所有補正率を含む)、申告、納税(延納・物納)
司法書士相続登記(名義変更)、所有権移転登記
弁護士遺産分割でもめている場合の交渉・調停・訴訟
四葉行政書士事務所(別契約)相続に伴う官公署提出書類の作成

当社・当事務所と各士業は、それぞれ独立した事業体です。役割の重なる部分は、どちらが何を担うかを契約の前に明確にし、別々にご契約いただきます。 当社は、紹介料・送客手数料を受け取ることも支払うこともありません。相談は無料です。相続不動産全般のご相談は相続のご相談をご覧ください。

よくある質問

Q. 令和6年の評価見直しで、タワマンの相続税は必ず上がるのですか?
A. 必ず上がるわけではありません。評価水準が0.6未満の住戸は評価額が市場価格のおおむね6割水準まで引き上げられますが、0.6以上1以下なら補正はなく、1超なら引き下げになります。高層階・築浅ほど引き上げの対象になりやすい傾向です。具体的な評価額・税額の計算は税理士が行います。

Q. 相続税評価額が上がると、売値も上がりますか?
A. いいえ。相続税評価額は相続税・贈与税を計算するための価格で、実際の売却価格とは別物です。売値は立地・階数・眺望・管理状態・市況で決まります。評価は税理士、査定は不動産会社と担当が分かれるため、両方に当たって数字を並べると、売るか持つかを判断しやすくなります。

Q. 管理費や修繕積立金の滞納があっても売れますか?
A. 売れますが、区分所有法第8条により、滞納分は買主(特定承継人)に承継され、遅延損害金も対象になり得ます。重要事項説明でも管理費・修繕積立金の額や滞納の有無が説明事項です。売る前に管理組合・管理会社へ残高を照会し、必要なら相続人の間で精算してから売り出すのが通例です。

Q. 名義が亡くなった親のままでも売れますか?
A. 原則として、先に相続登記で名義を相続人へ移してから売ります。相続登記は2024年4月1日から義務化され、取得を知った日から原則3年以内の申請が求められます。登記の申請を代理できるのは司法書士で、当社は行いません。遺産分割がまとまらない場合は弁護士へご相談ください。

この記事の出典(一次情報)

※評価乖離率・評価水準・区分所有補正率の適用、対象・対象外の判定、具体的な評価額・税額は、個別の住戸ごとに税理士が計算します。本記事では具体的な税額・税率を断定していません。該当性・計算は【未検証】として税理士による確認を前提とします。
※相続税の納期限・延納・物納の可否、賃料収入・譲渡所得の課税は、個別の事情で変わります。本記事では具体的な税務判断を示していません。
※相続登記・所有権移転登記の申請は司法書士、遺産分割の交渉・調停・訴訟は弁護士が行います。本記事では具体的な法的判断を示していません。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断・税務判断を示すものではありません。評価・申告は税理士、登記は司法書士、紛争は弁護士、官公署提出書類の作成は行政書士が行います。
※売却の査定・媒介および管理費等の精算の実務は四葉不動産株式会社(宅地建物取引業)が担い、各士業とは、それぞれ独立した事業体として別々にご契約いただく形で進めます。紹介料・送客手数料のやりとりはありません。

この記事の執筆者

浦松 丈二(うらまつ・じょうじ)——宅地建物取引士(東京都知事登録 第293544号)・行政書士(登録番号 第25087022号)。四葉不動産株式会社 代表取締役(宅地建物取引業 東京都知事(1)第113304号)/四葉行政書士事務所 代表。東京都文京区小日向・茗荷谷駅徒歩約5分。相続したタワーマンションの売却について、令和6年の評価通達の枠組みと、管理費・修繕積立金の精算、相続登記と売却の順番を同じテーブルに並べて確認します。詳しい経歴は著者ページをご覧ください。

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相続した実家、海外に住んだまま持っている物件、入居者がいるままの一棟——いまの状況をLINEで一言お送りください。代表(宅地建物取引士)が直接お返事し、売却・賃貸・そのまま持つ場合の見通しを整理します。査定・媒介は四葉不動産株式会社が単独でお受けします。

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